イギリス

登録日:2021/03/03 Wed 12:55:22
更新日:2024/08/01 Thu 21:08:25
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イギリスもしくはエゲレスとは、ユーラシア大陸の北西にある、ブリテン諸島を本土とする立憲君主制国家。

正式名称が「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」と非常に長ったらしいため、「イギリス」「U.K.」「Britain」と略しているのだが、そもそも「イギリス」はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという連合王国(United Kingdom)の通称である。
「イギリス」という名称はイングランド*1を元にしている上に「アングロ・サクソン人の土地」という意味なので、うかつに独立心が強く民族も違うスコットランド人に向かって「Oh! You’re from イギリス!」とか言うと「No! I am British but NOT English!」とブチギレられるので注意しよう。


●目次

【データ】

  • 正式名称:『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)
蔑称別称に『イギリス・ブリテン・U.K.(United Kingdom)・大英帝国・連合王国・ブリカス』など。日本政府では主に「英国」と表記される。

  • 国土面積:24万㎢(76位)
  • 領海及び排他的経済水域(EEZ):680万㎢(5位)
  • 国 旗:ユニオンジャック
  • 国 歌:God Save the King(邦題は『国王陛下万歳』または『神よ国王を守り給え』)(1999/8/13制定)*2
  • 公用語:英語*3。加えてスコットランドではスコットランド・ゲール語、ウェールズではウェールズ語、北アイルランドではアイルランド語とアルスター・スコットランド語が公用語(≠共通語)となっている。
  • 国家元首(国王):チャールズ3世(在位:2022/9/8-)
  • 首 相:リシ・スナク(在任:2022/10/25-)
  • 通 貨:スターリング・ポンド(£)(英ポンド、UKポンド、イギリスポンドとも)
  • 首 都:ロンドン(事実上
  • 国 防:イギリス軍(British Armed Forces)





【地理】

本土とされるのは大部分がグレートブリテン島にあるイングランド(南部)、スコットランド(北部)、ウェールズ(南西部)と、アイルランド島北東部一帯の北アイルランドのみだが、世界各地に多数の海外領土を保有しており、合わせての国土は今も中々のもの。

イギリスの気候といえば「年がら年中雨」というイメージがあるだろう。しかし「英国紳士は雨傘を差さない」と言われるほど一度の降水量が少ない傾向(≒霧雨ばかり)のため、年間降水量では日本を下回ることもままある。
ちなみに「ジューンブライド」と言って、梅雨真っ盛りの日本で結婚式を挙げるリア充が居るが、アレはイギリスでは6月が一番雨が降らない(と言っても日本などから見ればほぼ僅差だが)からである*4
ちなみに、ウエディングドレスといえば現在は白が主流だが、これはかのヴィクトリア女王が発祥だとか。

全体とイングランドの政治はロンドンを中心として、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにそれぞれがその首府に独自の議会を置き、高度な自治権を認められている。
一応、カントリー()*5なので、自治の度合いは日本の都道府県などとは比べ物にならず、アメリカ合衆国の州に近い。


【イングランド】

実質イギリスの中心。首都機能のあるロンドンをはじめ、マンチェスターやオックスフォードにケンブリッジといった大都市も擁するカントリー。
その歴史と開発の始まりはローマの属州『ロンディニウム*6』まで遡る。
国を奪い娘を穢した総督と行政長官にブチ切れた女王が反逆したり、バイキングに侵略されたり、フランス人に征服されたりと一番波瀾万丈な歴史を送っているのもここ。

そんな歴史からか他のカントリーのことを若干見下している節があり、割と嫌われている。日本で言えば東京都京都府とその他の関係が近いか。


【スコットランド】

首府はグレートブリテン島北部の都市エディンバラ。
最近沖合に油田が発見されたので、独立してもやっていけそうになってきたイングランドに対抗しうるカントリー。とはいえGDPには結構差があるが。

前述の通り民族が違う(アングロ・サクソン系などとごっちゃなイングランドやウェールズに対し、スコットランドにはケルト系が色濃く残っている)のと、イングランド王家が断絶しスコットランド王を戴いた(テューダー朝→スチュアート朝)のに、今では「U.K.≒イングランド」となっているのが気に食わないので独立心が高い。

