劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲

登録日:2009/06/06(土) 00:34:14
更新日:2021/07/19 Mon 23:50:56
所要時間:約 12 分で読めます




―――ここはどこだ…? わたしは誰だ……?



誰が生めと頼んだ…!!

誰が造ってくれと願った……!!!


わたしはわたしを生んだ全てを恨む…!!



だからこれは… 攻撃でもなく 宣戦布告でもなく


わたしを生み出したお前たちへの――――――






"逆襲" だ











1998年7月に公開されたポケットモンスターのアニメ映画。
今では恒例になった、一年に一度公開されているポケモン映画の記念すべき第一作。
同時上映は『ピカチュウのなつやすみ』。
2019年7月には、全編を3DCG映像化した『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』(以下『EVOLUTION』表記)が公開。

●目次


◆概要


アニメ本編でも同時期にプロテクターを纏ったミュウツーが出る等、リンクしている。
ただしポケモンショックの影響で時系列にズレが生じた。本来はシゲルvsミュウツーがテレビで描かれる予定だったとか。
(本当はアニメ60~63話→映画→我ココのハズだが、映画公開→アニメ→我ココになった)

テーマは『己の存在意義』

国内の観客動員数は650万人を記録し、国内興収は75.4億円、配給収入は41.5億円を記録した。
また、本作は全世界で公開されており、1999年にアメリカで『Pokemon The First Movie』として全米約3000の映画館で公開。
興行収入8000万ドルを記録し、日本映画初の週間興行ランキング初登場第1位という快挙を成し遂げた。

プロローグを加えた完全版が出ており、DVDには完全版が収録されている。
エピローグとしてTVスペシャル『ミュウツー!我ハココニ在リ』、新無印46話「バトル&ゲット! ミュウツーの復活」がある。

映画で語られなかった設定は『サウンドピクチャーボックス ミュウツーの誕生』で明らかとなっている。

タイトルは先に決められていたので、脚本の首藤氏は、「ミュウツーは何に逆襲するの?」と悩み、こだわったという。
またこれに連なるストーリーとして、アニメ ポケットモンスター最終回の没プロットをシリーズ構成の首藤氏は構想していた。


◆ストーリー


とある研究所で遺伝子工学を用いて新たなポケモンが造られた。
幻のポケモン“ミュウ”の遺伝子から造られたそれは“ミュウツー”と名付けられる。
彼は人工的に造られたという不純な生い立ちから己の存在意義を見いだせずに苦しんでいた。
そして研究者への裏切りをきっかけに、ポケモンを統御するシステムへの反発や自分を利用する為だけに生み出した人間達への憎しみから、
「人類への逆襲」を開始する。

旅を続けるサトシ達は“最強のポケモントレーナー”という差出人からポケモン城への招待状を受け取る。


それが哀しき逆襲劇の始まりとは知らずに…


◆主な登場人物


CV:松本梨香
ご存じ主人公。
海賊風トレーナーに勝利したことで目をつけられ、「将来有望なポケモントレーナー」として“最強のポケモントレーナー”からポケモン城への招待を受ける。
序盤から漢全開だが、ラストの漢っぷりは泣ける。


ピジョンはその時点で手持ちにいるはずだが本編には登場しない。(初期ポスター、嘘予告、OPに鳴き声、短編には出るが)

CV:飯塚雅弓
俺達のマーメイド。
『EVOLUTION』では後に追加された設定を反映して、ギャラドスを怖がっていた。懐かしの耳引っ張りもあるよ!

CV:上田祐司(現:うえだゆうじ)
パッとしない元ジムリーダー。
『EVOLUTION』ではスイートを口説いた。

CV:白石文子/藤村知可(EVOLUTION)
ミュウツーに拉致られて調教され、ナースからメイドにジョブチェンジ。
ミュウツーがトレーナーたちを集めた後は用済みとして解放され、自意識を取り戻した。

CV:林原めぐみ(ムサシ)、三木眞一郎(コジロウ)、犬山犬子(現:犬山イヌコ)(ニャース)
ムサシコジロウニャースのいつもの3人組。サトシ達を追ってポケモン城へ潜入する。

  • ウミオ
CV:高木渉吉野裕行(EVOLUTION)
ポケモン城に招待されたトレーナーの1人。サトシ達を除けば一番熱血。
水タイプの使い手のピザ。手持ちはギャラドスニドクインドククラゲシャワーズ

  • ソラオ
CV:古谷徹神谷浩史(EVOLUTION)
ポケモン城に招待されたトレーナーの1人。自然系の使い手。
手持ちはフシギバナ(NN バーナード)、ピジョットストライクサワムラーサンドパン、サイホーン。
初代版の中の人は13年後にはイッシュ地方のジムリーダーに転身。『EVOLUTION』版の中の人とサトシの中の人には「松野家の3男経験者」という共通点があったりする。

