もしもボックス

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もしもボックス - (2020/12/02 (水) 21:24:54) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2018/04/08 Sun 10:17:28
更新日:2024/04/02 Tue 05:41:53
所要時間:約 4 分で読めます




もしもボックスとは、『ドラえもん』に搭乗するひみつ道具の一つ。
「タケコプター」「どこでもドア」「タイムマシン」の御三家に次ぐぐらいの登場頻度を誇り、知名度は最も高い部類になる。
「ドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら?」というよくある質問にもスペアポケットの次ぐらいによく名前が上がる。

と、同時に非常に誤解されやすいひみつ道具の筆頭ともいえる。


概要

電話ボックスの形をしたひみつ道具。
昨今は電話ボックスも絶滅しかけているが、このひみつ道具は一貫してレトロな旧式電話ボックスの形を貫いている。

ドラえもん曰く、「一種の実験装置」。

細かなマイナーチェンジが繰り返されているが、
現在の公式デザインは「赤いボディにベージュの内装、緑の電話機で頂部は半円形、時計型の飾りが付いている」である模様。
ドラミが持っているものは花柄になっている。

その使い方はいたってシンプル。
中に入って「もしも○○だったなら」と言うだけ。
ジリリリとベルが鳴ると同時に、その○○の願いが実現する万能願望充足型ひみつ道具である。
元に戻す際はその旨をボックスに伝えればいい。
願いを叶えるに当たって特にこれと言ってリスクやコストもかからない、「最強の」ひみつ道具であると言えるだろう。














……というのは、である。

本当は、
「元々存在している、使用者の願望に最も近いパラレルワールドに使用者を移動させる」*1
もしくは
「使用者の願望に沿ったパラレルワールドを作り出し、そこに使用者を移動させる」*2
装置。
いずれにせよ、もしもボックスとは 世界を改変する道具ではなく、使用者の願望が実現している世界に行く道具 なのである。
よく「もしもボックスを使えばどんなトラブルも解決じゃね?」と言われるが、
実際の所「単にその問題が存在しないパラレルワールドに行っているだけ」なので実は何も解決していない。

例えば、「もしも世界が滅びたら」と願ったとしても、使用者が地球の存在しないパラレルワールドに放り込まれるだけで、元の世界には何の影響もない。
顕著な例が「魔界大冒険」。単に「世界を思うが儘に作り変える」なら、ドラミが新しいもしもボックスを持ってきた時点で本当に「おわり」だったはずである。
だが、それでは「魔法のある世界」の方の問題が解決しないためにその後の冒険が起きたのだ。
もし世界が滅亡する危機がある時にもしもボックスで解決しようとしても、それは実際には「逃避」でしかないのだ。

また、ひみつ道具にはしばしば見られるが、「言外の意図」までは汲んでくれない。
例えば「お金のいらない世界」に行けば、「お金を持っていれば持っているほど貧乏になる世界」だったり。
そのため、「思った通りの世界に行きたい」と思っても意外と使用難易度は高いと言える。
実際作中でのび太が使っているのも意外と地味な目的のものが多い。
「魔界大冒険」のような無茶苦茶な「もしも」を叶えると、それだけ反動もデカいのかもしれない。

ただし、短編によっては、本当に「ただ願いを叶えるだけ」の道具として描写されることもある。
原作エピソードで例を挙げるなら「ためしにさようなら」「かがみのない世界」等が該当する。
深く考えはじめると、願い事によっては、パラレルワールドと想定すると
そもそも社会や文化が大きく変化していてもおかしくないことも(鏡がない世界だったり音がない世界*3など)。
このあたりの設定は正直あいまいだったりするので、素直に作品ごとに違うと考えても良いだろう。

ちなみにこのひみつ道具は、登場回数の多さにも関わらず、少なくとも原作では、ドラえもんとのび太以外は誰も使った事がない道具でもある。
レギュラーのスネ夫、ジャイアン、しずかも、この道具の存在自体知らない可能性がある。

