機動戦士ガンダム

登録日:2011/10/19 Wed 03:17:09
更新日:2019/09/22 Sun 21:17:36
所要時間:約 11 分で読めます





君は、生き延びることが出来るか――?

機動戦士ガンダム



1979年から80年にテレビ朝日系で放送されたロボットアニメ
ガンダムシリーズ の記念すべき第一作目にして、これまでのロボットアニメの常識を色々とぶち壊した作品。
製作は日本サンライズ(現:サンライズ)、監督は富野由悠季
放送から30年以上たった現在も、日本のアニメ史に燦然と輝く名作であり、現在まで続くシリーズの原点である。



【概要】
それまで「低年齢向け」とされたロボットアニメで「中学生以上のハイターゲット」を念頭に、ストーリーの軸として戦争やサバイバルを据えた作品。
そのため「ヒーロー性」、「勧善懲悪」といった要素の大半を排除し、ロボットは戦闘機や戦車と同じような兵器として扱い、多数の量産機を登場させる等の試みが取られた。
放送当時は視聴率が伸び悩み打ち切りに合うが(それについては後述)、その一方で熱狂的なファンの獲得には成功。
彼らの声を受けて再放送を繰り返した事で人気が出て(同じような作品に宇宙戦艦ヤマトがある)、後にTV版を再編集した劇場版三部作を上映。社会現象にまで発展するという人気の出方をした。(後のエヴァンゲリオンと近い)
ちなみに打ち切りでなかった場合は敵味方関わらず主要人物はほぼ全滅という悲壮なエンディングだったという。黒富野ェ……

放送当初からメディアミックスされていたが、いずれもはっちゃけていることで有名。



【ストーリー】
U.C.0079――
人類が宇宙に進出し、スペースコロニーで生活するようになって半世紀が過ぎた。

地球から最も遠いコロニー・サイド3が『ジオン公国』を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を仕掛けた。地球連邦軍の物量攻勢に対して、ジオン軍は新兵器モビルスーツを投入。戦局は泥沼化していった。

サイド7に住む少年アムロ・レイは、ジオン軍の襲撃に巻き込まれ、偶然にもガンダムのパイロットとしてジオン軍のザクと交戦。二機のザクを撃破し、そのままガンダムのパイロットとして、ホワイトベースに乗艦。ジオン軍との戦いに巻き込まれていく。



【登場人物】

◆地球連邦軍

アムロ・レイ(cv:古谷徹)
ご存知日本で最も有名なアニメキャラの一人。引きこもりのヲタ系少年というキャラだったが、幾多の強敵との戦いを通して成長し、やがて一人前の戦士となった。
マスコットロボット「ハロ」を自作したり、説明書読んだだけでガンダム動かせたり、途中からガンダムがアムロに着いていけなくなったり、さらに外伝作品は事実上専用機であるガンダムNT-1を開発してもらったりと、かなりのチート。
後の地上波作品と異なり、単純な機体スペックが最終的に敵の量産機にすら劣っていたりするが、反応が追いつきさえすればエースを相手にしても性能差を感じさせないくらい圧倒的。
ランバ・ラル戦前くらいから既に手の付けられない腕前になっているが(シャアでも犠牲を払いながら逃げるだけで精いっぱい)、流石に矢継ぎ早に出る新兵器の数々にはピンチになることも。特にビグロ


ブライト・ノア(cv:鈴置洋孝)
アニメ史上最も気苦労が絶えない19歳。士官学校上がりで19歳にして少尉というバリバリのエリートさん。
パオロ艦長の後を継ぎ民間人と素人ばかりのホワイトベースを率いて戦う。部下のクルーとの軋轢も多く、アムロやカイなど彼の下で戦うこと不満に思う者も少なくなかったが、数々の戦いや仲間の死を経て彼自身も成長し、一年戦争を闘い抜いた。
またカムラン、スレッガーというライバルを制してミライをゲットした漢。後のシリーズでも主要なポジションで登場。


◇セイラ・マス(cv:井上瑤)
金髪美少女で立ち位置的にはヒロイン。実はシャアの妹。軟弱者には容赦しない。Gファイター(劇場版ではコア・ブースター)に乗って出撃する強い人。
幸薄い身の上だがシャアが兄というのがある意味一番不幸。更に妹のためとは言えシャアからKYな金塊渡しを喰らって無駄に疑念を抱かれたりも。


