ポケモンショック

登録日:2010/04/21 Wed 14:25:11
更新日:2025/09/25 Thu 11:23:25
所要時間:約 3 分で読めます










50cm




















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2020920TwitterPorygon did no thing wrong.





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+ ※サムネイル対策用



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199741- 20021114

+ 当時の世相について
wiki記法を使ってわざわざ赤青化にして読みにくくするのがめんどくさい赤青以外の要素もあるのでここは黒文字一色で。
にしても2000年代前半の荒らしみたいなセンスが残ってるって……それが編集合戦を防いでいるのかもしれないが。

「パカパカ」は子供やてんかん持ちの人にとってはかなり刺激が強いもので、早い話このスイッチを強烈に入れるものだった。
さらに当時はブラウン管の時代、今の液晶よりも光刺激が非常に強かった上、富野由悠季*2はピンクと青という組み合わせがこれを助長したという可能性にも触れている。
だが、同時に世相自体が「アニメとは小さい子が見るようなものである」「テレビを見て人が倒れるなんてオカルトじゃあるまいし」という時代でもあった。「YAT安心!宇宙旅行」でも原因不明の事件とされて終わったのはそういう理由。
早い話、当時は親や病気を持ってる側の自己責任という扱いだったのだ。そもそもバリアフリーなんて概念は90年代後半からやっと本格化したわけだし。
そのためポケモンばかりが話題になっているが、当時のアニメではむしろ頻繁に使われていた。まだCGなんて夢のまた夢だった時代ということもあり、迫力のある画を限られたリソース*3でお手軽に出せるパカパカはむしろ単なる工夫の一環
たとえば「フタエノキワミ、アッー!」で違法アップロードネタにされているシーンも、オトリヨセー!やガトチュエロスタイム!のシーン、つまり九頭竜線や牙突零式のシーンでは思いっきりパカパカ(青白と黒でいいのかな?)が使われているし、
もっとすごいのは美味しんぼのお蔵入り回「真夏の氷」。お蔵入りされた理由が地下水への無根拠な批判とされているが、「バーのダンスを表現するために赤青黄の三原色での激しいパカパカが使われている」ことも原因のひとつと言われている。ほんとに何の前触れもなく、21世紀では絶対に見ないレベルの点滅が出てきて時代を感じる*4
これらは本当に90年代までのアニメならごくごく当たり前に見た技法だったが、このポケモンショックが社会問題化したことにより「パカパカ」がテレビ局から自粛を求められる(つまり事実上の禁止)。これによりアニメーターの負担が一気に増え、「ポケモンが余計なことをしなければ」という怨嗟の声も上がった。
一方テレビにかじりついて見ること自体が道徳的に見直されるようになり、特にこち亀の「て、て、テレビを見るときは~!」の尺稼ぎアイキャッチは保護者層から非常に高い評価を得ることになった。

この一件以降、HTMLタグやGIF画像という形でパカパカを再現するブラクラが日本各地で作られたが、「単に目が痛くなるだけで不快」で終わった。愛生会病院なんて覚えてる奴いないだろ
言ってしまえば「資質(持病)を持つ人間があまり気分のすぐれないときにブラウン管の画面で3秒間に36回という点滅に晒されて初めて気絶する」ものなので、素人がやろうと思ってできるものではなかったのだ。まぁうっかりできちゃったら無限アラート事件みたいに書類送検されそうだけど*5
一方で動画制作などでも「冗談でもパカパカっぽいものを使うと本気で怒る人間が出てくる」など、いわゆる正義マン的な言動が動画制作の幅を狭めてしまうことにもなった。


  • 「ポリゴンは悪くない」って?
最初は「ピカチュウの陰謀で消えたポケモン」というマニア向けのネタだったもの。上述の通り実際にパカパカを起こしたシーンにはポリゴンは映っておらず、その原因となるシーンがピカチュウの電撃だったため。
これに便乗してピカチュウがポリゴンを身代わり出頭させて生き残ったというネタも派生している他、後世では「ミミッキュの中身は身代わり出頭で死んだポリゴン」などのかなり複雑化した派生ネタも登場した。
現在では「ポリゴンは被害者、ピカチュウは加害者」という、ポリゴンを杉下右京*6のように見なすネタが多くなっている。

しかしこれを冗談だと理解できない人が「ポリゴンは本当は悪くないんだ!」とアレなキャンペーンをぶってしまい、それが日本人の特に若年層に多い判官贔屓気質と化学反応を起こしてスパークしてしまったというもの。
おそらくニコニコ大百科で暴走したファンが立てた記事「ポリゴンはわるくない!」(2009年)で有名化したものである。当時のその記事はポリゴン愛がにじみ出ていると大変評価が高いものだった。
しかしこれに触発されたのか、ファン感情と義憤だけで暴走してしまった結果、各地の「ポケモンショック」関連の説明では「ポリゴンは決して悪くない。このことを忘れないでほしい……」という同情的なものが支配的になってしまい、
そういうところで情報を仕入れた次世代の人たちが「ピカチュウが擁護されていることに対する反骨」のように解説していく……という、典型的なヘイトスピーチの過激化と同じ流れを経ている。

