登録日:2012/04/17 Tue 09:32:01
更新日:2025/03/23 Sun 17:55:19
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山々を分け入り
ほう、よくぞここまでたどり着いたものだ
ご苦労だった…と言いたいところだが
キミには消えてもらおう。
我ら菌類と人類、幾千年の闘争は
我らの勝利により終焉を迎える……
どこまでもがき苦しむか、見せてもらおう。
死 ぬ が よ い
この先には
暴力的で
鬼のような
菌類が
あなたをまっています。
それでも閲覧しますか?
はい 上等 正に恐悦至極
カエンタケはニクザキン科ツノタケ属に属するキノコ。
天然化学兵器と表されるほど極めて強力な毒性を有し、毒性ではまさに最強最悪の毒キノコである。
カエンタケという名前通りまるで燃える炎のような赤色と、幾重にも枝分かれした棒のような形が特徴。
色と形から「火炎茸」というわけだが、見ようによっては地獄から助けを求める亡者の手指にも見えるような……。
しかし中の果肉は白く非常に固い。
キノコ≒菌類なので自力で栄養は作れないため、今のところは他の菌糸類の栄養分を奪って生育しているのではないかと考えられている。
最大の特徴は先にも述べた通り、含有するマイコトキシン類による極めて強力な毒性。
その強力さたるや致死量たったの3g。
一本どころか一かじりでもすれば充分に死ねます。
誤食率、致死性において世界最強の
毒キノコと名高い
ドクツルタケが15g(ちょうど一本分)であることからもいかに強力かがわかるだろう。
不幸にも口にしてしまえば嘔吐・腹痛・下痢のキノコ毒お馴染みの中毒症状から始まり。
全身の皮膚が爛れ
呼吸困難に陥り
動くことさえままならず
まともに言葉も発せられなくなり
血中の白血球・赤血球が激減し
新たに血液を造ることも叶わないまま
生命維持に必要な多数の臓器の機能が停止する
という数え厄満とも称される多彩な中毒症状が生物のありとあらゆる部位を破壊しつくす。まさにオーバーキル。
僅か2、3日で悶え苦しみながら死に至り、万に一つ助かったとしても、
という追加攻撃に一生苦しめられる事になる。
その強烈な毒性はかつて
ベトナム戦争で使用された化学兵器に酷似している。
また汁には皮膚刺激性があり、触れるだけでも炎症を起こす。
こちらに関してはそこまで強烈なものというわけでもなく、体質や汁に触れた状況次第ではほとんど症状が出ないことすらある……が、目に入ったりするとさすがに危険だし、発ガン性などの長期的なリスクもありうるため、甘くは見ないほうがいい。
素人は見かけても触ったりせず、駆除の必要があるなら専門家に任せよう。
味は非常に苦く、齧ってしまうと先にも述べた汁の影響から口内が酷い
口内炎になる。
また
「一口、口に含んだだけで頭部を鈍器でぶん殴られた衝撃に襲われる」という体験談もある。
「苦っ」…これが彼の最期の言葉だった…という感じになりかねない。
マジで。
キノコの有毒判断には口に含んで味をみる方法もあるが、カエンタケに関しては絶対に行ってはならない。
というかこれはカエンタケじゃなくても非常に危険な行為なのでダメ、絶対。
他にも仮に食べられるキノコでも生食はダメという種はかなり多いので、キノコ全般において基本的に生食も厳禁。
しかし先に述べた通り、毒々しすぎる見た目や固い肉質といった食欲の失せる要素に加え、そもそもが希少なキノコであることから実際の中毒例は非常に少ない。
近年は確認事例が増加傾向にあるようだが、同時に世間での認知度も高まっているので、知らずに食べてしまう人は今後もそう多くは現れないだろう。色々と見た目が特徴的すぎるし……。
一応、実際に誤食事例があった可食菌としてベニナギナタタケが挙げられる。幸い肉質の固さなど異なる特徴も多数あるので判別はそこまで難しくはないが、注意はしておくべきである。
また、いわゆる冬虫夏草との誤認事例もあるようだ。一見似ても似つかないように見えるが、キノコは育ち具合や状態の良し悪しで見た目が大きく変わってしまうこともあるので、ありえない話とも言い切れない。
