アラジン(ディズニー映画)

登録日:2021/03/05 Fri 23:04:06
更新日:2025/04/16 Wed 21:09:41
所要時間:約 5 分で読めます






概要

アラジン(Aladdin) 』とは、ディズニー映画の一作。
アメリカ合衆国本国では1992年11月25日に封切られ、日本国では1993年8月7日より公開された。

原作は『千夜一夜物語』の『アラジンと魔法のランプ』*1
リトル・マーメイド』から始まる、ディズニー映画の第二期黄金期(ディズニー・ルネサンス)を構成する作品である。
有名な劇中歌は『A Friend Like Me』『A Whole New World』など。

続編OVA『アラジン ジャファーの逆襲』『アラジン完結編 盗賊王の伝説』やTVアニメシリーズ『アラジンの大冒険』も制作された。
2011年には舞台ミュージカル化、2019年には実写映画化もされている。

カプコンから発売されたスーパーファミコン用ソフトやセガ発売のメガドライブ(&ゲームギア)用ソフトも人気が高い。
また『KINGDOM HEARTSシリーズ』でもほとんどの作品に参戦している。


【あらすじ】

砂漠の国アグラバーに住む青年・アラジンは、貧しいため泥棒に手を染めていたが、清らかな心根といつか宮殿で暮らすという夢を持っていた。
ある日、父親のお見合い攻勢に辟易して王宮を抜け出してきたジャスミン王女と出会ったアラジンは、彼女を助けるものの誘拐犯として投獄されてしまう。
牢屋に入れられたアラジンの前に国務大臣のジャファーが現れ、自由にする代わりに魔法の洞窟に隠されたランプを取ってくるように命じる。
何とか魔法のランプを手に入れたアラジンがランプを擦ると、ランプの魔人ジーニーが現れた。
アラジンは再びジャスミンに会うため、彼の魔法で王子にしてもらうが……。


【登場人物】

  • アラジン
本作の主人公。孤児の貧しい青年で、泥棒をしながら日々を暮らしている。
身軽で頭の回転が早く、捕まえようとする兵士たちを煙に巻くほど。
しかし盗んだパンを、ゴミ漁りをしていた子供たちに与えたり、鞭で打たれそうになった子供をかばったりと心根は優しく、町の人々(主に女性)には人気がある模様。
口も上手く、ジャファーに洞窟に閉じ込められた際はジーニーを乗せて願いを使わずに脱出するなど駆け引きにも秀でる。
市場で知り合ったジャスミンに恋をし、彼女と話をするためジーニーに「アリ・アバブワ」という王子にしてもらうが、ランプを奪ったジャファーによって正体が露見する。
ジャファーとの戦いを経て大切なことに気づき3つ目の願いでジーニーを自由にしたことでサルタンからも後任の大臣に推薦される。
出生については『盗賊王の伝説』にて明らかとなる。
なおスペルを見ても分かる通り英語での名前の発音は「アラッディン」に近い。
『アラジンの大冒険』では広がった世界観で化物連中と闘う事になる。


  • ジャスミン
本作のヒロイン。アグラバーの王女で、サルタンの一人娘。幼くして母を亡くしている。
容姿端麗で優しい心を持ち動物と仲が良く、行動的で利発な性格。
法律で次の誕生日までに結婚せねばならず、そのための見合い攻勢にうんざりしていた。
自由を求めて王宮を抜け出すも、市場で泥棒と間違えられたところをアラジンに助けられる。
アリ王子として王宮にやってきたアラジンと恋に落ちる。アリ王子がアラジンであると知った後もジャファーからアグラバーを救った彼の人柄に惚れ込み婚約者となる。


  • ジーニー
ランプの魔人。お約束通りランプを擦った人間の願い事を3つだけ叶える。
ただし、殺人、他人の気持ちを操ること、死者蘇生、願い事を増やすといったことは禁止。これら以外であれば、たとえ主人が悪人であろうと叶えなければならない。
非常に陽気で多彩な魔法を使う。大きくも小さくもなれ、分身だってお手の物。
1万年もの間ランプに閉じ込められており、ランプから解放されて自由になるのが夢。
その願いを叶えてもらい自由になり、世界を旅する。
『アラジンの大冒険』は『ジャファーの逆襲』以後なのでパワーが低下+不死身なので敵に敗れる噛ませ展開が多いものの、コミカルさの大幅アップと最後のオチを飾る役割を果たす。
実写版では、基本的な設定は同じだが「自由になって人間になりたい」という夢を持っている。

