ヤマトタケル(アニメ)

登録日: 2013/08/07 (水) 20:41:37
更新日:2025/04/25 Fri 10:52:25
所要時間:約 7 分で読めます




1994年にTBS系列で放映された日本アニメーション制作のロボットアニメ
全37話。
総監督は「魔神英雄伝ワタル」シリーズの井内秀治。




【概要】

元々は実写映画の「ヤマトタケル」等とのメディアミックスの一つとして展開された作品。
そのため実写版同様日本神話のワードを取り込んだ独特の世界観を持っているが、設定自体はあくまで独自の物となっており、実写版や漫画版との直接の関連は無い。

独特にデフォルメがなされたキャラクター仏像や神像をモチーフにしたロボットが活躍するのが特徴。
また、そのキャラデザのため一見明るくコミカルな作風に見えるが、実際は「立場や土地で変わる正義」や「肉親との争い」などストーリーは割とシリアスな部分が多い。
リアル頭身の作画だったら恐ろしくグロイ絵面になっていたであろうシーンも少なくない。

今でも一定の人気はあるものの、当時は視聴率が振るわず映画が終わりスポンサーが下りたことなどから、本来なら4クール(一年間)だった放送期間を3クール(36話)に短縮され、更に放送調整の関係で総集編の37話が放送された。
そのため玩具等の展開も非常に少なく、知名度の低い作品となってしまっている。

また、本編の補完として最終回から三年後を描いたOVA「ヤマトタケル~After War~」が発売されている。
しかしオトの出生に関する詳細などOVAでも結局説明されなかった事柄も多い。



【主題歌】

●OP
前期「真夏の扉」-GLAY
後期「Flower of Desert」-濱崎直子
●ED
前期「RAIN」-GLAY
後期「Twilight Songs」-濱崎直子

前期OP「真夏の扉」はメジャーデビューしたばかりのGLAYの楽曲だが、ソフト化の際の契約料が高額になってしまったため収録されておらずDVD等でも映像はそのままに後期OPに差し替えられている。
ちなみにカラオケだと地味にJOYとDAM双方でアニメ付だったりする。



【ストーリー】

25世紀。移民宇宙船で地球を旅立ち長い旅を経た末オーナム星系の惑星イズモに辿りついた地球人たちはその星に移住しイズモの人々と共存を始めた。
その12年後、ヤマタノオロチの復活を目論むツクヨミが魔空戦神スサノオを狙い村を襲撃。
その混乱の最中、偶然スサノオに乗り込んだ少年ヤマトタケルはヤマタノオロチをめぐる戦いに巻き込まれていく。



【登場人物】

◆主要キャラクター


◇ヤマトタケル
CV:亀井芳子
主人公。13歳。
ヤクモの村に住む少年でガキ大将。
根は優しく強い正義感も秘めているのだが、腕白で喧嘩っ早いうえ拗ねて意固地になりやすいところがありよく問題を起こす。
偶然スサノオに乗り込んだが制御出来ず、戦闘の際に村の畑を焼き尽くしてしまったことがきっかけで半ば家出の延長で村を離れ旅に出る。
旅の中で様々な人々と出会いを果たし成長していく。

◇ロカ
CV:緒方恵美
ヤクモの村に住む少年でタケルの友達。13歳。
タケルとは正反対に気弱で引っ込み思案だが賢く、村を追放されたタケルと一緒に旅に出る。
男の子だが中の人の演技もあってすごく可愛い。
OVAではメガネをかけている。可愛い。

◇オト・タチバナ
CV:かないみか
ヒロイン。13歳。
旅の途中一行に加わったピンク髪の少女。
気が強く、時には短剣で戦うこともある戦うヒロイン。
実はミカヅチの妹で魔空戦士の一員。タケルを暗殺するために送り込まれたが旅の中で共に危機を脱するうちにタケルに好意を抱くようになってしまう。
魔空戦士であるため魔空戦神を操縦することもできる。

◇マ・ホロバ
CV:茶風林
年齢不詳。
伝説の霊能者。ツクヨミやヤマタノオロチに関する知識を有している。
要するに物知りな仙人ポジションだが見た目はほとんど妖怪。「むっひょひょ~」と笑う。
天候を操ったり結界を張ったりと一応実力は本物だが普段は女好きのスケベジジイ。
一行に加わるがオトによくセクハラをはたらく。

