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  • セブンスカラー 二十七話 過去からの呼び声

創作女児小学生ズ@wiki

セブンスカラー 二十七話 過去からの呼び声

最終更新:2022年04月02日 10:39

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更新日:2022/04/02 Sat 10:39:08

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セブンスカラー




今回のあらすじを担当する、ルクバトだ。前回は…あの小娘が暴走して、エスティーヴォを倒したんだったな。
何?克服して倒した?……どっちも変わらん。
それよりも…あの“サダルメリクの瞳”の女…随分と成長していたな。また死合うのが楽しみだ…。
脱線してる?……分かった分かったさっさと〆るぞ。どうなる第二十七話。


「……が…」
「…で……」
(…誰?)
温かく柔らかい感触の中で龍香が微睡んでいると、誰かの話し声が聞こえてくる。
しかし、頭は霧がかかったように思考がまとまらず、ただぼんやりと聞こえてくる話し声は、何かを話しているのは分かるがその内容までは理解出来ない。
そんな中、龍香がふと目を開けると、視界に優しそうに微笑む女性の顔が広がる。
(あ…)
その女性は龍香と目が合ったことに気づくと目を細めて愛おしそうに頭を撫でてくる。
(気持ちいい…)
今までに感じた事ない安心感の中に意識が段々と溶けていく。そして完全に意識が途切れるその瞬間、龍香の耳に女性の声が聞こえてくる。
「龍香。貴方はお母さんがいつも見守っているからね。」





「お母…さん。」
《龍香?》
そして次に目を覚ますと、机の上からカノープスが心配そうにこちらに声をかけてくる。
龍香は眠気まなこを擦りながら、ムクリと上半身を起こす。
「あ、カノープス……私、何か言ってた?」
龍香はカノープスにそう尋ねる。
《あぁ。悪夢を見てる、って訳じゃなさそうだが。》
「うん…。不思議な夢を見たんだ。女の人に抱っこされている夢なんだけど、なんかすごい安心するって言うか。」
《…へぇ。その女性はどんな人だった?》
「うーん…?夢だし、朧げだけど……長い髪で…丁度私みたいな髪の色の女の人だった気がする。」
そう龍香が答えると、カノープスは少し言葉に詰まる。
《そうか。……そう、なんだな。》
「どうかした?」
何やら様子が少しおかしいカノープスに龍香が尋ねると、カノープスは彼女に言う。
《いや、なんでもない。そう言えば龍賢がお前の事を呼んでいたぞ。》
「お兄ちゃんが?」







「お兄ちゃん?」
「龍香。起きたのか。」
カノープスに言われた通り、龍香がリビングに入ると、そこには龍賢が座っていた。
「何か飲むか?」
「うん。」
そう言うと、龍賢はポットから紅茶をカップに注いで座った龍香の前に出す。
「ありがとう。」
「おう。」
そして、しばらくの沈黙の後、龍賢が口を開く。
「……すまなかったな。龍香。」
「え?」
突然の謝罪に龍香が目をぱちくりさせる。
「…成長した龍香に、負担をかけ過ぎた。龍香がまだまだ子供だって事を見落としていた。お前の悩みに気づけなかった。」
「……。」
龍賢はそっと龍香の手を握る。
「…明日、空いてるか?」
「…うん。」
龍賢に尋ねられ、龍香が頷く。
「明日、一緒に出かけよう。明日だけじゃない。これから先も。勿論、龍香が良ければだが。」
「お兄ちゃん…!」
龍賢の申し出に龍香は笑顔で答える。それを見て龍賢はどこか安心したように微笑む。
《ま、なんか話まとまったっぽいし、腹空いたからとりま飯行こうや。》
《お前情緒って知ってっか?》
呑気に言うトゥバンにカノープスが釘を刺す。しかし、龍賢はフッと笑うと。
「そうだな。いい時間だし、今日は冴子さんもいない。ご飯でも食べに行こうか龍香。」
「うん!」
そう言って二人は立ち上がる。そんな彼を見て、カノープスが龍賢に言う。
《お前ら……いつの間にそんなに仲良くなったんだ?》
《なんだ?妬いてんのかカノープス?》
《やかましい。》
トゥバンが笑いながらカノープスを揶揄うと、龍賢はフッと笑って。
「粗雑なとこに目を瞑れば意外と、良い奴だぞ。まぁ、あまり大きな声では言えないが。」
《お、言うじゃねぇか。なぁ、兄ちゃんがそう言ってんだからそろそろ妹の方も》
「でもお兄ちゃんがなんて言っても私ソイツ嫌いだから。行こ、お兄ちゃん。」
「あぁ。…残念だったなトゥバン。」
龍香がジト目でトゥバンにそう言うと龍賢は困ったように笑いながら龍香と外へ出る。
《…まだ嫌われてんのか、俺?》
《そりゃそうだろ。》
トゥバンにカノープスは呆れたように言った。






