エドワード・エルリック

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エドワード・エルリック - (2018/05/08 (火) 23:55:48) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/06/21(火) 21:58:44
更新日:2023/12/30 Sat 20:23:09
所要時間:約 7 分で読めます





立てよド三流

俺達とおまえとの

格の違いってやつを見せてやる!!!


エドワード・エルリックは荒川弘原作の漫画、鋼の錬金術師の主人公。
アニメでの声優は、2003年版・FA共に朴ロ美。例外として、ドラマCDのVol.1のみ皆川純子が担当している。
実写版の俳優は山田涼介。


【概要】

年齢:15歳(単行本23巻以降は16歳)
12歳で国家錬金術師の資格を取得したことで史上最年少の国家錬金術師となり、『鋼の錬金術師』の二つ名を授けられた。
その経歴から、軍の内部では有名人。

やや荒っぽく感情的だが、基本的にお人よしで困っている人を見かけると放っておけない性格。
様々な修羅場を経験したためか大人びてもおり、思慮深い面も見せる。
錬金術における等価交換が人生の常識と考えていて、なんでも等価交換に置き換えることがある。

史上最年少の国家錬金術師の名は伊達ではなく、冷静な状況判断、異常なまでの集中力、卓越した身体能力と格闘術、応用力に長けた明晰な頭脳、知識とかなりのハイスペック。
四コマでは「最初っからレベル100」「しかも金と権力を持っている」と自分でぶっちゃけている。

しかし身長のみかなり低く、いつも一緒にいるアルフォンス(鎧)がでかいのもあってか、たいていのキャラに『小さい』と言われている。
彼にとってもその身長はコンプレックスで、「チビ」や「豆」などの言葉に過敏に反応しブチギレる。
ただ相手に悪意がない場合や、仲間・友人・女性・子供が言った場合は抑え気味に怒り、悪党や男性に言われたら怒声と共に繰り出される拳も出ない。
なんだかんだで一応自重はできるようである。

二つ名の「鋼」は、国家錬金術師の試験を受けた時点で右腕と左足が機械鎧(オートメイル)の姿であった事が由来。
他の大多数の錬金術師が持つ「得意分野」というものを特に持たず、基本的に何でもこなすオールマイティ。ただ一応は金属関連の練成が比較的得意のようだ。


以下ネタバレ







【本編での足跡】


凄腕の錬金術師ヴァン・ホーエンハイムの息子として生まれ、弟のアルフォンス共々優れた錬金術の才能に恵まれる。
とある事情で父が家を出て行ったために誰に師事することもなかったが、大好きな母・トリシャが喜んでくれることから、家に残された錬金術関係の書物をアルフォンスと共に読み耽り、独学で錬金術を学んでいた。

しかし、トリシャが流行り病で急逝し、寂しさからエドワードは『人体錬成』によってトリシャを甦らせることをアルフォンスと共に志す。
独学での研究に行き詰った時、イズミ・カーティスに出会い、弟子入りを志願。
1か月間無人島に放り込まれたのち、アルと錬金術と体術の修業を重ねる。
帰郷後、かねてから志していた禁忌である人体錬成をアルと共に行う。

しかし錬成は失敗。
練成した母親はまるで人の形をしていなかった一方で、代価以上のものを練成しようとしたリバウンドによってエドは左足を、アルは全身を「持っていかれて」失う。
この時エドは“真理の扉”の向こうから帰還したことで、彼の代名詞である錬成陣なしの手合わせ錬成が出来るようになった。

アルは全身を持っていかれてしまい戻ってこれなかったため、ただ一人取り残される形になったエドは自分の右腕を代価にしてアルの魂のみをかろうじて錬成し、家に置いてあった鎧に定着させた。
手足を失い、人生の目標であった母親練成も失敗し、一時は廃人のように再起不能のような状態に陥るが、ロイ・マスタングに発破をかけられて国家錬金術師を目指すことに。
失った右腕と左足に鋼の義肢、機械鎧を装着し、猛勉強の末に国家錬金術師の資格を取得し『鋼の錬金術師』となる。

それからは目的を「母親の蘇生」ではなく「持っていかれた自分たちの身体を取り戻す事」に切り替え、どんな錬成も行えると言われる賢者の石を求めアルと旅に出る。
旅立つ際は『もう振り返らない』覚悟として自分達の家を燃やした。

