ディスる

登録日:2012/04/15(日) 11:15:56
更新日:2024/02/07 Wed 06:57:15
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ディスるとは、『尊敬する』『敬意』等を意味するrespect(リスペクト)の対義語disrespect(ディスリスペクト)を略した言葉で、
『けなす』『馬鹿にする』等を意味を持つスラング



元々はヒップホップ業界で使われていた用語だったが、アーティストやファン達が様々なメディアでこの言葉を使っているうちに若年層を中心に浸透。
今ではヒップホップとは関係が無いあらゆる分野で使われるようになった。


またTBSの番組『リンカーン』内の企画『世界ウルリン滞在記』にて、
中川家の兄・剛がヒップホップクルー練マザファッカーの下に滞在した際にも、『ディスる』と言う言葉が頻繁に登場した。
練マザファッカーのメンバーと一緒にバイト中に、仕事をしくじった中川家の剛とメンバーの、

(;´ω`)『ディスった! ディスった!』


『お前「ミスった」みてぇに使ってんじゃねえよ!』
(゜Д゜#)

の会話が浸透に寄与したとかしないとか。



また互いに公然とディスり合う事をbeef(ビーフ)と言い。
『アイツはヘタクソ』
『俺のパクリだ』
等の悪口や言いがかりに近い歌詞もあるが、ヒップホップではよくある事です


そもそもヒップホップはNYのスラム街で行われていたブロックパーティー(ご近所みんなで行うパーティー)で生まれ、
ギャング達の喧嘩の代用品として発展したという歴史がある。ラップ対決などはその最たるものである。
その為、地元自慢や自分や仲間を賞賛する歌詞と同じくらい他者に対する『口撃』が多く、
如何に上手くラップを用いてそれらを表現するかが本物か否か、尊敬を勝ち得るか否かの基準になっていった。

むしろ色んな奴らに噛みついていく姿勢が、ファンには反骨心や闘争心を感じさせ、
YEAH!! ○○○マジヤバいぜ!!!!』みたいな感じで評価される事もある為、気に入らない奴を積極的にディスっていく姿勢がアーティスト側にも求められる。

また、その歌に答える形の歌をアンサーソングといい、これまたうまく返すと大きな評価を得られる。

言わば伝統ですので、暖かい目で見守って下さい。



あまり明確な勝敗は付き難いが、当然あまりにも人気や実力差があり過ぎたり、
ディスった後で自分が本物でない事が露見してしまったりすると完全に敗者として痛い子扱いを受けるが、それも含めてひとつの文化。

ヒップホップファンの本物裁判は、処女厨処女裁判並みに厳しいのだ。


【有名なBeef合戦】


  • 2Pac vs Notorious B.I.G.
詳しくはヒップホップ東西抗争の項目を参照。

余談だが、この際2Pacにディスられた東海岸のNasは彼の死後、
彼が和解したがっていた事、自分を東海岸の代表と認めていた事実を知り、
彼への敬意と感謝を込めて2Pacと同じように頭にバンダナを巻き、彼の曲をカバーするトリビュートライブを行っている。


  • Jay-Z vs Nas
Nasの地元クイーンズ地区の連中から、Jay-Zの曲にNasの曲からパクった曲があると言いがかりをつけられたJay-Zが、
『NasはIllmatic(Nasの1stアルバム)以外イマイチだ』とディスる。
これにカチンときたNasは奮起、久しぶりの会心作『Stillmatic』をリリース商業的にも内容的にも成功を収めるが、
実はJay-Zの発言は中々良い作品が作れずにいたNasに発破をかけるためのものだと判明。
以後2人は意気投合し、NasはJay-Z主催のレーベル『デフ・ジャム・レーベル』に移籍する。

2Pacとの件といい、Nasのヒップホップ人生はまるで少年漫画のような展開である。


  • 50 cent vs Kanye West
物心つく前に父を亡くし、ドラッグ・ディーラーだった母親も幼くして失った上に、自身もディーラーとなった男。
体に9発弾丸を受けた男。
真のギャングスタ・ラッパー50 centは数々のアーティストをディスりまくる武闘派として有名だった。

そんな彼の次の標的は比較的裕福な家に生まれ、幼少期をいじめられっ子として過ごし、
長じては美大に進学した異色のMC兼プロデューサー、Kanye West。

『Kanye Westと同じ日にニューアルバムを出して、セールスが劣った方が引退する』

と引退をかけたセールス勝負を勝手にふっかけた。


そして結果は、

圧倒的大差でKanye Westの勝利。

え? 50 cent?

アイツなら未だ引退せずに、今日も元気に色んな奴に喧嘩売ってるよ?


明確な勝敗がついた珍しい例であった。


  • DEV LARGE vs K DUB SHINE
発端はDEV LARGEが自身の楽曲でK DUB SHINEのラップのスキルについてディスった事。

それに対しK DUB SHINEもアンサーソングをリリース。
日本語ラップにこだわりと誇りを持つK DUB SHINEは英語多用するDEV LARGEのラップスタイルをディスる。

互いに幾度かのBeefをしたものの決着は付かぬまま今に至るが、
ジャパニーズヒップホップのベテラン同士のBeefという事で注目が集まった。


  • ZEEBRAKj(Dragon Ash)
発端は彼らの共演作「Grateful Days」の発表後。
「Summer Tribe」以降のKjのフロウ、ステージパフォーマンスがZEEBRAに酷似しているとして、
彼はKjに対して再三警告を発していた。
(ギドラ再結成前にもDJ OASISfeat.K DUB SHINE,ZEEBRA名義で出した「ハルマゲドン」の中でディスっており、
再結成後の発禁曲「ドライブバイ」でもそれとなくディスっている)

しかしそれでもスタイルを変えないKjに、遂にブチキレたZEEBRAは、
キングギドラfeat.BOY-KEN名義で「公開処刑」をリリース。Kjを名指しで散々にこき下ろす。
が、これに対してKjは完全にビビってしまいアンサーをすることが出来ず、
ZEEBRAが一方的にKjをディスるという結果に終わった(当時についてKjは「国外逃亡も考えた」と語っている)

ちなみに同曲内ではK DUB SHINEがRIPSLIMEとKICK THE CAN CREWをディスっているが、両ユニットとは後に和解している。

ネットが普及し、他者と顔を合わせずにコミュニケーションをとることが増えた現代だからこそ今一度考えて欲しい。


他者を貶めること。
他者を傷つけることを。




追記・修正は建て主を銃撃しない人がお願いします。

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最終更新:2024年02月07日 06:57