勇者のくせになまいきだ。

登録日:2010/06/10(木) 01:32:47
更新日:2025/05/21 Wed 00:59:16
所要時間:約 5 分で読めます





STAGE1 ぼくに このてを よごせというのか

🙋‍♂️

かけだし勇者 しょうた Lv2
「よーし、レベルアップしちゃうぞー!」



概要


アクワイア開発、SCE発売のダンジョンマネジメントゲーム。ハードはPSP。
好評だったためシリーズ化し、正統派な続編である『勇者のくせになまいきだor2』『勇者のくせになまいきだ:3D』の2作と、VRとなり作風が大幅に変わった「V!勇者のくせになまいきだR」も発売された。

簡単に言うと、「ダンジョンを作って魔王を討伐しに来た勇者たちを返り討ちにするゲーム」。
プレイヤーは魔王よりさらに上の存在「破壊神」となり、
ツルハシでダンジョンを作り、そこから生まれる魔物を育て、管理し、勇者を迎え撃つ。

ダンジョンの作り方は至ってシンプルで、ツルハシで土を掘り進める、これだけ。
ただし手持ちの『堀パワー』1消費につき1ブロック分しか掘れないので、無制限に掘り進められるわけではない。

そして土を掘ると、掘った土の状態に応じた魔物が出てきて、あとは勝手に動く。
魔物たちにはそれぞれ異なる特徴があり、単なる強さや攻撃方法の違いだけでなくお互いの食物連鎖の関係まで存在。これによってダンジョン内に生態系が発生する。

そのため食物連鎖や地形を考えて掘り進め、時には間引きをして環境を整えないと、あっという間に絶滅したり、マトモに戦力にならずに勇者たちに蹴散らされるハメになる。
強い魔物を繁殖させる事だけを考えていたら、上位種がエサの下位種を食い尽くして餓死するだけになったり、手入れが楽だからと下位の魔物だけでダンジョンを作っていたら、やって来た勇者に荒らされ見るも無残な状況に、なんてのはザラ。

プレイヤーにできることが少ない分思い通りにいかないことも多く単純ながら奥が深い。


ゲームはステージクリア制で、各ステージが始まるとまずは準備時間として、自由にダンジョンを掘って魔王軍を育てていく事になる。
しばらく経つか、自分で招き入れると勇者が入り口から侵入してくるので、勇者を魔物の攻撃で全滅させればステージクリア。勇者が魔王を捕らえ、ダンジョンの外に脱出するとゲームオーバー

クリア時の状況がそのまま次のステージに引き継がれるため、一人目の時点から後を考えて進めないとジリ貧になって詰むこともしばしば。
また、クリア時に余った堀パワーで生まれてくる魔物を強化できるため、1ステージで一気に掘り尽くさない事も攻略のカギ。

ゲームオーバーになると最初からやり直しなので積み重ねが残らない。プレイヤースキルを成長させて攻略するタイプのゲームといえるだろう。
ふざけた名前の雰囲気のわりに、難易度高めで歯ごたえのあるシミュレーションパズルゲームなのである。

なお、上述した通常モードのほかに、ゲーム内の知識やテクニックを学べるトレーニングモードや、指定された分だけ魔物を発生されるなど用意されたお題に挑戦するチャレンジモードも存在する。


グラフィックはPSPの時代においても既にちょっとレトロ感が漂うドット絵が採用されている。
しかし魔物たち1体1体にも細かな書き込みのあるグラフィックが用意されており、彼らに愛着が湧く事間違いなし。さらにシリーズが進み「or2」「:3D」と進むごとに書き込みがパワーアップしていくほか、各作品で見事クリアできた破壊神には感動の美麗バッドエンディングが待っている。

音楽はゲームサウンド専門の製作会社ノイジークロークが担当。
リコーダーやカスタネット、タンバリンといった小学校の音楽室に置いてある楽器を中心とした構成で演奏されており、どこか間の抜けた雰囲気と温かさを感じる曲が揃う。しかし焦りや不安、恐ろしさや脅威を感じるテイストの曲もちゃんとあるのがすごい所。


