アルフォンス・エルリック

登録日:2011/07/17(日) 23:51:11
更新日:2020/03/14 Sat 16:55:35
所要時間:約 8 分で読めます





人は何かの犠牲なしに

何も得ることはできない

何かを得るためには、

それと同等の代価が必要になる

それが、錬金術における等価交換の原則だ

その頃僕らは、

それが世界の真実だと信じていた



アルフォンス・エルリックは荒川弘原作の漫画、鋼の錬金術師のもう一人の主人公。

声優:釘宮理恵(2003年版・FA共通)/日下ちひろ(ドラマCD Vol.1) / 水石亜飛夢(実写映画版・モーションアクターも兼任)
年齢:14歳(エドとは年子)



エドワード・エルリックの実弟。
穏やかで心優しい少年、怒りっぽく猪突猛進型の兄を宥めフォローするストッパー的役割を担う。
が、時には自分の正しいと思ったことを頑なに主張する芯の強い一面も持つ。案外兄より世渡り上手なのかもしれない。
一人称は『ボク』愛称は『アル』
容姿は後ろを刈り上げた短髪、髪と瞳の色は兄と同じく父譲りの金。面差しは母親を色濃く受け継ぐ。

本編ではその“元”の姿より“仮”の姿である鎧の大男のイメージが強い。


【概要】
大陸歴1900年、イシュヴァール内乱勃発の前年にヴァン・ホーエンハイムとトリシャ・エルリックの次男として田舎町リゼンブールに誕生。
ほどなくして父親が家を出て母子三人暮らしとなるもピナコやその孫娘のウィンリィの支えもあり平穏に暮らしていた。

母が流行り病で他界するまでは…。

兄と共に大好きな母を甦らせる方法を模索し、更に力を付けるため偶然村にやってきたイズミ・カーティスに弟子入りを志願。
ヨック島でのサバイバルを経て『一は全、全は一』の理を身を持って学び厳しい修行にも耐えた。

その後故郷へ帰還、ついに禁忌“人体錬成”を兄と共に実行してしまう。
しかし、錬成は失敗。出来たのは母の紛い物、失ったものは兄の左足と自分の肉体という、あまりにも大きな代償を払う結果に終わる。
兄の決死の錬成により、父のコレクションの鎧に血印を描き魂のみこの世に繋ぎ留めることに成功する(その代価にエドは右腕を失う)。

以降、兄弟は失ったものを取り返すため“賢者の石”を探す長い旅に出る。



【能力】
幼い頃から兄と共に父の蔵書から錬金術を独学で学び、前述の通りイズミに師事していたため作中でも腕前はトップクラス。
生身の時期でもエドに喧嘩で負けた事がなく、格闘戦のスキルも高い。
ちなみに、幼少期から兄のエドよりも身長が高かった。

鎧の体になってからは食べない・眠らない等消耗しない利点を生かし防御面でも優秀。
どれだけ攻撃を受けようと、エドが首のあたりに刻んだ血印が傷つかない限り死ぬことはない。
ただバラバラになると全く動けなくなる難点もある。

もっともこれは不死身の体であることを意味しない。
むしろ、かなり強引な術式によって本来定着しない無機物に縛り付けられた不安定な魂であるため、いつ消滅してもおかしくない「時限爆弾付きの体」である。

体が持って行かれた際の記憶を失っていたため錬金術を使う際は普通に錬成陣を描いていたが、「真理の扉」の記憶を取り戻した事で手パン錬成も可能に。
その事でエドが凄く危機感を抱いた。
しかしその存在が真理の扉に近づいたことにより、鎧の体に「タイムリミット」(後述)が迫っていることも知ってしまった。

鎧の巨体から発せられるくぎゅうボイスはある意味凶器。
なお、鎧の中は空という設定から、アルの声は少しくぐもっている方がいいだろうということで、
釘宮理恵は一人だけ別ブース+やや細工したマイクで収録していたことが明かされている。


以下ネタバレ








【本編での足跡】
ニーナの一件でのやりきれない思い、空っぽの身体に募る虚無を抱えながら出会った多くの人々の助けもあり旅を通し大きく成長していく。
そんな中、自分と同じような存在・No.66ことバリー(実写映画版ではショウ・タッカー)に「目に見えない不確かなもの」として偽物の魂ではないかと唆され、それを真に受け兄にきつく当たってしまったことも。
2003年版アニメでは原作以上に情緒不安定となり、(事故とは言え)兄に暴力を振るってしまったり、兄の元から一時的に失踪するという行為にまで発展している。
実写映画版ではタッカーのその言葉が原因で兄とガチ喧嘩に発展する。


ダブリスでグリード一味と対峙した際は自分の中に匿った蛇の合成獣・マーテルが大総統に殺されてしまう。
そのとき、彼女の血がアルの血印に触れたことで失っていた真理を見た記憶を取り戻した。


傷の男に胴体をもぎ取られてしまった自分をかばい命を差し出そうとまでした兄にブチ切れぶん殴ったり、

「バカ兄!!可能性を捨てて死ぬ方を選ぶなんてそんなマネは絶対に許さない!!」

ヒューズの死を受け他の人が犠牲になるくらいなら元の身体なんていらないと言ったり、空っぽの自分を悲観してナーバスになることもしばしば。
が、

「守れたはずの人が死んで行くのを見るのは我慢できない!!」

と、ラストからホークアイを守る漢全開な活躍を見せたこともある。
プライドに触手プレイされた上、身体乗っ取られる他エライ目に遭うことも多いが、
シン国より密入国した姫君メイ・チャンに惚れられたり女の子や女性との関わりは兄より優遇されている模様。

