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シュールストレミング

登録日:2011/10/06 Thu 20:26:00
更新日:2026/09/29 Tue 03:55:03
所要時間:約 10 分で読めます






\\プシュッ!//


シュールストレミングとは、スウェーデンで食べられているニシンの缶詰である。


【概要】


ニシンの塩漬けを乳酸発酵させ、缶詰にした物である。
スウェーデン語で「シュール」は酸っぱい、「ストレミング」はニシンを意味する。
と、これだけ聞くと普通に美味しそうに感じる。だが、どうしようもない欠点があるのだ。



とんでもなく臭い。



その臭いは、日本人にとって臭い食べ物を代表する納豆・くさや・ドリアン等とは比べ物にならない。あのギネスブックに「世界一臭い食べ物」として認定されてもおかしくない程である。

◆製法

何故そこまで臭いのかというと、この缶詰の作り方の説明からになる。

まず、ニシンを1ヶ月~2ヶ月程塩漬けにする。
その後、発酵中にもかかわらず缶詰にする。

普通、缶詰は詰める時に加熱殺菌するのだが、シュールストレミングは缶の中で発酵させる為、何もしない。ただ詰めるだけなのだ。
なので菌達が醸し放題。放っておくと缶詰が発酵ガスで段々と膨らんでくる。
この発酵が臭いの原因。

詰める段階で発酵しているので、既に臭う。生産する工場の中は対策必須、300m離れても臭いが漂うとか……

因みに、スウェーデンでは膨らんだ状態で普通に売っている。
他方、日本の基準では(日本の缶詰の定義では、加熱殺菌されていないといけない為)缶詰として認められていない。


◆臭さ

その臭いは、生ゴミを直射日光に当て、数日間放置したような臭いらしい。人によってはウ〇コの臭いと表現する人もいる。
説明書きにも、密閉された場所では開けないようにと書いてある。まさに毒ガス並み。

臭いは相当な物であり、
  • 匂いに敏感な人は嗅ぐだけで気絶する
  • 服につくと洗濯しても絶対に臭いがとれない
という武勇伝までもつ。

臭さの度合いを測る「臭気測定器」を用いた計測では、8070Au*1というダントツの数値を示した。

代表的な臭い食べ物のAu
名称 Au値 国・地域 原材料
ニョクマム(魚の醤油) 390 ベトナム 魚
臭豆腐 420 中国 豆腐
たくあん 430 日本 大根
焼く前のくさや 447 日本 サメ・魚の内臓・ムロアジ
納豆 452 日本 大豆
鮒鮓 486 日本 鮒
ハカール 1230 アイスランド オンデンザメ
焼き立てのくさや 1267 日本 -
キビヤック 1370 北極圏イヌイット アザラシ・アパリアス
エピキュアーチーズ 1870 ニュージーランド 牛乳
ホンオフェ 6230 韓国 エイ
シュールストレミング 8070 スウェーデン ニシン

確認された中では2位のホンオフェをぶっちぎって余裕の1位であった。
日本一臭い食べ物と言われる「くさや」さえ1267Auであるから、その圧倒的パワーがうかがい知れよう。
ちなみに、一般的な臭い食べ物の代表格である納豆はわずか452Auであった。



◆日本で購入・食べるには?

勿論、日本では製造されていない。
だが、三幸貿易という会社で僅かだが輸入しており、日本国内で購入することができる。

確実に手に入れたいのなら、ネット注文がオススメ。
また、スウェーデン大使館などで売られていたという報告もある。

因みに、輸入は原則船でしかできない……空輸だと外部(高所)と缶内部の気圧差によって缶が爆発する恐れがあるから(スプレー缶と同じ理屈)。
仮に一缶でも爆発したらもはやその場にはしばらくの間入れない惨劇が始まるので運行計画に多大な支障を与えるし、他の物資にも匂いが付着してしまう。
ついでにニシンは日本政府が輸入量制限をかけていることも関係している……が、こちらはそこまで大きくは関係していない気もする。

しかし、船で運んでくると温暖な中東やインド洋を通過するため、発酵が一層進んでしまい日本に到着する頃には美味しくなくなっているということも。
運が悪かったり時間が経ちすぎると発酵し過ぎてほとんど液体になっているケースもあるとか。
一応飛行機での空輸も出来ないわけではないが、『航空規制液体』扱い*2ということもあって恐ろしく高い運賃と非常に厳しい制約がついて回る。当然の話である。

2025年現在は、一缶6300円ほどの価格で販売されている。


◆食べる時の注意

まず、最初の注意点として、

缶は必ず屋外で開封しよう!

