スサノオ(魔空戦神)

登録日:2013/08/07 Wed 12:16:18
更新日:2025/04/26 Sat 08:29:04
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お前なんか・・・

お前なんか・・・

ぶっつぶしてやるぅ!!




アニメ『ヤマトタケル』に登場した
魔空戦神」と呼ばれる生きた金属から作られた巨大人型マシン。
主に主人公のヤマトタケルが搭乗する。


○概要

帽子のつばを思わせる突起と、垂直に上方に伸びた二本角を備えた頭部が特徴。
また他の魔空戦神と同じく「瞳」を有しており、無言ながらその眼力には強い意志を感じさせる。

胸部の球体に見える部位に操縦席があり、そこから機体内部に入った後は球体が180度回転して
そのまま火炎放射の砲口として機能する。

操縦時は座席前の左右に据え付けられている黒い球体に両手を入れることで操作可能。
正面にある水晶球という球体で機体の状態を知ることが出来る*1
通信機能は基本オープンになっているようで、同じツクヨミ陣営の機体なら、操縦者同士の会話はほぼ筒抜けである。

地上・海中・宇宙など場所を問わず活動可能。
基本的に人が乗り込んで操縦することで行動可能になるが、少なからず自我を有しているため、稀に自立行動することもある。
また、外部からでもタケルの持つ玉笛の音色を聞かせることでまっすぐ歩行する・四肢を使い崖をよじ登るなど、ある程度の単純な操作は出来る。*2


本来ならミカヅチに与えられるはずだったが、偶然スサノオを発見したタケルが乗り込んだことで彼の物となった。
劇中ではアマツミが「魔空戦神は魔空戦士でしか動かせない」と語っていたが、これは厳密に言えば間違いであり、現にタケルがスサノオを操縦している。なお、アマツミの発言通りに魔空戦士が動かした例では、元々ツクヨミ側の魔空戦士だったキリオミやオトがスサノオを操縦したことはあった*3

元々はツクヨミによって作り出され本編開始から100万年前に惑星ミズホを破壊するべく送り込まれた存在であり、その内部にヤマタノオロチの一部である『オロチ玉』を持つ。
イレギュラーな形で誕生した魔空戦神ガイオウが搭乗するまでは製造順でいうとスサノオが最後の魔空戦神だった。

このオロチ玉の影響でスサノオの内部にはヤマタノオロチに由来する邪悪な意思が秘められており、タケルが乗った当初は怒り等の負の感情に反応するばかりで上手く操ることが出来なかった*4
しかし、同時にタケルの秘めた『良き心』によってこの邪悪な意思は封じられており、ミカヅチの干渉をギリギリのところで跳ね退けていた。

ちなみに、タケルの前の操縦者は、惑星破壊の工作のためスサノオと共にヨミの国に赴いていたが、スサノオの暴走に巻き込まれ消滅してしまっている。


岩石などの鉱物を取り込むことで栄養を摂取しており、作中では溶岩を飲み込んでいるシーンもある。長期間摂取していないと動きが悪くなりパワーも出なくなってしまうなど、まんま人間のような空腹状態になる。そして、鉱物の取り込み方も、口でムシャムシャ食べるというもので、これまた人間臭い*5

ボディを構成する金属には自己修復機能があり
頭部を破壊されない限りは損傷を負っても時間をかけて復元できる。
量産型マシンのドーグの剣でも突き刺されてダメージを負ってしまう描写がある一方で
単純な衝撃や圧力・熱にはかなり強く、全身がマグマに沈没しても無傷だった。


○進化

魔空戦神の特性として、一定の期間を経ることでその体を繭に包み込み脱皮し進化する(劇中で進化が描かれたのはスサノオのみである)。

【第一段階】

初登場時の姿。15m級
鎧を纏ったような武骨な佇まい。カラーリングはグレー主体で後の形態に比べて装飾が乏しい。

長い眠りについていたため、魔空戦神の中で唯一第一形態の状態で登場。そのため他の魔空戦神に比べてサイズが一回り小さい。専用の補給設備を持つ他の魔空戦神とは違い、エネルギー補給に難儀することが多く、劇中では窮余の策として休息時にタケル達に岩石を食べさせてもらうシーンが時折見られた*6

第一段階故に、既に次の段階に進化している他の魔空戦神に力負けしていること、タケルがスサノオの扱い方を全く把握していなかったこと、それに加えてスサノオの心が邪悪なままだったためにタケルと意思が噛み合っておらず、敵の量産機であるドーグなどは容易く撃破出来るものの、魔空戦神相手には苦戦する場面が多かった。
やたら目力はあるのに無表情でどつき回される様はなんとなくシュール。

