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ポケモンショック

登録日:2010/04/21 Wed 14:25:11
更新日:2026/09/20 Sun 00:18:08
所要時間:約 9 分で読めます



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┃注意!┃
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本項目は大変刺激が強くなって
おります。部屋を十分明るくし
て画面から50cm以上顔を離し、
凝視しすぎて気分が悪くならな
いように十分ご注意の上、閲覧
頂きますようお願い致します。









【概要】

1997年12月16日(火)18時51分頃、アニメ番組・ポケットモンスター第38話「でんのうせんしポリゴン」放送中に視聴者が吐き気を訴えるなどして病院に搬送される事態が起きた事件である。
ポリゴンショックとも呼ばれる。*1

この事件は、赤青の光が交互に明滅する『パカパカ』と呼ばれる演出法がとられていたことで、視聴者が「光過敏性発作」などを引き起こしたというもの。
簡単に言うと、強い光による継続的な刺激に耐えかね、脳がオーバーヒートしてしまうため、吐き気や頭痛を起こすというものである。
ポケモンブームの真っ最中に、視聴者の大部分を占めていた若年層が入院する事態になったため、激しいバッシングが起き、経済市場にも大きな影響が出た。

その後の調査で、NHKのアニメ「YAT安心!宇宙旅行」でも本事件のわずか9か月前に同様の被害があったことが判明したため、特に児童向けのアニメでの演出技法が見直されることとなった。
「でんのうせんしポリゴン」は封印作品となり、公式記録等からも抹消された黒歴史になっている。

これを受けてアニメポケモンはしばらく放送自粛を余儀なくされ、季節ネタなどの一部の回はタイミングを逃して、のちに番外編扱いでの放送になった。その弊害として時系列の矛盾も生じてしまっている。
  • ベロリンガをゲットしてないのに持っているムサシ。
  • 進化したはずなのにヒトカゲのまま。

また、劇場版『ミュウツーの逆襲』との連動にも影響を及している。
本来なら、
トキワジムでミュウツー登場。(63話)
 ↓
サトシがトキワジム突破後にミュウツーがロケット団から脱走。(64話)
 ↓
劇場版

の流れだったと思われる。
映画冒頭でサトシがバッジ8つ手に入れていることからも、それが窺える。(実際にはグレンジム前に上映された。)

ちなみにこれ以降、ポリゴンもポリゴン2もZもアニメに出ていない。
『ミュウツーの逆襲』冒頭の世界観説明および、他の映画のその使い回し映像でちらっと出たことはある。
また、ED『ニャースのパーティ』にも一瞬だけ出ている。サンムーン編第1話にも、名前だけであるが登場している。

放送されたのが昔ということもあり、よくポリゴンが光の原因と勘違いされやすい。
経緯を簡単に説明すると、


ロケット団がポリゴンを使ってポケモン転送システムの電脳空間に侵入
↓
サトシたちもポリゴンを使って追いかける
↓
色々あってロケット団を止める
↓
サトシたちがいると知らないジョーイたちがワクチン投入
↓
ウィルスと間違えられて、サトシたちはポリゴンに乗ってワクチンから逃げる。
↓
ピカチュウの電撃とワクチンが激突し激しい光の点滅が起こる。*2

ご覧の通りポリゴンは直接問題の現象に関わってないのである。
ポリゴン最大の不幸は、この回のメインポケモンになったことであった……。

2020年9月20日、海外のポケモン公式Twitterが「Porygon did no thing wrong.(ポリゴンは何も間違っていなかった)」というツイートをして話題になった。間接的とはいえ公式が言及したことになる。

なお番組開始時に冒頭のような注意テロップが表示されるようになったのはこの事件以降である。


みんなもアニメを見るときは十分気をつけてね!!