またゲーム中の至る所にパロディネタ、メタ発言が満載。というかタイトルからしてパロだったりする。


魔王「これ以上は、まとめWikiでも見てください。」*1



登場キャラクター


  • 破壊神
魔王が呼び出した破壊の神…つまりプレイヤーのこと。
ツルハシ片手にひたすら土を掘る。というかツルハシが本体。
無計画に掘り進めてスッカスカのダンジョンを作るか、魔物ひしめく魑魅魍魎のダンジョンを作り上げるかはプレイヤー次第。

魔族の王。人間を打倒し世界征服を果たすため破壊神を呼び出した。
……のだが、こいつ自体は全く仕事せず破壊神さまに丸投げ。戦闘能力も皆無。
なのにゲーム的にはこいつが地上に連れ去られるとゲームオーバーなため全力で守らなければならない。納得いかん。
…というのは破壊神を喚ぶために力を使い果たしてしまったから。「:3D」のエンディングでは本気を出した姿が見ることができる。

前述の通り「まとめWikiでも見て」だとか、「あやうく世界の半分を差し出すところでした」だとか喋り出すが、わざと「いいえ」を選ぶようなひねくれた破壊神や、どこかおかしな勇者たちにはツッコミにまわる。
実は顔のそっくりな妹がいる。さらに所帯持ち。このうち奥さんと思しき女性は初代のエンディングで、まだまだ小生意気な年ごろの娘は「or2」のダウンロードコンテンツ以降で登場する。


ダンジョンで呼べる魔物

主に養分系と魔分系の2系統からなり、それぞれ養分が溜まった土、魔分が溜まった土を掘る事で生まれる。
ただし魔分は最初から土壌には存在せず、MPを持つ勇者が死ぬか魔法を使うことで周囲のマスに撒かれるため養分よりもレア。
なお、魔物も死ぬと自分の持つ養分と魔分を周囲のマスに撒く。

ちなみに生まれてくる魔物の種類は、土に含まれる養分と魔分のうち多い方が優先されるので、掘って呼び出すタイミングはよく狙っておきたい。
魔分系の魔物を呼び出そう掘る瞬間、コケが養分をその土に注入して上回り養分系の魔物を出してしまう、なんてのが割とあるある。

  • ニジリゴケ系
養分系Lv1。薄く養分が含まれる土から生まれる。
ニジリ寄るコケ。どっちかと言えば粘菌に近い気もする。プルプルしてるけどスライムではない。
戦闘能力は最低クラスだが、土から養分を吸い、別の土に吐き出す事で土の養分を運べる唯一無二の役割がある。なのでこいつらがいないと始まらない。
コケを上手く誘導して養分の高い土を作り、強力な魔物を呼び出せるようになれば貴方もカリスマ破壊神。
また戦いでは肉盾にすらならない脆さだが、強化を積むと中盤の勇者くらいまでなら戦える強さになる。これを利用して最大強化したコケを一ヶ所に集めコケのプールを作ると、ラスボスですら一瞬で葬り去る通称コケ地獄が出来上がる。

強化 名前
Lv1 ニジリゴケ
Lv2 アメリカニジリゴケ
Lv3 ヒヤシニジリゴケ
Lv4 コマンドニジリゴケ
レア シンデレラニジリゴケ 魔分を高く含むニジリゴケから生まれる。宝箱から出てくることも。

  • ガジガジムシ系
養分系Lv2。そこそこ養分が含まれる土から生まれる。
幼虫→蛹→成虫と変態を遂げる虫。成虫はガジフライと呼ばれる。主食はコケ。
楽に生み出せるが単体では弱い。その分あっという間に増え、気付くとコケが絶滅してたなんてことも。

強化 名前
Lv1 ガジガジムシ
Lv2 デスガジガジ
Lv3 どくガジガジ
レア1 ヘラクレスガジガジ 魔分を高く含むガジガジムシから生まれる。宝箱から出てくることも。
レア2 ゴールドガジガジ 宝箱から出てくる。異様に硬いが繁殖しない。