そのため近年まで毒があるのかすら分からない有様で、「有毒」ではなく「食用に適さない」程度の認識しかなかったりした。
90年代あたりまでのキノコ図鑑には食不適や食毒不明という記載があったり、そもそも載ってなかったりなんてことはザラだった。
この強力な毒性については多少の報告はあったものの、マウス検査で24時間以内に症例が出なかったりしたために、疑いがあるのみで確信するまでには至っていなかった。
しかし1999年に、旅館のロビーに置かれていたカエンタケを客が盗みだし、酒に浸してキノコ酒として飲んだら30分後ぐらいに5人全員の体調が悪くなり(そのものを食べた者もいる模様)、5人のうち3名が重症で入院。2日後に1名が亡くなり、残り2名も脱毛や脱皮などを伴う症状で長期入院したという中毒事件が発生。
これがきっかけとなり、強力な毒性を持つことが完全に判明した。
一応江戸時代の植物図鑑『本草図譜』『梅園菌譜』に彩色図版とともに「大毒ありといへり」と記録されてるので、
どうやって調べたのかは不明(実体験があったのか、小動物に食べさせたのか、イメージなのか)だが、昔にはその危険性が認識されていたようだ。
そういうわけで、毒性に関しては相当に強烈なものがあるカエンタケだが、実際の被害という点ではそこまでのものでもなかったりする。
上の方で「死ぬがよい」とか散々煽ってるように近年はとかく危険性についてセンセーショナルに取り上げられがちだが、「別に自発的に人を襲うわけでもないし、元々あった生態系の中で生きているだけの存在なのに、過度に危険性を強調して駆除を煽るのはいかがなものか」という声も少なからずある。
実際、ひどい水虫にかかった足の画像が「カエンタケに触れたことによる皮膚炎の症状」として拡散されたり、「近くで息をするだけで危険」とか「触れただけで死ぬ」などと明らかに間違った情報が出回ることがあったりと、ネット上でも「最強の毒キノコ」というイメージが一人歩きしすぎている節がある。
子供が知らずに触ったり口に入れたりしてしまう危険もあるので、公園などでは駆除されるのもある程度致し方ない部分もあるのだが、彼らも人類の敵とかではなく素手で触れたり食べたりしなければ何の害もないごく普通のキノコである、ということは念頭に置いておきたい。
※ この項目を追記・修正をしようとしているアニヲタのみんなは、もし万が一見つけても触ったりしないようにね!アニヲタWikiとのお約束だぞ! ※
- 毒キノコはよく二重の意味で死ぬほど美味いと言われるけど、こいつは苦いから味すらも救いがないのか… -- 名無しさん (2017-05-27 23:34:51)
- 神農さんはやっぱりこいつもかじったんだろうなあ -- 名無しさん (2017-05-28 00:18:40)
- ↑2 コレ見て酒に浸して飲もうなんて発想した客は死ぬほど美味いだろうと思って飲んだのかなあ -- 名無しさん (2017-08-25 22:48:44)
- 神奈川の公園に現れたと聞いて。まだ生えるかもしれないから近所の人気をつけてね -- 名無しさん (2017-08-30 14:05:19)
- あっちがミラルーツならこっちはミラバルカンってところか。赤いし殺傷力クソ高いし -- 名無しさん (2018-09-14 17:05:09)
- これの生きた姿一度見てみたいなぁ。 前展覧会で見たときは薬品で漬けられて保管されてた状態だったんだ。 -- 名無しさん (2018-09-27 15:45:11)
- ぼくこんなに死にそうな見た目してるのに人間さんはなんで食べちゃうの -- 名無しさん (2019-06-02 02:38:28)
- 例えるなら、スズメバチはKeter、これはSafeってところか。(手を出さなければ大丈夫だから -- 名無しさん (2019-09-29 17:14:01)
- 見えている地雷 -- 名無しさん (2019-12-02 11:22:23)