  • スイート
CV:佐藤藍子(特別出演)/佐倉綾音(EVOLUTION)
ポケモン城に招待されたトレーナーの1人。ファンシー系の使い手。ネーミングセンスが個性的。
手持ちはカメックス(NN クスクス)、キュウコンジュゴンプクリンギャロップラフレシア

  • ボイジャー
CV:小林幸子(特別出演)
波止場を仕切っている港育ちのラスボス
ちなみに「波止場のカモメに聞いてみな」というセリフがあるが、これが『EVOLUTION』においては「波止場のキャモメに聞いてみな」と訂正(?)された。
初代の公開当時はまだカモメモチーフのポケモンがいなかったが、その後第三世代で追加されたことによるものだろう。
ちなみに当時から先行登場していたトゲピーとドンファンを除けば、唯一登場する第一世代以外のポケモンでもある。(エンディングに本人……もとい本ポケモンがちらっと登場している)

CV:西村ちなみ
本編にも登場する女性警察官。
ニューアイランドに向かうために殺到したトレーナーたちの前にボイジャーと共に現れ、嵐で船が欠航したことを告げる。制止されてもなお嵐の海へ出ていこうとするトレーナーたちに「逮捕しますよー!」と警告するも、それで大人しくなる彼らではなく…。
余談だが、初代ではこのシーンで制帽を飛ばされてしまったが、『EVOLUTION』ではそうならずに済んでいる。


  • 海賊風トレーナー
CV:レイモンド・ジョンソン(特別出演)
冒頭でサトシと戦ったトレーナー。手持ちはドンファンカイリキー等。
ドンファンは後に発売された金銀バージョンで新登場するポケモンの中の一体で、公開時には全く知られていなかった為に「あのポケモンは何だ?」と疑問を持った人が多かったらしい。

ちなみに彼はゴローニャを繰り出したりもしたが、原作では通用しないピカチュウの10万ボルトによって倒された。
(『EVOLUTION』ではゴローニャがスリープに差し替えられた)

◆主な登場ポケモン


CV:大谷育江
我らがマスコット。
ラストのサトシに対する電撃は涙無しには見られない。

  • トゲピー
CV:こおろぎさとみ
チョッゲップリィィィィィ!!!!!!
ポケモンたちの中では唯一カスミのリュックにしまわれる形で黒いモンスターボールから逃れた。

  • コピーポケモン
黒いモンスターボールで捕獲したポケモン達の遺伝子を元に作り出された存在。
オリジナルより技の性能は洗練されているが、身体スペックはほぼ互角で、最後は彼らと純粋な肉弾戦による死闘を繰り広げる。

  • コピー初代御三家
最初に登場したコピーポケモン達。それぞれ謎の文様が浮かんでいる。
それぞれ恐るべき戦闘力を発揮し、ソラオのバーナード、スイートのクスクス、サトシのリザードンを圧倒した。『EVOLUTION』では当時存在しなかったリーフストームを使う場面も。
後半ではどういうわけだか*1前述のコピーポケモン同様に御三家と死闘を繰り広げる。

  • コピーピカチュウ
CV:林原めぐみ
オリジナル(サトシのピカチュウ)とは耳や尻尾が微妙に違う。
戦いを拒むオリジナルを一方的に叩き続けるが、最後は共に崩れ落ちる…

  • コピーニャース
CV:芝原チヤコ/富樫美鈴(EVOLUTION)
オリジナルはロケット団のニャースだが、基本四足歩行で人間の言葉もしゃべらない。
他のコピーポケモン同様にオリジナルと死闘を繰り広げる…と思いきや?


CV:山寺宏一
元祖幻のポケモン
ミュウツーの気配を察知してポケモン城に姿を現す。
犯罪的に可愛いが、

  • 殺気立ってるミュウツーの目の前でシャボン玉クッションと戯れる
  • サイコウェーブが直撃したのに、何もなかったかのように反撃
  • 戦闘力が大幅に増強されている筈のミュウツーと互角に渡り合う

等なかなか恐ろしい。
脚本の首藤氏によると、ミュウもまた自分のコピーであるミュウツーを許せず、だからこそ嘲笑うように飛び回り、戦ったということらしい。映画本編で書けよ……
一応、その名残なのかミュウツーが「本物とコピーのどちらが強いかを示すために戦え」と言ったのに対し、ミュウは「コピーは本物には敵わない。技を使わず正面から身体でぶつかり合えば、本物が勝つ(ニャースによる翻訳)」と前述の可愛さとは裏腹にやたらと挑発的な態度を取っており、これが終盤のポケモンバトルに繋がっている。
声優は山ちゃんこと山寺宏一。山寺はこれ以降のポケモン映画全てにゲスト出演しており、
2008年時「同一シリーズにおいてもっとも多く違う役で出演した人」としてギネスになった。


CV:市村正親(特別出演)/森久保祥太郎(幼少期・完全版)
ミュウのマツ毛から取り出した遺伝子を元に造り出されたポケモン。
マッドサイエンティストのフジ博士と研究者たちの手で生み出された。