◆参考画像(※閲覧注意)

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出典:ポケットモンスター 38話
製作会社 OLM TEAM OTA、製作委員会 テレビ東京、SOFTX→MEDIANET、小学館プロダクション
1997年4月1日 - 2002年11月14日


【当時の世相について】

事件の輪郭の外側も絡むので、ここは黒文字一色で表記する。

「パカパカ」は子供やてんかん持ちの人にとってはかなり刺激が強いもので、早い話が発作(体調不良)のスイッチを強烈に入れるものだった。
さらに当時はブラウン管の時代。今の液晶ディスプレイよりも光刺激が非常に強かった上、富野由悠季*3はピンクと青という組み合わせがこれを助長したという可能性にも触れている。
だが、同時に世相自体が「アニメとは小さい子が見るようなものである」「テレビを見て人が倒れるなんてオカルトじゃあるまいし」という時代でもあった。数年前に起こっていた『YAT安心!宇宙旅行』のパカパカ事件でも原因不明の事件とされて終わったのはおそらくそうした理由。

そのためポケモンばかりがやり玉にあげられるが、当時のアニメではむしろ頻繁に使われていた。
現代では主流のデジタル作画も当時はまだ黎明期だった上、セル画アニメにおいて迫力のある画を限られたリソース*4でお手軽に出せるパカパカはむしろ単なる工夫の一環だった。
例えば『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の「フタエノキワミ、アッー!」で違法アップロードネタにされているシーンも、オトリヨセー!やガトチュエロスタイム!のシーン、つまり九頭竜線や牙突零式のシーンでは思いっきり青白と黒のパカパカが使われているし、『美味しんぼ』のお蔵入り回「真夏の氷」は、お蔵入りされた理由が地下水への無根拠な批判とされているが、「バーのダンスを表現するために赤青黄の三原色での激しいパカパカが使われている」ことも原因だと言われている*5。

これらは本当に1990年代までのアニメならごくごく当たり前に見た技法だったが、このポケモンショックが社会問題化したことにより「パカパカ」がテレビ局から自粛、つまり事実上の禁止を求められる。
これによりアニメーターの負担が一気に増え、「ポケモンが余計なことをしなければ」という怨嗟の声も上がった。
一方テレビにかじりついて見ること自体が道徳的に見直されるようになり、特にこち亀の「て、て、テレビを見るときは~!」のアイキャッチは保護者層から非常に高い評価を得ることになった。

この一件以降、HTMLタグやGIF画像でパカパカを再現するブラクラが日本各地で作られたが、「単に目が痛くなるだけで不快」で終わった。愛生会病院なんて覚えてる奴いないだろ


「ポリゴンは悪くない」

最初は「ピカチュウの陰謀で消えたポケモン」というマニア向けのネタだったもの。
これ自体は要するにジョークであり、事実とは異なるデマ。
そもそもパカパカを起こしたシーンではポリゴンが映っておらず、ただの乗り物なので、悪くないというか無関係である。

ではなぜ、ポリゴンがどうのと言われるようになってしまったのか?
これには様々な考察があり、表題のタイトルが由来している可能性や、当時は現在の「ポケモンショック」ではなく「ポリゴンショック」などの俗語の方が広まっていた事など、単一の原因とは考えにくい。
世相としては、1998年のニッポン放送で放送されていたラジオ番組、「ポケモンアワー」において、アニメ関係者が「ポリゴンの名誉回復になるような話を作りたい」とのコメントを発したことがあるので、当時からポリゴンへの風当たりが強かったのは間違いない。
既に世間では知らぬものはいないと言えるほど有名なタイトルとなっていたポケモンである。
その不祥事はマスコミにとっては格好のネタであるし、「ポケモン自体が悪」「ゲームやアニメ自体が悪」という風潮の報道が行われていた時代な事もあって、根本的な原因である表現手法についての言及をほとんどしておらず、単純に「ポケットモンスター」を批判的に報道していた。
先ほどの富野由悠季も、本当の原因である手法に触れないマスコミに苦言を呈していた。

ゲーム自体が悪という風潮が強まれば、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったポケモンというブランドがこのまま終わりかねない。
そこで取られた手段が「自粛」、つまりほとぼりが冷めるまで待つことだったであろう事は想像に容易い。世相的にも選択肢はなかっただろう。

