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  • セブンスカラー 外伝 End of Destination 後編 下

創作女児小学生ズ@wiki

セブンスカラー 外伝 End of Destination 後編 下

最終更新:2022年12月22日 12:30

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更新日:2022/12/22 Thu 12:30:00

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セブンスカラー


「さぁ、第二ラウンドと洒落込もうがじゃ。」
そう言ってがじゃロリキメラザウルスが笑みを浮かべる。
「……天願さんを、どうしたの?なんで…!?」
目の前で天願を捕食したキメラザウルスに龍香が震えながら問い掛ける。
その問いにキメラザウルスは、眉を動かすと話し始める。
「その答えは簡単……このガキは“世界の杭”だったからがじゃ。」
「世界の…杭?」
龍香が聞き返すと、彼女はフフッと何処か得意げに笑みを浮かべて。
「たまにいるのがじゃ。貴様らのように世界改変の場に立ち会っていないにも関わらず前の世界の記憶を保持したまま新世界で生きる“特異体質”が。」
《……それをオマエが捕食して、何になる?》
カノープスの問いにキメラザウルスが答えようとしたその瞬間。
何処からともなく飛んできた黒い焔の塊がキメラザウルスに襲い掛かる。それらは寸分違わず彼女に直撃し、その身を焼く。
「悪いのぉ。あまりにも隙だらけじゃから攻撃してもうた。」
「よっ!何とか倒したで!」
「のじゃさん。むらサメちゃん。」
龍香の後ろに赤いマフラーをはためかせたのじゃロリ猫とむらサメが着地する。
のじゃロリ猫は黒い焔を受けて燃えるキメラザウルスを見ながら呟く。
「アレも元はワシの一部じゃからのう。不始末は自分の手でつけるもんじゃと──」
だが彼女のその呟きを遮るようにキメラザウルスは翼を拡げるとその焔を掻き消す。燃やされたのにも関わらず、彼女の体には傷一つついていない。
「話の途中で攻撃するとは……無礼極まりないな。」
「“分身”相手に礼儀もクソもあるかの?」
のじゃロリ猫が挑発するように言うが、キメラザウルスはそれを一笑に伏すだけで、余裕は崩れない。
「それに言っておくが、我に貴様の攻撃はもう効かん。」
「なんじゃと?」
「何故なら、我は“シードゥス”だからだ。」
「?」
のじゃロリ猫とむらサメが頭に疑問符を浮かべるが、その場にいた龍香達はその言葉の意味を理解する。
《……シードゥスは“魂の皮膜”を持った攻撃しか通用しない。》
「そうだ。本来ならこの特性は前の世界でしか適用されない“世界のルール”。けど、“世界の杭”として前の世界のルールを引き継いだ彼女を取り込んだ私にもそれは適用される。」
「……成る程。つまり、今のアンタは人間とシードゥスの攻撃しか効かない状態って訳ね。」
「その通りよ。」
上機嫌で彼女がそう答える。ならば、と龍香達が前に出た瞬間。
ドカッと彼女の鎖骨から臍にかけて氷の刃が大きく袈裟斬りのように斬り裂く。
「つまり、人間である私の攻撃は効く、って事ね。」
その背後には氷の刃を握り締めるエフィがいた。突然の不意をついた奇襲。
だが誰がどう見ても致命傷を負ったのにも関わらず、キメラザウルスの笑みが消える事は無かった。
「ククク。またまた不敬な蟻が一匹。」
ドクドク流れる血肉がミチミチと音を立てて修復されていく。しかもそれは氷の刃をまるで意志を持ったかのように包み込むと、その場で固定してしまう。
「チッ」
抜けなくなってしまったそれをエフィは手放すと素早くその場を飛び退く。
氷の刃を取り込み、傷はみるみる内に塞がっていく。時間にしてほんの数秒でキメラザウルスは元の姿へと戻る。
それを見たのじゃロリ猫が顔を顰める。
「成る程のぉ。」
「そして、この肉体の再生能力。中々のものだろう?」
そう言うと彼女は翼を拡げる。そして、地面が陥没する程の強力な踏み込みで、一瞬で加速するとのじゃロリ猫の目の前に現れる。
右腕の怪物のビッシリと鋭く粗い牙が並び、涎を垂れ流す口が開かれる。
「無論、守りだけではない。」
キメラザウルスの右腕の口を見たのじゃロリ猫の背筋に冷たいものが走る。その口がそのまま彼女を捉えようとする……まさにその時。
「させないっ!!」
その口が彼女を捉えるより先に割り込んできた色とりどりの恐竜の装甲と黒と紫のドレスに身を包んだ“ティラノカラー•コンクエスター”に変身した龍香がその一撃を戦盾“タイラント•リフレクト”で防ぐ。
《勇猛邁進!ティラノカラー•コンクエスター!!》
「ほう!」
龍香は攻撃を弾くと戦剣“タイラント•ブレイド”を振るう。しかしそれをキメラザウルスはサッと飛び退いてかわす。
「……のじゃさん、大丈夫?」
「世話かけたの。」
龍香が振り返ってのじゃロリ猫の安否を確認する中、カノープスはキメラザウルスに向かって言う。
《……お前、もしかしてその牙、俺達の能力まで持っているのか?》
カノープスの言葉にキメラザウルスは嬉しそうに口角を上げると。
「ほう。やはり”同一存在”だと理解出来るがじゃ?」
彼女の言葉に龍香は神妙そうな面持ちで尋ねる。
「……どういうこと?」
「本来ならこの世界に“シードゥス”はいない。けど、そこにいるカノープスがこの世界に存在している。本来いるハズのない異物が存在している。つまり、世界に矛盾が生じてしまった。そして世界は矛盾が起こるとそれを正そうと修正するルールがある。」
龍香の問いにキメラザウルスは答える。
「その結果、この世界からシードゥスを消す事は出来なかった。しかし代わりに奴らがこの地球に降り立つ事は永遠に無くなった。それで宇宙を漂うシードゥスの内……本来ならカノープスになるはずだった個体と我は融合したという訳だ。」
《…!つまり、お前は…!》
「そう、貴様らの相手の特性を無視して攻撃が出来、さらに取り込んだ能力を己のものにする能力を持っているのよ。例えば……」
そう言うとキメラザウルスは右腕を構える。そしてその口が開くと同時に無数の氷の剣がその場にいた全員に向けて放たれる。
「こんな風にねぇっ!」
「私の能力を…!」
先程取り込んだエフィの氷の剣を精製する能力を取り込んだキメラザウルスの放つ剣が全員に迫る。
「うっ!」
龍香はそれを咄嗟に盾で防ぐが、放たれた氷の剣は膨大で龍香以外にも襲いかかる。
「皆っ!」
龍香が慌てて振り返る。しかし全員に向かって放たれた氷の剣は突然現れた十字の光を大量に組み合わせた光の障壁によって全て阻まれる。
「ふん。この程度。造作もないわ。」
見ればそこには杖をついて余裕そうな表情を浮かべる龍姫の姿があった。
「お姉ちゃん!」
「やるやんけ!」
皆が沸き立つ中、キメラザウルスはチッと舌打ちをする。
そうしていると何処からともなく龍のオーラを纏った一撃と、斬撃が飛んできて彼女に直撃する。
「待たせた!」
「皆無事かい!?」
後ろからシェーンとデヴァが駆けつける。
「シェーンさん!デヴァさん!」
「アレがラスボスか。」
シェーン達は攻撃を諸に喰らったキメラザウルスの方に視線を向ける。
しかし攻撃の直撃を受けたのにも関わらず、彼女はやはり無傷だ。
「…無傷か!」
「今のアイツには人間か、私達の力しか通じないんです!」
驚くデヴァ達に龍香がそう伝える。その様子をキメラザウルスは止めるでもなくニヤニヤと楽しそうに見つめる。
「そうがじゃ。さて、ウォームアップは終わりがじゃ。」
そう言って彼女は腕を回し、首を捻る。そして次の瞬間彼女の纏う雰囲気が一変する。
「少し本気を出そうがじゃ。」
キメラザウルスの姿が消える。そして瞬く間にむらサメの前に現れる。
「はや」
「まずは一人。」
彼女はニヤリと笑みを浮かべて右腕の“口”から紫色のエネルギー波のような物を放つ。瞬きする瞬間もない程の瞬間の一撃。
放たれた攻撃の余波で砂塵が巻き起こる。
「むらサメちゃん!?」
龍香が悲鳴をあげる。果たして、砂塵が晴れるとそこにはキメラザウルスとむらサメの間に十字の光の盾がふよふよと浮いていた。
それを見たキメラザウルスの眉間に皺が寄ると、今度は龍姫が嘲るように彼女に笑みを投げかける。
「あら残念ね。まだ0人だけど。」
「……不敬。」
二人の視線がぶつかる。だが動きが止まった一瞬を見て龍賢達が動き出す。各々が武器を構えてキメラザウルスに殺到するが、彼女は牙を剥き出しにして凶暴な笑みを浮かべる。
「ハハッ。我ったら人気者がじゃ。」
龍賢の突き出した剣に身体を貫かれながらも、キメラザウルスは右腕の口で彼を思い切り殴りつけて吹き飛ばす。
「うぐぅおっ!」
「龍賢ッ!」
刺された剣を引き抜いて即座に再生するキメラザウルスに対し、今度は龍斗が水を纏ったかんざきの一撃を振るおうとするが、それよりも先に彼女の右腕の“口”が彼に突き付けられる。
「それは厄介だからいらんがじゃ。」
「!」
次の瞬間放たれたエネルギー波が彼を大きく吹き飛ばして石壁に叩きつける。
「ぐはっ!」
「お兄ちゃん!」
龍斗が倒れる中、今度はシェーンとデヴァが動く。シェーンの振り上げた龍を纏った拳とデヴァの斬撃が彼女に炸裂するが、その身体には擦り傷一つつかない。
「はん、無駄がじゃ。お前らの攻撃は私には…」
「それはどうかしらっ!」
次の瞬間、二人の攻撃によって視界を遮られたキメラザウルスの死角を縫うようにしてエフィが放った斬撃がキメラザウルスの両足を切断する。しかも再生を阻害するように彼女の斬り口を凍らせるというオマケつきだ。
「!!」
「今だ行け龍香!」
その呼びかけに応えるように龍香が飛び出す。“タイラント•ブレイド”には相手の能力を無効化する力がある。
つまり、彼女を再生させずに手傷を負わせる事が可能なのだ。
キメラザウルスの強固な耐性の唯一の穴を突く一撃。だが彼女は。
「はっ、狙いは良いがッ!」