部屋の中で開けようものならそこは暫く立ち入り厳禁レベルの魔境と化すからだ。
購入した一軒家で独り暮らし……なら被害を被るのは本人だけで済むかもしれないが、家族が居たらマジで笑えない迷惑をかける事になる。
賃貸アパートなんかでやろうものならたちまち異臭騒ぎに発展して警察沙汰になったり、ご近所さんや大家さん或いは管理会社から大目玉を食らい非常に居づらくなる……ならまだ良い方。
高額な清掃料金など込みで強制退去させられたり、賠償問題にも発展しかねない。

屋外でもできれば住宅地を避けた方が無難。
開けた公園や河川敷で開けるのが無難であるが、近隣住民や管理者とのトラブルになる恐れもあるので、可能であれば開封場所を下調べしておき、可能であれば管理者に許可を取っておくことを推奨する。
開ける際、高い確率で臭い汁が飛び散るので、傾けて開けないと危険。必ず袋に入れ、風は吹いていないか、周りに人はいないか確認。
また、遊具や周辺施設を汚さないように注意しよう。

屋内で食べてはいけない。食べる際は屋外で。
どうしても屋内で食べる場合は、窓や扉を開けきってから。

開けるとハエなどの小動物がすさまじく集まってくるので注意。

もしくは水の中で開封するのも手で、汁が飛び散ったりすることを防げる。
バケツなどに水を溜めるか、下記の通り洗って食べるのが基本なので流水でやると良い。

また、開封の際は汚れても良い(≒捨てても良い)服装で、雨具・手袋・シートなどを用意しておくと万が一飛び散った際の処理が楽になる。

TV番組の水曜日のダウンタウンでは「バレーボールマシン、バラエティでしか使っていない説」という企画でタライ、タガメ、センブリ茶、といった罰ゲームに使用する品々を日常で使っている人が居るのかを検証した際にシュールストレミングもその調査対象となっており、実際にシュールストレミングを購入して食べている人に取材を行っている。
実際に食べる際には
  • 人気のない深夜になってから缶詰を近所の河川敷の公園まで持っていって開封。
  • レモンやラスクなどの付け合わせも持って行って一緒に食べる。
  • 匂いがこびりつくため服はシュールストレミングを食べる際の専用セット。
といった工程を踏んでいることが明らかとなった。
たまに完全に液状化していて身が入っていない缶にあたることもあり、開封するまでわからないとのこと。

なので、保存する際は必ず冷蔵庫で。
食べる時だけ出すようにしよう。
前述しているが、常温で保存すると発酵が進み、腐敗したクジラの如く勝手に爆発する恐れがある。
更に発酵しすぎて中身が腐って無くなってしまう。

ちなみに、2014年、ノルウェーのとある小屋から25年間にわたり放置された缶詰が発見された際には、爆発物処理班と缶詰の専門家が出動し、これの処理にあたった。
缶詰は回収後、実際に開けられたが、中身は液体状と化していた。


◆スウェーデンでの食べ方

主にスウェーデン北部で食べられており、食べたことがないというスウェーデン人も少なくない。

シュールストレミング単体では、酸っぱすぎて臭くてクセがかなり強い。
TVの罰ゲームなどでそのまま食わされている姿を見て本当に食い物なのかと感じる時があるが、実際付け合わせで食べるものなのだ。

スウェーデンでは、パンに挟んだり、芋の付け合わせにして食べる。
また、臭い消しの為に酒や牛乳で洗っている。


【歴史】


古来より食品を保存する方法として、食品を塩に漬ける、乾燥させて水分を飛ばすなどがある。
そんな塩だが、日本では内陸に位置する塩の輸送路に「塩」を冠する地名が付いたように、生きる上での生命線であり場所によってはかなりの貴重品だった。
そして北欧に位置するスウェーデンでも、岩塩や山塩が取れず、海塩を作ろうにも日照時間が短く*3寒さゆえに農耕には適さず、薪も貴重品だったため、塩田などでの塩の大量生産が難しく、輪をかけて貴重品であった。
干物を作ろうにも前述の通り燃料が貴重品で日照時間も短いため不向きだった。

そのため冬の間の食料品として、塩漬けの魚ではなく「塩水に魚を漬けて樽に保存する」ことが考えられ、加熱殺菌すらないこのシュールストレミングが編み出されたと言う。
19世紀以降になるとこれが樽から缶詰に変化していき現在の形になった。