◇カオン
CV:矢島晶子
終盤一行に加わった少年。僧侶のような恰好をしている。
古代イズモ人の指導者の生まれ変わりと言われテレパシー等の超能力を使える。
アマツミの死後はタマノオを操縦している。
何故かOVAには全く出てこない。


◆ツクヨミ陣営


イズモとその月の中間地点に浮かぶ三面を備えた奇岩の如き本拠地「魔空要塞」に潜む者たち。
主のツクヨミとそれに忠誠を誓った「魔空戦士」の他にも多数の従者が確認できる。
機動兵器「魔空戦神」の他にもドーグのような量産型の機体を擁し
その総戦力はイズモのテクノロジー水準では到底太刀打ちできない。
目的は魔王ヤマタノオロチの復活の鍵となる「オロチ玉」の回収であり
イズモで発見されたスサノオの奪取を狙うのもスサノオに収められたオロチ玉を得んがためである。

一見そうは見えないが魔空戦士は大半が十代前半の少年少女で構成されており
魔空戦神の成立が100万年を遡ることを考えるとかなり急造の面子。
そのためか仲間内での衝突が多く命令と関係ない興味や好奇心で
タケルたちにちょっかいをかけるような形で出撃する者もいるなど
個人単位での戦闘力はさておき、組織としての統率性は若干心許ない。


◇ミカヅチ
CV:森川智之
魔空戦士の一人でありオトの兄。15歳。
刈り上げた上にパセリを乗っけたような独特のヘアスタイルが特徴。
刀身まで全て金色の刀を帯びている。
魔空戦士としてのプライドこそ高いものの、とにかく粗暴で沸点の低い少年で
仲間内からも煽ればすぐ噛みついてくる単細胞さを弄られて毎回おもちゃにされている。
また、現地人であるタケルたちを「下等な生き物」と見下しており
非武装で戦意のない相手に一方的に斬りつけたり
スサノオを持ってこさせるために傷ついたタケルの父を人質にするなど
対等と認めない相手には普通に卑劣な手も使う。
ただ、妹であるオトへの思いやりはあり何もかも腐った外道というわけでもない。

本来は最後の魔空戦神であるスサノオの搭乗者になる予定だった。
しかしスサノオの発見が遅れたことから魔空戦士でありながら乗機がないという状況に
コンプレックスを抱いており、序盤からスサノオを奪取することに強い執着を示していた。
しかし、先にタケルにスサノオを奪われそれ以降
彼をライバル視して執拗に狙い続けることになる。
しかし度重なる敗北の後、スサノオのオロチ玉を収めた新たな魔空戦神ガイオウの
邪悪な力に取り込まれ邪気眼を発病。一気に外道な性格に。
しかしOVAではきれいなミカヅチに戻る。

◇アモン
CV:古田信幸
魔空戦士のリーダー格の男。16歳。
眼帯を付けている。16歳だが見た目は20代後半から30代のオッサンにしか見えない。
ツクヨミへの強い忠誠心を持つが仲間内からはあまり信頼されていない可哀想な奴。
最強クラスの魔空戦神シュラノオを操る実力者である。

◇アマツミ
CV:石田彰
魔空戦士の一人。14歳。
長くてモコモコした青白い髪が特徴の少年で若干ナルシスト。
基本的にイヤミできざったらしい奴なのだが
顔見せ時の去り際にタケルに対して「命が惜しくばスサノオには近づかぬことだ」と
かなりもっともな忠告をしているあたり、意外に気配りができる子なのかもしれない。
乗機のタマノオ共々出番は多かったがキリオミに敗れ
彼を道連れにしようとして自分だけ死ぬというしょっぱい最期となった。

◇オウカ
CV:安西正弘
魔空戦士の一人。15歳。
大柄な体格が特徴の男であるが見た目に反して冷静で寡黙。オトに好意を抱いており彼女に危害を加える者はたとえ仲間だろうと容赦しない。
アラノオを操る実力者であったがミカヅチにアラノオをパクられたうえに壊され、その残骸からオトを守り死亡した。

◇キリュウ
CV:高木渉
魔空戦士の一人。15歳。乗機はシシノオ。
緑色の肌と逆立った金髪、横に裂けた口が特徴の亜人風の男。
いかにも残忍そうな雰囲気に違わず敵に恐怖を味わわせたがるSっ気がある。
超能力戦士であり、両端に鋭い穂先を備える3本の手槍*1を念動力で自由に操ったり
相手の心を読むことで疑似的に未来を予知して先を取る能力を持つが
後者の能力は「雷が鳴っている間は発揮できない」という妙な弱点があり
マホロバ曰く「どうってことはない」。