2014年の独立投票では独立派45%でなんとか残留が決定したが、前後して「EUに居るなら独立してもしなくてもそんなに変わらんから残留に投票したのに、EU離脱するなら話は別だ!」という声が出てきた。
実際、EU離脱投票の結果の地図を見るとイングランドはほぼ離脱派でスコットランドはほぼ残留派と綺麗に割れている。

ちなみにイギリス国旗のユニオンジャックは、ウェールズを除く各カントリーの国旗が重なってできていることは有名だが、実はスコットランド国旗の青の方がユニオンジャックの青より鮮やかなのだ。

【ウェールズ】

ぶっちゃけ田舎なカントリー。首府はロンドンの真西にあるカーディフ。

ウェールズもウェールズで民族が違い、その名も「ブリトン人」。そう、『アーサー王伝説』の中心にして、グレートブリテン島やブリテン諸島の語源となった先住民族である*7
だったらスコットランドの様に独立運動があってもおかしくないと感じるだろうが、実はほとんど独立派はおらず、なんならロンドンを都市国家として独立させようとしているトンデモ運動の方が盛んなレベル。
その理由も虚しいというかなんとも消極的なもので、「スコットランドより大分昔にイングランドに『併合された』から」と「スコットランドならイケるかもしれないけど、ウチは一国では絶対やっていけないから」と完全に諦めの境地

ユニオンジャックにウェールズ国旗が含まれていないのも、イングランドがスコットランドと合同するより前に併合されたから。ウェールズ国旗結構かっこいいのに……*8

その他、羊がいっぱいいる。そしてコーギーの発祥の地でもある。もふもふ。

【北アイルランド】

唯一グレートブリテン島に領土が無いカントリー。イギリスがアイルランドを世界初の植民地にした名残。首府はアイルランド島北東端のベルファスト(某KAN-SENやその元ネタの名前の由来でもある)。
因みに唯一公式の旗が無いカントリーのため、サッカーとラグビーのワールドカップではそれぞれ独自の旗で参戦している。軍事パレードの時は英国旗の構成要素の一つになった聖パトリック十字を使っているなど、場合によって使う旗はまちまち。

「なんでアイルランドと一緒に独立しなかったの?」と思うだろうが、その理由はヨーロッパではあるあるのキリスト教の教派問題と民族問題が悪魔合体してしまっているから。
アイルランドにはアイルランド系とローマ・カトリック信者が多く独立志向が強かった。一方、北アイルランドにはかねてよりグレートブリテン島からの移民(≒非アイルランド系)が、宗派は非ローマ・カトリック*9が比較的多かったことでその他アイルランドより独立志向が弱かったため。

とはいえ同じアイルランドということで無理矢理にでも合☆体統一したいと考えるアイルランド人も少なくなく、その中の過激派として有名なのがIRAことアイルランド共和軍である。ただし、軍といってもアイルランド政府とは無縁になって久しく、今ではただのテロ組織なので注意。
EU加盟前は北アイルランド内でテロを頻発させていたが、EUに加盟したことで国境がなくなり納得したらしく、近年まで行動を鎮静化させていた。
しかしイギリスがEUを離脱するということになって以来、また行動を活発化させている様だ。
かれこれ創設から100年を超えているとあって案の定いくつかに分裂しており、比較的穏健で2005年に武装解除した(とされる)PIRA(プロヴォとも)ことIRA暫定派と、
武装闘争による英国放逐を以てのアイルランド統一を目指す、非主流派リパブリカン*10きっての武闘派なRIRAこと真のIRAが有名。
他にもCIRA(IRA継続派、IRA継戦派、コンティニュイティIRA)やOIRA(正当IRA、オフィシャルIRA)にINLA(アイルランド民族解放軍)、等々と分かれ大体は「アイルランド義勇軍」と自称している。



【歴史】

それなりに長い歴史があるが、国号が何度も変わっているのでどこからが現在のイギリスとするかが難しいところ。
イングランド統一は927年、現在の王族の先祖であるノルマン朝の成立は1066年、グレートブリテン王国成立は1707年、グレートブリテン及びアイルランド連合王国が成立したのは1801年、現在の国号に至っては1927年である。
ここではイングランドが統一され、イングランド王国が成立した927年からとする。
その場合、イギリスには1100年程度の歴史があることになるわけだが、正直やっていることはお家騒動やフランスとの戦争ばっかりである。

