生まれ変わり(怪談)

登録日:2011/08/12(金) 20:00:33
更新日:2020/03/28 Sat 20:16:32
所要時間:約 3 分で読めます





生まれ変わり(怪談)とは、その通り、生まれ変わりを題材とした怪談話である。


◇はじめに

魂という物は不滅で、人間にせよ動物にせよ、きっとまた何処かで生まれ変わるとされている。
これを輪廻転生という……。



◇怪談その1

【こんな晩】

昔々の事じゃった。
ある夜、一軒家に旅の六部が訪ねて来た。

(六部とは、諸国の社寺を巡って修行する者の事である)

「今晩泊めて頂けませんか?」
六部は一軒家の主人に訪ねた。
しかも六部の懐には、相当の銭の入った袋が……。
それを見た主人は愛想良く六部を泊めてやった。
そして六部が寝た所を襲い、銭の袋を奪った挙句、六部を殺害したのであった。
六部から奪い取った銭で主人の暮らしは豊かになった。

やがて主人に一人の息子が生まれた。
しかし、その子は幾つになっても口がきけず、両親にはそれが悩みだった。
しかし、ある晩、
「しっこ」
と、子供が初めて口をきいた。
主人は喜んで子供を庭に出して小便をさせた。
その晩は綺麗な満月がかかっていた。
その時だった……。



「お前が俺を殺したのも、丁度こんな晩だったなァ……」


小便をしていた子供はそう言って主人の顔を見た。主人は驚いた。
そう、子供の顔は、あの時殺した六部の顔になっていたからだ……。




◇怪談その2

【母と子】

美人の女性の人とイケメンの男性の人が結婚。
ところが生まれて来た子供は両親には似ても似つかず、醜い顔をしていました。
両親は恥ずかしくて外にも出せず、近所の人達には、

「子供は身体が弱く、生まれて来て直ぐに入院した」

という事にした。

やがて、その子供が3歳になった時でした。

両親は子供を連れて、海岸にいきました。
子供は海岸で遊んでいる途中、小便がしたくなりました。
その時、母親は崖っぷちへ子供を連れて行き、小便をしている子供を突き落としました。

近所の人達には子供は病死した事にしました。

やがて、二人の間に二人目の子供が生まれて来ました。
今度は可愛い顔をしていました。
両親は大変喜びました。
そしてその子が3歳になった時、あの海岸へ遊びに行きました。
やがて、海岸で遊んでいた子供が、小便をしたくなりました。
母親は崖っぷちへ連れて行きました。

その時だった。

子供は母親を見て睨みました。
最初に生まれて来た子供の顔になり、こう言った……。

「お母さん、今度は突き落とさないでね」

◇怪談その3

【奪った大金】

とある田舎町の会社。
商談を終えた一人のサラリーマンが、その会社から大金を預かり、駅に向かった。
しかし、取引先を出た頃には、終電が出た後であった。
仕方なくサラリーマンは近くの民家に泊めて貰うことにした。
民家の夫婦はサラリーマンが持っていた大金に目が眩み、寝ている彼を殺害し、庭の柿の木の下に埋めた。

サラリーマンから奪った大金で、その夫婦の暮らしは豊かになった。
やがて一人の息子が生まれたが、何時も黙ったままであり、何時も柿の木の下で寂しそうに立っていた。
夫婦はそれが心配だった。
そう、上述の様に、夫婦はあのサラリーマンを殺害した後、その柿の木の下に埋めたからであった。

そしてある晩。

夫婦はサラリーマンの死体を別の所に隠す為、柿の木の下を掘った。
しかし、何故かサラリーマンの死体が見つからなかった。

夫「どういう事だ?」

その時だった。

「私なら此処にいるよ…。貴方達夫婦は私を殺し、私が取引先から預かった大金を奪った…。そして私を、この柿の木の下に埋めた…。」

狼狽える夫婦の後ろで、息子が冷たく呟いた。
それを聞いて夫婦は驚いた。

そう、その息子こそが、あの時殺害したサラリーマンの生まれ変わりであったから…。

◇その4

【殺した恋人】

ある所に仲の良いカップルがいた。
彼氏は会社でサラリーマンをやっていた。
ある時、彼氏は会社の重役から、娘との結婚を勧められた。

重役の娘と結婚すれば、大変な地位と名誉が待っている。

そして彼氏はある日、デートにかこつけて彼女を海岸へ連れてきた。
そして……

彼氏「俺は重役の娘と結婚する事にした…別れてくれ……。」

彼女「え…そんな…どうして……。」

彼氏「重役の娘と結婚すれば、大変な出世が待っている…君はもう用済みだ…。」

そう言って彼氏は彼女を海岸の上から海の下へ突き落とした。
重役の娘と結婚するには彼女の存在が嵩張る事と、莫大な慰謝料を請求されかねないからである。

その後、彼氏は重役の娘と結婚し、出世した。

やがて一人の娘が生まれ、その娘が小学校に入学した時だった。

お祝いに夫婦は娘を連れてドライブに行った。
訪れた先は海岸近くの公園。

娘「パパ、こっちこっち!」

娘は無邪気に父の手を引き、海岸へ。

父「おいおい、どうしてこんな所まで……ハッ!この海岸は……!」

その時、娘は父親に、冷たくこう言い放った……。

「私が貴方に突き落とされたのも、ちょうどこんな日だったね…。出世の為に私を捨てた…でもこうやって一緒になれただけでも、私は嬉しいよ…。ね?貴方…ううん……パ パ 。」

そう、その娘こそが、彼氏が出世の為に海の下へ突き落とした彼女の生まれ変わりであった…。


◇まとめ

生まれ変わった被害者の言葉が不気味に響く……。

「こんな晩」では六部、「母と子」では最初に生まれて来た子供が、
それぞれの犯人の子供に生まれ変わり、小便をする時に悪事をばらす……。

「奪った大金」ではサラリーマンが、「殺した恋人」では元カノがそれぞれ犯人の子供に生まれ変わり、犯人にとっては曰く付きの場所で生まれ変わりである事と共に、悪事をばらす…。

「こんな晩」は、今の世代には馴染みが薄いが「母と子」はピンと来る世代が多い。

また、生まれ変わりを題材にした作品は、
  • ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「日本海に添うて」
  • 夏目漱石の「夢十夜」
などにも収録されている他、徳弘正也の「亭主元気で犬がいい」等が有名である。



ラノベ分野にも古くから存在していて、『多重人格探偵サイコ』等「終わらない昭和」が舞台の作品群は、
『魑魅魍魎戦記マダラ』の登場人物達の生まれ変わりであり、マダラシリーズは魑魅魍魎戦記の脇役達が超過去〜現代、
近未来を舞台に何度も何度も生まれ変わりミロクと戦う(殆どバッドエンド)話である。


もっとも、一番最後と思われる作品では、最終決戦に突入しそうで終わったシリーズや、
それに負けたと思われるシリーズの結末や、宿命を全部『厨二病』で片付けました。



お母さん、今度は追記・修正してね。



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