◇クシナダ
CV:折笠愛
魔空戦士の一人。そうは見えないが14歳。トキノオを操る。
最初に挑戦してきた時は廃墟と化した寺院で待ち伏せしており
トキノオを偽装した御神体に使える巫女としてノリノリでコスプレを披露している。
タケルを騙すとかでなくすぐ戦闘開始していたので単に好きでやってたのかもしれない。
後半はキリュウとつるんでいるくらいであまり活躍がない。

◇キリオミ
CV:喜田あゆ美
魔空戦士の一人。13歳。乗機はカゼノオ。
ネコ科動物のような細い瞳孔とギザ歯が特徴の小柄な少年で
ミカヅチと並ぶタケルのライバル
序盤でタケルのスサノオに敗れ退場したかに見えたが終盤に再登場し味方となった。
OVAではカゼノオと共にTV版と変わらない姿で登場した。

◇ハヤミカ
CV:木藤聡子
魔空戦士の一人。14歳。
ロリっ娘でありオトを「オト姉」と呼び実の姉のように慕っている。でもオトより年上である。
ツキノオに乗っていたがオトの説得に応え仲間になった。
OVAでは成長しナイスバディになっていた。
なお、対ヤマトタケルの学級会作戦会議で「みんなで一斉にやっちゃえば?」という
物凄く合理的な提案をしている。そうしとけば早く片付いたのに…

◇ツクヨミ
CV:堀内賢雄
魔空戦士達を操りヤマタノオロチ復活による全宇宙の支配を目論む悪の根源であり今作のラスボス
本拠地である魔空要塞の中枢にあるカプセル状の物体から
立体映像のように浮かび上がった姿で配下に指示を出す。
顔の上半分を覆った不気味な仮面とおどろおどろしいオバケみたいな声色もあいまってかなり怖い。
「闇そのもの」とでも呼ぶべき不滅の存在で、TV版で敗北しながらOVAでも再登場している。

なお、堀内氏は毎回冒頭のナレーションも担当しているがそっちはイケメンボイスなのでギャップが際立っている。



魔空戦神

ツクヨミによって作り出された生きたロボット
かつてオーナム系の七つの星を滅ぼしたとされる破壊神たち。
鉱物を動力とし自己再生能力や脱皮による第三段階までの進化等生物的特徴を持つ。
魔空戦神に乗る者は魔空戦士と呼ばれる。

以下、名称(登場順)
  • スサノオ
  • タマノオ
  • トキノオ
  • シシノオ
  • カゼノオ
  • アラノオ
  • ガイオウ
  • シュラノオ
  • ツキノオ

共通する要素として胸部にある球体にコクピットを持つ(ガイオウのみ球体が露出していない)。
なおタマノオ、アラノオ、ガイオウ、シュラノオは初登場時既に第三段階まで成長を遂げている。
なお、スサノオのデザインは実写版のウツノイクサガミにどことなく似ている。

作中で活躍するロボットは基本的にこの魔空戦神に類する物だが、他にも純粋な機械ロボットが敵として登場することもある。
特に中盤のデスリング編ではギガンデス、ヒルコなど「格闘機」と呼ばれる競技用のロボットが複数登場している。


【ヤマタノオロチ】

ツクヨミによって作り出された邪悪な生命体。
強大な力を秘めており、復活すれば全宇宙を滅ぼしてしまうと言われている。
100万年前にツクヨミ共々封印されてしまったが現代で復活したツクヨミの手で徐々に再生されており、スサノオの持つ《オロチ玉》を取り込めば完全復活できるところまで来ている。
サイズは惑星に匹敵し体色は赤く巨大な翼が生えているなど実写版のオロチとは大分差異がある。どちらかというとギドラ寄り。



三種の神器

オーナムの星々のどこかに眠っているという三つの神器。
聖剣「草薙の剣」、玉笛「八坂の勾玉」、そしてアマノシラトリを統べる盾「八咫の鏡」。
オロチ封印の鍵とされ、「選ばれし者」がこの三つの神器を携え「オーナムの星の魂が集まる場所」に行くことでオロチを封印し滅んだ七つの星をよみがえらせることができると言われている。



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最終更新:2025年04月25日 10:52

*1 これらは連結して1本の両刃槍としても使える。