登録日:2009/11/15(日) 12:27:32
更新日:2025/05/08 Thu 14:39:58
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近鉄山田線、鳥羽線、志摩線とは、
それぞれ伊勢中川駅から宇治山田駅、宇治山田駅から鳥羽駅、鳥羽駅から賢島駅を結ぶ近畿日本鉄道の鉄道路線である。
路線記号は全てMで、便宜上、一つのページで紹介することにする。
(出典:鉄道幻灯館)
概要
大阪線・
名古屋線が合流する伊勢中川駅から、伊勢・鳥羽・志摩方面への輸送を担う。
山田線・鳥羽線区間はJR
紀勢本線・
参宮線と競合しているが、全線複線であり本数も圧倒的に多い近鉄の方が明らかに優位。
志摩線には一部単線区間が存在する。
全線一体で運行されているにも関わらず、路線名が3つに分かれているのは歴史的経緯によるものである。
ざっくり説明すると
- 1929年3月に「志摩電気鉄道」が現在の志摩線となる鳥羽駅〜賢島駅〜真珠港駅を開業。当時は1067mmの狭軌路線だった。
- 1930年3月に「参宮急行電鉄」により松阪駅〜外宮前駅(現在の宮町駅)が参急本線として開業。後に翌年3月に宇治山田駅まで開業し全線開通。
- 1941年3月に大阪電気軌道が参宮急行電鉄を合併し、「関西急行鉄道」となる。この時に参急本線が「山田線」に改称。
- 1944年2月に合併により、志摩電気鉄道が三重交通となるが、1964年2月より鉄道事業が「三重電気鉄道」として独立。
- 1944年6月に関西急行鉄道が南海鉄道と合併し「近畿日本鉄道」(以下近鉄と表記)となる。その後1965年4月に近鉄が三重電気鉄道を吸収合併する。
- 1969年12月に「鳥羽線」宇治山田駅〜五十鈴川駅間開業し、志摩線の改軌工事が始まる。翌年3月には鳥羽線が全線開業し志摩線の改軌も完了。伊勢中川〜賢島間の直通運行が開始。
と言った具合。
つまりは「志摩線→山田線→鳥羽線」の順に開業している。
列車種別
2013年、伊勢神宮の式年遷宮に合わせて運行を開始した観光特急。
詳細は
リンク先を参照のこと。
運行区間は
- 近鉄名古屋⇔松阪・宇治山田・鳥羽・賢島(名伊特急)
- 大阪難波・大阪上本町⇔宇治山田・鳥羽・賢島(阪伊特急)
- 京都⇔鳥羽・賢島(京伊特急)
おおむね、名古屋線直通が毎時2本、大阪線直通が毎時1~2本(昼間は1本)。これに、朝夕のラッシュ時には松阪発着、および京都行き特急などが入る。
京伊特急の運行距離195.2kmは私鉄特急では最長。
なお、車両の向きを統一するため「近鉄特急の向きは伊勢中川の中川短絡線を基準とする」決まりにより、号車が名伊・阪伊と京伊で号車と向きが逆になる。
無料優等列車の最速種別で、朝夕のみの運転。
全列車が大阪線と直通している。
発着のパターンが色々あってややこしい。
日中の中距離輸送を担っている種別。停車駅は快速急行と同じ。
大阪線・名古屋線と直通で運転されている。
山田線松阪駅発着が毎時2本(名古屋線直通)、鳥羽線五十鈴川駅発着が毎時1~2本(名古屋線直通は毎時1本。大阪線直通は昼の4時間ほど走らない時間帯がある)。
時間によっては宇治山田駅や鳥羽駅発着も。大阪線の名張行きは、実際には名張で快速急行に種別変更して大阪上本町に直通するので、実質は大阪上本町行きの一部である。
ラッシュ時を除きほとんどが2両編成。
ほぼ全ての列車がワンマン運転を行っており、この区間を通しで走っている。
志摩線内は全て2両編成で、他はしまかぜと特急のみが走っている。
伊勢神宮式年遷宮の多客期に合わせて、通勤型の2000系を観光用に改造した観光列車。
形式は2013系で3両編成。車体は伊勢神宮や海の幸など、伊勢・鳥羽・志摩の魅力をイラストで表現したものとなっている。
この車両の開発には志摩市もかかわっており、開発コンセプトとして
- 明るく楽しい雰囲気の列車
- 伊勢志摩の見所をご紹介する列車
があり、「つどい」という愛称が付けられた。
風が通るオープンスペース、バーカウンター、イベントスペース、子供用の運転台があったりと観光列車としては申し分ない。
伊勢市~賢島間を土休日に1日2往復運転していた。なお、乗車には特別料金(大人¥300・子供¥150)が必要。
団体用としても運用可能で、信貴線を除く標準軌路線全線に入線できる。
駅・種別一覧
種 別 |
近鉄山田線 |
近鉄鳥羽線 |
近鉄志摩線 |
M 61 |
M 62 |
M 63 |
M 64 |
M 65 |
M 66 |
M 67 |
M 68 |
M 69 |
M 70 |
M 71 |
M 72 |
M 73 |
M 74 |
M 75 |
M 76 |
M 77 |
M 78 |
M 79 |
M 80 |
M 81 |
M 82 |
M 83 |
M 84 |
M 85 |
M 86 |
M 87 |
M 88 |
M 89 |
M 90 |
M 91 |
M 92 |
M 93 |
伊 勢 中 川 |