「龍香君が終わった、と思ったら今度は君かい?」
作業室の机で頬杖をつく月乃助の前に若干不服そうな顔をしている赤羽がいた。
「……私の“雨四光”を作ったのがアンタじゃなかったら私も頭を下げないわよ。」
赤羽がそう言うと、月乃助はやれやれとため息をついて。
「君、素直じゃないねぇ。いくつ?」
「…14だけど。」
「まぁ…丁度そういう時期か。うん。まぁ君の頼みは結論から言うと、却下だ。」
「な」
赤羽が何かを言おうとすると、月乃助は手を翳してそれを制する。
「おおっと。勘違いしないでくれたまえよ。別に君の態度が気に入らないから、とか幼稚な理由じゃない。単純にこれ以上の強化は危険だからだよ。」
月乃助は手元のキーボードを操作して画面に“雨四光”のデータを映し出す。
「ただでさえ君の肉体を“サダルメリクの瞳”込みとは言えシードゥスと戦えるよう強化しているんだ。これ以上の性能を望む、と言うことは。」
そこまで言うと、月乃助はいつもの雰囲気とは打って変わって神妙かつ真剣な声音で赤羽に言う。
「お代は君の命を頂戴することになるよ。」
月乃助の真剣な態度に一瞬赤羽は驚くが、すぐに月乃助をその真摯な瞳で睨み返して言う。
「……お父さんの仇を討つには、今のままじゃ、アイツと打ち合える程度じゃ、届かない。攻撃を避けて反撃する、その一瞬を手に入れないとアイツには勝てない。…勿論死ぬのが怖くないと言ったら嘘になるわ。でも。」
赤羽は微かに震える左腕を右手で押さえるように握りながら月乃助の瞳を、確固たる決意を込めた瞳で見据える。
「お父さんの仇を討てないなら、死んだ方がマシよ。」
「……君、頑固なところは父親譲りだねぇ。」
赤羽の決意を確認した月乃助はそう言ってやれやれと言うと手を差し出す。
「いいよ。君がそこまで言うなら強化する。ただし、そこまで言ったからには泣き言は聞かないよ。」
「えぇ。望むところよ。」
月乃助の差し出した手に赤羽は笑って“雨四光”の変身デバイスを手渡した。







「風見さん。」
「あらクロクロ。お疲れ〜」
トレーニングから戻った黒鳥に風見はタオルと飲み物を渡す。
黒鳥はそれらを受け取ると、ふとまだ使っているトレーニング室の一室に目を向ける。
「藍?」
「そうよ。ユッキーったら朝からずっとあの調子で。身体を壊さないか心配だワ…」
雪花はトレーニング室にヘルメットを被って、シュミレーターでトレーニングをしていた。
このヘルメットは雪花に頼まれた風見と林張が作成したもので、雪花の“デイブレイク•ネメシス”に繋げることで、より実戦に近いシュミレートを行えるのだ。
「はぁ…っ!はぁっ…!」
(まだ、足りない…!)
雪花は自身が設定した仮想的…紫のポリゴン状の相手に憎っくき仇敵の姿を重ねる。
(あの時、あの感覚を…!)
雪花は身体を動かしながら、あの時──石化した龍香を元に戻そうと必死になって戦った時の感覚を思い出そうと躍起になる。
だが、疲労が蓄積した身体は徐々にキレを失っていき、とうとう相手の一撃が当たると同時に雪花の画面がブラックアウトする。
「〜〜〜〜ッッ!!次!」
雪花は歯噛みをして、またシュミレートをスタートさせようとしたその時。
「藍。一旦休憩を挟もう。」
シュミレーターの電源を切りながら黒鳥が部屋に入ってくる。
「な、何すんのよ!」
それを見た雪花が怒りながら黒鳥に近づこうとするが、一歩踏み出した瞬間ドテッと地面に倒れる。
「あぁ、ほらもう!ぶっ続けでやるから!」
「う、うるさい……私は、掴まないと、いけないの」
「はいはい。けど休憩も大事。戦う前に倒れちゃ世話ないでしょ?」
「う…」
力が抜けた雪花を黒鳥は抱えると、ヘルメットを外してソファに雪花を降ろす。
そして雪花に飲み物を渡しながら彼女の横に腰を下ろす。
「で、どう?何か掴めそう?」
「……私は掴まないと、アイツには勝てない。あの時一瞬だけど、お姉ちゃんを近くに感じた、あの感覚を。」
雪花は飲み物に目を落としながらそう呟くと、ギュッと飲み物の容器を悔しそうに歯噛みをしながら握りしめる。
その様子を横から見ていた黒鳥は飲み物を飲み干すと、ふと雪花に言う。
「藍。そんなに思い詰めなくても良いんじゃない?」
「…は?」
「私さ、あの時父の亡霊が出た時、どうしようもなく怖かった。」
黒鳥は少し自嘲気味に微笑むと。
「けど“新月”の皆がいたから、前に進めた。だから、さ。今度は私が貴方達に力を貸す番。」
「黒鳥…」
「勿論、トレーニングを止めはしないわ。でも、今度戦う時は、一緒に戦いましょ。」
そう微笑んで手を差し出す黒鳥に、雪花は目をパチクリさせた後、フンっとそっぽを向くと──その手を取る。
「まぁ、良いわ。頼りにしてる。なんだかんだアンタとは付き合い長いし。」
「任せて。」
友情を確かめ合う二人を見て、風見はフフッと微笑むと作業に戻ったのだった。




