パンツァーポリス1935(都市シリーズ)

登録日:2011/08/27(土) 15:12:13
更新日:2021/12/26 Sun 22:30:05
所要時間:約 4 分で読めます





「国とか軍とかそうゆうバカげたことより、……僕たちは自分のやりたいことを優先します


『パンツァーポリス1935』とは第三回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞した、川上稔のデビュー作にして〈都市シリーズ〉記念すべき第一作目である(ただし作品自体が出来たのはエアリアルシティが先)。
『設定・専門用語が多すぎて覚えきれない』とか『構成が複雑すぎて話が分からなくなった』とか言われる川上作品の中ではかなりシンプルなお話であり、〈都市シリーズ〉初心者が最もとっつきやすい作品だろう。



○とっても理解しやすいあらすじ
独逸軍を騙くらかし予算をチョバって超高性能航空船作って宇宙目指したバカ2人がブチギレた独逸空軍相手に大空中戦を繰り広げる。
嘘はない



○登場人物
  • ヴァルター・タールシュトラーセ
主人公。187cm、72kg。趣味は天体観測、好物はリップフェンとモーゼルヴァイン。
『宇宙に行くこと』に対して並々ならぬ意欲があり、また傲岸不遜で剛胆。軍人に囲まれた状態で軽口を叩きまくり、尋問官をおちょくったりと色々はっちゃける。
やりたい放題した人その1。

「空を越えるのに許しなんか必要ないですよ」



  • パウル・ヴァーグナー
全く新しい機構を備えた新型航空戦艦『皇城 dp-xxx』の開発者。
世界でも指折りの紋章技師であり、彼がヴァルターと協力して作製した『皇城』は独逸のみならず世界に影響を与えた。
ちなみに自分の研究所を爆破した。
やりたい放題した人その2。

余談だが、彼の爆破工作のせいでゲハイムニス機関は二年ほど穴掘りをする羽目になった。

「軍に任せるよりもな。俺達は、自分が一番に、自分たちだけで、宇宙に行きたいんだ」



  • エルゼ・ブロイアー
ベルリン大学の学生であり、世界で五指に入る武器商人ガストン・ブロイアーの娘。
独逸空軍によって落とされた『皇城』を見つけ、そこでヴァルター、パウルと出会い彼らの『宇宙に行く』という目的に共感。
『皇城』修理のために紋章技術者の手配をしたり、空戦では索敵を担当するなどヴァルターらを積極的に手助けしていく。
ラストの空戦では彼女が勝負の決め手となる。

「時代が変わるんじゃないわ」
「あたし達が変えるのよ」



  • オスカー・ミリルドルフ
独逸空軍少将。第五師団『鉄鳥(アイゼンフォーゲル)』を指揮する。堅物で老け顔だが妻子持ちで、それを知ったマウアーから驚かれた。
『皇城』の圧倒的性能と、それが世の明るみに出た場合の影響力(某総統の暴走など)*1を考えて独自に『皇城』捕獲の指揮を執った(捕獲出来た場合、解体してどこかに隠しておくつもりだった)が失敗し、最後はあえて道を譲った。

本作後これが元で失脚し退役したが、2年後異族「猫人」な妻(倫敦出身)と妻と同じ猫人な娘が国の政策「異族弾圧」*2で命の危機に晒された時亡命を選択し、家族でアメリカに移住している。

なお娘は後に『機甲都市 伯林』にて主役となるヘイゼル・ミリルドルフ
さらに同作最終巻で妻は12歳年下といううらやましい事実が判明した。

娘を救出し傷物にした男には礼を言ってからグーパンチ。
歯が折れようがグーパンチ。
振り回された人その1。



  • マウアー・シュリアー
お人好しの独逸軍人。『炎騎士(フランメンリッター)』の操縦者であり、その腕前はたしか。一度は『皇城』を撃墜した。
ヴァルターの後輩であり、彼のことを『先輩』と呼ぶ。
振り回された人その2。

後にヘイゼル・ミリルドルフの家庭教師をしたり、反独隊を結成したり、失われた技術についてまとめた『喪失技巧奇集本』を編纂したりと様々な活動を行っている。
ダウゲ・ベルガーの先輩。



○登場機体
オスカーからは『dp-xxx(デーぺー・ドライエックス)』と呼称される無所属航空戦艦。
最新技術と一種の永久機関を3つ搭載。
『自らの不備を感じ取った時、それを補うべく進化する』という機能があり、最終進化で宇宙に出ることが出来る。

その後『機甲都市 伯林』1巻時点ではアメリカを中心に国に属さず自由に飛んでいるようだが、WW2後空が閉ざされ、終戦条約で同型機の製造が禁止された後どうなったかは不明。

第一段階
《光騎士(ストラーレンリッター)》
機甲紋章:“光槍”
光剣(シュベールト、この時代の戦闘機が持つ近接用装備)による白兵戦を得意とするモード。


第二段階
《氷結女王(アイスカルトコニギン)》
機甲紋章:“氷結天使”
射撃戦を得意とし、「フィンスタールの重力術」と言われる範囲術(クンスト)と機甲紋章発動による突進が必殺技。


第三段階
《神皇(ゴートリックケーニッヒ)》
宇宙に行くための最終進化を遂げた姿。気密も万全。


  • 炎騎士(フランメンリッター)
正式名称『gpk-14(ゲーペーカー・フィルツェーン)』。
次世代主力となるべく開発された試作機で垂直離着可能。
加速力や突撃能力は『皇城』を上回り、あまりの高機動性ゆえに操縦者の技量を著しく要求する羽目になった。

ちなみに、奇襲とはいえそれまで誰も傷つけられなかった『皇城』に一撃を喰らわせた機体でもある。




宇宙に行きたいという方、追記・修正お願いします。


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最終更新:2021年12月26日 22:30

*1 実際後の『装甲都市 伯林』では『皇城』式で制作された戦艦や戦闘機が登場したため、あながち杞憂でもなかったりする。

*2 『機甲都市 伯林』の設定解説によると、第1回目の弾圧が起きたのは本作直後だったという。