【初出】
XIII巻
【解説】
真名は“笑謔の聘”(しょうぎゃくのへい)。
炎の色は常磐色。
頭が隠れる程大きな三角帽、襟を立てた燕尾服という風体をしていた。楽師を自称し、抱えた古風なリュートを爪弾いていた。
“
紅世”の
導きの神“
覚の嘨吟”の
眷属であり、主のために「新たなるもの」を見つけ出し、自ら生贄となって
神意召還を行う役目を持っていた。
この見つけ出すという役目のためか、
自在法『
千里眼』による索敵能力に長けていたようだ。本人は索敵という言葉を嫌い、XIII巻で城塞型
宝具『
星黎殿』へ向かう
シュドナイたちと共に列車に搭乗した際には、「感受性」と言い直すよう要求していた。
正確には生まれながらの眷属ではなく、探知能力に優れ好奇心旺盛な“徒”である彼(と同様の者たち)が
シャヘルから眷属に任命されていたに過ぎなかった。
XX巻の幕間1(
ダンタリオン教授と
ドミノ)、幕間2(
ストラスと
オセ)の会話で、「導きの名を以て他者を誑かし唆す、口先だけの
神」の眷属であると示唆されていた。彼のいる陣営は、後に危機に見舞われたり、後に震源地となるようなことが多いと言われていた。
導きの神の一党に所属しており、いつの間にか『
星黎殿』に居着いていた。
害意も賞賛も受けず、そこにただ在ることを許されていて、何と“
祭礼の蛇”
坂井悠二や
ヘカテーの近くにも普通にいた。
『
大命』第二段階の『
久遠の陥穽』への遠征団にまで、なぜか参加していた。これは、『千里眼』では
両界の狭間を覗くことが出来ないためだったようだ。
『
詣道』踏破には何の役にも立たなかったものの、その最奥部である『
祭殿』にて、“
祭礼の蛇”神体の覚醒と復活を見届けた。
『神門』へ遡る途上、追いついて来た
シャナたちの妨害を“
祭礼の蛇”らが撥ね退けて、“
祭礼の蛇”神体と共に無事にこの世に帰還した。
そして戦場から人知れず退転し、北の山中に歩いてゆく姿が『
星黎殿』直衛軍の兵に目撃されていた。
その後、天山山脈を歩きながら『
千里眼』で
御崎市決戦を見ていたが、周囲の探知が疎かになっていた為に
ミカロユス・キュイが事前に仕掛けていた『
パラシオスの小路』によって捕捉された。そして現れた
フリーダーたちに導きの神の「神託」を依頼されるが、「神託」の特性からその依頼を断り、その理由を説明した。しかし、『千里眼』で『
両界の嗣子』の誕生を探知すると、御崎市決戦終盤と同時期に、導きの神
シャヘルを呼ぶための
神意召還“
嘯飛吟声”の生贄になるという眷属の役目を歓喜しながら果たして死亡した。
【由来・元ネタ】
この世の富と財宝を管理している地獄の宰相ルキフゲ・ロフォカレ(Lucifuge Rofocale)と思われる。禿頭から三本のねじれた角を生やし、夜行性動物のような大きな目、サテュロスのような蹄、尻尾を持つという。
20~50年後に魂をいただくという条件で、召喚者の願いを叶えるという。
「笑謔」とは笑って冗談を言うこと、「聘」は人を呼び招くことである。
真名全体で、「呼び招かれた笑いもの」という意味だと思われる。中世欧州の道化にも似た立場にある彼には、ふさわしい真名と思える。
あるいは「聘」には賢者を招く、贈り物をして人の様子を伺うことも意味するので、「賢者を窺い招く戯言の贈り物」という意味だと思われる。
最終更新:2024年08月24日 05:52