ただし、トヨタのCMではジャイ子(演:前田敦子)が使用した例がある他、
大山版ではしずかが使用したり、わさドラではスネ夫が普通に使用を頼んだエピソードがある。

なお、パラレルワールドによっては命の危機にみまわれることもある上、
タイムマシンで使用前に戻ることで現実世界にパラレルワールドの産物をもってくることもできるので結構危険なひみつ道具だったりする。

主な使用例


凧揚げとはねつきがない世界

記念すべき初登場回。超地味である。
この世界では、正月にははねつきも凧揚げもないのである。今時の子供にはどれも無縁な話だが
ちなみにのび太の目的は、「正月の遊びがない世界に遊びを持ち込むことで、初心者相手に無双すること」。あまりにみみっちい。
わさドラではこれに加え独楽もなくなっていた。

お金がいらない世界

この世界は「お金を使わなくても物が買える世界」ではなく、「買い物をするとお金を貰わなければならない世界」である。
むやみに買い物をすると、家にお金がどんどん溜まって置き場に困る事になる。
こんな社会のせいで、給料日には労働者資本家に給料を払い、破産すれば路上で札束を抱えて「一枚でもいいから持ってって」と悲哀を抱え、
お金を捨てようものなら捨てた金額の10倍の罰金を貰わされる
お金が「いらない」の意味をこのように曲解してみせた藤子先生の発想力には感服する。某268話はこの件である

ちなみに大山ドラでは魔女っ子しずちゃん(ドラえもん)でもう一度登場。
銀行強盗を逆にお金をあげる存在へとかえているが上述の通りこれは使用者をパラレルワールドに送る装置なので全く解決にはなっていない

鏡のない世界

かがみのない世界参照。
実験としては、「正月の遊びがつまらない世界」よりも面白そうである。

音が存在しない世界

ジャイアンリサイタル対策に実行したが結果は……
なお、この世界に関しては元に戻した描写がない。
というか、前述の使用方法を考えると、音がない場合に元に戻せるかどうかが不明である。*4
最悪、このエピソードのドラえもんたちは一生……

あやとりがスポーツになっている世界

あやとり世界参照。
のび太が「あやとり無双」するために生み出した世界で、実際目立ったリスクもなく最強になれたのだがあやとりを楽しめないキャラの事を忘れていたせいで……。

のび太のパパがアメリカに転勤する世界

ためしにさようなら参照。
この辺はパラレルワールドなのか曖昧である。

物価が遥かに安い世界

物価が10万分の1になっている世界にお小遣いの1万円を持ち込むのび太がテーマ。
これらの世界の中では比較的のび太の望み通りになっているのだが……

眠るほど褒められる世界

あやとり世界と似た様な発想で誕生したのだが、社会的には危険度が上昇し過ぎていた。
わさドラの「ひるね王選手権」ではこれと似た「昼寝が競技の世界」を作り出しのび太が昼寝の世界大会で世界一になる話がある。
こちらは選手以外は寝たりしないので社会の危険度の上昇はないが……

昼夜が逆転した世界

てんとう虫コミックス未収録のマイナーな話に登場する。わさドラでアニメ化されているが。
人々が昼に眠って夜に生活する世界。
のび太は昼でも学校に行かずに済むと喜んで遊び回ろうとするも、
結局、みんなの生活習慣が正確に12時間逆転しただけで、昼に遊んだら叱られてしまうだけだった。
のび太は意地でも元に戻そうとせず、ラストで「もっとあべこべにする」と言い、
「夜を明るくして昼を暗くし、その昼を夜と呼んで夜を昼と呼ぶ世界」にしたが、結局元通りになったのと同じだった。

スネ夫が貧乏な世界

わさドラオリジナル「豪華!スネ夫の貧乏バースデー」にて、スネ夫が貧乏生活を体験したいと言ってだした世界。
だが、骨川一家はあっさりその生活になれ、自然のままの生活をのび太たちに自慢した。