◇フラウ・ボゥ(cv:鵜飼るみ子)
アムロのお隣さん。戦争前はお姉さん的にアムロの世話を焼いていたが、段々と遠い存在になっていく彼に戸惑う。


◇ミライ・ヤシマ(cv:白石冬美)
ホワイトベースのお袋さん(笑)古風で真面目なイメージだが、劇中三人も男を替えている色々な意味で包容力のありすぎる女性。
作中の目の小ささは異様。


◇リュウ・ホセイ(cv:飯塚昭三)
頼れる先輩兼デブキャラ。メタ的には皆の成長と結束を促す為に中盤で戦死。


ハヤト・コバヤシ(cv:鈴木清信)
アムロにライバル心を抱くえなりかずき。
リュウと共にガンタンクを駆る。機体がないので宇宙でもガンタンクで出撃する漢でもある。7年後はメタボ化&妻子持ち。


◇カイ・シデン(cv:古川登志夫)
軟弱者!で皮肉屋で気分屋。ガンキャノンを駆る。
戦いに嫌気がさし一度はホワイトベースから離脱するが、ミハルとの出会いと別れを経て大きく成長する。
何となくハヤトより強いイメージを持たれている。


◇カツ、レツ、キッカ
サイド7で親を無くし、最後までホワイトベースに留まった戦災孤児。フラゥになついている。
7年後のカツに関しては……カミーユの犠牲になったのだ…?


マチルダ・アジャン(cv:戸田恵子)
地球連邦軍補給部隊中尉。アムロやカイの憧れの大人の女性だったが……。
約30年後ドラマ「電車男」にゲスト出演していた。


◇スレッガー・ロウ(cv:玄田哲章、劇場版:井上真樹夫)
「悲しいけど、これが戦争なのよね」
補充パイロットとしてホワイトベースに加わったプロの軍人。リュウに替わる兄貴キャラ。
という事は・・・

「指輪を頼むよ、ミライ少尉!」


レビル将軍(cv:池田勝、劇場版:村松康雄) 
地球連邦軍大将。ホワイトベースに目をかけている。戦争終盤、ギレンのソーラ・レイによって殺害される。
彼が生き残っていたら、戦後の連邦軍の腐敗は食い止められていただろうと良く言われる程の名将だが、これらはほぼ後付け設定である。
しかし開戦当初に大将として捕虜になったのに、何故か脱走出来てすぐ戦場に舞い戻っている設定は原作からある辺りは凄いおGちゃん。
(脱走の経緯は後発作品でもあれやこれやと描かれていてはっきりしない)
ジ・オリジンでは萌えキャラ。

「そうか…辛いのだな、ジオンも…」



◆ジオン軍

シャア・アズナブル(cv:池田秀一)
説明不要の赤い彗星。自分より年下の女の子に母性愛を求めたり、真っ赤な軍服にマント、変な仮面という奇抜なスタイルで「御覧の通り軍人だ」とか言っちゃう危ない人。
シスコンと手遅れなマザコンは元からだが、本作の影響でアムロコンプレックスにも目覚めてしまった。ロリコンはまだかもしれない。
素顔や声などがかっこいいし人気もあるのだが、性格は何気にとてもあくどい。
速さ以外にも色々なモノが通常の三倍。カリスマ性と実力を兼ね備えている……はず。
後発作品で彼の残留思念やらクローンやら何故か彼の意思を継ぐなどの要素があるだけで、ほぼ惨劇に繋がる大きすぎる影響力を持つのは不幸。


ランバ・ラル(cv:広瀬正志)
青の巨星。ゲリラ戦法を得意とする戦争屋。アムロに漢の生きざまを見せつけた戦士。ザクとは違うのだよ、ザクとは。
男らしい愛機や奥さん共々人気がある。


