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トレミーの48星座

登録日:2015/01/04 Sun 22:54:33
更新日:2026/09/22 Tue 15:14:18
所要時間:約 9 分で読めます




太古の時代───

人々は夜空にうかぶ星の並びを人や動物に当てはめていた。

デカンと呼ばれたそれらは年月を経て様々な形を生み出した。

───星座の誕生である。


紀元2世紀───
時の数学者プトレマイオスによって数多くあったそれらは48の数に纏め上げられた。

それがトレミーの48星座である。*1

概要

ヨーロッパ・アラブなどで2000年以上も使われ続け、日本においても様々な作品に要素として採用されることが多い。

星座のモチーフのほとんどはギリシャ神話から取られている。


天文学においては、近代に新しく作られた星座を加えて全天を88の星座に分割し、宇宙空間における方角を指し示す際によく用いられる。
夢もロマンもない話だがそもそも星座そのものは星の集まりではなく、あくまで地球からはそのような並びに見えるというものにすぎない。
学術的には星座とは赤経・赤緯(地球上の経度・緯度のように天球上の位置を表す座標)によって区切られた単なる領域であり、星々を結ぶ線の引き方やモチーフの形そのものには何ら意味はない。
しかし、他に目印になるようなものも見当たらないため、もっぱら星座が頼りになる。
例えば、「オリオン腕」「いて座A*」「アンドロメダ銀河」「おとめ座銀河団」などと、主に銀河以上のスケールの文脈で使われる。


48星座一覧

黄道十二星座

  • おひつじ座(アリエス)
  • おうし座(タウラス)
  • ふたご座(ジェミニ)
  • かに座(キャンサー)
  • しし座(レオ)
  • おとめ座(ヴァルゴ)
  • てんびん座(リブラ)
  • さそり座(スコーピオ)
  • いて座(サジタリウス)
  • やぎ座(カプリコーン)
  • みずがめ座(アクエリアス)
  • うお座(ピスケス)
黄道上に位置する最もメジャーな12星座。
詳しくは該当項目へ。


アルゴ座

由来:ギリシア神話で活躍する英雄たちが乗り込んだとされる巨大な船「アルゴー船」

あまりに大きすぎることから、1756年に
  • とも座(プッピス)
  • ほ座(ウェラ)
  • りゅうこつ座(カリナ)
に分割された。
厳密にいうと18世紀に「船なら羅針盤がつきものだろう」とアルゴ号の時代をガン無視*2して帆柱付近の星が集められ「らしんばん座(ピクシス)」とされ、他は小さい区分けにされていたが、のちに改めて三つに分割された、という流れ*3。
どれも南天の星座で、りゅうこつ座は全天で二番目に明るい一等星のカノープスを有する。

その他の星座

  • アンドロメダ座
由来:エチオピア王ケフェウスと王妃カシオペアの娘アンドロメダ
カシオペアがポセイドンの怒りを買ったために生贄に捧げられた。
悲劇のヒロインっぽいがパパ・ママ・ダンナ共々星座に上げられたのは中々乙である……か?
秋の星座で、ペガスス座に隣接するように存在している。
アニヲタ的にはネビュラチェーン。

  • いるか座(デルピールス)
由来:海神ポセイドンの遣いのイルカ
夏の星座で、わし座の近くにあり、小さなひし形から棒が一本飛び出たような形をしている。
デザインはくじら座といい勝負レベルで全然イルカっぽくない。

  • うさぎ座(レープス)
由来:レロス島に連れて来られた野ウサギ
冬の星座で、オリオン座のちょうど下にある。神話でも彼に踏みつぶされたんで神が哀れに思って星座に上げたとか。

  • うしかい座(ボーテス)
由来:おおぐま座を追う狩人アルカス、天空を支える巨人アトラス、初めてワインを作ったとされるアッティカ王イーカリオスなど
読み方は「ボーオーティーズ」とか「ブーティーズ」とか表記ゆれがあるっぽい。
春の星座で、一等星にして春の大三角形の一角アークトゥルスを有する。
牛飼い要素? さあ……?