次の瞬間傷口の氷を塗り替えるように肉が精製され、切断された脚に瞬時にくっついて再生する。それと同時に右腕の“口”から吐き出される様に飛び出た刃が“タイラント•ブレイド”を受け止める。
「なっ。」
《再生スピードが半端ねぇッ!》
「氷で阻害しようとしたようがじゃ、その能力は既にコピーしているがじゃ。」
キメラザウルスがニヤリと笑う。
だが、今度は何処からともなく斬撃がキメラザウルスに向けて飛んで来る。
「おおっと。」
キメラザウルスは飛んで来た斬撃を右腕の“口”で噛み砕いて防ぐ。見ればそこには紫の天使、ウリエルときゅーばんがいた。
「ちっ、防がれたか。」
「龍香ちゃん!お待たせ!」
「ウリエルさんと……きゅーばんちゃん!」
二人の到着に龍香が一瞬気を取られた隙にキメラザウルスは自身の翼を拡げる。
するとその翼の膜が盛り上がったかと思った次の瞬間、そこから昆虫の脚が飛び出て、龍香達を攻撃する。
「!」
「危ない。」
「きゃっ。」
慌てて盾でその攻撃を防ぐが、不意の一撃と言う事もあり、大きく後退させられる。ウリエルもきゅーばんを抱えて後ろへと下がる。
「今の一撃は……!」
「これだけではないがじゃッ」
次の瞬間彼女左目が強い光を放つ。するとその場にいた者の影がぐにゃりと変貌して盛り上がると、鞭となって拘束しようと伸ばしてくる。
「はっ。無駄な事を。」
しかしそれは同じ様に光を全身から発した龍姫によって消滅させられる。
「今のは、先ほどの影の女の技……!」
「しかもさっきのはあの蜘蛛女の技だった…!」
先程まで死闘を繰り広げていた相手の技を使うキメラザウルスに戦慄する。
「そう……我は取り込んだ相手の能力を使える…。先程取り込んだ女郎蜘蛛の力も、我が再生させた際に一部を取り込んだシャドウマンの力も。まぁ下僕にするために変に記憶を弄ったせいか、あまり本来の力を出しきれていなかったようがじゃ……まぁ、瑣末ごとよ。」
「酷い事をする…!」
シェーンが蹴りを繰り出すが、キメラザウルスはそれをひょいと避けると尻尾を振るって弾き飛ばす。
続いて振るわれたデヴァの攻撃も効かない事を良いことに受けながら、再び膜から飛び出した脚で彼を蹴り飛ばす。
「うぐっ!」
「ぐあっ!」
地面を転がる二人。追撃もせず、嗤いながら立つ彼女にのじゃロリ猫が黒い拳を振るう。だが、振るわれた拳をキメラザウルスは左手で受け止める。
「お主、目的はなんじゃ?究極の生命体になる事が目的らしいが!」
「そう。我が目指すのは究極の生命体……だが、我が目指す究極には今の状態では程遠い。このシードゥスの耐性は“世界の杭”を取り込んでも、あくまで残滓を残すこの世界だから得られる。だから。“この世界を丸ごと取り込み、耐性を完璧なもの”にし、そしてこの力で……色んな奴らの能力を奪って我が物にするがじゃ!」
「強欲な奴じゃの!」
「人生欲張ってナンボよ!」
剣を振るう彼女の攻撃をのじゃロリ猫は跳んで避けるが、すぐにしゅるると彼女の脚にキメラザウルスの尻尾が巻きつけられる。
「ゲッ」
それに気づいたと同時に彼女は思い切り地面へと叩きつけられる。
「ごっ!?」
「今度は貴様の“次元を越える”能力でも貰おうか!」
そう叫びながらキメラザウルスが右腕の口を振るおうとすると、またもや光の十字刃が飛んできてその攻撃を弾く。
さらに飛び込んで来た龍香に気づいた彼女は尻尾の拘束を解くと、飛んで逃げる。
「チィッ、また邪魔か。」
「逃さないっ!」
龍香は腰のリボンを翼に変え、拡げると大きくはためかせてキメラザウルスへと迫る。
「我と同じステージに立とうとはなッ!」
「はああっ!」
そのまま二人は空中戦へと移行し、音速の域に突入しかねない猛スピードでぶつかり合う。
「天願さんを返して!」
「貴様を傷つけた者を返して欲しいとは!優しいを通り越して、愚かだな!」
キメラザウルスの右腕の口から飛び出た刃と龍香の“タイラント•ブレイド”がぶつかる。
キメラザウルスの並外れた膂力に龍香は一瞬追い込まれて呻くが、すぐにその瞳に闘志を漲らせて押し返す。
「友達を助けたいと思う事の何が愚かなの!」
「自分に牙を向く者など、切り捨てるのが道理というものだ小娘!」
キメラザウルスは斬り払うと、龍香を思い切り蹴り付ける。蹴り付けられて大きく後退した龍香はすぐさま体勢を立て直すと同時に七色に光り輝く“タイラント•ブレイド”を構える。
「天願さんは絶対に返してもらう!一気に決めるよカノープス!」
《おう!!》
「《イリミネーター•エクステンション!!》」
龍香が刃を振るうと七色に輝く七体の恐竜が大挙としてキメラザウルスに向かっていく。
「ほう。これ程の力を隠していたとは。」
キメラザウルスはそう言うと両手を拡げ、向かってくる攻撃を見据える。
「ならば我もそれに相応しい一撃を持って応えよう。」
ピキッ、と彼女の背後の空間自体がひび割れて割れる。そしてそこから三つの首を持ち、円形の翼を背負った神々しくも禍々しい龍がその姿を現す。
「──“審判の日”《ドゥームズデイ》」
三つの首が吼えると、龍香の必殺技に向かっていく。
伸びた二つの龍が牙を剥き出しにして恐竜達とぶつかる。そしてぶつかり合った衝撃の余波が辺り一面に轟く。
「おわぁぁぁ!」
「皆、伏せておけ!」
あまりにも凄まじい余波に皆が物陰に隠れたり、身を低くしてやり過ごす。
ぶつかり合う二つの攻撃。だが二つの首は牙を剥き出しにすると七つの内数体をあっという間に噛み砕いてしまう。
だが反撃と言わんばかりに残ったモノがそれぞれに噛み付く。勿論二つの首もタダではやられず残りに牙を剥く。
そして次の瞬間七体の恐竜達と二つの首はひび割れ、同時に砕け散る。
「相殺した…!」
「いや、奴にはまだ……“一本残っている”!!」
次の瞬間爆炎を切り裂いて最後の首の一本が龍香に突撃してくる。
「ぐっ、ヤバい!!」
《龍香、構えろ!!》
迫る首に対してせめて少しでもダメージを抑えようと龍香は盾を構える。そして今にも大口を開けた首が彼女に食らいつこうとしたその瞬間。
「“征服王侵略聖光刃”。」
後ろから飛んで来た十字の光の刃を複数重ね合わせた一撃が首とぶつかり合う。
ぶつかり合った両者は再び辺りに衝撃波を放ちながらも、砕けて互いに霧散する。
「ほう?」
飛んで来た見覚えのある攻撃に龍香が振り返ると、そこには杖をキメラザウルスに向けている龍姫の姿があった。
「ふん。様子見してたけど、そろそろ私が出た方が良いかしら。」
龍姫はそう言うと一歩前に出て、キメラザウルスに視線を投げ掛ける。
その視線を見たキメラザウルスも龍姫へと狙いを変える。
「そうがじゃ……さっきから邪魔してきて煩わしいと思っていたところかじゃ。」
彼女の鋭い殺気に当てられながらも、龍姫はどこと吹く風と言った様子だ。
龍香が龍姫の隣に降り立つ。
「ありがとう、助かった。」
「そ。ところでアンタ今アレにはなれないの?」
「アレ?」
龍姫に尋ね返すと、龍姫は少し嫌そうな顔をしながらも答える。
「アレよ。私を倒した時の、あの光の羽根生やした奴。」
その言葉に龍香は彼女を倒した光の翼を持った形態、“ティラノカラー•ドミネイト”を思い出す。
「あー、アレ!アレなら……」
《いや、無理だ。アレは世界創造の力の一部を奪い取って奇跡的になれた形態。再び変身するにはあの時と同等か、それ以上の力を集約するしか……》
カノープスが提案した形態に慣れない事を口にしたその時、後ろから声がかかる。
「その形態になれば、アイツに勝てるのね?」
龍香が振り返ると、そこにはアルタイルを始めとしたこの戦いに協力した面々が立っていた。
「アルタイルちゃん…」
「気にしないで。一人で歩ける位には回復したから。」
アルタイルはそう言うが、アルビレオは心配そうに彼女の横についている。
すると、のじゃロリ猫がスッと前に出て来る。
「ここにいる全員の力を集結させれば出来ん事もないんじゃないかの?」
《そんな事が可能なのか?》
「まぁ、アレよ。ピラニアの奴の見様見真似じゃが、イケるじゃろ。」
《雑だな……。》
「だが、これしか今の所手がない。」
「どうせ僕達の攻撃は奴には通用しない。なら、僕達が出来る最善手を打ちたい。」
「同感ね。」
「皆……。」
皆の決意は固い。するとその後ろから。
「……なんか、話が進んでるみたいだけど。」
「私達にもどうなっているか教えて貰えるかしら?」
左腕を千切った服の破片を巻き付けて応急処置をした赤羽とボロボロの雪花を背負う黒鳥が合流する。
「皆!えっとね…」
龍香が話をしようとした瞬間、キメラザウルスの攻撃が火を吹く。
放たれた火焔は皆を焼き尽くさんと迫るが、それは龍姫の出した障壁によって弾かれて、明後日の方へと飛んでいき、着弾した山を吹き飛ばす。
「いきなり攻撃なんて失礼な奴ね。」
「いつまでもダラダラと長話に付き合う程気は長くなくてな。」
そう言うキメラザウルスと龍姫の視線がぶつかり、火花を散らす。龍姫はキメラザウルスへ視線を向けたまま龍香に言う。
「感謝なさい。この私が時間を稼いであげるわ。その間にせいぜい力を溜めることね。」
「え。」
「姉さん……!?」
龍姫の言葉に龍香を含めた兄妹三人が心底驚いた声を上げる。
「私の気が変わらない内にやることね。」
龍姫はそう言うと杖を持って飛び上がる。その後ろ姿を見ながら、龍香は少し呆けていたが。
「…姉さんの心意気を無駄にはしない!皆!龍香に力を!」
龍賢の言葉にハッと我に返った龍香は“ティラノカラー”に戻ると盾“タイラント•リフレクト”に剣“タイラント•ブレイド”を納刀してそれを前に突き出す。
「よし!皆手を繋いでそこの二人がワシの肩に!」
「はい!」
皆が手を繋ぎ、むらサメときゅーばんが彼女の肩に手をかける。
「むん!」
のじゃロリ猫はそう唸ると両手を龍香が構える“タイラント•リフレクト”に向ける。
そして彼女の掌から放たれたエネルギーはその盾に吸い込まれるようにして譲渡されていく。
龍香は皆から受け取る力を感じながら呟く。
「お姉ちゃん……待ってて……!」