事務所で山形、林張、火元はカタカタと事務作業をしていた。
「山形さん、こっち終わりました。」
「ん。そこ置いといて。」
「こちらも終わりましたー。」
簡素な事務的な会話とキーボードを叩く音だけが鳴る静かな時間。
作業が終わったのか、全員が背筋を伸ばしていると。
「進捗は終わったかい?」
ドアを開けて一人の恰幅のいい初老の男性と、活発そうな少女が入って来る。
「海原さん、と雲原ちゃん。」
「お世話になっております。」
雲原がペコリと三人に頭を下げる中、海原が白い紙箱を机の上に置く。
「差し入れだよ。疲れてると思ってね。」
「ありがとうございます。火元。お茶を入れて。」
「はーい。」
火元はそう言うと、給湯室にお茶を取りに行く。その間、海原と雲原は山形に勧められて適当な椅子に座る。
「……ここも随分と狭くなったな。」
「ええ。当初は、広くてしょうがなかったですけど。」
自嘲気味に笑う山形。
「…正直、ここで司令やってる時思ったんです。なんで親友や、その子供達が戦うのを見てるだけしか出来ないのかって。」
「そうか。君と龍那君は親友だったね。」
海原の言葉に山形は頷く。
「大学の時から、ですけど。……普段ポヤポヤしてるのに、芯はしっかりしてる、不思議な人でした。」
山形はフフッと微笑むと、海原に自嘲気味に言う。
「もしかしたら、私がまだ戦うのは、彼女のためかもしれませんね。」
「そうか。彼女は人を惹きつける何かを持っていたからな。」
そんな風に話をしていると、全員の前に火元がお茶を並べていく。
「お茶でーす。」
「ありがとう。」
「早速いただくとしようか。」
白い箱からケーキを取り出し、並べている最中だった。
プルルと雲原の携帯に着信が入る。
「失礼します。…あ、はい雲原です…。えっ、あ、すぐ戻ります!」
何やら急用が入ったのか、雲原は血相を変えた表情で。
「あ、す、すみませんちょっと会社に呼ばれちゃって。」
「構わんよ。早く戻りなさい。」
海原がそう言うと、雲原は慌ててその場を後にする。
「うわっ、に、苦い!」
今度は紅茶を飲んだ林張がそう言う。
「えっ、苦いですか?」
「う、うん。濃すぎないかい?」
火元がキョトンとして尋ねる。林張がそう言うので、海原と火元が一口飲んでみる。そして二人とも顔を顰める。
「…あー、まぁ、失敗は誰にもあるものだ。うん。」
「ごめんなさい。茶葉入れすぎちゃいましたかね?」
火元見れば紅茶の色はいつもより濃い。山形は嘆息すると席を立つ。
「珈琲、入れましょうか?」
山形はそう言うと、席を立つ。
(……珍しいこともあるものね。)
ふと、そんなことを思ったが山形はすぐに珈琲を淹れるために器具を取り出すのだった。






──それはとある昼下がりの学校の廊下だった。廊下を歩いていると、一人の青年に声をかけられた。
少し赤みがかかった茶髪の快活そうな青年。青年はどうやら自分を探して走り回ったのかぜぇぜぇと荒く息を吐く。
「せ、先生探しました……!」
「どうしたんだね?」
尋ねると、青年はニカッと爽やかな笑顔でこう答えた。
「さっきの授業全く分かんなかったので教えて下さい!」




降りしきる雨の中、視線を落とすとそこには血まみれの女性がいた。
腹部に深々と突き刺さった槍とその虚な目、流れ出る血と肌を濡らす雨が徐々に彼女から体温を奪い、死へと誘う。
視線に気付いたのか、女性はゆっくりとその視線の主に顔を向け、微笑みかける。
「最後に、言い残すことは?」
彼女にそう尋ねると、女性は微笑んだまま答える。
「意地…悪です……ね。先…生。」
彼女は吐血しながら、泣きそうになりながら、手を伸ばしながら言う。
「もう……い…ど……も達を…き、しめ…て…げた…った…」
そこまで言いかけると、彼女の伸ばした腕が力なく地面へと落ちた。
酷く煤けた、虚無感に溢れた、勝利だった。