  • トカゲおとこ系
養分系Lv3。たっぷり養分が含まれる土から生まれる。
リザードマンとは言わない。おとこだけどタマゴを産む。主食はムシ。
そこそこの強さ。上手く強化すれば終盤の勇者にも通用するが、タマゴで繁殖するため無防備な時期がある、勇者の攻撃でムシやコケが少なくなると一気に絶滅の危機に陥るなどコストは高い。

強化 名前
Lv1 トカゲおとこ
Lv2 トカゲナイト
Lv3 じゅもんトカゲ 名前に反して魔法攻撃はしない。
Lv4 マスタートカーゲ
レア ゲイシャトカゲ 体力が一定値の個体が産む。

  • エレメント系
魔分系Lv1。薄く魔分が含まれる土から生まれる。
鬼火か人魂的ななにか。魔分の運び屋、魔分版ニジリコケ。
戦闘能力は底辺だが、勇者のMPを奪う能力がある。
一応こちらでもコケ地獄ならぬエレメント地獄ができるが、前述の通り魔分自体がレアなのであんまり割に合わない。

強化 名前
Lv1 エレメント
Lv2 アイスエレメント
Lv3 ファイアエレメント

  • リリス系
魔分系Lv2。そこそこ魔分が含まれる土から生まれる。
子悪魔風なアレ。可愛い。エレメントが主食。
貧弱だが魔弾による遠距離攻撃ができる。一本道で数を揃えると強い。
チャレンジモードにはこいつを大量に生み出すのが目的のお題があり、そのお題のタイトルからとって大量のリリスを揃える戦法を「すなっくリリス」と呼んだりする。

強化 名前
Lv1 リリス
Lv2 バンパイア
Lv3 サキュバス
レア1 ガチリリス 養分を高く含むリリスから生まれる。
レア2 タカラリリス 宝箱から出てくる。繁殖力が強いが生命力が低く、あっという間に増えて死ぬ。

  • ドラゴン系
魔分系Lv3。たっぷり魔分が含まれる土から生まれる。
生態系の頂点に君臨するスゴイやつ。スペックは圧倒的だが、横移動しかできない、伝家の宝刀ドラゴンブレスは強力だが他の魔物も焼き払うなどクセが強く扱い辛い。
またトカゲおとこ同様タマゴで繁殖するが、こちらは体力が少なくなると1個だけ産んで残す生態なので、個体数は自然に増えない。
しかし高い栄養を持った個体は、その個体よりも1段階強化された種のタマゴを残してくれる。逆に栄養が低いと1段階弱い種のタマゴを産んでしまう事も…
また、堀パワーによる強化で最大強化種にできない唯一の系統。最強種しんりゅうを産み出すには上述の高い栄養での産み直し強化が必須で、勇者をエサにすると楽。こちらも上手くやればしんりゅう地獄が作れる。

強化 名前
Lv0 ドフゴン 栄養が貧弱な個体によるレベルダウン繁殖で生まれる。宝箱から出てくることもある。
Lv1 ドラゴン
Lv2 ブラックドラゴン
Lv3 カオスドラゴン 堀パワーで強化できるのはここまで。またこれ以上強い種は繁殖時にレベルダウンしない。
Lv4 しんりゅう 高い栄養を持った個体によるレベルアップ繁殖でのみ生まれる。

  • スケルトン系
へんじがない…どころか動いて戦う勇者のしかばね。
しかばねをツルハシでつつくと動き出し、体力が無くなるとただのしかばねに戻る。
がぶっちゃけ弱く、コイツが宝箱から出てくるとがっかりする。

強化 名前
Lv1 スケルトン
Lv2 まおうのしもべ エレメントを吸って赤くなったしかばねをつつくと生まれる。
レア さまようほね 宝箱から出てくる。

  • デーもん系
一定の条件を満たすと現れる「魔法陣」から召喚される。大魔王でも攻撃力2500でも未来の世界のネコ型ロボットでもない。
立派なナリだがパワーは弱い。しかし存在するだけでダンジョン中の魔物を固くする特殊効果を持つ。
違う種類が出会うと勇者そっちのけでデスマッチを始める。