「はァッ!」
龍姫が杖を向けると、三つの光刃が唸りをあげてキメラザウルスへと向かっていく。
キメラザウルスは翼を拡げると凄まじい機動力で、その攻撃を避けると龍姫へ一気に肉薄する。
「ッ」
「貰っておけ。」
キメラザウルスは龍姫へ右腕を向けると、先程の火焔を放つ。しかしそれが火を噴く寸前で彼女は杖を振るって右腕に当てるとその方向をズラす。
「ほぅ!」
次の瞬間放たれた火焔は地面を溶かして抉り取る。吹き荒れる衝撃と熱風に晒されながらも、二人の表情は微動だにすることはなく、笑みを絶やさない。
「そんな単調な攻撃で私が取れるとでも?」
「羽虫には充分だと思ったんだがな。」
「そう思ってんならアンタの目は随分節穴ね。」
龍姫が指をクイと動かすと、先程飛んで行った光の刃がいつの間にか戻って来ており、三方向からキメラザウルスに襲いかかる。
そして飛んで来た光の刃は一瞬にして彼女の腹部、脚、翼に突き刺さる。
キメラザウルスの口の端から血が溢れるが、龍姫はさらに指を動かす。
「“回転”《ヒラール》」
次の瞬間刃は突き刺さった状態で引き裂くようにグルンと回転し、キメラザウルスの身体を切り裂いて鮮血を撒き散らす。
──だが、彼女の顔から笑みが消えることは無い。
「随分と酷い事をしてくれる。」
次の瞬間彼女の身体は瞬時に再生する。そしてキメラザウルスは翼を翻すと、それを棍棒のように振るい、龍姫を殴り飛ばす。
龍姫は吹き飛ばされ、岩壁に叩きつけられる。だがすぐに崩れて落ちてきた瓦礫を蹴り飛ばすと、ポンポンと砂埃を払いながら彼女が出て来る。
「ふん。」
龍姫は殴られる瞬間に障壁を発生させており、ダメージを軽減させていた。
大したダメージを受けていない龍姫を見て、キメラザウルスはさらに深い笑みを浮かべる。
「それにしても……意外だな。」
「何が?私の強さに恐れをなしたかしら?」
彼女の煽りにキメラザウルスはフッと笑う。
「いや。前の世界であんなに他人を信じれなかった貴様が他人のために我の前に立ちはだかったことがな。」
「………。」
キメラザウルスの言葉に龍姫の顔から笑顔が消える。
「どんな心境の変化だ?」
「……デリカシーがないわね。アンタモテないでしょ。」
「生憎必要ないものでな。」
キメラザウルスがそう言って軽く返すとさっきよりも鋭く、高速で三つの刃が飛んでくる。
「おっとぉ。」
キメラザウルスはそれを軽く身を捩って回避する。だが、龍姫はそれを見越して手元に五つ程小さな光の刃を出現させるとそれを横一列にしてキメラザウルスが逃げた先に放つ。
キメラザウルスはそれにもすぐさま反応して、翼を振るうとそれらを弾き飛ばす。
だが、翼を振るった事で一瞬視界から龍姫が消える。次の瞬間光速で動いた龍姫はその一瞬でキメラザウルスの背後を取る。
「!」
「征服王葬送!!」
次の瞬間龍姫から放たれた巨大な剣がキメラザウルスを切り裂く。だが、キメラザウルスもタダでは転ばず、龍姫に向けて右腕の口から火を放って吹き飛ばす。
「!」
空中にて大爆発が起きて、龍姫は所々を焦がしながら落下していく。
一方のキメラザウルスは再生を終えると、皆から力を受け取っている龍香に矛先を向ける。
「消えろ。」
放たれた火焔が龍香達に迫る。だがそれを防ぐように三つの光刃が集まり、障壁を作り出すとその火焔から皆を守る。
「ッ、またか。」
キメラザウルスが振り返ると、そこには地面に降り立ち、こちらを見上げる龍姫がいた。
「お姉ちゃん……!」
龍姫は杖を構えるとまたもや光速で移動し、キメラザウルスに肉薄すると杖を振るう。
振るわれた一撃をキメラザウルスは右腕で受け止める。
「あの程度で私は死なないわ。残念だったわね。」
「まぁ、余興で死なれてもな。」
キメラザウルスが再び剣を振るい、龍姫はそれを首を捻ってかわす。さらに再び光刃が唸りを上げてキメラザウルスに向かっていくが、それは彼女の翼の膜から出現した蜘蛛の脚によって弾かれる。
「流石に二度も喰らってはやれんなぁ。」
「どうせ再生するんでしょ?ケチケチしないでよ。」
キメラザウルスと龍姫が打ち合う姿を見上げながら、龍香はなんとも焦ったい気持ちになる。
「お姉ちゃん……っ!」
《しかし、何でまたアイツと組んでるんだ龍香。まぁ心強い事に変わりはないが……》
「それは……」
キメラが放つ攻撃を龍姫は時に避け、障壁を作り出して防御する。
プロウフから譲渡された凍結能力を失っている龍姫の攻撃は全て直撃しても瞬時に再生され、逆にキメラザウルスの再生力を全面に押し出した捨て身の反撃で徐々に押し込まれていく。
今も龍姫の繰り出した一撃がキメラザウルスの左肩から胸にかけてを切り裂くが、反撃に振るわれた一撃が彼女の左脇腹を削ぐ。
その一撃で彼女の姿勢は崩れ、顔から余裕の笑みが消える。
「隙だらけだぞ!」
キメラザウルスは彼女を蹴り飛ばし、地表へと叩きつける。そしてまたしても龍香達の方へ振り向くと右腕を向ける。
「この茶番も終わりよ!」
そして再び火焔を放つが、またもや飛んで来た三つの光刃がそれを防ぐ。
「何!」
キメラザウルスが振り返ると、そこには血塗れで杖を支えによろめきながら立ち上がる龍姫の姿があった。
「……まだ、死んじゃいなわよ。残念だったわね。」
「……死に損ないが。」
彼女を見たキメラザウルスの表情が憤怒で歪む。翼を拡げると圧倒的速度で龍姫の手前に現れると右腕で殴りつける。だがそれは龍姫の作り出した障壁で威力が軽減され、逆にお返しと言わんばかりに龍姫がフルスイングした杖が彼女を大きく吹き飛ばす。
ぜぇぜぇと荒い息を吐く龍姫を見た龍斗がポツリと声を漏らす。
「……もしかしたら、姉さんは罪滅ぼしをしようとしているのかもしれない。」
「罪滅ぼし?」
聞き返された龍斗は続ける。
「……姉さんは本来優しい性格だった。それが歪んだのは友人の裏切りのせい。だが、今この世界線ではそれが起きなかった。優しい姉さんのままだ。それが急に前の世界の記憶が流れ込んで来たから……」
「……つまり、これは姉さんなりのケジメの付け方と言う訳か。」
龍賢の言葉に黒鳥達も少し複雑そうな表情を浮かべる。無理もない。歪もうが彼女のした事は決して許される事ではない。だが彼女のしようとしていることを否定することも出来ない。
「龍香。終わったぞ。」
のじゃロリ猫の言葉に龍香はハッと我に帰る。見れば盾は紫に輝いており、皆のエネルギーを譲渡し終わったのかのじゃロリ猫が腕を下ろすと同時に皆が座り込む。
「どうじゃ?イケそうか?」
《……あぁ。充分だ。》
カノープスの言葉に皆がホッとした表情を浮かべる。すると雪花が龍香の名を呼ぶ。
「龍香。……必ず勝ちなさいよ。」
「……うん。任せて。」
龍香は決意を新たにタイラントブレイドを引き抜くと、納刀の時とは逆向きに剣を差し込む。
「皆の力。確かに受け取ったから。いくよカノープス。」
《おう!》
「《これが私(俺)の最後の希望!!》」
龍香とカノープスがそう叫ぶと合体させた武器が変形し、柄の長い戦斧槍“タイラント•ハルバード”へと変わり、黒いドレスに更に紫のラインが走り、背には紫色の光を放つ翼が顕現する。
「この力なら…!」
龍香はそう叫ぶと翼を翻し、龍姫とキメラザウルスが争う渦中へと向かっていく。
その背を見送りながら龍賢が呟く。
「頼んだぞ……龍香。皆の分まで。」