だれにも叱られない世界

こちらもわさドラオリジナル。夏休みの宿題が終わっていないのび太が説教を回避するために作った世界。
その結果22世紀の時点で「だれかを叱ったら逮捕される」という法律ができてしまい、ドラえもんが「アリガトデス」という牢獄に連行されてしまった。

科学の代わりに魔法が発達している世界

『魔界大冒険』のメイン舞台である。
科学は迷信とされており、劇中に出るものすべてが魔法の産物である。
宇宙でも普通に呼吸が出来、土星の輪に乗ることが出来、月では兎がお餅をついているという魔法以外でも色々メルヘンな世界。
「魔法が使えたら」という望みなのに、魔法は学校で学ぶものであったため、現実世界で落ちこぼれののび太はこの世界でも魔法をほとんど使えなかった*5
「言外の望みは汲まない」ということが如実に表れている。

わさドラ版『新魔界大冒険』では、公開時のテレビスペシャルの連動短編『合言葉はチンカラホイ! 魔法使いのび太』で、魔法世界のドラえもん達が登場。
こちらのドラえもんは四次元ポケットやお馴染みのひみつ道具ではなく、魔法のポケットから魔法道具を出現させてのび太の願いを叶えており、
のび太は魔法が上手くなく、算数ばかりやっていてドラえもんに呆れられたり、
来年からは錬金術の授業もあるのにと心配されたり、授業の使い魔召喚に失敗したり、ドラえもんの魔法道具を使って箒に乗っても失敗したり、
のび太のパパは教習所のじゅうたん実技試験で落ちたりといいことが続かず。

嫌気がさしたのび太は、テレビ番組『科学少女マミ』のような夢溢るる科学のある世界にしたいと考え、
その希望を聞いたドラえもんが魔法道具「もしも箱」で「科学の世界」にしてあげることに。
そうしてラストに、科学(現実)世界のドラえもん達と魔法世界のドラえもん達が入れ替わる演出が行われた。
実はこの話、もしもボックスが「使用者を元々存在しているパラレルワールドへ移動させる道具」であることが明確に描写された唯一の話だったりする。

環境破壊が激化した世界

ゲームブックの『地底大魔王の謎』最終章に登場。
本作は『のび太と竜の騎士』の後日談であり、恐竜世界のマッドサイエンティストであるカルルが「地底大魔王」を名乗り地上を征服しようとする話である。
富士山噴火計画、採油妨害計画とドラえもん達に二度も野望をくじかれたカルルが最後の手段として
盗んだ透明マントを被り昼寝したドラえもんのポケットから掠め取ったもしもボックスでこの世界を作り出した。経緯がセコすぎて涙が出てくる

カルルは「私は地上に悪意など振りまいたつもりはない、地上人のやってきたことをそっくり使わせていただくだけ」と嘯き、
「森の天罰」=熱帯雨林の降水をゼロにする
「オゾンの天罰」=世界中のフロンガスを東京上空に集める
「氷の天罰」=地上全ての排気ガスを南極に集める
という三つの地獄を作り上げた。
これにより熱帯雨林炎上、東京上空にオゾンホール発生、更には南極の氷が溶け始める事態に陥る。
どう考えても人類が出した程度の温室効果ガスでそんなに早く氷が溶けだすとは思えないのだが、子供向けの学習漫画で気にしてはいけない

最早人類滅亡待ったなしと高笑いするカルルであったが、このもしもボックスがレンタルであることは気づかず、それが命取りとなった。

野球とサッカーのルールが一体化した世界

ドラベース ドラえもん超野球外伝』にて、「サッカーこそが世界一のスポーツ」だと豪語するロナえもんが
野球チームの江戸川ドラーズと勝負するために作った世界。
攻撃はバットの他にキックやヘディングが可能。投球は投げかキックで行う。
ライトとレフトにはサッカーゴールがあり、そこにボールが入ると無条件で1点入る。
ロナえもんのカナリア軍団は柔軟に適応していたがドラーズは慣れないルールに苦戦を強いられた。


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