ハッキリ言うと、こういうネタは口にしただけでサイレント・マジョリティからは「あっ、ふーん(察し)」となるネタということは留意しておくこと。ネタ的に言うのはむしろウィットに富んでいるが、コメント欄にあるように本気になってポリゴンを擁護していたら、事実はどうであれ距離を置かれてもしょうがない。
「だってマジでポリゴンが悪いわけじゃないじゃん!」という話ではなく、現実のアニメ制作にさえ影響を与えた大事件の説明に対し、ゲームのいち登場人物に過ぎないものに対して説明者の主観を混ぜているというTPOのズレが問題視されている可能性が高い。
そして指摘してもそもそも「ポリゴンは悪くないんだ!」の一点張りで話が通じないし疲れるので、距離を置かれておしまい。
これについては「エコーチェンバー」なども参照すること。エコーチェンバーが起こるのはアンチ思想や政治厨に限った話ではない。
もしここまで読んで編集ボタンに手が伸びかけていたら、まずは「桜井政博のゲーム作るには」の「エコーチェンバー」動画あたりを見てみよう。カービィやスマブラのディレクターが、心理で陥りがちな罠について3分間で分かりやすく説明してくれている

実際のところ、このポリゴンにすべての責任を擦り付けたことでポケモンというビッグブランドが存続したことも確かである。というより当時の世相的にそれ以外の選択肢がなかった
当時のマスコミは、大人が理解できない上に玩具にどんどん金を吸い上げられていくビッグタイトルだった「ポケットモンスター」を非常に批判的に報道することで、保護者層を満足させていた。
そんなさなかにポケモンの側が起こした不祥事はマスコミにとって格好のネタであり、「ポケモン自体が悪」「ゲームやアニメ自体が悪」という風潮の報道を行い、自分たちの子供時代には存在していなかったものをとにかく悪し様に言うことで保護者層の支持を得ていったのである(当時のテレビの影響力は今よりはるかに強かった)。
2025年現在では駅におっぱいのでっかい女の子の広告が普通に掲載されているが、当時はオタクなんてマジで迫害されて然るべき人種だったので「ああなってはいけない!」と大人が躍起になるのも無理はなかったのだ。
ゲーム自体が悪という風潮が強まれば、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったポケモンというブランドがこのまま終わりかねない。そこで取られた手段が「自粛」、つまりほとぼりが冷めるまで待つこと、そして反省を示すためのシンボル(=ポリゴン)を出すことだった。その後のポケモンブランドの躍進はおそらく読者諸兄の方が詳しいだろう。
ポリゴンに罪をかぶせてトカゲのしっぽのように切り落としたことで、ポケモンはその後もビッグタイトルとして残り続け、シゲルやシンジやショータ、リザードンや高速移動するタケシ、サトシゲッコウガといった評価の高いキャラクターとつながっていったのだ。ファンの頭の中がどうなっているかは分からないが、これが商売的に見た場合の事実である。
つまりポリゴンの処刑がなければスイレンママだっていなかったってわけ。
むしろポリゴンは「人類の罪を背負って処刑されたイエス・キリスト」のように、ポケモンアニメというブランドの罪を背負って身代わり出頭により処刑され、ポケモンというブランドはなんとか命脈を保ったのである。
ポケモンの海外展開はこのポリゴンショックを境目に成功したという分析もあるため、むしろポケモンのメシアとさえ言えるのだ。
って考え方もできる。少なくとも商売的には。

ちなみにギネス記録にもなっている他、サウスパークやシンプソンズでもさんざんネタにされた。サウパに至っては日本では当該回が放送禁止になっちゃったし。
また、ポリゴン一族はアニメで出すことができないという事情から「アニメとは違うブランドである」ということを示す場合にも非常に便利なキャラクターともとれる。
たとえば本家の対戦環境やポケモンカードではポリゴン2が一時期猛威を振るっていた他、スマブラDXでもモンスターボールから飛び出してくる。
他にもミュウツー(映画)の「誰が産んでくれと頼んだ……!」系のネタでは、フィオネやカセキメラ組とともにやり玉に挙げられる。これも割と定番のネタである。
ポケモンカードのユンゲラー、スマブラSPの不知火舞、MTGのオーコ*7いつの間にか仲間に加入している5人目ジーザァス!ジジジジジジジジーザァス!など、出禁を食らったこと自体が個性・話題になるキャラというのもいるわけだし。
今はアニメだけがすべてではなく、様々な媒体で一次・二次消費がなされる。この世間で本当の意味で不遇なのは「途方もなく影が薄いやつ」なのだ。
って考え方もできるんだから、あんまりカリカリしない方がいいと思うよ。




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最終更新:2025年09月25日 11:23

*1 もっとも当時のメディアはポリゴンを主体にした問題視や呼称を全く行っていなかったため、ほとんど後年のネットにおいて定着した俗称である。

*2 ガンダムシリーズの監督にして産み・育ての親。

*3 クレヨンしんちゃんの「嵐を呼ぶジャングル」や、星のカービィの「新番組!星のデデデ」などでネタにされているあの状況。

*4 なお3つ目の理由として「オールドミスの田畑さんの水着シーンという荒川精作以外誰も喜ばないものが放送コードに引っかかったから」というものがある。お寒い冗談と思うかもしれないし実際冗談なのだが、「ポリゴンは悪くない!」はこのおふざけな理由と同レベルかそれ未満のことを言っている。

*5 当時(というか現在でも)の日本はサイバー犯罪に対して無知そのものであり、たとえば掲示板でHTMLタグを使ってBGMを流すという2000年代なら中学生でもやれちゃうような当たり前のテクが、サイバー犯罪やハッキングとしてセンセーショナルに報じられた。流した場所が農水省の掲示板、流したものがオウムソングだからしょうがないけどさぁ……。

*6 人気ドラマ「相棒」のねちっこいしゃべり方をするオッサン刑事。上層部の不手際を押し付けられて閑職に追いやられたという設定。

*7 単なる禁止カードなのだが50日足らずで禁止になったことから、カードゲームと関係のない媒体でもたびたびネタにされた。