「死に損ないが!しつこいぞ!」
キメラザウルスの一撃が龍姫へと叩き込まれる。口の端から血を流しながらも龍姫はギロリと鋭い視線をキメラザウルスに向けると龍姫はその拳をガッチリと握り締める。
「捕まえた……!」
次の瞬間三方から光刃が迫る。だがその攻撃はキメラザウルスが繰り出した尻尾と翼によって弾かれて地面に突き刺さる。
「無駄だ。貴様の攻撃は最早我に届く事は……」
そう言いかけた次の瞬間ドスッと、龍姫の光の刃を帯びた手刀がキメラザウルスを貫く。
だが、勿論その傷は瞬時に再生してしまう。
「……ゴフッ。」
手刀を引き抜いた龍姫の膝から力が抜け、膝をつく。最早将来は明らかだった。
満身創痍の龍姫に対し、キメラザウルスは無傷。だが、龍姫は例え身体が動かなくとも、キメラザウルスを睨むその眼から力が消える事はなかった。
その視線を受けながらも、キメラザウルスは剣を構えるとその切先を龍姫に向ける。
「……最後に言い残す言葉はあるか。」
キメラザウルスの言葉に、龍姫はククッと嗤う。
「……せいぜい良い気になってなさい。こんな“半端者”の私にこんなにアンタは手こずったんだから。……アンタは絶対に龍香が倒すわ。」
「そうか。なら先に地獄に言って見学でもしているといい。」
キメラザウルスはそう言って剣を振り上げる。振り上げられた刃を見て、龍姫はフッと自嘲するかのような笑みを浮かべる。
そしてその刃が振り下ろされようとした、まさにその瞬間だった。
横から光の翼を煌めかせ、飛び込んで来た龍香の拳がキメラザウルスに炸裂し、その身体を大きく吹き飛ばす。
吹き飛ばされた彼女は激しく岩壁に叩きつけられ、瓦礫と粉塵が散乱する。
キメラザウルスを吹き飛ばした龍香は降り立つと、傷だらけの龍姫の肩を抱く。
「お姉ちゃん…!」
「……ふふっ。まさか龍香に抱えて貰うなんてね。」
憎まれ口を叩きながら龍姫は龍香の手を握り締める。
「…散々待たせて。“オマケ”もつけてあげたから、後は任せたわ。」
そう言うと龍姫の変身が解け、彼女はそのまま目を閉じて糸が切れた人形のように倒れる。
「お姉ちゃん!」
《心配すんな。気絶しただけだ。》
カノープスの言葉に龍香はホッと胸を撫で下ろし、龍姫をそっと寝かせる。
そして彼女が立ち上がると左眼が碧く輝く。すると地面に刺さっていた三つの光の刃の色が青紫色から翠色に変わり、浮き上がると龍香の周りを浮遊する。
「お姉ちゃんからも、受け取ったよ…!」
龍香は周りに浮かぶ光刃を見て、そう呟く。
それと同時に瓦礫を押し除けてキメラザウルスがその姿を現す。
「ふん。ようやく本命の到着か。ほんの少し、厄介な能力を持っているが果たして我に敵うがじゃ?」
「……勝つよ。」
「ほう?」
龍香の言葉にキメラザウルスがピクリと眉を動かす。龍香は強い決意の瞳で言う。
「……私一人じゃここに立てなかった。でも皆に助けて貰って、想いを、願いを受けて私は今ここにいる!」
龍香は“タイラント•ハルバード”をキメラザウルスに向ける。
「だからこそ負けられない!勝負だ!キメラザウルス!」
「──くはは。良いだろう!この我の前にひれ伏せされてくれるわ!」
次の瞬間、両者地面を踏み砕き、在らん限りの力を込めて目の前の敵に向かっていく。
龍香は戦斧槍を振りあげるとキメラザウルスに向けて叩きつけるように振り下ろす。
しかしキメラザウルスはそれを横に少し逸れることでかわす。
振り下ろされた一撃は地面を叩き割り、衝撃波を撒き散らす。その凄まじい衝撃波を受けても尚、彼女はピクリとも動じる様子はない。
武器を振り下ろし、隙だらけの彼女にキメラザウルスが武器を振るう。
龍香の眼が光ると同時にキメラザウルスの振るった剣が彼女を切り裂く。
「!」
しかしキメラザウルスは直撃したにも関わらず、まるで靄でも切り裂いたかのように手応えが無いことに違和感を覚える。
「幻か!」
赤羽の自らを一瞬だけ幻とする技にキメラザウルスが気づくと同時に三方向から光刃が彼女に向けて襲いかかる。
「チィッ!喰らうか!」
キメラザウルスは羽根から蜘蛛の脚を生やし、迎撃しようとする。だが龍香は戦斧槍を構えると。
「エフィさん!ウリエルさん!」
戦斧槍が橙色と紫色のオーラを纏う。龍香はオーラを纏う戦斧槍を思い切り振り下ろす。
「アヴァランチ•エスパーダ!!」
龍香が振り下ろした斬撃は一振りであったにも関わらず、複数の斬撃となって蜘蛛の脚を細切れにする。
「おおおおっ!?」
脚を失った事にキメラザウルスが驚く、がその直後に妨害を受けない光刃が飛んでいき、次々とキメラザウルスに直撃して後退させる。
「ぐぉ、お!」
光刃をぶつけられて体勢を崩した彼女の隙をついて龍香はその懐に潜り込む。
「のじゃちゃん!シェーンさん!」
龍香の右拳と左拳に赤黒と群青のオーラが宿る。
「龍猫双破撃!!」
龍香は両腕を振るい、痛烈なラッシュをキメラザウルスにお見舞いする。
「この、程度ォッ!」
だがキメラザウルスも負けじと、ラッシュを受け切ると右腕を振るって龍香の腹部を殴りつける。右腕の口が開き、龍香に食らいつく。
龍香は腹部に走る痛みに顔を顰めながらも叫ぶ。
「ぐっ!むらサメちゃん!デヴァさん!」
龍香が振るう右拳が巨大化し、龍の形を模したオーラを纏う。
「プレデター•ファング!!」
次の瞬間振るわれた一撃がキメラザウルスに炸裂し、大きく吹き飛ばす。
大きく吹っ飛ぶ彼女が離れると同時に龍香は齧られて痛むお腹を押さえて膝をつく。
《大丈夫か!?》
「うん、平気…!まだ、やれる…!」
龍香は立ち上がると、痛烈な一撃を受けても笑みを絶やさないキメラザウルスを見据える。
「やっぱりこれで攻撃しないと有効打は与えられない…!」
龍香は“タイラント•ハルバード”を構え直す。そして翼を拡げると、菱形の鋭く尖った光の羽根をキメラザウルスに向けて発射する。
「ハハァッ!この程度ォッ!」
キメラザウルスは嗤うと真正面から突っ込んでくる。羽根で肉体が削られていくにも関わらず、その勢いは微塵も衰えない。
彼女は剣を生成するとそれを龍香に向けて振り下ろす。龍香はそれを戦斧槍で受け止める。そして互いに互いの得物を振るって激しく切り結ぶ。
「おおおおおお!」
「フハハハハッ!」
斬撃が火花を散らし、ぶつかり合いの余波であちこちが陥没するが、互いに一歩も譲らない。
龍香の“タイラント•ハルバード”の再生無効能力を知っているのもあり、それだけは喰らわないようにキメラザウルスは立ち回る。
《ちっ、龍香。何とか“タイラント•ハルバード”をぶち当てる隙を作るぞ!》
「うんっ!」
そう言うと龍香は宙へと飛び、左眼が輝く。そして次の瞬間キメラザウルスを取り囲むように大量の数の龍香が現れる。
「チッ、姑息な手を。」
さらに龍香達は翼を翻し、キメラザウルスを撹乱するように周りを高速で飛翔し始める。本物を絞らせない攻撃に彼女は舌打ちをする。
どのタイミングで仕掛けて来るかとキメラザウルスが機会を伺っていたその時。
なんと地面を突き破って三つの光刃が足元から彼女に襲い掛かる。
「!」
流石にこれは予想外だったのか咄嗟に防御体勢を取るが次々と攻撃がぶつかり、動きが止まる。
「今だ!アルタイルちゃん!アルビレオ!」
龍香は叫ぶと焔と風を纏った戦斧槍を振るう。
「ストーム•ブラスト!!」
そして戦斧槍から放たれた焔と風はぶつかるとより大きな焔となってキメラザウルスに直撃すると大爆発を起こす。
「ぐぅうっ!」
爆炎から逃れるようにキメラザウルスが飛び出る。だがそれを待っていたと言わんばかりにその背後に龍香が迫る。
「うっ!」
「テラー•タイラント•トラッシュ!!」
次の瞬間紫色の光を帯びた“タイラント•ハルバード”の一撃がキメラザウルスに炸裂する。キメラザウルスも咄嗟に反応し、剣で防御するが龍香の一撃はその防御を捩じ伏せるように剣を砕いてキメラザウルスの身体を切り裂く。
「おっ、ごぉおおおっ!?」
龍香はさらに刃が食い込ませると思い切り戦斧槍を振り回して、キメラザウルスを地面へと叩き付ける。
「ごっ、あァッ!!?」
激しく出血するキメラザウルス。“タイラント•ハルバード”の効果で再生力を無効化され、初めて彼女の顔が苦痛に歪む。
しかし彼女は歯を食い縛ると、右腕の口を龍香に向ける。次の瞬間それは巨大な龍の顎となり、龍香を噛み砕かんとばかりに牙を剥いて喰らい付いて来る。
「なっ!」
龍香は慌てて戦斧槍で受け止めるが牙と戦斧槍が火花を散らす。口の端から血を流しながらキメラザウルスはゆっくりと立ち上がる。
「馬鹿が……我に本気を出させやがって……!」
キメラザウルスが瞳を憎悪に燃えさせながらそう言うと、バキバキと嫌な音を立てながら彼女の身体が歪んでいく。
残った左腕も龍のような口へと変貌し、背中から突き破るように宝石のような菱形の意匠をした翼が生える。
