JINKI:EXTEND(アニメ版)

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JINKI:EXTEND(アニメ版) - (2019/06/21 (金) 13:10:34) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/02/07(日) 08:24:10
更新日:2024/04/01 Mon 18:57:48
所要時間:約 7 分で読めます





綱島志朗の漫画作品『JINKI』シリーズの初代『人機』とその続編『JINKI:EXTEND』を原作としたテレビアニメ作品。2005年1月から3月にかけて放送された。

希少なオリジナルロボット漫画のアニメ化だったが、あまりにも意味不明な展開で黒歴史になった。

どれくらい意味不明かと言うと、原作を知っていてギリギリ理解できるかどうか。酷い酷くない以前に理解が及ばないという、ある意味凄い作品。

また、OPの構図が『機動戦士ガンダム』のOPと、EDの構図が『マジンガーZ』のEDと同じになっていることでも有名。オマージュなのだろうが、ほぼ完全に同じ構図なので、どちらかと言えばネタである。OP映像はガンダムの曲と差し替えても全く違和感がない。


【黒歴史の理由】
◆尺
本作は1クール全12話構成(+後日談OVA1話)である。
しかし、やる内容は『人機』4巻分と『JINKI:EXTEND』6巻分と多く(EXTENDパートはほぼアニメオリジナル展開だが)、かなり駆け足展開になっている。それでいて深く掘り下げないのに、原作の設定をそのまま使っているため説明不足が多い。
そんなキツキツな状態にも関わらず、なぜか余計なオリジナルエピソードも入っている。
総集編DVDも出ているが、尺を詰めた結果余計に訳が分からない事態に。

◆演出
本作を意味不明にした最大の要因。公式では「EXTEND方式」というらしい。

どのような内容かと言えば、過去編である『人機』と現代編(過去から3年後)である『EXTEND』の話を切り替えながら話が進むというもの。ライダーファンなら『仮面ライダーキバ』の演出を思い出して貰えば分かりやすい。当初は『人機』メインで話が進むが次第に『EXTEND』へと話の比重が移っていく。
……しかしこの演出、切り替わっているのが時間で、二つの物語は過去と現代の話だという説明がない。当然、原作未読では二つの物語がどういう関係なのか分からない。両方に登場する人物の成長具合から推察することも可能かも知れないが、見た目がほとんど変わらないのでかなり厳しい(っていうかほぼ無理)。
また、話が切り替わる度に場面が跳ぶので話が繋がらず、意味不明さに拍車をかけている。こと現代編『EXTEND』に関してはほとんどオリジナルなので、原作ファンでさえ理解するのが難しい。

このため皮肉でもなんでもなく、マジで意味不明になっている。
エロゲーに詳しい人間であれば、『りんかねーしょん☆新撰組っ!』をアニメ化した代物に近い。と言えば分かり易いか。

◆見せ場
尺の短さとややこしい展開ゆえ、ロボットアニメなのに個々の機体に見せ場がほとんどない。
一応原作に登場する機体はほぼ全て登場してはいるが、ほとんど背景なので原作を知らない人はどれがどういう機体なのかさっぱりな状態である。

◆設定改変による弊害
作中に登場するロボット〈人機〉は、一人で操作して力に飲まれるのを防ぐため二人乗りになっているという設定がある。
だが本作ではその設定がないので、主役機のモリビト2号が二人乗りになっている意味がない(他の機体はほとんど一人乗り)。


……とまぁご覧の通りカオスな内容で、評価云々の前に理解すること自体が非常に難しい作品となっている。

原作の『人機』が雑誌の都合でグレー決着になっていたのが、後に『真説』として完結したので、ファンの間では改めてそれをアニメ化して欲しいとの声が挙がっている。


【あらすじ】
『JINKI』シリーズのジンキとEXTENDを参照。

【主な登場人物】
《過去編》
◆津崎青葉
声:折笠富美子
過去編の主人公。ロボットとそのプラモデルが大好きな少女。

◆小河原両兵
声:竹若拓磨
乱暴な性格の青年。原作ではシリーズ通して重要な役割を担う漢だが、本作では原作ほど活躍しない。

◆小河原現太
声:納谷六朗
両兵の父親。原作よりややお茶目。いつの間にか死んでいた。いやマジで。

◆黄坂ルイ
声:田村ゆかり
青葉と競い合うことになる少女。原作エピソードの順序が逆になったせいで自分で言い出した勝負の結果を反古するような形になった。
何故か終盤では語り部化するが、ムック本によると「ルイを主人公にする」という初期構想の名残らしい。

◆黄坂 南
声:鷹森淑乃
ルイの血の繋がらない母親。
過去と現代両方に登場するが、他の両方登場キャラは見た目ほとんど変わらないのに、一人だけ髪型がショートからロングに変わっているため混乱を助長する(原作では髪型の変化に理由があるが、アニメにはない)。