  • うみへび座(ヒドラ)
由来:ヘラクレスの12の冒険に登場する怪物ヒュドラ
春の星座で、48星座ではアルゴ座に次ぐ二番目、現行の88星座では最大の面積を持つ。というか蛇に見立てられただけあって非常に長い。
近代になって作られた星座によく似た名前のみずへび座(ヒドラス)がある。ヒドラは雌、ヒドラスは雄らしい。
ちなみにヘラクレスの話に出てくるヒドラは多頭だが、うみへび座は絵では単頭にされるのが普通(星の並びも枝分かれせず1本である)。不死身の首だけが残った結果だとか。
ちなみに「うみへび」とあるが和名がそうなってしまっただけで、由来もそうだが海とは関係がない。不死鳥なのにほうおう座みたいなものか。

  • エリダヌス座
由来:太陽神ヘリオスの息子パエトーンが落ちて死んだ川
星座全体で見ても唯一「川」モチーフの星座。(ヒドラなどが川の化身という説はあるが)
冬の星座で、オリオン座の足の方から大きく蛇行しており、河口側は南方にまで行かないと見れない。
一等星のアケルナル(実際は二連星)を有する。

  • おおいぬ座(カニス・マヨール)
由来:神の猟犬ライラプス
冬の星座で、全天で最も明るい一等星にして冬の大三角形の一角シリウスを有する。
神話では「絶対に獲物を逃さない猟犬(ライラプス)」VS「絶対に捕まらない化け狐(テウメッサの狐)」という決着がつかない状況に陥り、見かねたゼウスが両方とも石化させ、ライラプスは天に上げて星座にしたという。狐の方はそのままっぽい。*4

  • おおかみ座(ループス)
由来:狼に変えられたアルカディア王リュカオン
ちなみにリュカオンは下のカリストの父親。
南天の星座で、地平線ギリギリに見える。

  • おおぐま座(ウルサ・マヨール)
由来:ゼウスのお手つきとなったためにヘラの嫉妬*5により大熊に変えられたニンフのカリスト
春の星座で、ひしゃくの形で有名な北斗七星を有する。この北斗七星があるせいなのか、熊なのに妙に尻尾が長く、神話では「ゼウスが空に上げる時にここをつかんで放り投げたから伸びちゃった」というなんとも雑な補足がある。*6
ζ星ミザール(二等星)とその脇にある四等星アルコルは二重星として有名で、ある程度の視力があれば視認することが可能。古代アラビアでは兵士の視力テストに使われていたほか、東洋などではアルコルが見えなくなると近いうちに死ぬ(≒老化により視力が衰えている)という伝説もある。見えると死ぬと認識している層も一定数いると思われるが。

  • オリオン座
由来:狩人オリオン
赤く輝く冬の大三角形の一角ビートルジュースベテルギウスと、青白く輝くリゲルの2つの一等星を有する。三つ並んだオリオンのベルトも特徴。
これらを含む一等星2つ、二等星5つからなる特徴的な形状のため非常によく目立つ、冬の星座の代表格。
『月女神の愛矢恋矢!』「冷静に考えろ、お前どこ出身!?」
このベテルギウスは(天文学的には)今にも超新星爆発を起こしそうな星で、いずれオリオンをなぞることはできなくなるだろう。「オリオン座の肩」ってやっぱりこの辺なんだろうか。
まあ仮に今爆発しても、その光が届くのは約640年後なのだが。

  • カシオペヤ座
由来:エチオピア王ケフェウスの妻カシオペア
「W」の形が目を引く北天の星座。北斗七星と合わせて北極星を探すのにも用いられる。
公式に学術用語として定められた日本語の星座名は「カシオペヤ」らしい。
アンドロメダ座にもあるように、神話では「自分(あるいは娘)の美しさはネレイデス*7でも敵わない」と言っちゃったせいでポセイドンの怒りを買ってしまった困った母ちゃん。
椅子に座った姿で星座に上げられ、休みなく*8北極星の周りをぐるんぐるん回されるという罰を受けたそうな。

  • からす座(コウルス)
由来:アポロンの眷属であったカラス
アポロンの恋人コロニスが浮気をしているという嘘をついたために追放された。コロニスが身籠っていたアポロンの子がアスクレピオスである。
春の星座で、うみへび座の背中に乗っているように見える。