しかし、この処置は第三者に様々な憶測を飛び交わせる結果にも繋がった。
憶測は憶測を呼び、関係者以外知る由もないことにもかかわらず、「ポリゴンに罪をかぶせてトカゲのしっぽのように切り落とした」といったものが事実であるかのように喧伝されるようになる。
実際のところ、ポリゴンにすべての責任を擦り付けたことでポケモンというビッグブランドの存続に成功した…という説すら裏付ける証拠はない。
その後のアニメでポリゴンやその進化系が一切登場していない事なども、こうした憶測を加速させた。


……と、この流れを見たならば、賢明な諸兄は後の展開がすぐに読めただろう。
そう、過激なバッシングの後に待っていたのは、反動による過激な擁護、その反動のバッシング、その反動……の繰り返しである。
インターネットでの評判は反動を伴った化学反応を起こし、ポリゴンへの擁護と共に他のポケモンも巻き込んでバッシング、という過激な応酬によるヘイトスピーチのような流れに変わっていった。
「ピカチュウがポリゴンを身代わり出頭させて生き残った」といったネタや、「ミミッキュの中身は身代わり出頭で死んだポリゴン」などのかなり複雑化した派生ネタも登場し、これらがジョークと知らずに根も葉もないデマへと変貌していく。
やがて「ピカチュウが悪いということにしたい」というネタの横行により、ついには「ピカチュウが擁護されていることに対する反骨」のように、場外乱闘の様相を呈する事となっていた。
当項目のコメント欄でもそうした乱闘があったためか、過去にコメント欄がリセットされている。


余談

「最も多くの視聴者に発作を起こさせたテレビ番組」としてギネス記録にもなっている他、サウスパークやザ・シンプソンズでもさんざんネタにされた。サウパに至っては日本では当該回が放送禁止になってしまった。

ポリゴン一族はアニメで出すことができないという事情から、「アニメとは違うブランドである」ということを示す場合にも非常に便利なキャラクターともとれる。
例えば本家の対戦環境やポケモンカードではポリゴン2が一時期猛威を振るっていた他、スマブラDXでもモンスターボールから飛び出してくる。
他にもミュウツーの逆襲由来の「誰が産んでくれと頼んだ……!」系のネタでは、フィオネなど公式から不遇な扱いを受けているポケモン達ともにやり玉に挙げられる。これも割と定番のネタである。
今はアニメだけが全てではなく、様々な媒体で一次・二次消費がなされる。これからのポリゴンの活躍に期待したい。

なお、サブスクが一般化した現在はアニポケ旧無印編も配信で容易に視聴可能となった。が、ここで注目すべき点に各エピソードの話数表記がある。
「でんのうせんしポリゴン」、つまり当話の先週はメタモン使いのイミテが登場する「メタモンとものまねむすめ」で話数は第37話となる。当話が欠番となり放送後の休止期間を経てからの放送再開初回エピソードは「ピカチュウのもり」で話数は第38話…ではなく第39話と表記され、当話が事実上第38話であり改めて存在が無かったことになってはいないのが示された一例となった。
ちなみに当話の次回予告は各プラットフォームによってまちまちであり、Huluでは視聴可能、Amazon Primeなどでは「ピカチュウのもり」に差し替え措置がなされている。
果たして「でんのうせんしポリゴン」が再び解禁される時は来るのだろうか……





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最終更新:2026年09月20日 00:18

*1 もっとも、当時のメディアはポリゴンを主体にした問題視や呼称を全く行っていなかったため、ほとんど後年のインターネットにて定着した俗称である。

*2 この回に登場したオリジナルキャラのアキハバラ博士は、AパートのCM直前に「た、大変なことになってしまったー!」と発言しており、皮肉にも予言みたいになってしまった。

*3 ガンダムシリーズの監督にして産み・育ての親。

*4 クレヨンしんちゃんの「嵐を呼ぶジャングル」や、星のカービィの「新番組!星のデデデ」などでネタにされているあの状況。

*5 なお3つ目の理由として「オールドミスの田畑さんの水着シーンという荒川精作以外誰も喜ばないものが放送コードに引っかかったから」というものがある。