目覚めた直後からテレパシーで「私は誰だ?」とフジ博士たちに問いかけるほど高度な知能と超能力を有していたが、
それだけに人工的に造り出された自身の存在意義に疑問を抱き、自問自答を繰り返した末、身勝手な都合で自分を生み出した人類への逆襲を画策する。

有する超能力は非常に強力で、人間の身体どころか巨大なポケモンすら容易く浮遊させたり、吹き飛ばしたりできる他、
人間を洗脳して忠実な部下にしたり、小島程度の規模であれば天候を変えたり、自分の思うように変化させたりすることも可能。
コピーポケモンを製造する装置や、他人のポケモンをモンスターボールごと無理矢理ゲットする黒いボールを開発するなど知能も高い。

ゲーム設定同様に攻撃的ではあるが、高い知能を持ちながらも度重なる実験によって目の前の敵を打ち倒すことしか考えなくなったというゲーム版とは違い、
本作のミュウツーは上記の経緯で自身を生み出した人類への憎悪からのもので、ゲームの図鑑説明にある「凶暴さ」は感じられない。
むしろ、人造ポケモン故に「人間でもポケモンでもない」と自身の存在に悩み、疎外感や孤独を抱くその姿はどこか哲学的で、虚無的な雰囲気を纏っている。

以前はサカキの下にいたこともあり、シゲルをはじめとする数多くのトレーナー達を葬っていた。(サカキにゲットされた訳でないので野生扱いである。)
この時の制御用プロテクターを装着した姿は格好いい。
このプロテクターはポケスペ5章でオマージュされている。
『EVOLUTION』では更にメカメカしくなっている。

最後はサトシとポケモン達との絆に心打たれ、自ら憎しみを断ち切る。
その後、その場にいた人々から自分達に関する記憶を消し、コピーポケモン達と共に新天地を求めて旅立った。


◆主題歌


オープニングテーマ。TVアニメ本編でも使われている『めざせポケモンマスター』のアレンジ版。
メロディーがオリジナル版と比べて音程が高く、伴奏もジャズになっている。
アニソンのイベントなどで松本梨香が『めざせポケモンマスター』を歌う場合、大抵このバージョンが選ばれる。
『EVOLUTION』では「(2019 Remaster)」としてアレンジされた。

エンディングテーマ。歌っているのはボイジャー役で本編にも特別出演されている小林幸子氏。
まさに神曲。EDで流れた際は多くの観客の涙腺を破壊した。
現在では廃盤となっているが、いまだに根強い人気を持ち、コンピレーション・アルバム等で収録されることも多い。
『EVOLUTION』では「しょこたん」こと中川翔子氏と歌うアレンジバージョンが主題歌に採用されている。


◆余談


  • ミュウツーの技
この映画中にミュウツーは黒い塊を飛ばす技を頻繁に使用しているが、この攻撃に該当する技は当時ゲーム内に存在しなかった事から議論を呼んだ。
後にスマブラ等から金銀の新技「シャドーボール」と思われた…が、
ビデオ版『ミュウツーの逆襲完全版』に付属している設定資料によると、上記の技は「サイコウェーブ」であると記されている。

  • 時系列
当時のテレビ放映中の本編ではポケモンリーグにすら到達していないのに、
海賊トレーナーがサトシをセキエイ大会ベスト16のトレーナーと知って勝負を吹っかけている。
また、数ヶ月後のテレビアニメ本編ではトキワジムでシゲルのポケモンがミュウツーにフルボッコにされたり、
ミュウツーがサカキの研究所を破壊して脱走する場面が描かれている。

当初の予定ではテレビ本編でサトシやシゲルの視点からミュウツーを描き、
本編では明らかにされなかったサカキやミュウツーの視点は映画館で見られると言う仕組みであった。
映画の中でシゲルの後ろ姿がチラッと出ているのはこのため。
ポケモンリーグのストーリーが終わった頃に知られざる舞台裏を語るつもりだったようだ。

しかしポケモンショックが原因で放送日程が5か月もズレてしまい、
本編と映画を連動させてストーリーを描くと言う計画は台無しになってしまった。
以後、アニポケでは放映日程の突然変更・海外でのアニメ版展開に対応が出来るよう、映画は殆ど本編と連動しないストーリー構成となっている。








「僕の目から何かが…これは?」

『涙』

「涙?」

『生き物は身体が痛いとき以外は涙を流さないって。悲しみで涙を流すのは人間だけだって』


『ありがとう』

「え?」

『ありがとう。あなたの涙。でも泣かないで。あなたは生きてるの。生きているって、ね、きっと楽しいことなんだから』


「あ…」

「…アイ、止まらないよ、涙。どうしたら…」




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最終更新:2021年07月19日 23:50

*1 トレーナーが来る以前からミュウツーが創り出していたため、本編に登場する御三家とはオリジナルとコピーの間柄ではなく戦う理由がないはずなのだ