「…夢、ですか。」
頭を押さえながらプロウフが目を覚ます。椅子から立ち上がると、ふと横にアンタレスがいることにプロウフは気づいた。
「随分と夢見心地だったみたいねプロウフ。どんな夢を見てたの?」
「えぇ……少し懐かしい夢を、ね。」
プロウフはそう言って立ち上がると、アンタレスに言う。
「少し、出掛けます。アンタレス。貴方も来ますか?」
「行き先次第で。」
アンタレスがそう答えると、プロウフは老けた老人の姿になり、こう答えた。
「少し、昔話をしに行こうと思うのですが。」





「さ、行くぞ。龍香。」
「うん!今日は目一杯楽しもうねお兄ちゃん!」
朝、玄関を開けて、二人は外へとその歩を進める。久しぶりの二人きりの時間に、龍香だけでなく龍賢も喜色満面といった様子だ。そんな二人を見ながらトゥバンはふぁあとあくびをして。
《元気のいいことで…》
《二人はまだ子供なんだからそりゃそうだろ。》
カノープスがそう言うと、トゥバンは。
《そんなん言ったら俺らそこのガキと対して歳変わらないけどな。》
《お前意外と細かいな…》
なんてやり取りをしている中、兄妹二人は目的地まで他愛のない会話をしながら歩く。
そしてまず辿り着いたのは……小動物と触れ合えるのを売りにした喫茶店だった。
二人が中に入ると、見渡す限りあちこちに小さく、目がくりくりとしている愛玩動物達が出迎える。
「うわぁー!可愛いー!」
「はい、二人で。」
龍香が目を輝かせる中、龍賢は支払いをささっと済ませて、一緒に中に入る。
すると、龍香目がけて一目散に人懐こそうな犬達が駆け寄ってくる。
「あはは!すごい!可愛い!」
膝をついて、犬を受け入れるように撫でたり、おもちゃを使って楽しそうに遊ぶ龍香。
「お客さん。凄い懐かれてますね。こんなに懐かれる人はそうそう見ませんよ。」
店員さんが龍香を見て、そう言うのを聞いたカノープスはふと、前に戦ったあの犬っぽいシードゥスを思い出す。
(……そういやアイツも何か龍香に懐いてたし、そう言う何かが龍香にあるのか…?)
そして一方の龍賢の方にはビックリするくらい犬が来ない。それどころか近づこうものなら唸られる始末だ。
「な、何故だ…」
《お前、全然好かれてねーじゃねーか。だはは。》
そうトゥバンに笑われると龍賢はぼそっと言う。
「……もしかして今俺が好かれないのはトゥバンのせいなんじゃないか?」
《はぁ!?》
「俺は犬に嫌われてない。トゥバンが嫌われてる。」
《おいテメェともあろう奴が見苦しいぞ!》
二人が騒いでいる間、龍香はもふもふに囲まれて幸せそうに微笑む。
そして龍香が一頻りもふもふを堪能し、喫茶店を後にすると、今度はカラオケに入る。
「…カラオケか、懐かしいな。」
「うん!お兄ちゃんと一回来たかったの!」
龍賢は何処か懐かしそうな表情をし、龍香はニコニコしながら受付で部屋を頼む。そして二人は中へと入ると、それぞれ思い思いの歌を歌う。そして、互いに一旦休憩に入ろうとして、龍香がふと思いついたようにカノープスを手に取る。
「そういや、カノープスとか歌えるのかな?」
「マイク持ったらいけるんじゃないか?」
《いや、俺が知ってる曲古いから……》
「いいじゃん、歌ってよー」
やんわりと断ろうとするが、龍香的には気になるようで、マイクをカノープスの近くまで持って来る。
《しょうがねぇなぁ…曲入れてくれ。》
「曲は?」
《……“巡り愛”、で。》
龍賢がその通り入れると、物悲しい前奏から、少しずつアップテンポに変わる曲が流れる。
カノープスが歌う間、龍香は少し物悲しいラブソング程度にしか思っていなかったが、ふと龍賢の方を見ると驚いたような顔をしていた。
曲が終わると、ふぅ、とカノープスは一息をつく。
《あー、久しぶりに歌ったな…》
「何の曲なの?」
龍香が尋ねると、龍賢が言う。
「…ぼんやりとしか覚えていないが、よく母が口ずさんでいた曲だ。」
《……悪いな、この曲しか知らねぇんだ。見ての通り身体がないもんだからよ。》
カノープスが少し申し訳なさそうにそう言うが、龍香は。
「ううん。全然気にしてないよ。むしろ、私が知らないお父さんとお母さんを知れて、なんかちょっと嬉しいよ。」
《龍香…。》
龍香がそう言うと、彼女に続くようにトゥバンが言う。
《おいおい、今日は楽しむんだろ?シケた面してたら面白さが半減すらぁ。》
「そう、だな。まだまだ今日は時間がある。色々回ってみよう龍香。」
「うん!」
そう言うと、二人はカラオケ店を後にし、色んな所を巡った。
まず昼時になったので二人は龍香が馴染みがあるラーメン屋へと向かった。
「お兄ちゃん!ここのラーメンが美味しいんだよ!」
