登録日:2010/06/29 Tue 00:37:03
更新日:2025/12/03 Wed 01:29:16
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『ドクター・フー』第1シリーズ第6話「ダーレク 孤独な魂」より
ダーレクは、イギリスのSFドラマ『
ドクター・フー』に登場する、惑星スカロで生まれたミュータント種族。クラシックシリーズの第1シリーズから登場しており、作中のエイリアンの中ではドクターの次に古参。
特徴
姿は上の画像の通り、釣り鐘型の金属の鎧に身を包んでいる。「バカでかい胡椒瓶」と作中でも揶揄される。よく同じSF大作シリーズである『
スターウォーズ』に登場するR2-D2になぞらえられることがあるが、R2-D2の初登場が1977年なのに対しダーレクの初登場は1963年と、ダーレク族の方が先である。
ダーレクの形態は大まかに三分することができる。視覚装置やライトの存在する上部、光線銃やラバーカップで武装した中部、そして松ぼっくりのような構造に覆われた下部である。これらの外殻はポリカーバイドやダーレカニウムといった物質で構成されている。大気圏外からの落下という猛烈な断熱圧縮と衝突エネルギーに晒されるイベントを受けて3日3晩燃え続けても、一部の機能を喪失しながら原形を保ち生存するという、超越的な強度を誇る。
上部
青い部分は突出部の先端に取り付けられたレンズであり、ダーレクの視覚装置である。当該の構造全体を"eyestalk"(日本語訳するならば「眼柄」)と呼ぶ。レンズにより光を屈折させて集積するため、このレンズが破損すればダーレクは視覚を失うことになる。作中でも9代目ドクターや10代目ドクターからダーレクの弱点として言及されている。
一見目のように見えなくもない2つの白い部分はライトであり、ダーレクの発声時において発光する。同じく『ドクター・フー』に登場するサイバーマンも発声時に口元が発光することを鑑みると、発声を視覚的に分かりやすくした表現として共通している。
視覚装置とライトの装着された部分を便宜上頭部と呼ぶことにすると、この頭部はほぼ360度回転可能である。一度に視界に収められる領域はレンズを透過する光の範囲に束縛されているが、目自体を頭部とともに回転させられるため、死角を大いに補っている。
中部
中部には2本の突起物が付属しており、右側が光線銃、左側が
トイレのスッポン(ラバーカップ)である。
この特徴的な見た目を揶揄されることも多いが、このスッポン部分はダーレク族におけるマニピュレーターとして機能しており、例えば手相の認証システムを操作したり、人間の顔面に貼り付けて脳波を抽出したりできる。脳派を抽出された人間は(直接的な原因が脳波の抽出によるものかダーレクへの接触自体によるものか不明であるものの)全身がミイラのように朽ちて死亡する。
光線銃の威力も相当なものであり、ヒトのみならず、サイバーマンやタイムロードのような地球外種族も絶命させている。バッドウルフと融合して神格実体に限りなく近づいたローズ・タイラーや、超技術によって時空航行や原子レベルの物質操作能力を手に入れたヘザーといった例外も存在するが、大半の人間大の生命はダーレクの銃撃に耐えることができない。
中部も広範な回転角を持つ。地球でイギリス陸軍との戦闘に入った際には、この中部をぐるぐると回転させながら光線を放ち、迫りくる兵士をバッタバッタと薙ぎ倒して殲滅している。
下部
武装した中部には松ぼっくりや卵にも見える球体が多数装着されている。この構造はフォースフィールド発生装置として機能しており、作中の多くの場面で銃弾やその他の脅威を無効化している。第1シリーズでは自爆の際にフォースフィールドを展開して爆破のエネルギーを力場内部に留めており、内外ともに隔離可能である。完全無欠でないため1ヶ所に弾丸を集中した場合は突破されることがあるが、シリーズを通してもその手段でフォースフィールドを攻略された例はまれである。
ダーレクの移動装置には肢のような部分が無く、地面をスライドするように動く。新シリーズから追加された設定では空中浮遊を可能としており、旧シリーズで上ることのできなかった階段を鮮やかに克服したどころか、高速飛行までも可能となった。高層ビルや宇宙線の窓からダーレクが襲撃してくるシチュエーションも描写されている。
なお、下部構造はダーレク族の創造主である大天才・ダヴロスの生命維持装置を兼ねた移動装置と構造が一致している。
中身
ここまでダーレクの外殻について記載してきたが、ダーレクはロボットでなくあくまで地球外生命体である。すなわち外側の金属は乗り物であり、中身にきちんとした炭素生命体が存在する。本体は単眼のタコのような生物である。
多くの個体、というよりもセクと呼ばれる例外的な1体を除き、全ての個体が過激な排他的・民族浄化的思想を帯びている。憎悪以外のあらゆる感情が表向きに抹消されており、遍く宇宙に存在するダーレク以外の生命を根絶することが本能に刻み込まれている。すなわち、ダーレクにとって基本的に他の生命種族は抹殺の対象にしかならない。
ダーレクは日夜「抹殺セヨ!」とキンキン声で叫ぶ。冷たい金属の中で一生涯を過ごしながら、破壊と殺戮に身を捧げるのである。この精神は種族内で相当に誇示されており、ダーレク族の愚かさを認めた個体はその抹殺衝動をダーレク族自身に向けただけで根本的な平和に向かう意思を持たなかった。また人間の遺伝子に汚染されて人間の精神が混ざり始めた個体は、その辛さに耐えることができず自決した。
