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SCP-1548/Von Pincier - (2020/12/22 (火) 13:55:19) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2016/10/31 Mon 01:00:04
更新日:2024/04/24 Wed 22:10:31
所要時間:約 3 分で読めます





SCP-1548はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト (SCiP) のひとつであった。
現在は削除済みであり、「The Star, the Hateful」のタイトルで新たな記事が投稿されている。

オブジェクトクラスはEuclid改めKeter。

項目名は『The Hateful Star』。日本語名は『きらいきらい星』。
正直この項目の翻訳のセンスには脱帽せざるを得ない。


概要

SCP-1548とは、簡単に言えば「パルサー」。パルサーというのは超新星爆発後に残る中性子星であり、
それから常に電磁波がでているという天体である。…という説明はアニヲタだったら知ってそうなのでこのくらいで。

かに星雲にある、とあるパルサーを、財団が呼称する際はこう呼んでいる。

さてこのパルサー、普通のパルサーと違う点がひとつある。
それは「このパルサーが明確に意思を持っており、しかも太陽系を目指して飛んできている」という点。

当初はこの性質は知られていなかったが、後に財団エージェントになる天文学者*1が、1942年に電波望遠鏡で観測をした際に「ロシア語のモールス信号」をパルスで送りながら太陽系を目指していることが判明した。

「我ハ目覚メタ/全テガ分カル/マダ足リヌ」

そしてパルサー自体の速度も上昇し、1952年にはなんと0.85c(光速の0.85倍)というスピードで向かっていることがわかった。
このパルサーは「逃サヌ」「死アルノミ」と大変敵対的なメッセージを送っていたのだが、当初の分類はEuclidだった。
これはおそらく、「向かってきてもここまでたどり着くのに5700年程度かかるのでそれまでにゆっくり対策を考えればいい」という感じだったんだろう。

が、こいつは未知の手段で更に加速しており、更に送るメッセージも異様に理路整然としたものになった。

「我ハ今マサニ記憶シタ:全テノSCP保安施設ノ位置ヲ。ソシテO5ノ個人情報モ手ノ内ニ有ル。」

なんとこいつ、観測した対象を把握し、それに応じた脅迫文句を送りつけてくるようになったのである。
しかも情報をパルスで送る都合上、「少し前に予測してないと正しく観測者を脅迫できない*2」ことから、
未知の手段で未来予知をしている可能性まで指摘されはじめた。宇宙ヤバイ。しかも、

補遺SCP-1548-C:
11/4/2003に起きた巨大な太陽面爆発の後、サーク島の施設は下記のメッセージを受信しました。
"次ハ諸君ラノチッポケナ世界ダ。"
この時点から、太陽に関する重大な事象が起こるたびに類似のメッセージが受信されています。

…あれこいつ破壊能力までもってねえか?
最終的に「ここに到達するまで5700年とかどうでもいい、あいつは全てを知りすぎている」という理由からKeterに再分類。
相当未来とは言え、地球が確実に攻撃される日が今も近づいているのだ…。


Tale

…とここまでビビってもらったところでひとつTaleを。
TaleとはSCPにまつわる公式二次創作のようなもので、
このおっそろしいKeter級実体にもそういう小説がある。

しかも書いた人がVon Pincier氏、つまり上述のSCP項目を書き上げた人である。
タイトルは『5700 Years Later』、日本語訳『5700年後』。

観察されなくなったのはいつ頃だろうか、あの憎むべき星にはわからなくなっていた。
率直に言えば、本当に、どうでもいいことだった。
シカトを決めれるもんならやってみろ。沈黙の網で、「封じ込め」てみるがいい。それでも、終わりがやってくれば、何の役にも立たない。
そして、遂に、終わりはやってきた。

どうやら人類たちは、このおっそろしいパルサーを観察することをやめてしまったようだ。
もう完全に手も足も出ないと放棄してさしずめSCP-2317のように隠蔽を図ったのか。
しかしパルサーはいずれやってきて壊しにくる。