山ちゃん演じるその印象的なキャラクターが多数の人気を集めた。
実写版ではウィル・スミスが演じ、山ちゃんが吹き替えるという黄金タッグを達成している。


  • アブー
アラジンの相棒の小猿。盗みの天才。
欲深な性格だが、渋々ながら子供たちにパンを与えるなど一応の良心は持っている。
トラブルメーカーなところもあるが、なかなか頼りになる。
『アラジンの大冒険』では唯一通訳可能なイアーゴとコンビを組む事が多い。劇団四季によるミュージカル版では未登場。


  • 魔法のじゅうたん
アラジンが魔法の洞窟で見つけた、意思を持つ絨毯。自在に空を飛ぶ事ができるため、アラジン達の友人かつ移動手段として行動を共にする。
絨毯の四隅が手足に相当し、それらを使ったボディ・ランゲージでコミュニケーションを取る。表情は当然無く言葉も発しないが、バリエーション豊かなリアクションで楽しませてくれる。
アラジンとジャスミンを乗せて二人が主題歌「ホール・ニュー・ワールド」を歌うシーンは非常に有名。


アグラバーの国務大臣で本作のヴィラン。
サルタンに平身低頭従いながら国王の座を虎視眈々と狙う。詳細は当該項目を参照。
『アラジンの大冒険』では彼の残した魔術道具で一悶着が起きたり、敵の強大さを強調する為に引き合いに出されている。

詳しくは個別記事にて。


  • イアーゴ
ジャファーの相棒の赤いオウム。
サルタンらの前ではオウムらしくカタコトで喋るが、実は人間のように流暢に会話できる。アブー同様金銀財宝に目がない。
サルタン王からよくクラッカーを与えられているが、一見おいしそうに見えても実はカビているため辟易している。
ジャファーに従う敵役ながら憎めない性格で、クライマックスではジャファー共々ランプに封じ込められたが、続編『ジャファーの逆襲』では準主役と言ってよい役回りを演じる。
その際には当初は誰からも信頼されていなかったが、何度もアラジン達のピンチを救ったことで信頼を得た。
『アラジンの大冒険』でも準主役位置におり、動かしやすいキャラクターやジャファーの相棒だった事から知識が豊富で解説役を務めたり、声真似や裏切る演技などで勝利を収めるなども多々ある。遂には嫁さんをゲットした。
最終作『盗賊王の伝説』ではアラジンの父・カシームと意気投合し、エピローグではアラジンとジャスミンの結婚式を見届けた後新たな冒険に出発する。


  • サルタン
アグラバーの国王。大量の白髭をたくわえ、小柄かつでっぷり太ったおっさん王様。
簡単に人を信じる好々爺で、その性格をジャファーに利用され、催眠術でたびたび操られている。
イアーゴに会うたびにカビたクラッカーを与えるなど意外と無神経な一面もある。
ジャスミンの結婚を急かしているが、一応は親心からである。アリ王子の正体が庶民のアラジンと知ってからは身体を張ってジャファーから国を救った彼を認め『王子との結婚』という法律を改めると同時にジャスミンの婚約者、後任の国務大臣に推薦する。

なお「サルタン(Sultan)」とはアラビア語で「君主」「国王」といった意味であるため、本名は別にあると考えられる。


  • ラジャー
ジャスミンのペットのトラ
ジャスミンとは幼少の頃から仲良しで、彼女の見合い相手としてやってくる王子連中をたびたび追い返している。


  • ガジーム
物語冒頭でジャファーと取引をしていた小悪党。
魔法のランプを取りに行かされるが、清らかな心を持っていなかったため魔法の洞窟の餌食になった。
『盗賊王の伝説』に登場するカシームと名前が似ているが性格や容姿は正反対。


  • アクメッド王子
ジャスミンの見合い相手としてアグラバーを来訪した王子。
飛び出してきた子供に鞭を振るったり、それをかばったアラジンを「ドブネズミ」と吐き捨てるなど悪辣な人物。
見合いの際にラジャーに弄ばされるという報いを受けた。
こんな人物が王子の国が不憫である。

