鋳掛屋の巳代松

登録日:2010/08/03(火) 21:19:22
更新日:2024/08/13 Tue 00:56:15
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己代松とは、必殺シリーズの登場人物。
媒体によっては巳代松、鋳掛屋の巳代松とも表記される*1
作中では松、松っつぁんなどと呼ばれることも。
第10作【新必殺仕置人】に於て登場した、中村嘉葎雄(萬屋錦乃助の実弟)が演じる架空の人物。

新仕置人での念仏の鉄(山崎努)と中村主水(藤田まこと)の新しい仲間である。
鉄と同じく観音長屋に住む、島帰り*2の鋳掛屋職人である。


【人物】

温和な人柄で、無口で朴訥な印象の好人物。
情に篤く、それ故にか依頼人と偶然から関わり合いになる事も多い。
依頼人に同情し寅の会の仕置の依頼を自ら申し込む事も多く、それが小悪党的な主水や人に迷惑を懸ける事を生きがいとしている様な鉄との色の違いとなっていた。

人情家であり、そもそも島送りとなったのは実の兄の替わりに島行きを申し出た結果である。
その兄や島時代に世話になった仙三とは劇中に於て再会するも、最後にはいずれも自らの手で仕置する結果となった。
鉄曰く仲良し五人組の一角として数多の外道を仕置するも、最終回寅の会の弱体化に乗じて会の乗っ取りを企む外道仕置人の辰蔵と結託した悪徳同心・諸岡に捕えられ苛烈な責め苦を受けた結果、廃人となる。

己代松を助ける為に辰蔵の元に乗り込んだ鉄までもが右手*3を焼かれ、追い詰められた仕置人チームだが、主水の殴り込みから反撃を開始する。
己代松もまた、仲間のおてい(中尾ミエ)と正八(火野正平)に大八車に乗せられ、最後の仕置を完遂するのだった。

最後は再起を願う(密かに愛し合っていた)おていと共に江戸を後にする。その後の事は誰も知らない。


【殺し技】

使用するのはお手製の竹筒鉄砲で、表稼業以上にこの竹筒鉄砲の改良に夢中になっている様子が見られた。
自らが吹き飛ばない程度に火薬を調整しなければいけない為、射程距離は二間*4しかなく、
初期には一回毎に銃身が砕け散るなど弱点が多く設定されていたが、短筒という"意外性"や強力な"殺傷能力"故に劇中に於てはそうしたに印象は余り受けなかった。
火薬は足が付かない様に裏ルートから高額で仕入れているらしく、仕置を競り落とせなかった鉄を責める事もあった*5
改良を続けた結果、劇中では様々なバリエーションの竹筒鉄砲が登場し、後半では銃身の破裂もしなくなった。が、結局射程は二間の壁を超えられなかった様である*6

鉄砲のバリエーションとしては、
  • 五連発型(複数の筒を纏め、順に着火する)
  • バズーカ型(こけおどし用であり音と火花だけで弾は出ていない)
  • 傘型(仕込み鉄砲)
  • サイレンサー付き(古い薬缶を被せ、中にボロ布等を詰め込んだ物)
  • 狙撃型(銃身がやや長く、窓のわずかな隙間からの精密射撃に使用)
等がある。


【余談】
新仕置人に於けるトピックスと云えば鉄と主水の歴代最強コンビと寅の会に設定に奪われがちなのだが、作中では既に完成されたキャラクターを持つ主水や鉄以上に活躍や見せ場も多かった。

鉄とは互いに殺し合い、生き残った経緯を経てチームを組む事になった。
鉄の体内には己代松の打ち込んだ鉛弾が残り、己代松の肋骨の2本は鉄に奪われている。 自分を殺しに来た鉄を迎え撃った結果と思われるが、その仕置を依頼したのは上記の己代松の兄であり、鉄はその事実を秘密にしていた。

竹筒鉄砲の弾が当たった時のカキーン!!としか表現出来ないカン高い金属音は有名。
ミスマッチとも評され、事実批判もあったのか中盤には使われなくなってしまったが、一度ハマると癖になる魅力があるという意見も多い。
終盤には再び復活している事から、好きな人間も多かったのだと思われる。




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最終更新:2024年08月13日 00:56

*1 「己」が単体では「み」と読まないことからこちらが正しいとする声も多いが、人名においてはその限りではないので己代松表記も誤りではない。タレントでは山田勝己(かつみと読む)などが有名か

*2 島送り(流罪)からの帰還

*3 殺しに使う商売道具

*4 3.6メートル

*5 火薬代を払えないため

*6 ただし作中では明らかに二間以上離れた相手に命中させている描写もある。作劇上の都合と言えばそれまでだが、もしかすると精密射程距離が二間であり実際はそれ以上飛ぶケースもあるのかもしれない。