そんな中、生体の錬成に詳しい国家錬金術師のショウ・タッカーを紹介される。
膨大な書物を読みふける合間に彼の娘、ニーナとの交流で心を癒すも、後日タッカーの狂気によって彼女は合成獣(キメラ)にされてしまう。
時を同じくして国家錬金術師のみを付けねらって殺害してまわる『傷の男』の出没に巻き込まれる。タッカーもその手にかかり殺害されるが、その時にニーナも「二度と元に戻れないキメラの姿」を哀れまれ殺されている。
その死は2人にとってのトラウマとなり、その後も『救えなかった少女』として度々言及される。


その後、傷の男に破壊された機械鎧の修理のため、リゼンブールに帰郷する途中、かつて賢者の石の研究をしていたというティム・マルコーに出会う。
彼の研究書から賢者の石の正体を知る。なんとその材料は生きた人間だった。
事実に絶望する兄弟だったが、「真実の奥のさらなる真実」を探るために旅を続ける。


リゼンブールで母の墓前に佇むホーエンハイムと再会。
感情に任せ、意地を張って彼を拒絶するが、その後のピナコとの会話を聞く中で「あの時錬成したのは本当にトリシャだったのか」という疑問に至り、
その時錬成した「トリシャらしきモノ」を埋葬した場所に向かい、トラウマに苛まれながら掘り起こし、疑問を解消すべくその遺骸を検める。

そして、生前の母と違う色の髪が生えていたことから、エドワードは「あの時錬成したモノはトリシャではなかった」という結論に至る。
そこにあるものを組みかえる錬金術では「ない」ものを作れない。そして死者は「存在しない」。
つまり、死者の人体錬成は絶対に成功しないし、同時に、死者の魂を錬成することもできない。

それは同時に、魂を錬成し、鎧に定着させられたアルフォンスは「死者ではない」ということでもあり、アルの肉体が向こう側で生きているという確証にもなる事実だった。
まだ方法は分からないながらも、元の身体を取り戻す具体的な指針を得られたエルリック兄弟は、決意も新たにセントラルへと戻るのであった。


その後、アメストリス国の成り立ちから人造人間達の計画を知った彼は、それを阻止するために動き始める。
セントラルの地下に赴いて仲間やホーエンハイム、さらにグリード、『傷の男』達と共に『お父様』の居場所に辿り着くも、大量の賢者の石の力で『神』を手に入れんとするお父様の罠に掛り、
イズミ、アル、マスタングと共にアメストリス国の国民全てを賢者の石にするための国土錬成陣を発動させる人柱にされてしまう。

しかし、ホーエンハイムが仕込んで置いたカウンターの反魂の錬成陣が発動。
アメストリスの人々の無事を確認し、大量の賢者の石を失って地上へ逃亡した『お父様』を仲間達に任せ、プライドとの一騎打ちに臨んでこれを撃退。
仲間と合流し、ついに『お父様』と対峙する。

軍も援護に入り怒濤の反撃を繰り広げるが、右腕の機械鎧を破壊され錬金術が使用不能になり、さらに『お父様』に吹き飛ばされた際に崩壊した建物の鉄筋が左腕に刺さり身動きが取れなくなる。
兄の絶体絶命のピンチにアルフォンスがとった行動は――

「勝てよ 兄さん」

アルは、メイの協力を得て、かつて兄が右腕を代償に錬成した自身の魂を代償にすることで、「等価交換」の原則に則り、兄の右腕を錬成したのである。
エドはその事実に一瞬茫然自失となるが、弟の決死の策に報いるべく奮起し、錬金術を用いて自分を賢者の石に錬成しようと近付いてきていた『お父様』を滅多打ちにし、
さらに体術で『お父様』を叩きのめして圧倒。そして、『お父様』の行動を読んだグリードが命懸けで仕掛けた罠で一瞬動きを封じられた『お父様』の身体を拳でぶち抜き、ついに倒し切ることに成功する。

しかし、『お父様』を倒したとて、自身の魂を代償にした錬成を行ったアルが甦るはずはない。
エドはアルを今度こそ取り戻すべく、『鋼の錬金術師、最後の錬成』を行使した。

手始めに自らを人体錬成することで『真理の扉』の前に移動することに成功したエドは、「弟を取り戻す代償に何を差し出すのか」と尋ねる『真理』に、
「代価ならここにあるだろ」と、自身の『真理の扉』を示した。

しかしそれは、「錬金術を行う力を永遠に失う」ことを意味しており、『真理』は「錬金術の使えない、ただの人間に成り下がるか?」と問いかける。
錬金術師であれば躊躇って当然ともいえる真実を告げられるが、エドは全く動じず、晴れやかな笑顔で返答した。