変貌は止まらず、彼女の顔がばっくりと割れて怪物へと変わっていき、とうとう彼女は女性の姿がカケラも残っていない三つの首を持つ凶悪な龍へと変貌する。
「──裁きの時だ。灰燼と化せ小娘。」
龍香を噛み砕こうとする顎の口が熱を帯び始める。
《うおおっ……!!コイツはヤバいぞ…!》
それに気づいたカノープスが声を上げた瞬間大爆発が起こり、龍香は大きく吹き飛ぶ。
「きゃあああっ!?」
龍香は吹き飛ばされながらも何とか空中で体勢を立て直し、接地した二本の脚で地面に線を引きながら彼女は着地する。
龍香が顔を上げた瞬間キメラザウルスが二つの首から放った雷と氷が龍香に迫る。
「ヤバっ。」
龍香はすぐさま飛び上がってその攻撃をかわす。地表がその攻撃で抉れる。あまりの攻撃力を前に龍香の背筋を冷や汗がつたう。
《遠距離じゃ不利だ!懐に飛び込むぞ!》
「うんっ!」
龍香は翼を翻すとキメラザウルスに向けて高速で飛翔する。だが彼女もただ手をこまねいてはおらず口から電撃を広範囲に吐き出し、龍香の軌道を制限すると逃げようとしたその先に火焔と氷塊を発射する。
「ッ!バリアっ!」
だが龍香が指を動かすと三つの光刃が連結して障壁を作り出すとその攻撃を受け止める。
「流石はあの女の防御だ!我の攻撃をこうも防ぐとは!だが守ってばかりでは我に勝てん!」
次の瞬間キメラザウルスは翼を拡げるとそこから光の弾丸を広範囲に発射する。
龍香がそれらを避け、キメラザウルスに近づこうとした次の瞬間、彼女の肩口から生えた角が一瞬で伸び、龍香を突き刺そうと迫る。
「速っ!」
慌てて避けようとするが、あまりに素早い攻撃に完全には避けきれず、伸びた一撃が彼女の左脇腹を削ぐ。
「うっ……!?ぐぅっ…!」
《龍香!?大丈夫か!?》
あまりの痛みに龍香の動きが一瞬止まる。そしてそれを見逃すほどキメラザウルスは甘くない。
「我の前で止まるとはなっ!」
キメラザウルスの振るう尻尾の一撃が龍香を吹き飛ばし、地面へと叩きつける。
「……!」
「小娘の分際でここまで良くやった……褒美に甘美なる死をくれてやろう!」
地面に倒れて呻きながら、龍香はボンヤリと高笑いをするキメラザウルスを見上げる。
(ヤバい、かも。)
圧倒的な力に一瞬そんな言葉が脳裏を過ぎったその時。
「頑張れー!!」
「!」
声がする。龍香が声がした方を向くとそこには黒衣がいた。彼女を筆頭に雪花達、皆がその後ろにいる。
「行けー!」
「龍香!」
「負けたら承知しないわよ!」
仲間達の声援を受けて龍香の指がピクリと動く。
(……負け、られない。)
自分を信じて、一緒にここまで着いてきてくれた友人の顔が浮かぶ。
(まだ…負けて…ない。)
自分を立ち上がらせてくれ、時間を稼いでくれた家族の顔が思い浮かぶ。
(まだ立ち上がれる……!!)
《行けるか?龍香。》
自分と運命を共にしてくれた相棒が尋ねて来る。龍香は笑うと瓦礫を押し除けて立ち上がる。
「行けるよ。カノープス。絶対にアイツを倒して天願さんを取り返す。」
龍香は決意を新たに翼を翻すとキメラザウルスに向けて飛び立つ。
「フゥンっ。雑魚が雑魚に応援されたところで現実は変わらぬ!!」
向かってくる龍香にキメラザウルスは電撃を、火焔を、氷塊を次々と発射して浴びせかける。
「きゅーばんちゃん!!」
しかし龍香の左眼が輝くと同時に彼女は向かって来る攻撃を当たるか当たらないかのギリギリの僅差でかわしていく。まるで向かって来る攻撃の軌道を理解しているかのような回避行動にキメラザウルスは眉を顰める。
「小癪な!ならばこれならどうだ!?」
キメラザウルスはそう言うと身体をくねらせ、尻尾を龍香に叩きつけようと振るわせる。
「小細工で避け切れると思うなぁッ!」
面で制圧しようと迫り来る一撃に龍香は怯まず突っ込む。
「カノープス!」
《あぁっ!パワーなら俺達の得意分野だ!》
龍香は戦斧槍を構えると深紫色の光がその刃に宿る。そして龍香はそれを渾身の力で向かって来る尻尾へと振るう。
「タイラント•ブレイジング•エクスキューター!!」
振るう戦斧槍に肉食恐竜の顎を模したエネルギーが宿り、尻尾にぶつかる。
その瞬間その顎が喰らいつくと同時にエネルギーが炸裂し、尻尾の接触箇所を粉々にして千切り飛ばす。
「ぎぃぃいぃやぁあぁああ!!?」
鮮血が撒き散り、キメラザウルスが悲鳴をあげてよろめく中、龍香はその隙に懐に飛び込むと左の頭へと向かう。
「小娘がぁっ!」
左の頭の口が開き、そこから氷塊が発射される。しかし龍香はそれを戦斧槍で切り裂いてその能力を奪い取ると氷気を纏った戦斧槍を構えて一気に突き出す。
「コキュートス•スターダスト!」
氷を纏った一撃は左の頭を口から貫いて氷結させた直後に粉砕する。
パラパラと氷の破片が散り、キメラザウルスの悲鳴が響く中、今度は右の頭が口から焔を噴き出して灼き尽くさんと迫る。
《そうはいかねぇぜ!龍香!》
「うんっ!」
しかし龍香は左手を翳し、三つの光刃を連結させた障壁を精製してそれを防ぐ。
そして彼女は障壁が焔を受け止めている間に戦斧槍を槍投げのように構えると、規格外の膂力で思い切り投げ飛ばす。
放たれたその戦斧槍は右の頭の突き刺さると赤黒い雷を放ってキメラザウルスを拘束する。
さらに龍香は飛び上がると足の先に電撃を纏う水の球を作り出すとそれを押し付けるように蹴りを繰り出す。
「光雷海恐•徹甲龍弾!!」
龍香がその蹴りを突き刺さっている戦斧槍の柄頭を目掛けて放ち、それを蹴り付けたその瞬間。
ドォンッと空気が震え、戦斧槍の槍先へ流れた電撃が破裂するように爆発し、右頭を吹き飛ばす。
「オオオオオオオオオオ!!」
左右の頭を潰されたキメラザウルスは声にならない絶叫を上げる。
だがその眼がギョロリと細まったかと思うとキメラザウルスの胴体がまるで口のように開く。
そこには目玉のような水晶に覆われた天願がいた。
「天願ちゃん!?」
彼女に一瞬龍香は気を取られる。その隙を着いてキメラザウルスは口から雷撃を放って浴びせかける。
「うわっ!!」
電撃を浴びた龍香はたまらず墜落し、ドォンッと土煙が舞い上がる。
龍香は膝をつきながらも何とか起き上がり、キメラザウルスの胴体にいる天願を見つめる。
《大丈夫か?龍香?》
「うん……まだ、いける。カノープス。」
相棒に問い掛けると、彼は彼女を考えを察したのか。
《あぁ。行くぞ。この一撃でアイツを救い出すんだろ。》
その言葉に龍香は笑って頷くと立ち上がり、戦斧槍を構える。
「この一撃で決める!!」
龍香の構えを見てその意図を察したのか、キメラザウルスも翼が不穏な色の輝きを放ち始め、胸の口が紫電をスパークさせ、最後の一撃を放つ体勢を取る。
「良い度胸だ小娘……!我と力比べをしようとはな!」
龍香が槍を構えるとその前に三つの光刃がくっつくと同時に光の膜を拡げるように拡がり、光のゲートを作り出す。
「これで終わらせる!」
「審判の時だ!」
「インフィニティ•アライバル!」
「ドゥームズデイ!」
龍香は戦斧槍を構えて走り出すと光のゲートを潜る。潜り抜けると同時に紫の光を放つ暴龍を纏ってキメラザウルスへと向かって突撃する。
キメラザウルスの胸の口から三つの首を持つ雷龍が現れ、龍香を食い殺さんと殺到する。
「わあああああああああ!!」
「オオオオオオオオオオ!!」
二人の最大の必殺技が激突する。互いの技の威力は凄まじく、衝撃の余波だけで地面が陥没し、抉れていき、空気がビリビリと震える。
ぶつかり合う衝撃波に二人は歯を食いしばって耐えながら気合いを入れて叫ぶ。
三つの雷龍が食らい付き、龍香が纏う暴龍にヒビが入る。だが、龍香の一撃も負けじと喰らい付いた雷龍達をそのエネルギーで欠けてさせていく。
まさしく一進一退の攻防。一つ分かる事があるとすればそれはこのぶつかり合いを制した者がこの戦いの勝者になると言うことだけだ。
「負け、るかぁっ……!!」
龍香が力を込めると徐々にだが、キメラザウルスの攻撃を押し込んでいく。
「図に乗るなよ小娘ェッ!我が貴様如きの羽虫に負けるものか!」
しかしキメラザウルスも負けじと力を込め、電流を強めると龍香を徐々に押し込んでいく。
《踏ん張れ龍香!ここが正念場だぞ!》
「わか、ってる、よ…!!」
龍香が奥歯を噛み締め、渾身の力を込めるが、雷龍の一撃が龍香の纏う暴龍に牙を立て、ヒビが拡がっていく。
押し込まれそうにならながらも龍香が目の前に迫る攻撃を見据えていたその時。
ふと、雷龍の後ろ。そのキメラザウルスの口の中の水晶に囚われている天願が見えた。
彼女に意識は無く、虚げな瞳だ。だが彼女は右手をこちらに伸ばしている。それを見た龍香は彼女が「助けて」と言っているように見えた。
「……勿論だよ。天願さん。」
龍香は彼女を安心させるために笑顔を作って見せる。脂汗を滲ませながらも、龍香は戦斧槍を握る手にさらに力を込める。
「貴方を絶対に助ける!!」