<英仏戦争>
1337年 百年戦争(フランス勝利)

1512年 カンブレー同盟戦争(フランス勝利)

1522年 第一次イタリア戦争(イングランド勝利)

1542年 第四次イタリア戦争(引き分け)

1557年 イタリア戦争(引き分け)

1627年 三十年戦争

1689年 九年戦争(イングランド勝利)

1702年 スペイン継承戦争(イギリス勝利)

1744年 オーストリア継承戦争(イギリス勝利)

1756年 七年戦争(イギリス勝利)

1778年 アメリカ独立戦争(フランス勝利)

1793年 フランス革命戦争(フランス勝利)

1803年 ナポレオン戦争(イギリス勝利)

お前ら何回戦争すんだ!
なお、この他小競り合い多数英蘭戦争とか。
18世紀後半には約15年おきに戦争している。500年に渡って戦争何回もするなんて関係の国なかなか無いよ。
おかげでフランス発祥のメートル法(特に国際単位系)が、未だに国内と「息子」のアメリカではあまり使われてない。英米に行って迷子になるのは大体こいつのせい。くたばれヤード・ポンド法

それでも19世紀初期から現在まで列強*11であるのはイギリスとフランスのみで、現在も腐れ縁もといライバル関係が続いていると言える。

また、現在の王朝を成す王家はウィンザー家*12だが、前々王の直系断絶により至近の傍系が即位、などの形で何度も王朝(名)が変わっているうえ、
その傍系が遠すぎて他国の名家から戴くということもあったため(しかもそのうち1回が現王朝に直接つながるハノーヴァー朝を開いた時で、より近い血縁者もいたが英国国教会の信者でなく改宗も拒絶した)、
その点は同じく君主である日本の天皇がどんなに遠い継承でも国内に収まっている事(万世一系)とは大きく異なる。
その変遷はざっくり言えば
「ノルマン人の征服王家(ノルマン朝)」→「フランス由来のイングランド王家(プランタジネット朝)」→「ウェールズ由来かつフランス系でもあるイングランド王家(テューダー朝)」→
「エリザベス1世からイングランドを託され、名誉革命後グレートブリテン島を統一したスコットランド王家(ステュアート朝)」→
「神聖ローマ帝国・ハノーファー選帝侯の一族(ハノーヴァー朝―(エドワード7世が即位)→サクス・コバーグ・ゴータ朝―(反独感情に考慮して改名)→ウィンザー朝)」
という具合。



【大英帝国/イギリス連邦】

イギリスを語る上で欠かせないのが現在まで紆余曲折ありつつも「イギリス連邦」として残る、「大英帝国」である。
産業革命により世界の工場となったイギリスは、市場、というか商品を売り付け資源を徴発するための植民地をアジアや新大陸、アフリカに次々作って行き、最終的にこれまでどんな大帝国も成しえなかった、そして今もまだ抜かされていない記録「一国による地球の陸地面積の1/4の支配」を達成した。
その後アメリカの独立や他の列強の台頭、二度の世界大戦による衰退などから殆どの植民地が独立したが、現在でも一部の地域が海外領土として残っている。

また、独立した各国もそこまでイギリスを恨んでいないのか、未だに世界的な影響力を持つ同国と関係を持っておきたいのかは不明だが、「イギリス連邦」として緩やかな関係を持ち続けており、一部のイギリス連邦国家は国家元首にイギリス国王(とその代理である総督)を戴いている。

少しややこしいのがイギリス連邦(コモンウェルス・オブ・ネイションズ)と別に英連邦王国(コモンウェルス・レルム)が存在するということ。
連邦王国の国家元首は上記のようにイギリス国王で、大物としてはイギリスに加えてカナダ・オーストラリア・ニュージーランドといった国々もこれに該当する。
一方のイギリス連邦には共和制を選択して英連邦王国を離脱したインドやバルバドス、独自の王家を持つレソトやエスワティニ(旧スワジランド)、そもそもイギリス植民地ですらなかったルワンダやモザンビークなども参加している*13
オーストラリアやニュージーランド、ツバル、フィジーといった主にオセアニアの国々の国旗の左上に未だにユニオン・ジャックが描かれているのは、こうしたつながりが存在するからである*14
なおこれだけの領土を一個国家とみなす場合、イギリスは現在でも太陽の沈まない国に該当する*15