マ・クベ(cv:塩沢兼人)
後付けではロマン機ギャンを次期主力に推薦していたりする変態。キシリア様LOVEを貫き、彼女に良い壺を送った。
水爆で脅すも後が無くなったので実際に撃つような卑劣過ぎる手を容赦なく使うガチ悪役だが、詰めが甘いだけで戦術眼も補給線の重要性なども認識していたりする辺りは本作の中では貴重な人物。
策略によりギャンでの白兵戦に持ち込むことで後半のアムロとガンダムに善戦する凄いことをしているが、最後はあっけなく死んだ。
意外と出番があったことと印象的過ぎるせいか、後発作品ではキャラクター性を維持しつつも美化されていることが多い。


ガルマ・ザビ(cv:森功至)
ザビ家の三男。シャアとは学生時代からの友人。キザったらしいナルシスト。だが運動は苦手。
女性のために功を焦り、最後はシャアに謀られて死んで、死んだ後まで馬鹿にされた(いい奴だったので以後はすっきりしない気持ちになっているけど)。
本編ではカトンボの様な専用カラーの戦闘機ドップに乗っている。流石にそこは誰か止めるべきでは?
一応指揮官が前線に出る問題を除くと悪手ではないが、相手がアムロとガンダムだったのが悪かった…。
もっと言えばホワイトベースが自分の占領地区に事故で降りてきたのが運の尽きだった。
唯一ザビ家で青臭い人物だからか、彼だけは父も気にかけていた。障害と見なされていないからか他の家族とも仲は悪くなさげ。


ギレン・ザビ(cv:田中崇=現:銀河万丈)
ザビ家長男。一年戦争において本当に倒すべき敵。冷徹非道で地球人も宇宙に出た民も自らの父も全て手にかけることを躊躇しない本作最大級にアレな人物。
選民思想と偽りの愛国心でジオン・ズム・ダイクンの意思をねじ曲げ、国民を戦争へと駆り立てた。IQ200を超える天才。
作中でのジオン内最大派閥だと思われ、ギレン派で彼の主張に近いエギーユ・デラーズはマジキチのおじさんになっているように影響力もやばい。
ラスボスでありながら、一度も主人公と顔を合わせることなく退場するハメになった打ち切りの犠牲者でもある。
彼のおかげでジオン公国のモデルが変わった


◇キシリア・ザビ(cv:小山芙美)
ザビ家長女で冷徹な性格をしていると目されている。兄ギレンとは同じく政治に力を入れていて別の派閥として激しく敵対関係にある。
対してドズルとは内心は不明だが個人間での関係は悪くなく(派閥の争いは別として)、間に合わなかっただけで救援しようとはしていた。
ガルマとも将来の力関係のためにかそれなりによく接していたらしく、保護者的な立場として後方に下げていて、謀をする気もなかった。
確か24歳だったはずだが、気苦労の為か老けて見られるのを気にして、変なマスクを着けている。
政争を繰り広げていることから父からは冷たくされていたり、ガルマを謀殺したシャアを勧誘するためにそれはそれと置いているものの、
ギレンに比べれば情があるらしくガルマの死の時は家族の和を取りなそうとしたり、父を殺したギレンの言質を取った後は静かに怒り即射殺したりしている。
善人とは言えないからか、目をかけてやったシャアに実にあっさりと暗殺されたかわいそうな犠牲者でもある。
ギレンが余りにもやばすぎるのでバランスを取るためか、後発作品ではより酷い悪役として描かれやすいあたりもかわいそうな犠牲者である。


◇ドズル・ザビ(cv:長堀忠夫=故・郷里大輔、劇場版:玄田哲章)
ザビ家次男(三男説も)。見た目は典型的な粗野で力押しタイプの悪役幹部の様だが、実態は弟や部下を気遣う武人。
政治嫌いなのかそこらは兄達に任せているが、軍内では彼の派閥が出来ているためジオン軍が深刻に分裂している要因にはなっている。
いくつか名言を残しているが、ビグザムを量産など出来ないし出来ても自身の発言通り物量の差で負けるだろとか言われている。
後発作品ではよく美化されて高潔な感じになっているが、
主人公であるアムロの反応やガルマと違って他の兄妹と同じく父から疎まれている場面を見るからに恐らく原作では戦争屋の色が強い。
娘「ミネバ」の16年後は外見は美人の母に似ていて父の様に芯が強い。…本当に良かった。