- ↑スズメバチは縄張り入ると警告してすぐには攻撃しないようなかなり理性的な生物だからketerと言われると・・・ -- 名無しさん (2020-02-25 13:39:15)
- 食虫植物の中に入れたらどうなるんだろう?… -- 名無しさん (2020-02-25 14:04:36)
- 確認されてる範囲で最初に食べた人たち(殆どがキノコ酒のようだけど、食べたって事で)は、見た目からして何で食べたの・・・?美味しそうというか、喰えそうに見える?と思うが、知ってるから余計に美味しそうに見えないのに加え、美味しい食べ物でも恐ろしい見た目のもあるだろうと思うとわからないから、まあ・・・難しいな・・・ -- 名無しさん (2020-06-27 18:57:31)
- 踏み潰したりなんかしたらブーツから毒が伝わってきそう -- 名無しさん (2020-07-01 16:05:08)
- これのいいところは「一目でやばいとわかる」ってことだな -- 名無しさん (2020-07-01 16:21:31)
- この記事某財団にありそうな雰囲気ですこ -- 名無しさん (2020-09-21 17:48:07)
- 山野でキノコ狩りや釣りをしているある人のつべチャンネルを登録してるんだが、その人の動画にもさくっと出てきた。マジで増加傾向らしいな(汗 -- 名無しさん (2020-09-21 18:18:10)
- 余程殺したい相手に食わせたいと思ったりするけど、多分食わせる前にこっちが死ぬよねw -- 名無しさん (2020-12-06 16:33:34)
- 耐性をつけてからとかフィクションのキャラでもない限り不可能だろw -- 名無しさん (2021-01-28 11:02:54)
- 薬屋のひとりごとに出てたけど他にフィクションでの使用例ってあるのかな? -- 名無しさん (2021-03-24 14:53:55)
- ログ化を提案します -- 名無しさん (2022-03-02 21:55:16)
- 野生の動物が食べちゃったりしないんだろうか。こんな酷い死に方は例え害獣でもしてほしくない -- 名無しさん (2022-03-02 22:07:36)
- コレといいハッカクキリンといい、自然毒も凄まじいもんだな -- 名無しさん (2022-05-30 23:46:33)
- ログ化しました。 -- (名無しさん) 2023-05-17 17:02:33
- 増加というか認知度上がって報告増えただけじゃね? -- (名無しさん) 2023-05-18 09:33:05
- 皮膚接触での毒性はぶっちゃけ特に強いもんでもないらしい(触った手で目を擦ったりしたらそのまま失明ルートだけどな) -- (名無しさん) 2023-08-15 03:53:07
- チコちゃんに叱られるで1度危険な毒キノコTOP3ってのやってたけど、カエンタケが2位だったのが理解できんかった。明らかに1位のドクツルタケより毒性が恐ろしいはずなのに -- (名無しさん) 2024-04-22 13:01:27
- ↑この記事にもちょっと書いてあるけど「毒性が強い」のと「危険」なのは違う カエンタケは「毒が強い」けど見た目がグロい上に特徴的だし数も少ないから間違って食うこととか滅多にないんでそんなに「危険」じゃない、ドクツルタケは死ぬくらい「毒が強い」だけじゃなくて見た目美味しそうだし毒々しくもないから間違って食べやすくて「危険」 -- (名無しさん) 2024-04-22 13:44:35
- ↑ぶっちゃけ本当に危険なのは中途半端な知識の人間が引っかかりがちな地味な毒キノコの方。カエンタケの事例なんて酔っ払ったバカがやらかしただけだし。というかほとんど毒性だけで2位になってる時点でカエンタケのポテンシャルの高さがわかるな -- (名無しさん) 2024-06-12 11:47:00
- カエンタケの救いはいかにも毒がありそうな見た目だわ -- (名無しさん) 2024-08-10 13:22:44
- 高いよ高いよカエンタケ〜 -- (名無しさん) 2024-12-12 18:56:56
最終更新:2025年03月23日 17:55