「へぇ。」
二人が入ると、初老ながらがっしりした体格で頭に白タオルを巻いた人の良さそうな店主が出迎える。
「こんちはー!」
「おぉ、龍香ちゃん!そっちは、お兄さんかい?」
「うん。お兄ちゃん!」
「龍賢です。いつも妹が世話になっているようで。」
龍賢がペコリと頭を下げると、店主の竹田は快活そうに笑いながら。
「お礼はいいよ、俺はただお客に拉麺を振るってるだけさ。今日は何にするかね?」
二人が席に座ると、店主が注文を尋ねてくる。
「私はいつもの!」
「はい、いつもの濃厚激辛辛子マシマシね。お兄さんは?一緒にする?」
「いや、こっちの味噌拉麺で。」
「あいよー。」
そう注文すると、トゥバンは龍賢に尋ねてくる。
《てっきり俺、お前も妹と一緒にするかと思ったぜ。》
(……注文を見れば分かる。)
そして待つこと数分。龍賢の元に普通の味噌ラーメンが。そして龍香にマグマの如く煮えたつ赤を通り越して赤黒い地獄を体現するが如しといった拉麺が運ばれる。
《》
直接食べてないのに蒸気が目に入るだけでちょっと涙ぐむ龍賢を見て流石のトゥバンも絶句する。
「うーん、これこれ。やっぱ竹田さんの拉麺は最高だよ!」
しかし、龍香はそれを平気な顔をしながらパクパクと食べ勧めていく。
《龍香、それ毎度思うんだが、辛くないのか?》
「辛いよ!でもこの脳とベロが痺れる感じがまた、良いんだよカノープス!」
《お前辛い物関連になると人格変わるな…》
なんてやり取りを横で見ながら、龍賢はトゥバンに尋ねる。
「…一緒のものを、頼みたいか?」
《……遠慮しとくぜ。》
そして二人が完食して、支払いを済ませると今度は近くの大きい公園へと向かう。
2人は公園をのんびりと散歩しながら、他愛の会話に花を咲かせる。
そしてふと、龍賢があることを尋ねる。
「ところで龍香。桃井さんのことは前聞かせて貰った。だが、その先日“世話になった”藤正君について話を聞きたいんだが。」
若干イントネーションが怪しいが、そう尋ねられた龍香は藤正について、うーんと考えながら思案する。
「えっと、藤正君はね。そうじサボったり悪戯好きだったり、良くない部分もあるけど何かと皆に気を遣ってくれるし、思いやりもあるんだよ、例えば私が落ち込んでる時とか、昨日の時とか俺は、龍香のことがす……き…」
そこまで言いかけると、突然ボッと龍香の顔が赤くなる。
「と、とにかく。優しくて良い人なの!うん!」
アタフタと手を振って強引に龍香は話を終わらせる。その様子を見た龍賢は、微笑むと龍香の頭を撫でる。
「………そうか。龍香がそう言うからには彼は良い子なんだろう。大切にするんだぞ龍香。」
「お兄ちゃん…」
だがそこまで言って、龍賢はボソリと。
「まぁそれはそれ、これはこれなんだがな……」
《龍賢、よくないぞそう言うの。》
龍賢の独り言を耳聡く聞きつけたカノープスが呆れたように言う。
二人がそう話している時だった。
「すみません。少し、お尋ねしたいのですが。」
前から一人の老人が尋ねてくる。二人が返事をしようとそちらの方に振り返ると、そこには一人の老人が立っていた。
その老人に、龍香は見覚えがあった。そしてその老人を見た彼女の目が見開かれ、驚愕に染まる。
「お久しぶりですね。龍香さん。」
「冬崎、さん?」
そして、冬崎の顔を見た龍賢とトゥバンも驚きの声を上げる。
「冬崎?貴方は、」
《お前は……ッ!?》
「おや、龍賢君は随分と成長しましたねぇ。トゥバンも元気そうで何よりです。」
二人に冬崎はそう言う。だが、トゥバンは彼を見て、叫ぶ。
《テメェプロウフ!何でテメェがここにいやがる!?》
「!」
その言葉を聞き、素早く臨戦体勢に入ろうとする二人を冬崎はスッと手を翳して製する。
「ここで戦ってもいいですが……その場合彼女が何をするか、私は保証しかねますよ。」
「何?」
そして冬崎が目配せした方に目をやると、嗜虐的な笑みを浮かべながら銀髪オールバックの眼鏡をかけた女性がこちらに手を振る。
《アンタレス…!!》
トゥバンが驚いたように声を上げる。
しかも彼女の周辺には憩いの時間を思い思いに過ごす人達がいた。
彼女を二人が止める前にそこにいる人達を殺すことなど赤子の手を捻るより簡単なことだろう。
「そんなっ」
「くっ、貴様ッ人質のつもりか!?」
龍賢が睨むと、冬崎は優しく微笑み。
「安心してください。別に今日は戦いに来たのではありません。少し、お話をしに来たのです。」
そう言うと冬崎はスッと、公園にある茶屋を指差す。
「まぁ、立ち話もなんですし。長くなりますから腰を落ち着ける場所にしましょうか。」