魔法陣の作り方は、養分か魔分がLv3の土を作った後、その周囲8マスを掘り、真ん中のLv3の土を掘る事。
逆に言えばこのようなロ型の地形の場合、どれだけ栄養を集めてもトカゲ男もドラゴンも作る事ができないので要注意。
また魔法陣にエレメントを吸わせると魔力を強化できるほか、魔法陣を勇者に踏ませると魔法陣の魔力と勇者のMPを相殺して消耗させる罠にできる。

強化 名前
養分系Lv1 デーもん 養分Lv3の土で魔法陣を作ると召喚できる。
物理防御力を上げる効果を持つ。
養分系Lv2 グータレーデーもん デーもんの魔法陣にエレメントを吸わせて魔力を高めると召喚できる。
物理防御力を上げる効果を持つ。
魔分系Lv1 サたーん 魔分Lv3の土で魔法陣を作ると召喚できる。
魔法防御力を上げる効果を持つ……とされているがバグにより機能しない。
魔分系Lv2 ハイサたーん サたーんの魔法陣にエレメントを吸わせて魔力を高めると召喚できる。
こちらも説明上は魔法防御力を上げる効果を持つが、バグにより以下略。
レア じゃしん 養分も魔分もない魔法陣から召喚できる。特殊効果を持たないがめちゃくちゃ強い。



代表的な勇者一覧


※以下、ネタバレ注意

  • しょうた
記念すべき初の勇者。青色(どちらかと言うと空色だが)の鎧の剣士。
初なだけあって、コケ数匹でやられるほどの弱さ。
だが、その後もしょっちゅう出て来る。登場時の台詞が某野菜王子を思わせる。
人気があったのかは知らないが、「or2」ではDLCで単独ストーリーが作られる程の優遇を受けた。しょうたファンならダウンロードすることを奨める。


金色の鎧の剣士。魔王いわく、「キンピカのゴキブリ」
表ステージのラスボス。そのせいか、偽ラスボスという不名誉な地位を得てしまった。
戦闘BGM「伝説の勇者来襲」にゾクっと来た人は多いのではないだろうか。
伝説の勇者の名の通り、ゴキブリのようにかなり素早く、魔法までぶっ放すいうチートっぷり。
続編の「or2」でも登場。通常戦闘曲に格下げ。しかし、見くびっているとやはり痛い目に遭う。
元ネタは堀井雄二のファミコン神拳でのペンネーム、「ゆう帝」。
ミヤオーとキムコーはいない。もょもとはいるが。


前述の通り、裏ステージのラスボスで、いわば真のラスボス。
ゲームをやった人ならば、一度は付けたんじゃないかと思われる名前。
詳しくは項目で。


  • ギラタク
おまけステージ2、勇者のくせになまいきだったに出て来る勇者。全身真っ黒の魔法使い。
おまけ最後の勇者なだけあって、能力値がかなり高い。
だが、ああああよりは苦労しないという声もある。
元ネタは言う間でもないが、ソニーの社長、久夛良木健。



余談

取説にも書かれているが、本作のテーマは生態系の維持の難しさや、人間の存在と環境への影響などを、ダンジョン作りを通して体験するというもの。
現実世界での生態系を維持する試み「ビオトープ」をもじって、開発プロジェクトは「ビデオトープ」と命名されていた。
勇者(=生態系を破壊する外来種や人間)がダンジョンに踏み込むそのとき、破壊神は何を思うのか…



「何をなさっているのですか破壊神さま!編集するには変更ボタンを押すのですぞ。だからりどみを読めとあれほど…」

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最終更新:2025年05月21日 00:59

*1 本当にゲーム内で表示されるセリフ。発売時には当然そんなものなかったが、その後無事有志によって小ネタや攻略法をまとめたWikiができた。