ミスマルカ興国物語

登録日:2009/07/22(水) 00:52:44
更新日:2025/03/14 Fri 22:33:14
所要時間:約 6 分で読めます




林トモアキ著のライトノベル。イラスト担当はともぞ。
角川スニーカー文庫から出ており、12巻+「エックス」+外伝1巻、そしてイラストレーターが変更された完結編『ミスマルカ最終章』の計15巻が出ている。

お・り・が・み』『戦闘城塞マスラヲ』の続編だが、かなり未来の話で文明が一度崩壊した後の世界になっているため、前作から続けて出てくるキャラは少なく、ファンタジー色が強い世界観になっている。
ただ前作に登場した用語や武器などは多いので、やはり前作を読んでからの方がニヤニヤ出来、12巻後に展開された『ヒマワリ:unUtopial World』は終盤で本作世界へとリンク。『最終章』は『ヒマワリ』の後日談となっている
話の流れとしては1~7巻が第1部、8~12巻が第2部に当たる。

発売から評判になり、林トモアキシリーズが広がる起爆剤的な役割の作品になった。

漫画化もされた(全4巻)。



あらすじ
舞台はかつて起こった戦乱と災厄によって科学文明が崩壊し、長い月日を経て近くの日本列島共々新たに工業技術の他魔法をも一般化された文明社会が構築されたユーラシア大陸東部。

そんな大陸に存在する小国「ミスマルカ」には、国の内外を問わずアホ、馬鹿、大うつけで名の知れたマヒロ王子がいるのだが、その本性は……。


今、蛇の紋章を持つ小国の王子が「策謀」と言う名の牙を剥く。

そして「聖魔杯の紋章」を追う旅と帝国の覇道の先に待ち構えていた、「世界の危機」とは…

なお途中で「興国」が有名無実化するのは御愛嬌

【主な登場人物】

《ミスマルカ王国》
◆マヒロ・ユキルスニーク・エーデンファルト
魔人
ミスマルカ王国王位継承者。15歳。
大が付くうつけとして国の内外を問わず有名なぐーたら王子。
たびたび着替えを覗いてメイド達(下働き)や近衛騎士(護衛)にボコられるが、その親しみやすい性格ゆえ国民や兵には慕われている。
実は凄まじい魔導力を持っているが、ある事件により封印されている。しかし、マヒロ自身は別に気にしておらず、封印を解くより専属メイドをつけてくれる方が嬉しいらしい。
趣味は読書で、バイク操縦が好き等旧文明についても精通している。
魔力を封じられた「事件」での後悔から「武力による争い」・「安易な暴力」を嫌うようになっており、一見話し合いで解決を望むが優しい(馬鹿)少年に見えるが、その本性は……。
敵味方双方共に予測不能な行動をとり、「暴力」以外なら詐術を平気で使い時に捨て身の行動すら取る「蛇」。近しい人たちへの感情は有るので冷血ではないが、行動は基本「理性」で判断し、1巻では内通者に気づいても特に罰しなかった。
もっとも、そうはいってもまた10代なため、予想外の出来事や人々の秘めた思惑に直面して動揺したり後悔を引きずったりするなど人間らしい面も多々ある。
ある意味その「暴力以外なら何でも使う」というスタンスが、「アレ」 に繋がっているのかもしれない。
+ 基本は暴力嫌いだが…
12巻では「平和ゆえの娯楽としての戦闘」から終末戦争によって「生存競争」へと移り変わった旧文明時代に若かりし日を過ごしたせいで長過ぎる生に倦み、「闘争の存続」…そして「(魔物なんて「安易な敵」ではなく、それが愚かな行為だとしても)人間同士の戦い」を望んだ黒幕の一人(旧時代の改造戦士)が、
人類殲滅による地球浄化」を望む存在(通称「マッチ売り」)に「望まないのに助けられようとする」様子と、黒幕が発した前述のものも含めた本音を聞き、あえて「安易な暴力」たる銃で急所を打ち抜き黒幕を射殺
最終章ではその「マッチ売り」の上司にして人類滅亡後の地球のために用意した新種族の創造者でもあり、直接対話するもギリギリで和解には至らなかったラスボス「北の魔王」の前に打つ手を失くしかけていた所に、(独断単独での対談行きを見咎めて)彼を助けに来た「魔王を倒す事を望む勇者」が参上。彼らの戦いの決着を見届ける事になる。


ご飯にサバ缶と醤油をぶちまけて食べるのとバイクがお好きな庶民派。
7巻ラストでエーデルワイスらの裏切りも合わさりミスマルカ王国が陥落した後は帝国の臣下兼新王となるも、「むしろ大きな権力を利用出来てありじゃね?」という思いからあえて受諾。
さすがにいつか超えんとしていた父や真面目な兵達の死のショックや帝国傘下にあるゆえの「余裕」等から、その後1年程は「腑抜けて」しまうほど無気力鬱だったが、彼を招聘したシャルロッテの無茶な指令で少しずつ立ち直っていっている。