◆黒将
声:浪川大輔
原作のラスボス。色々設定改変されており、悪に染まった理由が原作よりかなりショボい。
原作:彼女を人質に取られ人機で戦闘を強要され、挙げ句彼女は輪姦をされ、しかも怯えて混乱状態になった彼女に拒絶されて人間に絶望する。
アニメ:好きな人にフラれた。
おい待て。
しかも、これだけ大幅に改変して登場したのに、結局戦わないためグレー決着で終わる。

◆広世
声:宮野真守
トウジャの操主を勤めるエロガキ。敵だが青葉に片想い中。銃撃されたり色々酷い目にあう。
原作には兄貴分の勝世というキャラがいるが、こちらは存在抹消されている。


《現代編》
◆柊 赤緒
声:稲村優奈
現代編の主人公……一応。
原作以上の徹底的な非戦主義者であり、戦いを拒絶する。原作では主人公らしく活躍するが、本作では戦いを拒絶しまくるうえにすぐ悪堕ちするため主人公らしい活躍がほとんどない。リレイションでの結末を暗示しているかのようだ
最終的に青葉が主役である。

◆川本さつき
声:野中藍
過去編登場の川本宏の妹。
本作では序盤で戦おうとしない赤緒の変わりに主役機モリビト2号に乗っている。大怪我したりレイプされかけたり、本作でも原作漫画同様一番身体張ってる子。

◆エルニィ立花
声:川上とも子
人機科学者の少女。サッカーが好き。割と空気で設定がほとんど活かされない。

◆メルJ・ヴァネット
声:皆川純子
孤高の女性パイロット。原作における、過去に弟を失った等の設定は本作でもそのまま使われているが、解決しないため消化不良に。
また、原作では仲間入りにかなり時間がかかったが、本作では尺が短いためあっという間に仲間入りする。

◆シバ
声:平松晶子
青葉によく似ている少女。原作よりもお茶目だが、真逆の結末を迎える。

◆カリス・ノウマン、ハマド
声:岩田光央川田紳司
出てきてすぐにやられる。冗談じゃなくマジで。
ハマドに至っては赤緒を拷問中にシバに粛清されるという出オチ要員と化。
リョナシーンだけ律儀に原作再現しなくていい


【登場人機】
◆モリビト2号
二人乗りの理由がなくなったイミフな操作方式の主役機。過去と現代両方の主役機である。
原作『EXTEND』で登場した謎の武装〈クリオネルディバイダー〉(らしき武器)がいつの間にか装備されているが、原作ファンしか気付かない。
ラストで金色スーパーモードになったので、Gガンかよと突っ込まれる。
しかし動く姿はなかなか格好良く見せ場も多く用意されている。流石主役機。

◆トウジャCX
赤いボディの戦闘用人機。原作だと二人乗りだが勝世は抹消されたので広世の一人乗り化。

◆ナナツー
固定武装を何も持たない非戦闘型人機。
OPではガンキャノンのポーズをとっているが、大砲もなにも付いてないので「コイツ何してるの?」状態。
原作と異なり、現代編での出番が大幅に増えた。

◆モリビト1号
黒将が使う白いモリビト。本作ではもう一体真っ黒の1号が登場するが、どういう機体なのかは不明。
白い方はほぼ出番なし。

◆ブロッケン・トウジャ
エルニィが使う機体。サッカーボールを武器に使うユニークな人機だが、空気なのでほとんど使わない。

◆シュナイガー・トウジャ
メルJの機体。原作だと唯一デフォルトで飛行能力を持つレアな人機。空気多数の本作では比較的目立つ方。

◆ナナツー・マイルド&ナナツー・ライト
ルイとさつきが使う機体。最終決戦でようやく参戦したが、特に見せ場があるわけでもない『その他大勢』みたいな扱いで、他の機体に輪をかけて見せ場がない。


【主題歌】
この作品で数少ない評価できる部分(曲だけで)。

OP
『FLY AWAY』UNICORN TABLE
演出が『機動戦士ガンダム』のOP。

ED
『未来とゆう名の答え』angela(『蒼穹のファフナー』でお馴染み)
演出が『マジンガーZ』のED。


なお、『ロボットアニメ大鑑(下巻)』というCDアルバムにOP・ED共に収録され、ブライガーやサスライガーに混じってモリビト2号がジャケットに描かれている。
また、主役の青葉や赤緒を差し置いて、黄坂ルイ(田村ゆかり)のキャラソンアルバムが発売されている。だが、キャラソンのさだめか、良曲と呼べるものは……。

余談だが提供バックは地味に人気。ドラマCDも数点発売されている。


追記と修正


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