あの星はゆったりと、かつ粗雑に冥王星をバラバラにしてみて、驚天動地した。地球に人は、既に住んでいなかったのだ。最近は確認するのも煩わしくなっていたが、以前そこには人がいた。

あっという間に星を破壊できる能力があったことにも驚きだが、それ以前に地球上に人がいなかった。
読者の頭の中にはK-クラスシナリオが頭をよぎった人もいるだろう。およそ5700年経っているのだ。
パルサーが来る前に他のオブジェクトで終わりが来てもおかしくはない。

パルサーは地球を見た。『SCP-354 - The Red Pool(レッド・プール)』はいまやマダカスカルなみのでかさまで肥大して化物を生み出し続ける。
そしてオーストラリア…だった砂漠をのそのそとクソトカゲが歩きまわり*3
どこかの財団施設をあのSCP-173がウロウロしている*4。そしてアベルの石棺のよこには『We're cool now』とメッセージが。
他のSCiPも全て地球上に解き放たれていた。パルサーはSCPたちのカップリングパーティーに完全に出遅れてしまっていたのである。
…ってことはケーキはどうなったんだろう?

なんだこの地球。
もう既に人類オワタじゃないか…と思うだろうがまだ続きがある。

ひとつは『We're cool now』。

そしてパルサーは太平洋のあたりにもうひとつメッセージを見つける。



”アインシュタインは間違っていた。捕まえられるもんなら捕まえてみろ。”

人類はいまや、スペース・ワープ航法を開発し確かに逃げ切っていたのである。
不要なSCiPを全て、空っぽの地球に置き去りにして。



+ もう少しだけ続くんじゃよ
さて、上でひとつの終わりでもいいのだが(元のTaleでもそこで終わりだし)
読者の中には「いや流石にこのチートパルサーがそこで終わるわけねえだろ」って思うだろう。

というか、このチートパルサー自身、「そうか、お前らスタートダッシュ切ったな、だがそれはハンデに過ぎねえよ」と発言している。

が、最終的にパルサーはこの追跡を諦めている。より正確に言えばある理由からそれどころではなくなった。
それはなぜか? 続きは下のリンクから原文を読んでください。

+ 原文は読みましたか?
…そう、まさかの同族。あるいはきらいきらい星きらい星とでも言うべきか。

人類たちは、同族を長い旅の果てに見つけており、その同族に「こういうストーカーに追われてるんすよ」とチクったのだろう。
あるいは、同族もこいつと同じような能力を有しているのだとしたら、地球を見ただけで同族が失敬なことをやらかしていることに気付いたのだろう。

そして――そいつはこのチートパルサーより更に速かった。


「弱イ者苛メハ卑怯ダ。」


面白いのが上述した通り、このチートパルサーを扱き下ろすような内容のTaleを、よりにもよって元のチートパルサーを書いたご本人が執筆したことである。

更に、なんとこのチートパルサーをやはりご本人自らがパロディにしたジョーク記事『SCP-1548-CU - The Lovable Star(きゅんきゅんすたー)』が存在する。
こちらはパルサーではなくなんと可愛い犬。
オブジェクトクラスはかわいらしい改め「差し迫ってかわいらしい」。なんだそのオブジェクトクラスは。

ただし…ご本人が盛大にパロっていない限り、ぶっちゃけ「恐ろしい」なにかでしかないことは言うまでもなく、
Keterの中でも「財団が一応でも収容ができてない」という面では凶悪度は高い。
そもそもなぜロシア語が使えるのか、なぜ地球人類にそこまで敵対的なのか。
なぜ未来予知ができるのか。なぜそんな移動能力と破壊能力まで持っているのか。


…Taleではなんとか逃げきれているけど実際のところ(同族がいる保証もないし)こいつから完全に逃げる方法なんてあるのか?






SCP-1548 - The Hateful Star
by Von Pincier
http://www.scp-wiki.net/scp-1548(削除)
http://ja.scp-wiki.net/deleted:scp-1548(保管)


SCP-1548-CU - The Lovable Star
by Von Pincier
http://www.scp-wiki.net/scp-1548-cu(削除)
http://ja.scp-wiki.net/deleted:scp-1548-cu(保管)

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