カース・マルツゥ

登録日:2012/04/04(水) 10:22:21
更新日:2024/02/29 Thu 10:12:58
所要時間:約 4 分で読めます





カース・マルツゥとは、イタリアのサルデーニャ産の幻のチーズである。
言語の発音の違いから、日本語での表記ゆれが激しく、片仮名表記がいくつも混在している。
(カース・マルツ、カス・マルズ、カッチョ・マルチョ)

一度は食べてみたい世界の珍味のひとつ。

羊の乳から作られたチーズは、辛口なのに塊を感じないほどクリーミーで舌の上でとろける。

サルデーニャを訪れる機会があるアニヲタ紳士は、是非食べてほしい。

















さて…カース・マルツゥが何故、幻と言われる理由を説明していこう。


このチーズ、別名を


ウ ジ 虫 チ ー ズ

という。
ついでに、カース・マルツゥとはサルデーニャの言葉で「腐ったチーズ」の意。

嫌な予感しかしないと思うが、製造行程を見ていこう。


まず羊の乳でチーズを作ります。

チーズバエの成虫に卵を産みつけさせます。

幼虫がチーズをムシャモグして酵素を分泌、体外で消化することでぱっと見「これ腐ってんじゃね?」と思うほどの高いレベルで醗酵が進みます。

3ヶ月ほど熟成させて出来上がり。

チーズの外見は、どう見ても傷んでいて(もしくは腐っていて)中は若干べちゃべちゃという感じ。
動画サイトには製造行程をまとめた動画があるので、うぞうぞ動くウジ虫達が大丈夫な人は見てみるといいだろう。


幼虫自身は、長さおよそ8ミリ程の半透明の白い虫。
触ると最高で15センチメートルほど飛び跳ねる。
そんな虫が柔らかいチーズの中でびちびちうごめいているのだ。

食べるときはゴーグルなどで目を保護することを推奨。
食べる前にチーズの幼虫を取り除く人もいるが、幼虫ごと食べる人もいる。幼虫自体に味はない。


味がないなら平気だよね!

と思ったことにして話を進めよう。



イタリアでは、食品安全上の問題から販売が禁止されている。



法的に、禁止されている。


サルデーニャの人曰く「チーズの中の幼虫が生きている間は腐ってない」らしいが、外見がどう見ても腐ってるものを、観光客が正確に判断できるだろうか。
というか食べて腹を壊す人がそこそこいる。

ウジ虫も危険である。
ウジ虫は人間の胃酸では殺せず、生きたまま胃を通り過ぎて腸に一定期間住み着くことができる。そこで腸壁に穴を掘ろうとするので、重大な傷害を起こすことがある。この徴候は吐き気、嘔吐、腹痛、出血性の下痢など。


どうしてこんなものを作った…。

ちなみに、某国の雑誌には「強烈な臭いがし、食べると舌をひりひりさせ、体の他の部分にも影響を与えるかもしれないほどの破壊力を持った粘着性で刺激性のネトネトした物体」という感想が載った。

以上の理由から禁止令が出ているにもかかわらず、サルデーニャではあまり守られていない。
と言うか、旅行客でもけっこう簡単に買えちゃう。
値段は一般的なチーズの3倍くらい。


似たものとして、ドイツのミルベンケーゼというチーズがある。
生きたチーズダニを使って発酵させるというもので、ヴュルヒヴィッツ村にはでっかいチーズダニの記念碑がある。
ウジ虫チーズよりマシかもしれないと思った?
製造行程の画像を見ると濃い茶色のう○こっぽい。もしくはかりんとう。




ちなみに世の中にはシュールストレミング、少年の尿で煮た卵、人糞酒、唾液入り酒、泥ケーキ等の現地民以外なら速攻で奇食認定されるであろう料理が山ほどある。
日本人が生卵やオクトパァース!?等を食べる行為も、外国から見たら奇食に見えるそうな。

しかし地域によっては、これはねーよという食材が重要な栄養源だったりする。
丸まる太った幼虫が良い例。

なので自国の文化を全面に押しつけ「これはねーよwマジゲテモノwww」と言う前に、ねーよ食材を食べ続ける背景を知った上で、やんわりと否定しましょう。


カース・マルツゥにも何かエピソードがあるんだよ…たぶん。


参考になるかわからないが、ジローラモは「(ウジ虫チーズは)美味しい」と発言している。


ちなみに、イタリアをメインの舞台として取り扱う日本の漫画王様の仕立て屋にもオチ要因として登場したことがある。
日本人の織部は当然のことながら、やはり同じイタリア人とはいえサルデーニャ付近の住民以外は受け入れられない代物なのか、
ナポリ出身のマルコも全く受け付けないリアクションをし、同じくナポリ出身の伯爵に至っては贈呈されてブチ切れていた。



追記は修正の卵をwiki篭りに産みつけてからお願いします。


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最終更新:2024年02月29日 10:12