茶屋に入った三人は個室に通される。そこで冬崎が適当に飲み物を注文してから、二人に向き直る。
「さて、何から話しましょうかね。」
「随分と嬉しそうだな。」
「えぇ。寂しい老人ですから、こうやって若い子と話すのは楽しいんですよ。」
龍賢の皮肉もあっさりと受け流し、ハハと笑いながらプロウフはそう答える。
「では、まず自己紹介から参りましょうか。私はプロウフ。シードゥスのボスです。」
《知っている。》
「ふふ。そうでしたね。」
読めない態度を取るプロウフに龍賢が口を開く。
「なら丁度いい。俺も貴様に聞きたい事がある。」
「ほう?」
「何故“朧月”を攻撃した?」
“朧月”──かつての“新月”の同士、身内がシードゥスになってしまった者達の集まり。
それを聞かれたプロウフは飄々と答える。
「簡単ですよ。裏切り者のフェニックスを始末することと元に戻す方法とやらを見つけられては困るからです。」
「…本当にそうか?」
「ほう?」
だが、龍賢はプロウフを見据えながら、言う。
「シードゥスは元の人間を殺して誕生する。元に戻す方法がない事はお前が一番知っているハズだ。直接敵対する“新月”に比べて、“朧月”の攻撃優先度は低いハズなのに、攻撃した。」
「ほう。良く調べていますね。」
「だとすれば、お前があの時どうしても流失を阻止したかったのは、立光さんが持っていたデータだ。」
そう言うと、少しプロウフが目を細める。
「だが、あのデータは12年前の調査隊の名簿だった。何故、そんなものに執着する?」
「ふふっ、良く調べていますね?」
龍賢の質問にプロウフは笑みを浮かべる。
「その答えは、貴方が研究所から持ち帰ったデータを見れば分かりますよ。」
「……なんだと?」
《っていうか何で俺達が持ち帰った事を…!》
トゥバンの問いにプロウフはふぅと少しため息をついて。
「いやまぁ、あの二人…強いのは良いですが、少々単純ですからね。正直持って帰られたのだろうと予想はしていたのですが…やはり持って帰ってましたか。」
プロウフの答えにトゥバンはあ、と声をあげてカマをかけられたことに気づく。
「……なんでそこまでして隠したかったものを私達に教えるの?」
今度は龍香が尋ねる。その疑問も最もで、“朧月”を攻撃し、研究所にツォディアの二人を配置してまで守ろうとした情報なのに、その口ぶりからは今はどうでも良さげに見える。
「えぇ。最初はそうだったのですが…ここまで進めてしまえば、もう、それに拘る必要もなくなりましてね。」
「何?」
目的が見えない。疑問符を浮かべている二人に、プロウフは何かを重ねるように二人を見る。
「それにしても龍賢君。貴方は大きくなりましたね?そして聡明になった。」
「……俺は、アンタと会ったことはない。」
「いえ、ありますよ。なんだったら貴方を抱っこしたこともある。まぁ、と言っても貴方が2歳の時の話なので覚えていないでしょうが。」
「?」
怪訝な顔つきになる龍賢にプロウフは。
「そう言えば言ってませんでしたね。最上位種の私は、シードゥスに取って代わられて無いのですよ。」
「え」
「つまり、私は肉体だけがシードゥスに変貌したのですよ。他の者とは違って。だから、覚えているのですよ。貴方方の両親のことも、ね。」
「!」
そのことに二人の目つきが変わる。それを見たプロウフは何処か嬉しそうになる。
「彼らは、私の教え子でしたから。それに教鞭を振るって40年近く立ちますが、彼ら程親身になった生徒はいませんでした。」
「え?」
そう言うと、彼は二人に語り始めた。





「先生、ここは何故こうなるんですか?」
「これはここのページのこの部分の数式を使うからです。」
「成る程。」
青年、紫水鯉昇はその後も、授業が終わっては研究室まで足を運び、一対一で良く教えを説いていた。
そしてひと段落した後、冬崎はふと彼に尋ねた。
「それにしても、君のような熱心な生徒は初めてです。何か、夢でもあるのですか?」
「俺、宇宙に行ってみたいんです。」
「宇宙。」
えらくスケールの大きい話題を出してきたな、と思った。
「そう、あの大きな果てのない宇宙。子供の頃から隅から隅まで探検してみたいと思ってるんですよ。」
「果てがないと言うことは終わりがないのと同じ。終わりの見えないゴールを探すのが、ですか?」
「終わりがないから、良いんですよ。それってつまり死ぬまで楽しめる、ってことじゃないですか。」
屈託のない笑顔でそう言う彼に、冬崎はそうですか、と微笑んだ。
すると、コンコン、と部屋の扉がノックされ、冬崎がどうぞ、と言うと扉を開けて一人の少女が入ってくる。
「失礼します。教授。頼まれた資料持ってきました。」
「ありがとう龍那君。助かるよ。」
「はい。えっと、そちらの方は?」
「彼は私の生徒の鯉昇君だ。ちょっと個人講義をね。」
「紫水鯉昇です。先生に勉強を教えて貰ってます。」
後頭部をかきながら彼が頭を下げる。彼女もペコリと頭を下げて。
「幸地 龍那(こうち りゅうな)です。」