  • かんむり座(コロナ・ボレアリス)
由来:酒神ディオニュソスがアリアドネに贈った冠
春の星座で、うしかい座、へび座、ヘルクレス座に囲まれるように存在している。

  • ぎょしゃ座(アウリガ)
由来:アテナイ王エリクトニオス
このエリクトニオスはギリシャ式戦車(タンクじゃなくてチャリオットの方)を最初に考案した。
一応、父はヘパイストス、母はアテナとされる。
冬の星座で、一等星のカペラを有する。エプシロン星アル・マーズは謎めいた食変光星とされている。

  • くじら座(ケートス)
由来:アンドロメダを食べようとした怪物
実際のところ「海獣」「巨大な魚」という広い意味の言葉なので、クジラとは限らないとのこと。
秋の星座で、全天で四番目に大きい。ペガスス座やうお座の下の方にある。
心臓に当たるオミクロン星ミラははじめて発見された変光星で、約330日周期で2等星から10等星まで明るさを変化させている。
ギリギリ黄道にかかる位置にあるがへびつかい座と違い黄道星座に入れられることはまずない。

  • ケフェウス座
由来:エチオピア王ケフェウス
上のアンドロメダのパパ(加えて下のペルセウスの義理のパパ)。
秋の星座で、妻のカシオペヤ座の側にある。
アテナによって星座に上げられたそうだが、理由は不明。なんかこじつけ感が漂う……。
神話での立ち位置と同様、星座もいまいち目立たないし。

  • ケンタウルス座
由来:ポロスという名のケンタウロス(ケイローンが由来とする説もある)
南天の星座で、地球から見て第三の輝星である一等星のリギル・ケンタウルス*9とハダルを有する……が、日本からは沖縄など南方でしか全体を見ることができない。

  • こいぬ座(カニス・ミノール)
由来:イーカリオスの飼い犬マイラ
冬の星座で、一等星にして冬の大三角形の一角プロキオンを有する。
子犬だけあって構成する星が二つしかない。

  • こうま座(エクレウス)
由来:カストールの馬ケレリス(ペガサスの弟馬)、もしくはポルックスの馬キュラルス
秋の星座で、ペガスス座の鼻先にある。子馬と言うが馬の頭だけの星座。
48星座の中では面積が最小、現行の88星座でもみなみじゅうじ座に次ぎ2番目で、暗い星が多いこともあり目立たない。

  • こぐま座(ウルサ・ミノール)
由来:大熊に変えられたカリストの息子アルカス
現在の北極星ポラリスを有する。春の星座だが北極星があるので一年中見える。
こいつも熊のくせに尻尾が長いが「ゼウスが空に上げる時に引っ張ってry」と母と同じ理由付けが神話でされている。
竹本泉の漫画『ねこめ(~わく)』では主人公の百合子が「自分の世界ではポラリスが北極星」と口にしたことで、そんなのは遥か昔の時代だった他の人間メンバーが世界考証にてんやわんやする一幕がある。

  • こと座(リーラ)
由来:吟遊詩人オルペウスが所有していた竪琴
夏の星座で、一等星にして夏の大三角形の一角であるベガ(七夕の織姫星)を有する。

  • コップ座(クラーテル)
由来:アポロンのゴブレット
春の星座で、からす座と同じようにうみへび座の背中に乗っているように見える。目立つ星がない星座。

  • さいだん座(アラ)
由来:ゼウスと兄弟たちがティタン神族を打ち破ることを誓った祭壇
南天の星座で、さそり座の側にあるが、やはりこれも沖縄などでしか見られない。

  • さんかく座(トライアングレム)
由来:ナイル川の三角州、ギリシャ文字の「Δ(デルタ)」、シチリア島など
秋の星座で、名は体を表すというか、二等辺三角形、ないし横倒しの▷みたいな星座。
神話も特にないというほんとにただの三角。適当に作っただろう!