ララァ・スン(cv:潘 恵子)
やたらと貧乏臭い出で立ちのニュータイプの少女。
アムロとシャアの両方を惹き付けて、トラウマを植え付けてしまった魔性の女。14年後に出てきた時に永遠に貴方達二人の間にいたいとか抜かしていた。
原作では明言されないしされるわけもないが、戦災孤児で体を売って生活していたという設定がある。
それを考慮してもシャアに連れていかれたことが幸せだったのか不幸だったのか…よく分からないかわいそうな少女でもある。


◇デギン・ソド・ザビ(cv:永井一郎、劇場版:池田勝→柴田秀勝)
ザビ家当主。波平。ジオン・ズム・ダイクンを暗殺し、ジオン公国を乗っ取った、とシャアは思っている。(真偽は不明)
権力争いに明け暮れる子供らを見るのに疲れ果て実は終戦を望んでいた。
ジ・オリジンではむしろ穏健派であった事がとても強調されていた。



【余談】
…とまあ所謂リアル系ロボットアニメの元祖にして名作ではあるのだが、この頃はスーパー系リアル系なんて区別があるはずもない。
そもそもスーパー系、リアル系の概念はスパロボでヒュッケバインとグルンガストを区別するために生まれたもの。なるべく使わないように。
熱血主題歌「翔べ!ガンダム」、マジンガーZに習った18mというガンダムの身長、マシンガンの攻撃を受け付けない本体の装甲と「戦艦の主砲並」と評される直撃さえすれば必殺の火力でザクを倒す序盤のガンダム、(中盤以降)毎週のように登場する個性的すぎるジオンの敵モビルスーツ、どう見ても悪の幹部なザビ家の皆さん、ニュータイプというある種の超能力者の存在等、リアルロボットアニメの元祖でありながら、戦争を題材にしたスーパーロボットアニメとしての一面も併せ持っている。
また巨大ロボットが実用化されているという設定に説得力を持たせるために、他のメカは現実とはかけ離れたデザインになっている。これは現代よりも科学技術が進んだ未来を表すためである。

本作が送り出されたのには、「宇宙戦艦ヤマト」「ルパン三世」などによりアニメが「子供番組」以上に発展しつつあったことと、それを受けてサンライズが「対象を中学生以上に絞り、熱狂的なファンを30万から40万獲得できれば勝てる」と試算したことがある。

漫画家の青山剛昌は本作の大ファンであり、『名探偵コナン』にも本作の登場人物をモチーフにした人物が登場する。



打ち切りについて】
よく視聴率が低かった為と言われるが初回の放送は平均20%台でそんなに悪くないと言うよりむしろ高い方。
90年代末から00年代あたりに名古屋テレビは「初回の視聴率は名古屋では9%、関東では5%」としていた。*1
メインターゲットの低年齢層の視聴率が低かった(平均5%台)が放送局は「積極的に打ち切りを考えるほどではなかった」らしい。
まあこの辺は「中学生向け」というサンライズの意図では「スポンサーが集まり辛い」ので結局従来通りの「低年齢層向け」ロボットアニメという体裁をとっていたせいでもあるのだが……

でもって玩具展開が「低年齢層向け」を受けたラインナップゆえ売り上げ不振に見舞われ、最終的に「年明けに新しいアニメ(後のトライダーG7)を出し、春休み商戦に新作で臨む」ということとなり、こちらが打ち切りに繋がったとされる。
ただしそのスポンサーことクローバーが80年代に潰れた事とそのクローバーの業界内の立ち位置などから、玩具周りの動向は証言の裏付けが乏しかったりするのは内緒だ

最もその一方で作画監督の安彦良和が途中で病というか過労で倒れ、TVシリーズ後半を離脱せざるを得なかったことからも察せられるように制作現場はかなりハードだったらしく、打ち切られずとも予定された52話の完走が可能だったかどうかはまた別の話。

当初の52話分の構想について、富野がそれを記した「トミノメモ」と呼ばれるものが存在している。
『機動戦士ガンダム 記録全集5』などで、打ち切りによって変更された部分を読むことができる。
また、これに書かれたMSの名前などの中には、後に続編やモビルスーツバリエーションの中で用いられたものもある。


また、本作で主役を演じた古谷徹氏は後に本作の後番組「無敵ロボ トライダーG7」で主役を演じた間嶋里美女史と結婚している。


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