ヘラクレス(ディズニー映画)

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ヘラクレス(ディズニー映画) - (2023/11/25 (土) 22:38:41) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2023/02/04 Sat 21:57:02
更新日:2024/01/06 Sat 19:34:14
所要時間:約 7 分で読めます




『ヘラクレス(原題:Hercules)』は、1997年に公開されたディズニーの長編アニメーション映画。
タイトル通り、ギリシャ神話ヘラクレス伝説をベースにしている……が、大まかなあらすじ以外はほとんど完全に別物になっている。
そのため、「ギリシャ神話入門」としてはあまりオススメはできないが、シンプルな筋書きのアクションアニメーションとしては比較的評価は高い。
逆にガチのギリシャ神話ファンからは割と非難轟々だったようだが。
また、TVシリーズも作られており、1992年に公開された「アラジン」の後日談であることが描かれている。


あらすじ

オリンポスを治める主神ゼウスとヘラの間に待望の息子が生まれる。
ヘラクレスと名付けられ、多くの神々の祝福を受けた子供だったが、冥界の神ハデスの陰謀により、人間界に落とされてしまう。
果たして、ヘラクレスは自分のルーツを探り、「本当の英雄」になることはできるのか…。


登場人物

CVはすべて日本語吹き替え版のもの。

  • ヘラクレス
CV:松岡昌宏(TOKIO)、秋山純(幼少期)、鈴木正和(TVシリーズ)、松本保典(キングダムハーツシリーズ)

主人公。ゼウスとヘラの間に生まれた息子。本作では「アルカイオス」と呼ばれることはなく、生まれたときから「ヘラクレス」という名前である(持っていたメダルに名前が書いてあったので、人間界でもヘラクレス)。親しい人には「ハーク」と呼ばれることも。
ハデスの陰謀で、神としての力の大半を失うが、超人的な身体能力だけは健在。しかし、その力をうまくコントロールすることができず、むしろトラブルばかり起こすため、養父母以外の人間からは嫌われてしまっていた。
力の使い方こそ下手だが、善良で正直者。しかしおっちょこちょいですぐに人を信じる側面もあり、精神的には脆い。良くも悪くもわかりやすい「アメリカンヒーロー」というキャラ付け。
フィルに出会い、ヒーローとして大成していくが、次第に自分のあり方に思い悩むようになり……。

十二の試練については完全に省略されており、ヒュドラ退治以外はほとんど描写されていない*1

テセウスは登場しないが、ちゃっかりライオンの毛皮を被っているシーンはある。なおこのライオン、よく見ると『ライオン・キング』のスカーである。何があった、スカーよ。

  • メガラ(メグ)
CV:工藤静香、松本梨香(キングダムハーツシリーズ)

本作のヒロイン。神話ではテーバイの王クレオーンの娘だが、本作では出自については特に明かされていない。
かつてハデスと取引をしたため、契約に縛られてハデスの部下となっていたが、偶然からヘラクレスに救われ、少しずつ距離を詰めていくことになる。
ディズニーでは割と珍しい悪女系ヒロインだが、根は純粋で善良。

  • ピクロテテス(フィル)
CV:永井一郎
英雄のトレーナーとして名を馳せた名コーチ。女好きでスケベな半分ヤギの小男。アキレスなどの英雄を育て上げたらしいが、皆途中で倒れてしまい、現代は完全に自暴自棄になって引退している。夢は自身の育てたヒーローが星座となり、「見ろ、フィルの弟子だ!」と称賛されること。
天界に戻るために英雄になることを望むヘラクレスに最後の希望を見出し、彼のコーチを務めることになるが……。
口癖は「答え(返事)は二言」だが、一言や三言になってしまう変な癖がある。
とても有能には見えないが、ゼウスが認め、力のコントロールの覚束ないヘラクレスを鍛え上げ、セコンドとして大活躍し、ヒーローのなんたるかを説くなど、その手腕は超一流。

ピクロテテス自身はヘラクレス神話に登場するキャラクターであるが、本作での役割はケイローンのもの。また、本来のピクロテテスは人間だが、サテュロスのデザインになっている。