錬金術がなくても、みんながいるさ


正解だ、錬金術師

お前はオレに勝った


持って行け、全てを


なお、原作ではエドの答えに『真理』が満足そうに微笑んだ後に上記のように告げるが、
アニメでは少し描写が異なり、エドの答えを聞いた『真理』はオーバーリアクションで途轍もなく嬉しそうに叫んでいる。

そして、「勝手口」と『真理』が示したアルの『真理の扉』に向かったエドは、その前で座り込んでいたアルに肩を貸し、現実世界に帰還した。
『最後の錬成』は成功に終わり、エドはついに、アルを取り戻すことができたのである。

なお、エドがやったように『真理の扉』を代償にすれば人体錬成で失った身体を誰でも取り返せるかと言えばそうではなく、
この方法で取り返せたのはエド達が二人で人体錬成を行ったことで彼らの「魂の情報」が混線し、お互いの『真理の扉』を共有していたからであり、
自分の『真理の扉』しか存在しない場合、出口を代償としてしまうことになるため、身体を取り返せても現実世界に帰還できないとマスタングは推測している。

ちなみに、『真理』が「すべてを持っていけ」と言っていた通り、エドは望めば人体錬成のリバウンドで「持っていかれた」左足も取り戻すことができたが、
自戒の証とウィンリィへの配慮から敢えて取り戻さず、機械鎧のままにしたという。

アルと共にリゼンブールに帰郷した後は世話になった人々のへお礼参りをしながら2年間穏やかに過ごしていたが、世界の広さをこの目で見たいという思いから再び旅に出ることに。
機械鎧の足では灼熱の砂漠を越えられないので、アルとは逆回りに世界を一周し、シン国で落ち合うという約束をした。

そして出発の日、見送りに来ていた幼馴染みのウィンリィにプロポーズ。


等価交換だ!俺の人生半分やるから、お前の人生半分くれ!




そのお返事は
ほんとバカね。半分どころか全部あげるわよ

なにこのバカップル…!!


ウィンリィに想いを受け止めて貰ったエドは、彼女が大好きな満面の笑顔で旅立っていった。

帰国後、ウィンリィとの間に男女2人の子を授かった。
最大のコンプレックスであった身長もアルやウィンリィを超えるぐらいには伸びている。

ちなみに身長が伸びなかった理由は当初「体に比べて重い機械鎧を使っている」ことにあると推測されており、ウインリィも軽い機械鎧を作るために奮闘していた。
だが真の理由は魂と肉体のアルに無意識にリンクし、彼の肉体の成長分を担っていたからだった。
アルの肉体は真理の扉の前に置き去りにされている状態であり、一切の食事を取っていなかったが、終盤で取り戻されるまで(やせ細っていたものの)肉体的にしっかり生存していた。
体の割に大食いで常に睡眠不足だったのも同じ理由。

錬金術を喪失するというラストは、「他者の命(賢者の石)を利用する解決法は、2人の生き方が許さない」ことと、牛さんが「主人公が得たものは何かから考えていったとき、要らないものがあることに気付いた」ことから決めた。

最後の錬成でエドが支払った本当の対価は「『鋼の錬金術師』というアイデンティティ」であった。


冒頭の「ド三流」の決めゼリフであるが、長い作中で2度しか言っていない。
しかしその2度のうち1度は記念すべき第1話。東部の町リオールで人を集めていた新興宗教のイカサマ教祖・コーネロを殴り倒した時。小悪党とエドの格の差を読者に印象付けた。
そして2度目は最終話。様々な人の協力の元に「お父様」を追い詰め、錬金術による防護壁なども全て退けてお父様の顔を復活した右腕で殴り倒し、お父様を見下ろして言い放った。
2回しか使われていないセリフだが、エドワード・エルリックという人物、ひいては鋼の錬金術師という作品の最初と最後を締めくくったセリフと言っても過言ではないだろう。
ちなみにそれぞれで微妙にセリフが違う。冒頭のものは「お父様」に対して言った時のもので、コーネロに言った時は「降りてこいよド三流 格の違いってやつを見せてやる!!」である。



痛みを伴わない教訓には意味がない

人は何かの犠牲なしに何も得る事などできないのだから

しかしその痛みに耐え、乗り越えた時、人は何者にも負けない強靱な心を手に入れる

そう、鋼のような心を…


追記・修正鋼のような心でお願いします

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