  • ラズール
アラジンを目の敵にしているアグラバーの衛兵隊長。いつもアラジンに翻弄されている。
部下も含めて悪人面をしている。それもそのはず、その正体はジャファー直属の部下であり、アラジンを捕える際に止めようとしたジャスミンに「(ジャファーと)直接お話しください。」と半ば聞く耳を持たず連れ去った上、後にはジャファーの命令でアラジンを海に沈めて殺そうとした。
『ジャファーの逆襲』以降では元同僚のイアーゴとはあれこれ対照的な役回りになっており、ジャファーが追放されてからは、サルタン王の直属の部下になっているものの、アラジンに対する私怨かそれとも上司の仇なのか、ジャスミンの婚約者なのにアラジンを相変わらず目の敵にしており、アラジンに対する粗探しともとれる描写も散見されている。サルタン王直属の部下になったことに関して何の補足もないため、まるで卑怯なコウモリである。
『アラジンの大冒険』ではアラジンと共闘する事もあり、イアーゴほどではないが仲間意識が強い反面、アグラバーを狙う敵へ部下と共に真っ先に挑んで敗れる噛ませ役も非常に多い。


  • ダリア
実写版にのみ登場するジャスミンの付き人。
陽気な性格で、母を亡くしたジャスミンが心を許せる数少ない人物。
恋愛事に敏感で、姫の恋心に気づいたり、人間に化けたジーニーのお誘いも大喜びで受けたりする。
ジーニーがジャファーの手下になったときはお互い悲しそうな表情を見せる。

  • カシーム・オマール・パブカック
劇団四季版のミュージカルにのみ登場する、アラジンの親友である3人組の男性。アブーに代わる相棒的存在となる
カシームに関しては『盗賊王の伝説』で登場するアラジンの父親とは別人。
ちなみに初期プロットには登場しており、楽曲まで作られていたのだが、尺の都合でカットされてしまった。ミュージカル版では「オリジナルキャラクター」というよりかは「没案の再利用」である。楽曲もそのまま使われている。


  • 行商人
物語の狂言回しで、冒頭で『アラビアン・ナイト』を歌いながら観客を物語へ引き込む導入役。
観客に向けて古ぼけたランプを売ろうとする
本作のストーリーは彼が語る「かつてこのランプの力で一国の王にまでのし上がった青年の話」という体で進行する。
『盗賊王の伝説』のラストを飾るのも彼。

実写版では、小さな漁船の船長が子供たちに聞かせる昔話という形で物語は始まる。


その正体は…ジーニーの変装。よく見るとジーニーと同様に四本指なことや、本国版では声がジーニーと同じなのが伏線になっている。
……という予定だったが、諸々の都合で正体を明かすシーンがカットされた事が後にスタッフから語られた。
行商人=ジーニー説は元々ファン間では都市伝説として語られていたのだが、後に事実と認められた例である。
実写映画版では行商人に相当する昔話を語る漁師の正体が、人間になってダリアと結婚したジーニーであるため、実写版で27年越しに初期構想が実現したと言える。


東京ディズニーシーにおいて

本作をモチーフとしたテーマポート「アラビアンコースト」がある。


余談

ちなみに本作の舞台はアラビアだが、原作である『アラジンと魔法のランプ』の舞台は中国である。

アラジンの日本語吹替版のCVは、当初は本作と「ジャファーの逆襲」で羽賀研二氏が演じていた。
しかし、2007年に羽賀氏が事件を起こして逮捕された影響を受けて、2008年に再販されたDVDでは、3作目の「盗賊王の伝説」やKHシリーズで演じた三木眞一郎氏による再録版が収録される事になり、以後の映像ソフトでも引き続き採用されている。
ちなみに羽賀・三木両氏共に台詞部分のみの担当で、アラジンの歌パートは石井一考氏が一貫して吹き替えている。



追記・修正はランプを擦りながらお願いします。

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最終更新:2025年04月16日 21:09

*1 ただし、2023年現在の研究では『千夜一夜物語』とは関係ないということが判明している。他に、「悪役の名がジャファー」「主人公の相方の名がアブー」「王女の名がジャスミン」「空飛ぶ絨毯の登場」などの原作との相違点には、映画『バグダッドの盗賊』の影響を指摘する声もある。