【第二段階】

浮島で繭に包まれたスサノオが脱皮した姿。20m級。
各部にブルーカラーと金色の装甲が追加された派手なデザインになり、サイズも一回り大きくなっている。

他の魔空戦神はこの段階から飛行可能になる機体が多いが、本機は背部にブラインドシャッター方式のスラスターが設置されたもののまだ飛行出来ない。ただし、敵の攻撃を受けて仰向けに倒れそうになった際にスラスターからの噴射でそれを防いだり、ジャンプの際に噴射する描写が存在した*7

内蔵されていたオロチ玉は進化直後にスサノオから抜け出し
ツクヨミの邪悪な意思から開放されたことで、ここでようやく名実ともにタケルの相棒となった*8
なお、スサノオのオロチ玉は後に建造されるガイオウに取り込まれ、再利用されている。
初戦こそアラノオを倒したものの、まだ第二形態なこともあってか第三段階相当のガイオウやタマノオには苦戦する場面があった。

TV版では、放送短縮の影響で第三段階には進化せず、最後までこの姿で戦い抜いた。

【第三段階】

OVAで登場した姿。30m級。
全身の装甲が赤紫色に変化。頭部(顔面)以外の形状が大きく変化しており、胸部と両肩に顔のようなレリーフが追加。比較的、前の形態の面影を維持しつつ進化してきたそれまでの姿とはガラリと印象が変わり、その際に体型自体も逞しい物となり、古代の戦士を思わせるシルエットとなった。そして、この段階に進化したことでようやく飛行可能となった。

TV版では、放送短縮の影響でこの段階に進化はしなかったが、ツクヨミとの最終決戦にて「光の巨人」という形で登場した*9


○武装

  • カイザーナックル
前腕部の装甲を90度前に倒して拳を包み、敵を殴りつける武器。
OPでは電撃を放つような遠距離攻撃もしているが、本編中でそのような使われ方はされなかった。
砂漠のワーム型の怪物を撃破した時には殴られたワームが真っ黒な消し炭になっており
純粋な打突武器ではなくなんらかのエネルギーを流し込んで破壊する機能も備えていると思われる。
第二段階からは手の甲の装甲で殴りつけている。

胸部の球体に集めたエネルギーを火炎に変えて放つ。タケルの父の分析では約4000度とのこと。
第一話でドーグを破壊したがそのままヤクモの畑を焼き尽くしてしまう。その後も度々使用されたが、タマノオを始めとした魔空戦神には通用せず微妙な扱いとなった。
長い砲身こそ持たないが球体周囲の装甲ごと微妙な射角調整機能があるほか
撃ち出した火球を数発に分散させて広域を焼き尽くすこともできる。

  • 胸部ビーム
第三段階で使用。
胸部の球体から強力なビームを放つ。合体魔空戦神を一撃で瀕死に追い込む程の凄まじい破壊力を持つ。

  • 肩部レーザー砲
第一段階では肩の装甲が展開し露出した砲身からレーザーを放っていた。
第二段階では肩部の形状が変化したためかほとんど使われず、代わりに電撃や光弾を放つようになる。
なお、スサノオの肩部のハッチはレーザー砲の発射口の蓋のはずだが、アニメ本編の提供バックでは肩のハッチが開いてデフォルメされたタケルが出てくるという演出がある。

  • クサナギの剣
この物語における「三種の神器」のひとつに該当する巨大な剣。
背景は不明だが、魔空戦神(スサノオ)が装備するほどに大きなサイズの剣とは別に
人間が持てるサイズで同名の「クサナギの剣」*10が存在し、両者は互いに呼び合う関係にある。
スサノオが埋まっていた地下洞窟の中からタケルが発見した。
クサナギの剣(小)が、クシナダの駆る魔空戦神・トキノオとの戦闘中に光を放ち、それに応じるようにスサノオの武装であるクサナギの剣(大)が衛星軌道上に浮遊する無数のアステロイドの中に収められていた状態から覚醒し、地上に飛来。以降はスサノオの携行武器となった。

西洋剣のような両刃の拵えで、普段は鞘に納められ背面に背負う形で装備されている。
序盤で入手し主要武器として多用されたが、よく落としたり敵に使われたりする。
第一段階では機体サイズに対して剣が大きかったため、使用する度に鞘ごと地面に突き刺して鞘から抜いていたが、第二段階からは機体が大型化したので、背負ったまま鞘から抜いている。
OVA版では、第三段階の進化に伴って日本刀のような反りのある剣に変化。鞘はなくなり、抜き身のまま腰に下げている。

  • ミカガミの盾
中盤のデスリング編にて、適当な武器としてガラクタの中から見繕ってきた鉄板が変化した盾。
相手の攻撃を跳ね返す効果を持ち、非使用時には腕と一体化する。
シンプルでなかなかカッコいいデザインだが全然使われない不遇な装備。
TV版の最終話で登場した光の幻影として搭乗した第三段階では標準装備されていたがOVA版では何故か消え失せている。どこへやった。