キメラザウルスに捕食された天願は泥のような微睡の中にいた。
瞼が重い。身体が思うように動かない。
(……バチが、当たったのかな。)
ふと、そんな言葉が脳裏を過ぎる。
彼女は前の世界で彼女を助けてくれた少女と同じ力を得た。だが、それを自分自身の憂さ晴らしのために使ってしまった。
憧れていた少女に諭されても尚、自分は自分自身の正義に酔ってその少女に唆されるままに牙を剥いた。
考えれば考えるほど、自分がしでかしたことは見捨てられても仕方のない事だ。
……だが、あんなに傷付けたのに、酷いことをしたのに。
目の前の憧れた少女は傷だらけになりながらも必死で自分を助けようとしている。
許される事じゃない。これから何をしたって償えるかは分からない。だけど、せめて。せめてちゃんと目の前の少女に謝りたい。
だから微睡む頭で、泥のように重い身体を動かして手を伸ばす。
「助けて。」
ちゃんと発音できたかも分からないか細い声。だが目の前少女は笑顔を浮かべると彼女の手を取るように近づき、そして叫ぶ。
「助けに来たよ!天願さん!!」
その笑顔を見て、天願の意識が急浮上していく。白い光が視界を覆う中、天願の瞳から涙が溢れる。
──そうだ。私は──そんな、貴方のようになりたかったのだ──