伊 勢 中 原 |
松 ヶ 崎 |
松 阪 |
東 松 阪 |
櫛 田 |
槽 代 |
斎 宮 |
明 星 |
明 野 |
小 俣 |
宮 町 |
伊 勢 市 |
宇 治 山 田 |
五 十 鈴 川 |
朝 熊 |
池 の 浦 |
鳥 羽 |
中 之 郷 |
志 摩 赤 崎 |
船 津 |
加 茂 |
松 尾 |
白 木 |
五 知 |
沓 掛 |
上 之 郷 |
志 摩 磯 部 |
穴 川 |
志 摩 横 山 |
鵜 方 |
志 摩 神 明 |
賢 島 |
普 通 |
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急 行 |
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○ |
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快速急行 |
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特
急 |
名伊 乙 名伊 甲 阪伊 乙 阪伊 甲 京伊 |
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しまかぜ |
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主な駅解説
大阪線・
名古屋線乗り換え。
ホーム間を停車中の列車を通って移動できるようになっていて、乗り換えは結構便利。
3路線の接続地点という都合上、万が一この駅の近くで事故が起こると……。
JR
紀勢本線・
名松線乗り換え。
松阪市の中心駅で、名古屋からの急行が多く折り返していく。
JRとの共同改札となっていて、中間改札なしで乗り換えができる。
普通しか止まらない駅だが、明星検車区が真横にある。
特急・急行通過待ちが多い他、早朝に1本だけ始発列車がある。
JR
参宮線乗り換え。
松阪同様JRとの共同改札駅で、こちらも中間改札なしで乗り換えができる。
伊勢神宮外宮最寄り駅。
参拝の際はJR側改札口から出て鳥居の方に真っ直ぐ歩くこと。バス利用者も同様。
隣の宇治山田駅とは少ししか離れていない。
山田線と鳥羽線の境界駅で、伊勢市の中心駅はこっち。
伊勢中川方面折り返し専用ホームと、鳥羽線直通のホームがそれぞれある。
第一回中部の駅百選に選ばれており、特徴的な駅舎は2001年に国の登録有形文化財に指定されている。
また、皇族など貴賓客用の貴賓室も備えている。
これらがあって『伊勢神宮に行くとき降りる駅』のイメージが強いが、外宮に行く際は前の伊勢市駅、内宮に行く際は後の五十鈴川駅で降りた方が近い上に迷わない。
よくいるが間違ってもここから内宮に徒歩で行かないように。
急行列車の多くはこの駅で折り返す。
内宮参拝の際は、ここから歩いていく人も。
ただ、伊勢神宮内宮最寄り駅と言っても歩くと結構遠い。
早くても徒歩で30分はかかる上に割と坂道なので体力に自信のない人は無理せずバスに乗ろう。
急行で鳥羽まで行こうとすると、大体ここで下ろされて、後続の普通を待たないといけない。
JR参宮線乗り換え。
鳥羽線と志摩線の境界駅。
ミキモトパールやら鳥羽水族館やらで有名な街、鳥羽の中心駅。
かつては松阪・伊勢市同様JRとの共同改札駅だったが、2020年3月17日に乗換連絡通路の閉鎖、翌3月18日にJRの無人化に伴い現在は完全に分離されている。
ちなみに鳥羽水族館の最寄り駅は、ここではなく隣の中之郷駅。
ただし、そこまで離れてない上に中之郷駅はほぼ無人駅状態なので、お土産や交通の便を考えるとこっちで乗り降りした方が楽かもしれない。
スペイン風の駅舎が目を引くが、これは元々この駅を志摩スペイン村への玄関口としていた頃の名残。
しかし、2007年に直行バスの発着を鵜方駅に変更したせいで、外見だけは立派な寂しい駅になってしまった……。
ちなみに2面3線であり、賢島方に繋がる折り返しの3番線があるが、営業運転では全く使われず、専ら特急列車の引き上げ線となっている。
志摩市の中心駅。志摩スペイン村へはここから直行バスが出ている。
伊勢志摩サミットの影響で1週間だけ終着駅になった事がある。
志摩線の終点。
ホームは4面5線とかなりローカルな場所の割には規模が大きく、よく近鉄特急が4本も並ぶ光景を拝める。
ちなみにホームと改札口は高台にあるが、南口は一段低い場所にある。その横には志摩電気鉄道時代に使われていた駅舎が現存している。
また、ここから南西に向かって真珠港駅がかつて伸びており、1969年7月の駅廃止後も留置線として1993年まで残存していた。その関係で、普通車ホームは同年まで南口と同じ高さにあった。
周囲には宿泊施設が多い。
かつては徒歩圏内に志摩マリンランドという
マンボウが有名な水族館があったりした。
追記・編集は伊勢志摩観光をしながらお願いします。
最終更新:2025年05月08日 14:39