ダーレクの純血主義思想を批判し、他種族への根本的な歩み寄りの姿勢を見せた進歩的なダーレクは、後にも先にもスカロの四人衆の1人・セクだけである。
……とはいえ、例外的にダーレクがいくつかの感情を示すことがある。第1シリーズ「分かれ道」では、物語の主人公である9代目ドクターを前にして、遺伝子の奥深くに残されていた恐怖の感情が蘇っている。また第9シリーズ「魔法使いの友」ではダーレク族が慈悲の概念を持ち合わせていることが言及されており、これは12代目ドクターがダーレク族の誕生過程にある形で影響を及ぼしたことによる。
またその時の状況次第では、別の種族と同盟を結ぶこともある。第5シリーズではサイバーマンをはじめとする他種族とともにパンドリカ同盟を組み、11代目ドクターを陥れる罠を構築した。第13シリーズでは一時的にソンターランによる休戦の呼びかけに応じている。
ただし、嘆きの天使のような明らかに話の通じない種族と比べると幾分マシという程度であり、上述した他種族との同盟関係はいずれも宇宙が滅びようとした緊急事態にのみ締結されている。世界が滅ばない限り他の種族と手を取り合わないと考えると、その精神はやはり筋金入りである。
歴史
もともとは惑星スカロに居住するカレド族と呼ばれるヒューノマイド(人間型の種族)だったのであるが、ある時アkレド族はサール族と呼ばれる種族との間の全面戦争に陥った。この戦争には狂気的なまでの化学兵器が投入され、カレド族はやがて汚染物質を排除したシェルターの中での生活を余儀なくされた。
この戦争が長引くにつれ、カレド族は甲殻の中で生きる道を選んだ。天才科学者ダヴロスは遺伝子に異変を起こしたカレド族の個体に注目し、金属の外殻に身を包んだ破壊的な種族を創造し、これを以てサール族を打倒することを考えた。これがダーレク族のコンセプトである。
ダーレク族は作中最大の脅威に上り詰め、その栄華も目を見張るものがある。サール族との戦争に勝利したダーレク族はその支配圏域を拡大し、やがて宇宙の半分を支配するまでの大帝国を築き上げた。有機生命体を簡素なダーレクに変化させるナノマシンや、宇宙と時空を管理する強大な種族であるタイムロードのものに負けず劣らずの時空航行技術、電磁気力を無効化して物質を消滅させる現実破壊爆弾といった数々のテクノロジーを生み出している。
やがてその性質を危険視したタイムロードは、4代目ドクターをダヴロスによるダーレク族創造の場に送り込み、ダーレク族を歴史上から消滅させようと画策した。しかし後に想像を絶する被害をこの宇宙にもたらすとはいえ、過去に遡って一方的に殺滅するという行為は非人道的であり、4代目ドクターが倫理的ジレンマに苛まれた。結果としてこの目論見は失敗に終わり、ダーレク族の創造が1000年遅延するに留まった。
この事実を知ったダーレク族はタイムロードとの全面戦争に突入した。タイムウォーと呼ばれるこの戦争は宇宙最大の戦争に発展し、互いに不利な戦果を時間移動で上書きする地獄絵図となった。「ゴートの屍作り」「エリュシオンの門」「悪夢の子」などが大戦に投入され、これまでしぶとく永らえてきたダヴロスも戦争1年目にして「悪夢の子」に捕食され死亡したと思われていた。
最終的にダーレクはタイムロードの惑星ガリフレイを完全包囲して一方的に砲撃を加えるなど優位な状況に立った。この戦争にはドクターの幼馴染である狂人マスターも参戦していたが、ダーレク相手にタイムロードが敗北して十字架を奪われる様を目撃し、恐怖のあまり宇宙が熱的死を迎える果てしなく遠い未来まで逃亡している。
最後までアルカディアの戦いの場に残っていたドクターは、銀河を消滅させることのできる禁断の終末兵器モメントをタイムロードのオメガ武器庫から奪取した。「終止符を」という不退転の意思とともに、ドクターはモメントを起動、タイムロードとダーレクを道連れにしてガリフレイごと滅亡させた。
新シリーズが始動してしばらくはダーレクとタイムロードが道連れに滅びたこと自体は明かされていたものの、ドクターが両種族を葬ったことは明言されていなかった。この設定は2010年新春スペシャル「時の終わり パート2」で明かされたものであり、それ以前の第2シリーズ「闇の覚醒」でも仄めかしがある。
追記・修正はガリフレイのオレンジ色の空に思いを馳せながらお願いします。
と思われていたのだが、ダーレク族はこの戦争をしぶとく生き延びていた。苛烈を極めたタイム・ウォーの時空間から零れ落ちて地球へ到達したもの、地獄の辛酸を舐めながら時空の狭間を潜り太陽系に身を潜めた皇帝の一派、多元宇宙の間隙に存在する虚無の空間を漂っていたスカロの四人衆……などなどである。これらのうちスカロの四人衆は何度も宿敵ドクターと遭遇しながらも、ダーレク族の再興計画を成功させた。
スカロの四人衆が退場した後も番組には引き続き多数のダーレク族が登場しており、国会を召集したり、創造主ダヴロスがスカロで玉座に居座っていたりと、かつての栄華を取り戻しつつある。第13シリーズでは宇宙が消滅の危機を迎えることになったが、そこでもサイバーマンやソンターランという別の強大な種族とともに、滅びゆく宇宙の三大派閥の1つとして君臨した。
ダーレクとドクターの戦いは今後も続いていくのだろう。
追記シ、修正シ、抹殺セヨ!
- 恐るべき邪悪生命体 -- 名無しさん (2016-10-24 20:12:25)
最終更新:2025年12月03日 01:29