◆パリエル・カーライゼル
半魔人
マヒロの近衛騎士。18歳。
前半でのレギュラーヒロインであり、毎回毎回マヒロに振り回される苦労人。
ある意味マヒロの習性を熟知しており、マヒロを探す際
「王子〜、抱いて〜」
「イエス、マイハニー!!」
とおびき寄せる事も可能。
童顔だが、胸は大きめCカップ。
危うく触手でハァハァされそうになる。いっそハァハァされてくれれb(ry
出身は武の国として知られるも、帝国に侵略された『エルクレセル』。なので国に伝わっていた「億千万の刃」の技を(本人の経験不足もありオリジナルに比べるとかなりの劣化コピーもなるが)使う事が出来る。
実力は大陸全体で見てもかなり上位クラスだが、周りが化け物だらけで弱く見える可哀想な娘。
キレるとヤーさんみたいに口が悪くなる。
…実はマヒロが過去起こした「事件」は彼女を守るために起きており、しかも後にそれが彼女やジェスの故郷エルクレセルを滅ぼした遠因になってしまった(直接的には帝国の侵攻ではあるが)ことが判明*1
本人もまた、5巻でジェスに自身の過去の出自を知られその時は戸惑ったが、7巻ラストで帝国軍の前から逃がされた後、8巻以降では故郷の出身者レイナーと共に傭兵業を開始。帝国側を選んだマヒロとは時に仕事等で対立する別の道を行く事になる。
そしてレイナー達同郷の人々と共に歩み母国の再興を選んだ結果、12巻エンディングで再び協力関係にはなったものの、最終章では出番こそあったものの決着に間に合ったのがマヒロと「勇者」だけだった事もあり彼とは別行動のままで終了した。


◆エーデルワイス
魔人
元帝国出身の侍従隊長でパリエルの上司。メイドの地位向上に多大な貢献をした偉人。
美人だがかなり性格に難があり、鉄面皮で超が付くほど厳しい。
たとえ王子と言えど、問題を起こせば旧文明の遺産、禁断の教育指導用具「張閃(ハリセン)」ですっぱたく。
パリエルがマヒロを殴っても「顔を殴ると問題になるのでやめろ」
帝国にいる元部下のメイドからも未だに恐れられている。
とにかく怖い人。
だが10~12巻にて、実は過去喪った故郷の人々の事をずっと引きずっていたことが判明。その復活手段を聖魔杯の伝説に見たせいで黒幕の一人に使われ、マヒロを利用しようとするが…
自らの願いゆえに7巻・11巻と2度もマヒロを裏切ったが、彼にとってはそれでも大事な人にあたり、12巻では極限状況に至っても彼女との関係を捨てなかった。



《神殿教団》
◆ジェス
人間
神託により選ばれた勇者。
顔の右側に傷を持ち、右腕も失っているため「隻眼隻腕の勇者」と呼ばれている。
性格はぶっきらぼうで愛想がない。
魔王を倒すことを目的としており、そのために神器『聖魔杯』を欲している。
傷に加えてみすぼらしい服を着ているため、山賊のように見えるが、これには理由がある。
元々は亡国エルクレセルの出身であり、右目右腕ごと故郷を喪い生きる理由を喪っていた時、ある女剣士に拾われ彼女のドン引きレベルの破綻を見た事で死ぬことを辞めて師匠となった剣士に死ぬレベルで鍛え上げられ逃げだした過去を持つ。
教団に選ばれた多数いる勇者達の中ではEランクだが……。



◆エミット
人間
「勇者」制度を掲げる宗教「神殿教団」のシスター。ジェスと一緒に行動している。
かなり快活な性格で、前々作の誰かを思い出さないでもないが、別にイカれてはいない。
魔法が使えるので戦力になる。


◆リーゼル・ファリス・マクラーレン
ハイランド王国の王子であり、同時にSSランクの勇者でもある少年。
ジェスとは同期。
素で優しい人物で誰にでも親切に接し、ジェスの容貌も気にしない。
『光の御子』と呼ばれる。


◆シーナ・ミルローザ
Sランクの美少女勇者で、民衆のアイドル的存在。
もちろん腕も立ち、『虹剣』の異名を持つ。ジェス、リーゼルと同期。
性格は活発で、ジェスとは度々言い争い(一方的に文句を付けるだけだが)になる。