氷点下で寒さに震えながらだと、このような保存食で塩分やたんぱく質を補給せねばならず、臭いとはいえ、生き延びるために必要な知恵だったのだが、それこそクサヤやなれ寿司などのようにその独特の風味が愛好されて故意に作られる嗜好品へと変遷していった。


◆犠牲者


TEAМ NACSの佐藤重幸氏、安田顕氏、音尾琢真氏、森崎博之氏が実食。大泉洋氏は本企画のMC担当だったため、彼らの口に無理やりこれを入れる側に。
・この企画に遅刻し、罰として直前の『激マズグルメリポート』にて激マズ料理をお見舞いされた佐藤が開封も担当。また他局の仕事でやむなく遅れた森崎はいきなり最初が罰ゲームに。
・あまりの臭さ及び飛散の危険性から屋上で開封。だが大泉のみ屋上の端に退避し、森崎らから「俺たち5人チームだろ!」等と批難される。
・最初に食わされた佐藤は口に入るか入らないかで喘ぎだし、残る3人は鼻をつまんでいる時試食すると「酒のつまみにいい」と高評価を出すも、臭いを再び嗅ぐや即咳き込み苦悶の形相で嗚咽を漏らした*4。

  • もやしもんDVD第2巻初回限定生産特典「強烈!!発酵食品に挑戦!」
阪口大助氏、杉山紀彰氏、大原さやか氏、神田朱未氏ら業火豪華声優陣達犠牲者が実食。
・全員の格好が、食事ではなく危険な化学実験前の白衣
・少し開けたとたんに、全員がせき込む。杉山氏「(開けた阪口氏に)時々酸素吸いにこっちに来てください」
・臭いに引き寄せられてか、ハエがどんどん寄ってくる
・阪口氏は漢気を見せて最初に食べたが、他の面々は食べた直後に顔を背けて地団太を始めてしまう(巻き込まれたスタッフも)
・(においについて)大原氏「生ゴミとも違うし…」
など、伝説に恥じないさまを見せていた。

  • 『いきなり!黄金伝説。』
濱口優と山崎弘也が卵かけご飯(TKG)を食べ続ける企画、「マル珍たまごかけごはん30を食べ尽くす!」に登場した。
その時のキャッチコピーが“海外からの刺客TKG”だった。

わさドラ版アニメオリジナルエピソード。スネ夫の見栄張り&知ったかぶりの結果、スネ夫がシュールストレミングを実食するハメに……。ヴェラミヂオベラギンチョッ!!
作中最強のジャイアンの母ちゃんも、シュールストレミングの強烈な臭さには流石に耐えられず、店の奥に避難している。

2012年7月22日放送回にて城島茂、山口達也、東山紀之の三名が対決の一環として食べることになったが、結局誰も食べることが出来ず開封するだけでも大惨事になっていた。

  • HIKAKIN
「世界一臭い食べ物をさらに腐らせて食べたら大変なことになった」 にて登場*5。
自宅の風呂場で開封し、「これは滅茶苦茶美味しいよ」「これは滅茶苦茶高級品」「これを食べないと地獄に落ちちゃうよ」と自分に言い聞かせつつも実食したのだが…

CAPCOM!

Look…Look…oh…!コケケ!
*6

萌゛え゛王゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!

あまりの悪臭に「無理です…」とコメントしたのだった。



ニシン「何かご用?」
キキ「お届け物です!」
ニシン「まあ、ずぶぬれじゃない」
キキ「でも!お料理は大丈夫です!」
ニシン「だから、いらないって言ったのよ……(部屋の奥から誰が来たか訊かれて)お婆ちゃんからまたシュールストレミングが届いたのー」
キキ「……受け取りにサインをお願いします」
ニシン「私このシュールストレミング、キライなのよね」


匂ったことのある方、追記・修正お願いします。
じゃないと地獄に落ちちゃうよ♪


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最終更新:2026年09月29日 03:55

*1 アラバスター。測定器の開発者が提示した指標値であり、国際的に認められたものではない

*2 通常は毒物・劇物・爆発物に適用される規格。

*3 例としてストックホルムは年間日照時間は約1900時間と日本と大差ないが、10〜2月にかけては平均約月70時間と非常に短くなる

*4 実際、人間は味と感じているものの大半は嗅覚に由来するものと言われる。例として、かき氷シロップの味はすべて同じであり、それぞれの違いは色と香料。

*5 ちなみにシュールストレミングは投稿時点で1年以上前に購入したとのこと

*6 ちなみにこの部分の音程がマリオシリーズのピーチ城のBGMに聞こえるとネタにされている。