龍香の繰り出した一撃は三つ雷龍を打ち砕くとキメラザウルスの胸の口に飛び込んでその身体を貫き、破る。
「ごォッ……ォォッ……!!?」
キメラザウルスを貫いた龍香は気絶している天願を抱えており、そのまま地面へと降り立つ。
「お、おォッ!馬鹿な…!我が……!この我が……!?貴様ら虫ケラ如きに負ける!?そんな馬鹿なァァァァァ!?」
キメラザウルスは絶叫するが、その身体は貫かれた箇所からヒビが入っていき、それが全身に回った次の瞬間。
紅蓮の炎を撒き散らし、大爆発を引き起こす。
それを背で感じながら龍香は静かに天願を地面に下ろす。
そしてそれと同時にコテンっ、と龍香は倒れると同時に変身が解除されて元の姿に戻る。
「……ダメ。もう、動けない。」
《奇遇だな。俺も最早何の力も残っちゃいない。》
龍香とカノープスはそう言うと、どちらからでもなく、プッと噴き出して笑い始める。
そしてしばらく笑っていると、遠くからおーい、と声を上げながら雪花達がこちらに来るのが見えた。
気絶している龍姫に肩を貸している龍賢と龍斗も見える。皆が駆け寄って来るのを一瞥すると、龍香は頭についているカノープスに視線を向けて。
「おかえり、カノープス。」
そう言われたカノープスは一瞬ポカンとはするものの、少し照れ臭そうにしながらも返した。
《……あぁ。ただいま、龍香。》