「これが彼ら二人の出会いでした。私も少し前に妻も息子夫婦を亡くしておりまして、まるで新しい家族が出来たようで…出来る限りのことを彼らに教えました。そして、彼らも私に良くしてくれた。やがて二人は愛し合い、子を成し…そして鯉昇君は夢を掴んだ。そしてそれが12年前の悲劇に繋がる。」
「……ちょっと待って。」
嬉しそうに両親を語るプロウフに龍香が待ったをかける。
「そんなに、お父さんとお母さんを大事にしていたなら…何で、お母さんを殺したの?」
《……》
龍香の質問にプロウフは人差し指を立てる。
「そうですね。貴方の疑問も最もです。事情を知らなければ可愛がっていた教え子を殺したただの怪物。しかし事情を知れば……貴方方の見方も変わるかもしれません。」
「何を。」
「真実は、そこにいるカノープスが一番知っていますよ。」
《……。》
《おい?何かあんのかよ?》
トゥバンが尋ねても、カノープスは黙ったままだ。
「貴方方は我々シードゥスが人間を贄として誕生したことは知っていますね?」
「…それは、知っている。」
「えぇ。なれば、気になるでしょう?カノープスは誰を贄として誕生したシードゥスなのか。」
プロウフの思わせぶりな言葉に龍香は固唾を飲むだけだが、龍賢は察したのかカノープスを見る。その様子を見たプロウフは彼を見て。
「流石は龍賢君。聡明ですね。その予想は当たっていますよ。」
「…嘘だ。お前は、俺を騙そうとしている。」
「…お兄ちゃん?」
冷や汗を流し始める龍賢に心配そうに龍香が声をかける。
そんな二人を見て尚、プロウフは突きつけるように言う。
「教えてあげましょう。カノープス。貴方が贄とした人間の名前、それは───紫水鯉昇。あなた方のお父上ですよ。」
「え」
一瞬言われた意味が分からなかった。しかし敵の親玉から語られたのは驚愕の真実だった。
「えっ、カノープスが、お父さんを?」
「…貴様ッ!」
龍香が困惑する中、次の瞬間龍賢がプロウフの襟首を掴む。
「よくも、そんな出鱈目を!」
《落ち着けって龍賢!》
「ふふっ。お父上が大好きだった貴方には少々酷でしたかね?認めたくない気持ちも分かりますが…これは紛うことなき事実です。」
「……ッ!!」
《龍賢ッ!》
今にも殴りかかりそうな程激昂した龍賢をトゥバンが諌める。
「……本当なの、カノープス?」
龍香が尋ねると、カノープスは少し沈黙した後、呟くように答える。
《……事実だ。》
「カノープス…。」
「そう…私は貴方が許せない。息子同然の彼を殺し、彼女を誑かして私に歯向かわせるよう仕向けた貴方が。」
そのプロウフの言葉には先程とは違い確かな憎悪の色があった。
沈黙が場を支配する中、龍香はカノープスに尋ねる。
「…私達のお父さんを殺したことは、お母さんに話したの?」
《……あぁ。話した。》
「お母さんは話を聞いた上で一緒に戦ってくれたの?」
《…そうだ。》
龍香はそれを聞くと、目を閉じて、少し深呼吸をした後目を開けてカノープスに言う。
「なら、私はカノープスを信じるよ。最後まで一緒に戦おう。」
《龍香…?》
「な、龍香!?」
《へぇ。》
「ほう」
龍香の言葉にカノープスと龍賢が驚く。
「ほう。自分の父を殺した者を貴方は信じるのですか?」
「…でも、お母さんはカノープスを信じた。」
「それが彼が騙したのであっても?」
「カノープスはそんなこと、出来ないよ。嘘がヘタだから。一緒にいたんだから分かる。」
「貴方も騙されているのかも、しれませんよ。」
「そうかもしれない。けど、今まで一緒に戦ってきたことは、嘘じゃないから。」
「ふふ…成る程。そうですか。」
龍香の決意を込めた瞳を見て、プロウフはより一層嬉しそうに目を細める。
「流石はあの二人の子供、ですね。杞憂で済んで良かったです。」
《杞憂?》
プロウフは立ち上がる。
「今日はここまでにしましょうか。私も準備がありますので。」
「貴様…」
そして、プロウフは去り際に二人に言う。
「次会う時は、戦う時です。」
そう彼が言うとゾクリと背筋に嫌なものが走ったかのような戦慄が二人を襲う。
二人が生唾を飲み込みながらも、プロウフを睨むが、プロウフはヒラヒラと手を振って茶屋を後にする。
プロウフが去ると、二人は脱力して座り込む。龍賢は下を向いて頭を軽く掻くと、龍香に謝る。
「はぁ…すまないな龍香。見苦しい所を見せた。」
「気にしてないよ。お兄ちゃんの気持ちも、分かるし。多分私が落ち着いてられるのも、あまりお父さんとお母さんを知らないからだろうし。」
龍香がそう言うと、カノープスは申し訳なさそうに龍賢に言う。
《…済まない、龍賢。いくら詫びても、許されないとは思っている。ホントに、すまない…。》
「…良いんだ、カノープス。俺も動揺したが…そうだな。俺達は一緒に戦って来たんだ…。」
龍賢は、自分に言い聞かせるようにそう呟く。だが、頭では分かっていても納得しかねているようだ。
龍香は少し、複雑そうな顔をすると龍賢に言う。
「お兄ちゃん。もう、帰ろう?」
《妹ちゃんの言う通りだぜ。帰ろうや。お前疲れてんだよ。》
トゥバンがそう言うと、龍賢は少し疲れたような笑みを浮かべて、コクリと頷く。
「そうだな……きっと、疲れているんだ。」
そう言って立ち上がると、机に千円札が置かれてあることに気づいた。
《プロウフの奴が、置いていったのか?》
「……ねぇ、カノープス。」
《何だ?》
「…プロウフさんって、何が目的なんだろ?」
《目的?》
龍香はプロウフの態度に、引っかかるものを感じていた。思い返せばそれは最初に遭遇した時からだ。
「フェニックスと戦った時も、その気になれば私を倒せたのに、フェニックスを追い払って、剣の使い方を教えてくれて……今日も、戦うんじゃなくて話をするだけだったっし、ああは言ってたけどホントにカノープスを恨んでいるのかな…」
《…確かにアイツの腹の内は見えないけどな、アイツがお前達の母親を殺したのは、確かだ。》
龍香にカノープスはどこか忌々しげに言う。
だが、カノープスの言葉を聞いても尚、龍香は上滑りをするような、腑に落ち得ない感覚を胸に覚えるのであった。