ヘラクレスの相棒。本作ではメデューサの血からではなく、ゼウスが雲から作り上げた存在。
言葉は喋れないが、頭はよく度々主人の危機を救う。
ギリシャ神話といえばペガサスという発想だろうが、ヘラクレスと全然関係ないじゃんというツッコミは禁止である。

  • ハデス
CV:嶋田久作

本作におけるディズニーヴィラン。原典において一応最後の試練の関係者ではあるが別に悪役というわけではないハデスを黒幕に据えることには賛否両論あったようである。そもそもヘラクレスとあんまり縁がないし……
自身を冥界に押し込めたゼウスを恨んでおり、何とかして彼を蹴落としてオリンポスを支配しようと企んでいる。
運命の三女神の予言「今から十数年後の惑星直列の日にタイタン族を解き放てはゼウスに勝ち、宇宙の支配者になれる。しかしヘラクレスと戦えば100%負ける」により、ヘラクレスを死ぬことのない神から人間にするが、直接戦うと絶対に負けてしまうため様々な手段やモンスターをけしかける。
頭が炎になっており、普段は冷静だが激昂すると燃え上がる。割とすぐに燃え上がる。が、すぐに鎮火する。
悪人ではあるが、基本的にはフェアなゲームを望んでおり、自身の手でヘラクレスを始末したりしようとはせず、間接的に手を下そうとしたり、取引そのものは自分に不利でも公正に行ったりするなど、妙に律儀。

死者の国の王であるが、死者の国にいるのがほとんど魂だけなので、描写されている明確な部下がペインとパニックとメグとペットのケルベロスしかいないという寂しさ。

上述の通り、あまりにも改変度が大きい所為で批判の声も多いこの作品だが、コミカルでウィットに富みながらも狡猾なハデスはディズニーヴィランの中でも非常に人気が高く、『ハウス・オブ・マウス』等様々な番組や企画で引っ張りだこである。
同番組ではなんと『眠れる森の美女』のマレフィセントと恋愛する描写も。

『キングダムハーツ』シリーズでもヴィランズの中ではかなりのコミカルながらかなりの強者として書かれることが多い。
初代では組織のリーダーであるマレフィセントより強い。
『Ⅱ』ではシナリオの都合上楽に倒せるレベルだが、ヘラクレスの助力がなければプレイヤー側は傷一つつけられないなど設定上の強さは保っている。

ディズニーヴィランズの子供達の活躍を描いた海外ドラマ『ディセンダント』の主人公・マルはハデスとマレフィセントの娘である。

ディズニー公式のスマホゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』の登場人物であるイデア・シュラウドはハデスをモデルにしている。

  • ペイン&パニック
CV:フーリューズ・チャップ(ペイン)、フーリューズ・パグ(パニック)

ハデスの部下の小悪魔。ディズニーヴィランにはありがちな頭の足りない部下である。赤いほうがペインで青いほうがパニック。
そもそも彼らがヘラクレスを始末しそこねたのが事の発端。
表向きは忠実だが、横暴なハデスには内心不満を抱いている様子。
変身能力を持ち、演技力も何気に高いなど、この方面では優秀。
ちなみに、ものすごく回りくどいが「パニックの語源は、パン神がテュポーンから逃げる際に変身しそこねたこと」なので、パニックが変身能力を持つこと自体はちゃんとギリシャ神話に則った設定である。

ハデスのペットの凶暴な三頭犬。
原典でのヘラクレスに課せられた十二の試練の最後の相手だったり、『キングダムハーツ』でのボスキャラっぷりの立場からは意外だが、
本作での登場シーンはたったの2回。しかも2度めは登場時点で既にヘラクレスに屈服しているという情けなさでまともな戦闘シーンすらない。
というか『キングダムハーツ』シリーズに登場する際に原作での出番が少なすぎて設定画がなかったため、同シリーズ用に設定画が書き下ろされたらしい。

ハデスがヘラクレスを倒すために差し向けた蛇の怪物。
ケルベロス同様ヘラクレスに課せられた十二の試練の敵であり、『キングダムハーツⅡ』にボスキャラとして登場。
斬れば斬るほど首が無数に増えていく序盤に出てくるには強すぎる難敵。