数日後。朝日が昇り、鳥の囀りが聞こえる学校へと続く道を龍香は歩いていた。
「いやー、終わった後もドタバタして大変だったね。」
龍香は頭についている恐竜の頭蓋骨のようなヘアアクセ、カノープスに言うと、カノープスも相槌を打ち。
《あぁ。大変だった。》
キメラザウルスとの決戦後、黒鳥に手を貸して貰い、立ち上がった龍香は力なく笑いながらも皆に勝利した事を告げた。
皆、その事に喜び、安堵の声やよくやった!と激励の言葉もあった。
しばらくそうしているとのじゃロリ猫が言う。
「さて、一頻り終わったところで悪いんじゃが。そこのこちらの世界に迷い込んだ二人を元の世界に返すぞ。」
その言葉にデヴァとシェーンは目を見合わせるが、思い出したようにポンと手を叩く。
「そう言えば僕達こっちの世界に迷いこんじゃってた。」
「……色々あって忘れてた。」
二人の前に立つのじゃロリ猫が指先をクルリと回すと次元が歪み、玉虫色の門のようなものが生成される。
「次元を好き放題弄くり回してたアイツが消えた今徐々に修復へと向かうじゃろ。そうすると次元を越えるのは手間になるからさっさと元の世界へ送る。」
のじゃロリ猫の言葉に二人は門の前に立つ。
「……あの!」
二人がゲートを潜る前に龍香は二人を呼び止める。
「……助けてくれて、ありがとうございました。」
龍香のお礼の言葉に二人はフッと微笑むと。
「いや、僕も世話になった!君達の事は向こうに帰っても忘れないよ!」
「達者でね。」
二人はそう言ってのじゃロリ猫の作ったゲートに消える。
二人がいなくなると同時にゲートも消失してしまう。
「…んじゃあ、解散にしましょうか。」
「うん。私も疲れちゃった。」
「またな龍香、雪花。また学校でー。」
きゅーばん、エフィ、むらサメも各々が背伸びをしたりしてそう言うと帰路に着く。
「きゅーばんちゃん、エフィさん、むらサメちゃんもありがとう。」
「……ありがと。」
龍香だけでなく、雪花も礼を言うと、むらサメはヒラヒラと手を振って。
「おおきに。」
とだけ返してその場を後にした。それを見ていたアルビレオが口を開く。
「じゃあ、そろそろ僕達も元の世界へ戻るのだ。」
「えぇ。とんだ災難にあったわ。」
「あ、私もお仕事があるので帰りまーす。」
アルビレオの言葉に続くようにアルタイルはため息をつき、フルーグはのほほんと言いながら先ほどののじゃロリ猫と同じようピンク色のゲートを作り出す。
「アルビレオ。カノープスを届けてくれて、ありがとう。」
《俺からも礼を言う。助かった。》
「いいや、こっちもアルタイルを助けるのを手伝って貰ってありがとうなのだ。」
「……ふん。この貸しはいずれ返すわ。」
アルタイルはそうぶっきらぼうに言うとアルビレオと共にゲートに消える。
「君のおかげで助かった。感謝するよ。」
黒鳥がそう礼をするとフルーグはふふと微笑んで。
「いえいえ。こちらも仕事でしたのでー。あ、私KOHHいうところで働いていますのでよろしかったら是非ー。」
そう言って黒鳥に何やら名刺のようなものを渡すと、フルーグは手を振ってゲートの中へと消えていった。
渡された名刺にある店の住所には“オウマがトキ”と書いてあり、黒鳥は苦笑いして。
「……行き方分からないけど。」
そう言って名刺を懐にしまう。
「……私も、そろそろ時間ね。」
そう言うウリエルの方を振り向くと、彼女の身体は光の粒子となって徐々に消えていく。
「私も帰らせて貰うわ。この世界にいるのには、もう限界みたい。」
「……そうなんだね。」
「アンタに私助けて貰ったからね。もしアンタ困った時は言いなさいよ。私が助けてあげるわ。」
なんて疲弊して月乃助に背負われている雪花が言うと、ウリエルはフフッと笑うと。
「そうかい。まぁ、その時は頼んだよ。」
その言葉を最後にウリエルは光となってその場を去った。
「……さて、我々も帰るか。」
「この子達も家に帰さないとな。」
月乃助の言葉に残された龍香達も帰ろうとした、その時。
「……待ちなさい。」
その言葉に皆が声がした方を振り返る。その声の主は龍斗に肩を貸されている龍姫だった。
彼女に呼び止められた雪花達は少し眉を顰める。
「……何かしら。」
少し刺々しい雰囲気を出しながら赤羽が聞き返す。確かにさっきまで共闘した仲だが、前の世界の因縁を引きずっているのだろう。
龍香達家族以外は皆どこかしら敵意を滲ませている。
「姉さん……。」
「いいわ、離して。」
龍斗から離れると龍姫はよろよろとよろめき、膝をつく。そして彼女はそのまま頭を下げる。
「……ごめんなさい。」
土下座のように頭を下げた彼女と、その言葉に皆は目を丸くする。
「……私のした事が、許して貰えるとは、思わない。けど……せめて、謝らせて欲しい。……ごめんなさい。」
龍姫の謝罪に、謝られた赤羽達は静かに龍姫をジッと見つめる。
龍香が何か言おうとするが、龍賢と龍斗がそれを制する。
一瞬の静寂の後。
「……三丁目の喫茶“ウィーン”のスイーツパーラー。」
「……」
「人数分奢ること。これで手打ちにするぞ。」
月乃助がそう言うと、赤羽達もそっぽを向きつつも了承と言った様子だ。
月乃助の提案に龍姫は頭を下げたまま答える。
「……えぇ。」
「まぁ、今日のところは疲れたので帰る!!また後日連絡するからな!」
「楽しみにしてます。」
「高いの食ってやるから覚悟しときなさい。」
「………。」
そう言って皆は去って行った。
「……慣れない事はするもんじゃないわね。」
龍姫は頭を上げて立ちあがろうとするが、やはり先程までのダメージが深刻だったのかよろめく。
よろめいた彼女を龍斗と龍賢が支える。
「……いいや。立派だったよ姉さん。」
龍斗がそう言う。龍賢もうんうんと相槌を打つ。
「取り敢えず、一旦帰ろうよ。」
「あぁ。休む必要があると思う。」
二人に支えられて、龍姫もその場を去る。去り際龍姫は龍香の方を振り返り、そして一瞥した後また前を向いた。
「お姉ちゃん、整理が着いたのかな。」
《さぁな。》
龍香の問いにカノープスがそう応える。
「……なぁ、私達も帰りましょうよ。」
おずおずと黒衣が龍香に話しかけて来る。龍香もそう言えばそうだと天願を抱えようとしたその時。
「う……ん…」
唸ったかと思うと天願が目を覚ます。黒衣は少し気まずそうにするが、龍香は屈んで起き上がる天願と視線を合わせる。
「大丈夫?天願さん?」
天願に話しかけると、彼女は龍香を見て驚いた表情になり、あたふたと慌て始める。
「ぁ、あの、あ……」
「大丈夫!大丈夫だから落ち着いて?」
慌てる天願を宥め、龍香が落ち着かせると天願は目に涙を溜めてバッと頭を下げる。
「ごめんなさいッ!私の、私のせいで…!皆さんを、傷付けて……!本当に、ごめんなさいっ!」
「私は全然大丈夫だから!皆も無事だし、ね?」
必死に謝る天願を龍香が見ていたその時。
「……あの。」
それを見ていた黒衣が口を開く。彼女の姿を見た天願が彼女の方を向いて頭を下げる。
「ごめんなさい黒衣さん……お友達も……傷つけてしまって…。」
天願が涙ながらに謝る姿を黒衣はバツが悪そうにして、後頭部をかくと。
「……ごめん。」
黒衣も天願に頭を下げて謝罪をする。
「……今まであんたに嫌がらせをしてごめん。もう、絶対に誰にもしない。」
黒衣の言葉はどうやら天願にとって予想外の言葉だったらしく、へ…?と信じられないような声を出す。
だが、それを見た龍香は二人の手を取って。
「じゃあ二人とも謝ったし、仲直りの握手をして、帰ろう?」
龍香に促されるまま黒衣と天願は互いの手を取り、そして気まずそうに笑う。
過去の因縁は決して消える事はない。いきなり仲良し、とはならないだろう。
──だが、それでも二人は前に進むきっかけを得たのだ。
三人は雲もなく真っ青な空の下、帰路へと着くのだった。




「いやー、帰った後も大変だったね。お母さんに今までどこ行ってたの!ってめちゃくちゃ怒られたし。」
《あぁ。何せ兄弟四人が何にも言わずに家を出てたからな。見ていた俺まで怖かったぞ。》
なんて軽口を言い合う。そしてふと、龍香は青空を見上げて言う。
「……でも、何か良かった。皆とまた会えて。」
そんな彼女を見てカノープスはフッと笑うと。
《あぁ。そうだな。また龍香や皆と会えて俺も安心したよ。》
二人して空を見上げながら歩いていると。
「おー。龍香ー。おはよー。」
「よー、紫水。」
声がした方を向くと向こうにこちらを呼んで手を振るかおりと藤正の姿があった。
「かおり!藤正君!」
龍香は二人に手を振りながら駆け出す。
彼女が見上げていた真っ青な空には、七色の虹がかかっていたのだった。







The END

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(続編や派生作品が有れば、なければ項目ごと削除でもおk)

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