東郷狂介/小東郷(ゴルゴ13)

登録日:2015/03/27 (金) 20:11:23
更新日:2023/11/01 Wed 21:56:13
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もう一度小東郷に会ってみたい。
小東郷を捜せ……




東郷狂介(小東郷)とは、『ゴルゴ13』の51巻に収録されたエピソード「毛沢東の遺言」に登場するゲストキャラクター。

▽目次

概要

ゴルゴのルーツを扱うエピソードとしては5度目であり、要はゴルゴの少年期疑惑のある5人目の人物。
中国革命長老指導者「葉剣英」が弁公室(中国人民解放軍弁公室第四処”国防情報局”)の3名に毛沢東の遺言である「小東郷を捜せ……」という指示の実行に移したいという、もう命が長くはない葉剣英の願いとして調査した結果、ゴルゴ13のターゲットとして狙われていた藤尾高夫(内藤高夫)などの話から、ゴルゴのルーツと言う疑惑が出てきた。
同時期にマッジ・ペンローズがゴルゴのルーツを握っていたという話も出てきたことにより、小東郷の捜索は混迷を極めることになる。

優秀な東洋人の交配を繰り返し超高度種族を誕生させる旧日本軍の「ルーベンスボルン作戦」によって誕生したとされる。
父親は東郷平八郎の孫とされながらも東郷平八郎の妾の子が産んだ娘の子供かつ実際にはその妾の娘がロシアのテロリスト『ラスコルニコフ』にレイプされたことで生まれた東郷宗介
母親はチンギス・ハンの末裔とされる女性ツベルマで、超高度東洋種族創出所で東郷宗介と交わった。

当初はツベルマに連れてられて満州に向かったが、3歳の時に高熱で苦しんでいたツベルマを父親会社を呼ぶ間に銃撃して殺害。
宗介に殺意を抱かれるが、この時の息子の行為を『苦しむ母親を見かねての行為』だと解釈することで、何とか殺意を抑えながら狂介を家に置き去りにして軍に帰ったのだった。

その後、1944年に中国・北州河で全滅した関東軍に混ざり、中国軍への抵抗を行う。
中国軍は彼を保護し、その存在に興味を持った毛沢東によって戦闘機械としての英才教育を施され、可愛がられていた。
しかし、彼は毛沢東の愛人「藍蘋」が小東郷の出生を調べ始めると突如として毛沢東の前から姿を消した…

ゴルゴのルーツとされる人物が(程度の差はあるが)他者への優しさや人間性が壊れるのも仕方がないという境遇にいた中で、東郷狂介に関しては特に人間性が読み取れない不気味な人物として描かれているのが特徴。

小東郷捜索の行方

◇東郷宗介とゴルゴの対面

既に世捨て人になっていたが自分の息子がゴルゴではないかという話を聞いた東郷宗介は、右翼を利用して金稼ぎをしている船山大造に接触して資金を借りる。
しばらくして飛騨山中にて何かを待っている東郷宗介は、依頼主と言う形で暗殺者であるゴルゴ13を呼び寄せたのである。
用件を聞こうとしたゴルゴに対して、宗介は自分がお前の父親だと語るが、黙り込み返事をしないゴルゴに向かって憎しみを込めたかのように話し出す。

お前が生まれながらに殺人者になることは、あの3歳の時の行為で決まっていたのだ!!

かつて幼い子供であるのに理由も語らぬまま母親を殺す息子の外道の行為への恨み。
何とか慈悲だったのだと解釈するもゴルゴ13という暗殺者として生きているかもしれない息子は、やはり殺人鬼の血を受け継いで生まれたのだと宗介は確信する。