「ありがとうございます。アンタレス。お陰で楽しい時間を過ごせました。」
「子供のトラウマを抉ることが楽しいなんて、アンタ、随分と悪趣味ね。」
「おやおや、随分と手厳しいですね。」
拠点に戻ると、そう毒づくアンタレスにプロウフはそう受け流す。
そんな余裕綽々なプロウフが──アンタレスには随分と忌々しく感じられた。
「……アンタの目的は、何?」
「どうしたのですか、突然。」
「良いから答えてよ。わざわざ、私達の動きを制限して、敵に塩を送るような真似をした意味を。」
「おやおや、その言い方はまるで……」
プロウフはアンタレスに全身が凍えるような錯覚を覚えさせるかのような戦慄を走らせる冷たい殺意を向ける。
「“私が、ワザと仲間達を敵に倒させた”、とでも言いたげじゃないですか。」
「………。」
プロウフの言葉に、アンタレスは沈黙で返す。永遠にも感じられるような、一瞬の合間。
それが過ぎるとプロウフはフッと笑い、アンタレスに言う。
「私の目的は、シードゥスの繁栄ですよ。そのようなことを、するつもりはありません。」
「──だったら、何であの子を、追い込んだの?」
「ほう?」
「プロキオンよ。貴方のあの時の発言は──彼女をワザとカノープスと戦わせるように仕向けたとしか思えない。」
アンタレスのその言葉に、プロウフは驚いたような顔をした後、彼女に言う。
「ほう、貴方、プロキオンのことをそこまで。」
「……うっさいわね。」
プロウフはアンタレスを興味深そうに見つめる。
「…確かに、プロキオンにあの時は発破をかけました。彼女の心が揺れていたのが見て取れましたからね。だから、彼女が負けたのは、残念でしたよ。彼女は何処か私に似た考えの持ち主でしたから。」
「……アンタと、プロキオンが?」
アンタレスが疑問に思う中、プロウフは手をギュギュッと伸ばしたり握ったりを繰り返して何かを確かめるような動きをすると。
「意外かもしれませんがね。さて、貴方は私が貴方達を負けさせようとしている、と言いましたね。」
そう言うとプロウフは手を天に向けて伸ばす。
「なら傷が癒えた今、少し本気を出しましょうか。」
何を、とアンタレスが言おうとするより先にプロウフがパチンと指を鳴らした瞬間──世界は銀氷に包まれた。







To be continued…

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