また無類の猫好きで鎧の中には猫様と女の子しか入れない主義。
鎧のゴツイ見た目からアルが『鋼の錬金術師』として認識され豆粒兄貴エドを見てガッカリする流れがお約束と化していた。

その後、改めてリゼンブールの自宅跡に戻り、埋葬されたナニモノカの死体を検めたところ、それはトリシャではないという結論に至る。
トリシャは死んで、既にこの世に存在しない。
そして錬金術では「存在しない」ものは作れない。だから「存在しない」ものである死者の錬成は肉体・魂とも不可能。

それは取りも直さず、アル本来の肉体が扉の前で生きている、という事実の裏付けでもあった。アルが死んでいるならその魂は錬成できないからだ。

困難を乗り越え希望を見い出してきたアルフォンスだが、やがて肉体が魂を引っ張る力が強くなっている違和感に気付き、“タイムリミット”が迫っている事実を知る。

大型猫・ハインケルの助けやヨキのヒャッハーにより強敵キンブリーを撃退。
人柱候補として最終決戦に挑む中、ついに扉の向こうにいる己の身体と出会うが、骨と皮しか残っていないように見えるほどガリガリに痩せ衰えたあんまりな姿に絶句する。
(アルの身体とリンクしていたエドが栄養や睡眠を肩代わりしていてもこれとなると、もしリンクしていなければどうだったか想像もつかない)

これではみんなと闘えないと苦渋の決断の末、鎧の身体で元の世界へ戻る。
だがその背を見送る肉体の方は、その先を見通したかのように呟く。

「気高いボクの魂よ 君の容れ物として誇りに思う」
「―けど…君が戻る事でこの世が絶望に満ちてしまうかもしれないんだよ」
「アルフォンス」




お父様が扉を開くことに成功した後も諦めず兄と一緒に父に力を貸し攻撃防御に尽力。
しかし、右腕の機械鎧が壊れた状態で左腕が瓦礫に突き刺さってしまったエドが、身動きがとれない絶体絶命の状況に陥ってしまう。


アルは、兄を救うため、メイに一つの頼みごとをする。
錬丹術の遠隔錬成を用いて、自分の魂を代価に兄の右腕を戻すための“道”を作って欲しいと。


かつてエドは、右腕を対価にアルの魂を引きずり出して錬成・定着した。
錬金術の原則は等価交換。ならば、自身の魂を対価にエドの右腕を再生できるはずだ、と。


「勝てよ 兄さん」




「――-もういいのかい?」
「うん あとは兄さんを信じる」




【その後】
お父様にエドワードたちが勝利した後、真理の扉の前で兄を待っていたアルは、
“最後の錬成”をして迎えに来てくれた兄に肩を貸され、念願の生身の「アルフォンス」の姿で、メイたちと再会を果たす。

全てを終えた兄弟は『10もらったら自分の1を上乗せして11にして次の人へ渡す』、等価交換に変わる新しい法則を胸に世界を見るため旅立つ。
アルはその足かがりに、合成獣の姿を捨てて元の姿に戻ることを望むジェルソ、ザンパノと共に、シンで錬丹術を学ぶためメイの元へ向かう。

一方、長い間「アル」として戦ってきた鎧も、セントラルからリゼンブールに戻ってきた。
ウィンリィにこれを残しておかないのかと問われるが、ただ部屋の隅に保管されるだけなら死んでるのと同じだと考えたアルの願いで、機械鎧の部品にされることになった。
が、頭部だけはデンに持ち去られ、野鳥の巣になっている。



【旧アニメ(2003年版)のアルフォンス】
原作通りエドと共に旅をしているが、原作に比べて性格の穏やかさが強調され、人体錬成をする際もあまり乗り気ではなく、エドに付き従うように行っていた。
それを強調するためか、生身の姿も原作とは違い、髪と目が原作の姿より少し茶色がかかった、母のトリシャにより近い容姿になっている。

物語終盤でキンブリーに爆弾として錬成させられ、それを防ぐためにスカ―から再錬成させられた結果、鎧が賢者の石と化してしまい、ホムンクルスに狙われる羽目になってしまう。
最終的に、エンヴィーに瀕死の重傷を負わされたエドを助けるために自分の身体である賢者の石を消費して、エドの魂を取り戻した。
そして、エドは自らの肉体を代価にしてアルの肉体を取り戻すことに成功するが、エドを失った上に鎧であった頃の記憶を失ってしまう。

劇場版「シャンバラを征く者」では、兄が着ていた赤いコートと同じものを身に纏い、髪も三つ編みにしているなど、意図的にかエドに近い風貌に成長していた。
「真理の扉」を通って「現実世界」に飛ばされた兄を追うアルと、「錬金術世界」に戻る術を探すエド。二人の兄弟は再会できるのか――。






「あんたが噂の追記・修正錬金術師!!」
「なるほど! こんな編集ができるから二つ名が“追記・修正”なのか!」

「あの、ボクじゃなくて…」

「まさか…あっちのちっこいのが?」


「誰が豆つぶドちびか―――ッ!!!」

「ニーサン落ち着いて!」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/