○劇中の活躍

【TV版】

ヤクモ村近くの岩山の中で永い眠りについていたが、偶然洞窟に迷い込んだタケルが乗り込んだことで覚醒。
初戦からドーグ(ツクヨミ陣営の量産機)を撃破してみせるが、元々村で一番の乱暴者でもあったタケルの気性にスサノオの中にあるオロチ玉に込められたツクヨミの邪悪な意思が共鳴してしまったためか、タケルはスサノオを制御しきれずに暴走させてしまい、村に甚大な被害を出してしまった*11

タケル一行との旅の中で各地の盗賊や怪物、オロチ玉を狙い襲ってくる他の魔空戦神達をなんとか退けつつ、中盤で第二段階に進化する。その際にタケルの心の奥底に触れたことと、機体内に納められていたオロチ玉が外に抜け出したことなどから、序盤からスサノオが度々暴走する原因となっていたツクヨミの邪悪な意思がスサノオから薄れていき、徐々に、真の意味での「タケルの相棒」へと近づいていった。

終盤、ヨミの国での一件を経て完全に邪悪な心が消え去ったことで遂にタケルと真に一心同体となり、ツクヨミとの最終決戦では、三種の神器を揃えたタケルと共に、一時的に第三段階の姿に相当する「光の巨人」に変幻し、ツクヨミとヤマタノオロチを一刀両断し、これらを撃破した。

戦いが終わった後は、タケル達と共にヤクモ村へと戻り、元いた岩山の洞窟に納められることとなった。


【OVA】

TV版の戦いの後、かつて自身が発見されたヤクモ村近くの岩山の中に封印されていたが、ヤクモ村を襲ったシュラノオと戦うためタケルによって封印を解かれる。だが、いまだ第二段階の姿のままだったため、シュラノオに終始圧倒され、右上半身を切り落とされ、村近くの湖に沈められてしまう。

絶体絶命の中、湖底に眠っていた龍の揺り籠*12の力を受けて遂に第三段階に進化。攫われたオトを助けるため、復活したツクヨミとカゼノオとガイオウ以外の魔空戦神が合体した異形の敵である合体魔空戦神と交戦。

最期はツクヨミを完全に滅ぼすため、スサノオはタケルとオトを自身から降ろし、そしてツクヨミの呪いから解き放たれたミカヅチの魂と共に*13ツクヨミごと太陽へと向かう。
その途上、スサノオの名を呼ぶタケルの声に気付いたのか、苦楽をともにした相棒へ最期の別れを告げるかのごとく一瞬タケルのいる方を見やったスサノオは、ツクヨミを道連れに太陽へと突入し消滅したのであった。


○立体化

  • 魔空戦神シリーズ
タマノオと共に磐梯から発売された。
素体の両足と腰を伸ばし、アーマーを付け替えることで第一段階から第二段階への成長を再現しているが、素体の首は伸ばせないため、第二段階では首がアーマーにめり込んだような姿になってしまう。
パッケージの商品写真ではめり込んでいないので、半ばパッケージ詐欺である。

  • MODEROID
第2形態が放送30周年という時を超えての初プラモデル化。
引き出し式の関節部で高い可動性を確保しており両手持ちで剣を構えるなどのポージングもできる。
交換用の手首やカイザーナックル・クサナギの剣・ヤタの鏡が付属。
コクピットの球体など一部のパーツはクリア成形。

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最終更新:2025年04月26日 08:29

*1 エネルギーが充分に補填されると緑の光が点るなど

*2 ただし、タケルが吹かないと効果がない。当初は吹いている間しか動かないので移動中はずっとタケルは笛を吹き続けないといけなかったが、すぐに一度吹くだけでON/OFFの切り替え感覚でスサノオが勝手に歩行してくれるようになった

*3 更にオトは、OVA版にてタマノオを操縦している

*4 誤射のレベルでなく明確に人の住む集落に執拗な攻撃を繰り返す・破壊されたマシンから脱出しようとした搭乗者をピンポイントで殴り潰そうとするなど

*5 劇中ではタケル達に食べさせてもらう描写があり、その際はまずスサノオが「あ~ん」と口を開ける

*6 以降の形態では見られなくなったため、これは進化のためのエネルギーを蓄える側面もあったのではないかと思われる

*7 なお、放送当時に刊行された雑誌B-CLUBの資料では飛行可能と記述されていた

*8 このことからもわかるように、魔空戦神自体はオロチ玉がなくとも運用可能である

*9 なお、OVAのデザインとは微妙に差異がある

*10 かなり重い

*11 結果的に、これが原因で村から追い出されるような形でタケル達は旅に出ることになる

*12 TV版中盤にて入手した龍型の空飛ぶ船で、タケル達の旅を支える母船であった

*13 長い回り道をしたが、ここでやっと本来のスサノオの操縦者であったミカヅチがスサノオと共に戦うという、最初で最後の機会を得た瞬間でもあった