「私は…………その血を断たねばならぬ!!」

見つめあうゴルゴと宗介だったが、先に宗介が刀を引き抜いて振り払う
それと同時にゴルゴの銃声が響き、銃弾は宗介の心臓を打ち抜いたことでゴルゴの勝利に終わった。

その時のゴルゴの表情は、服をわずかに切られたからなのか、あるいは別の理由なのか、口元を微かに歪めていた……

宗介は息子の名を言いながら銃弾に倒れて死亡し、相手が死んだことを確認したゴルゴはヘリで立ち去った。
結局、ゴルゴ本人の口からは否定も肯定もされなかった。

◇マッジ・ペンローズの調査結果

イギリスとアイルランドの中間のミルズ島では、ロン・マッコイと呼ばれる作家ともう一人の男が、ゴルゴのルーツが書かれた草稿を読んでいた。
その内容に感心しながらも原稿を金にしようと思っている様子だったが、そこに現れたのは弁公室の3名の要求を拒否して殺される。

ついにゴルゴのルーツを手に入れた弁公室の3名だったが、読もうとしたその時に3人のうち2人の頭が撃ち抜かれ、残った一人が後ろを振り返るとそこにいたのはゴルゴだった。
そう、二人組はマンディ・ワシントンに原稿を売れなかったため、ゴルゴ本人に売ろうとしていたのだ。

残った一人はゴルゴに問いかける。お前は「小東郷」本人なのかと。
しかし、ゴルゴは何も答えず冷徹な目で彼を見つめているだけ。

な、なんて男だ!!……死んでいく相手にも、心を許さないのか!?

追い込まれた彼は、草稿を投げ捨ててゴルゴに抵抗しようと銃を引いた。
だが、ゴルゴは投げられた草稿ごと彼の頭を撃ちぬいたのだった。

◇「小東郷」の処理

中華人民共和国の北京で葉剣英は弁公室の三人が死んだという報告を聞く。
これを見た弁公室第四拠の責任者は葉剣英にこう言い伝え、彼が言うには、賀竜も小東郷を探すという同じ依頼をしていたらしい。
そして調査の結果、死亡報告が見つかり、小東郷は五歳の時に天津で内戦の流れ弾に撃ちぬかれ病院で死んだことを報告した。
葉剣英は何か気力を失ったような状態になり、弁公室第四拠の責任者は部屋を後にした。

しかし、この報告は嘘の報告だった。
だが、長老に弁公室を振り回されることに耐えかね、嘘の報告を行ったのだった。

「しかし……”小東郷”ってのは、何者なんでしょうね?…………」
知ったことじゃない!!我々弁公室には関係のないことだ…………

小東郷はゴルゴだったのか?

結局『毛沢東の遺言』では、小東郷がゴルゴだったのかは明言されず、いつものゴルゴのルーツエピソードのオチに終わっている。
少なくとも作中では否定として有力な材料は出てきておらず、小東郷の活動期間とゴルゴが世間で行動を始めた時期との時系列的な矛盾もないことから、ルーツ候補としては有力候補の一人として扱われている。
また、ゴルゴは後の『百人の毛沢東』において毛沢東について饒舌に語る場面があり、これは(ゴルゴの過去が小東郷だとすれば)実質的に育ての親である毛沢東と接してきた人間だったからではないかという説がある。

ちなみに『毛沢東の遺言』では、ゴルゴは出番自体は多いはずなのだが、いつもに増して口数がいつも以上に少ない。
これも子供離れしてほぼ喋っていない小東郷という人物像に合わせ、「毛沢東の遺言」ではゴルゴも口数を少なくしてイメージが一致するように誘導したとも考えられる。
一方で上述したように東郷宗介との決闘の際には一瞬だけ珍しい表情を見せており、考察できる要素となっている。

余談

  • 小東郷が描かれた『毛沢東の遺言』だが、マンディ・ワシントンやマッジ・ペンローズの登場を初めとして過去作のネタが散りばめられており、従来のゴルゴファンなら満足できる要素が満載となっている。
    特にマンディ・ワシントンはかつて最初に描かれたルーツエピソードである『日本人・東研作』の登場人物だが、基本的にゴルゴのルーツエピソードが互いに干渉しない中、『毛沢東の遺言』は別のルーツエピソードのネタと絡んだ珍しい例と言える。






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最終更新:2023年11月01日 21:56