《グランマーセナル》
◆ルナス・ヴィクトーラ・マジスティア
魔人
帝国第三皇女。
姫でありながら前線に立つ戦好きな性格。
使用している魔法剣〈七星〉から『光輝の剣』と呼ばれ、一振りで百を断ち、一戦においては万を屠ると言われるほど強い。
1巻ラストでの対峙からマヒロを見込むようになるが、色々とタイミングが悪いというのか、彼が帝国下を選んだ後半になっても(シャルロッテの命を彼が受ける事が多めの事もあり)フラグが立つ見込みはなさそうである…。

◆ユリカ・美島・マジスティア
魔人
帝国第二皇女。ルナスの姉で、妹想い。
『闇の法王』の異名をとる魔導師だが、活字中毒という不治の病に侵され、本ばかり読んでいる。
テンションは常に低く、大抵の事には動じない。。


◆シャルロッテ・アルセイン・マジスティア
魔人
帝国第一皇女。
「白薔薇姫」とも称される美貌と謀略の才を兼ね備えた怖い美女。
第2部ではマヒロによく命を下すようになり、外伝ではメインキャラとなっている。

◆レイナー・ラングバルト
魔人
将軍であり、帝国三剣の一人『猟剣』。
冷静で無愛想。常に戦闘体制みたいな雰囲気で笑わない。
武器は、かつて初代聖魔王と共に戦った勇者が使っていたとされる『黒の剣』を使用。
一方で滅んだ母国エルクレセルへの思いを残しており、それゆえに7巻ラストでジェスからバリエルの秘密を知らされ、彼女を守るため帝国軍から離脱した。


◆長谷部沙耶香
人間
帝国の三剣の一人『強剣』。
かつては勇者も輩出した神殺し四家「長谷部」の血筋だが、本流「名護屋河」の技も使える。
強いがウブでからかいやすく、可愛い娘。


《その他》
エミリオ・アプリコット
雑貨屋を営む少年でマヒロの友人。
兵隊から魔物まで何でも扱い、高度の魔術を使う闇の商人。
なおその性格のおかげ?で、7巻・8巻で帝国への内通者の一人と判明しても「まあ金につられそうだし(意訳)」とマヒロに普通に納得されていた


《ゼンラーマン》
ゼンラーマン
マヒロ王子の呼びかけによって現れる自由の騎士。
全てを超越する自由を有する存在である。
Zの文字が描かれた仮面“のみ”を身につけたその姿は正に『自由』!!
腰を振ることで漢の象徴を揺らすそれは「ゼンラーペンデュラム」と呼ばれるゼンラーマンの魂の鼓動!!
技も多様であり、ゼンラーバウアーを始めとして殺傷力はないがダメージは大きい技を繰り出す。

弱点は言わずもがな。
うにが苦手。


【主な国】

◇ミスマルカ王国
かつては中原一帯を纏めていた大国だったが、現在は小さな国。
剣に蛇が絡んだ家紋を持つ。


◇グランマーセナル帝国
大陸南部に存在する帝国。国力、軍事力は強大であり、人魔平等を謳う「スズラン条約」を破棄、大陸を侵略し始める。
その目的は……。

◇エルクレセル
帝国に侵略された国。王家の者は背中に紋章を持ち、アウター「億千万の刃」の剣技を伝えられている。
「一本が〜……」


◇ゼピルム共和国
スズラン条約を守る国。国防長官はまるで未来をよんでいるかのような優秀さから「先読みの魔女」と称される。

◇大東京王国
大陸の外、旧時代の遺跡が多数残る大八洲(日本列島)に構築された国家の一つ。なお大八洲には他に沙耶香の故郷「西日本公国」等もある。
首都はダンジョンと化した往時の23区の外にあり、「新ほたる」と呼ばれている


【聖魔杯】
旧文明から存在する伝説の神器で、世界を統べる器とまで言われる超国家遺産。
力はいくつかの紋章に分けられ世界中に散っているため現在はただの器だが、それでも多大な影響力を持つ。
2巻~7巻・10巻ではこの紋章を探す旅が主軸となっており、12巻でついに全てが一つの場所に集うが…。
ちなみに紋章が散らばっている理由は万が一の場合のセーフティと、紋章によって築いた結界で終末戦争により汚染された大地を浄化するため。
作中ではミスマルカ王国が器の管理を担っており、12巻では王家の先祖は初代管理人イカレシスタークラリカ・エーデンファルトだと判明している。

実はバリエルやリーゼルは「紋章」、マヒロは「器」を人為的に再現するため親世代の代から改造された存在。12巻では彼らが「聖魔杯のコピー」だった事が意外な現象をもたらす事に…。












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最終更新:2025年03月14日 22:33

*1 マヒロの力の余波で国の防衛戦力にも深刻な損害が発生し、迫る帝国軍を止められなかった。