  • はくちょう座(キグヌス)
由来:ゼウスが化けた白鳥
夏の星座で、一等星にして夏の大三角形の一角であるデネブを有する。
また、デネブを含む中心部の十字型は「北十字星(ノーザンクロス)」と呼ばれる。
キグナス石油はこのはくちょう座が由来だがスペルは「CYGNUS」じゃなくて「KYGNUS」である。
やっぱりダイヤモンドダストのイメージ。

  • ペガスス座
由来:メドゥーサの血液から生まれた翼のある白馬
星座の方は「ペガスス」なので覚えよう。
秋の星座で、胴体の前半部分しかない。この胴体部分の星はペガススの大四辺形と呼ばれている。……アンドロメダ座の頭と被ってるけど気にしない。
アニヲタ的にはどうあがいても流星拳。一般界隈では合唱曲「空駆ける天馬」だろうか。

  • へび座(セルペンス)
由来:アスクレピオスが象徴とした蛇
夏の星座で、元々は下記へびつかい座の一部だったが領域が大きいということで後に独立した。
そのため、頭の方と尻尾の方で別れている。そんな誕生経緯なので神話も特になし。

  • へびつかい座(オヒュカス)
由来:医学の神アポロンの息子にして死者をも蘇らせる医者アスクレピオス
☆黄道上に位置するが黄道星座に含まれない星座。
夏の星座で、上記へび座を掴んでいる。

  • ヘルクレス座
由来:そのまんま、英雄ヘラクレス
これまた公式に学術用語として定められた日本語の星座名は「ヘルクレス」らしい。
「やっちゃえ、バーサーカー!」
夏の星座で、へびつかい座の上の方にある。全天で五番目に大きい星座だが目立つ星がない。
何故か上下さかさまだが、ヘラから受けた苦難の象徴としてこうなっているとか。

  • ペルセウス座
由来:メドゥーサ退治を行い、アンドロメダを救出した英雄ペルセウス
変光星アルゴルを有し、ペルセウスが持つメドゥーサの首に見立てられている。
秋の星座で、義理ママのカシオペヤ座、お嫁さんのアンドロメダ座の下の方辺りにある。
流星群が発生しやすい。

  • みなみのうお座(ピスケス・アウストリヌス)
由来:美の女神アフロディテが変身した魚
うお座も南にあるのにこっちは「南の」が付く。
みずがめ座の下にあり、壺から流れる水(一説によるとお酒)をがぶ飲みしている。
秋の星座で、一等星のフォーマルハウト(「南の魚の口」の意)を有する。ただそれ以外の星は暗い。

  • みなみのかんむり座(コロナ・アウストリヌス)
由来:賢者ケイローンの冠
北のかんむり座に対して南にあるからみなみのかんむり座、そのまんまである。
夏の星座で、星の並びはかんむり座同様、輪っかじゃなく半円形。

  • や座(サギッタ)
由来:アポロンが息子が殺された八つ当たりとしてキュプロクスを撃ち殺した矢
夏の星座で、小さいY字の形をしている。いるか座、こぎつね座、わし座に囲まれるように存在している。

  • りゅう座(ドラコー)
由来:ヘラクレスの12の冒険に登場する竜ラドン
夏の星座で、ヘルクレス座の足元(さかさまなので上の方)辺りにある。
いわゆるドラゴンではなく手足がない龍のようなデザイン。
ギリシャ語の「ドラコー」は大蛇も含むのでそっちのイメージか。ヘビ系多いな……
まあやっぱり昇龍覇。

  • わし座(アクイラ)
由来:ゼウスの遣いの鷲
夏の星座で、一等星にして夏の大三角形の一角であるアルタイル(七夕の彦星)を有する。






  • アニヲタ座
由来:項目を作成し、追記・修正していたWiki篭り

この項目が面白かったなら……\★/

最終更新:2026年09月22日 15:14

*1 トレミーはプトレマイオスの英語読み

*2 方位磁針が航海に使われるようになったのは12世紀の終わりごろからで古代地中海にはない。

*3 このためバイエル記号がらしんばん座のみ付け直しになっているが、残りの3つは共有になっていてα・β・ε星がりゅうこつ、γ・δ星がほ座、ζ星はとも座にしかない。

*4 88星座に「こぎつね座」が存在するが、17世紀に考案された星座であるため神話との関連はない。

*5 あるいは純潔を尊ぶアルテミスの怒りの場合もある

*6 古代ギリシャ人は熊の尻尾がどうなってるか知らなかった、見たことなかったという説もある。

*7 海の女神や妖精たちの総称

*8 ギリシャの緯度ではカシオペヤ座は一年中地平線に沈まない。ちなみに日本も大体同じ

*9 「ケンタウルスの足」の意。太陽系に最も近い恒星で、距離にして約4.3光年