  • 運命の三女神
ラケシス、クロト、アトロポスの3人姉妹。
後々の創作では美女扱いされることも多い三人だが、残念ながら本作では一つの目玉を共有して取り合う気持ち悪い老婆の集団である。
なお、この特徴は本来ゴルゴンの姉妹とされるグライアイのものである。
人間たちの寿命を管理し、死すべき者の命の糸を切り取る仕事をしている。

外見は100%悪役だが、根本的には「人の死」を管理する存在そのものであり善でも悪でもない。そのため、特に映画内で罰などを受ける描写はない。

  • タイタン族
かつて地上を荒らし回った強大な魔神の一族。ゼウスによって封印されていたが、ハデスに封印を解かれてオリンポスを襲う。が、基本アホの子揃いでありあまり頭が回る方ではない。『キングダムハーツ』ではセリフがないおかげで、むしろ頭の悪さが露呈せずに強大に見えている。
アイスタイタン、ロックタイタン、ラーバタイタン、トルネードタイタンと実に中二心をくすぐる造形をしているが、なぜかサイクロプス(CV:郷里大輔)が混ざっている。タイタンとなんの関係もないだろアンタ。
神話に従えばゼウスの伯父に当たる存在のはずだが、特にその辺りは触れられていない。
『キングダムハーツ』シリーズでもハデス以上の強敵として登場する。ロックタイタンだけ設定倒れだが、こいつは原作からしてそんなに活躍してないので…

  • ゼウス
CV:若山弦蔵
原典と異なり、本作では息子を愛し真っ当に導く非常にマトモな親父である。同じディズニーの『ファンタジア』では完全に悪役だったのに。
ただし冥界の仕事を押しつけていたハデスに対して働き過ぎで心配する一方で「神が過労死か!」と茶化すなど傲慢な性格はある意味原典どおり。

  • ヘラ
CV:池田昌子
ヘラクレスの母親。原典ではヘラクレス最大の宿敵といっても過言ではない存在であったが、今作ではゼウスに比べて影は薄いが、こちらも息子を愛する良き母親である*2
なお、当然ながら、ゼウスの姉妹設定は抹消されている。

  • その他オリンポスの神々
オリンポス十二神は描写されているが、名前が出てくるのは伝令神ヘルメス*3と、ヘパイストスぐらいである。あとは、馬車に乗ったアポロン、半魚人のような姿をしたポセイドン、盃を持ったバッカスらしき姿は確認できるが、いずれもタイタンに速攻でやられてしまっている。

  • ヘラクレスの養父母
メダル以外になんの手がかりもなかったヘラクレスを自分たちの息子として育て上げた善良な人間。
自分のあり方に思い悩むヘラクレスを受け入れ、快く旅へと送り出した人格者である。

  • ミューズたち
本作の狂言回しで、ミュージカル仕立てでヘラクレスの冒険を視聴者に語りかけることになる。


KINGDOM HEARTSシリーズにおいて

常連のワールドであり、初代からほぼ皆勤で登場し続ける数少ない作品。
基本的に、映画本編の前日譚かifストーリーが展開されることが多い同シリーズにおいて珍しく、明確に映画本編の後日談として設定されており、既にヘラクレスは一流のヒーローとなっていて、主人公ソラの先達の英雄として彼を守り導くような役回りとなっている。
逆に『Ⅱ』で原作終盤のヘラクレスが自信を喪失することへのオマージュ展開があるのだが、原作未視聴のプレイヤーからは「こんなに情けない姿を見せてびっくりした」という意見も出たほど。

設定上、神の力を持つヘラクレスは強すぎるためなかなか仲間にならなかったが、『Ⅲ』にてようやくソラたちと一緒に戦うことができるようになった。

大抵は闘技大会が開催されているのもここで、なぜかハートレスたちもお行儀よく大会のルールに則って参戦している。
あと、闘技場設定が使いやすいためか、『FF』キャラのゲスト出演率も非常に高い。


追記・修正は、英雄になってからお願いします。

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