本来、植民地として虐げられていたなら相当イギリスに対し憎しみを抱いていても仕方ないにも関わらず*16、現在も友好的な関係を続けられているのは伝統的にイギリスが外交上手だからだと言える。
しかし「外交が上手い」と言っても、そこには詐欺まがいの三枚舌外交*17や、棍棒外交じみたやり方で自国の権益を確保し、結果現在まで残る民族・国家同士の禍根(イスラエルとパレスティナ、中国と香港、スーダンと南スーダン、イエメン、等々)を残したとして、その心意気を評して「ブリカス」と呼ばれることもある。



【国民性】

一言で言うと「皮肉屋」。
外見的には似ているし、成立ち的に息子とも言えるアメリカ人は嫌なことは嫌としっかり言い、訴訟に発展することもかなりあることと比べると、嫌なことがあっても直接的には言わず婉曲表現を使うことが多い。「ウィットに富んでいると言っていただきたい」
その点、嫌なことがあっても言い出せないことの多い日本人の方がアメリカ人より近いとも言える。西洋の京都府民
皮肉を言わないキャラが極僅かな『きかんしゃトーマス』や(特に英国の)コメディの転換点『モンティ・パイソン』、世界的人気を誇るダークファンタジー兼ミニチュアゲームである『ウォーハンマーシリーズ』はその気質の究極形と言っても過言ではない。

気性は割と穏やかで、かつ自分が決めたルールを守ろうとするタイプが多いとされる。
アメリカ人の自由主義とも、日本人の社会の秩序を守ろうとする考えとも一線を画すタイプである。ただし、「列に並ぶのは日本人かイギリス人」と呼ばれるくらいには列に並ぶのは苦ではない様子。

また、過去に大英帝国という黄金時代があったためか、日本と同じ島国という地理(とするには大陸寄りな立地・地質だが)故か、はたまたシンプルにフランスが嫌いなのか「我々はヨーロッパとは違う」という思いが深層心理にあるらしく、
自ら設立したEFTAを抜けてまで加入したEUから離脱した一端にはこの考え方があると言われている。

他にも先進国においては今では珍しい君主政(日:皇室、英:王室)、自動車の左側通行(鉄道はフランスなども左側通行で自動車より多い)、暗黙のルールが多い、謙遜を美徳とする、などの点からイギリスと日本が似ていると度々言われるが、大きく異なる点もある。
その内の一つが温泉文化で、日本では街中では犯罪者だが温泉では裸でも全く問題ない。実際、公衆の面前というのは変わらないのだが、そこには線引きがある。しかしイギリス人は街中は当然として温泉のような施設だろうと絶対に裸になりたくないという考えが根付いている。そのため、日本に旅行に来て温泉では素っ裸の日本人を見ると「Are you crazy!?」と困惑する英国人も少なくないらしい。おまいう。

あとそもそも信仰が違う。イギリスでは48%がキリスト教徒(その大部分はイングランド国教会などの聖公会系)である。
とはいえフランスの56%と比べると少なく、移民などを中心にその他の回答をする者が増えつつある。
無神論者の有名人だけでもアラン・チューリングにポール・ディラック、リチャード・ドーキンス、ジョン・レノン、等々。
非キリスト教徒の内訳としては無宗教と答える人が年々多くなっており、いずれは日本のように宗教ちゃんぽんになるかもしれない。

エスニックジョークに於けるキャラクターも概ね上記や下記などの理由で、「皮肉屋」「腹黒」「メシマズ」「紳士的」
紅茶(ティータイム)大好き」「議論好き*18」といった所。



【食文化】

何よりコレが日本と一番違う。
とにかく飯が不味い 。もしくは 見た目がエグい 。もしくは 料理の名前がどこかおかしい 運が悪けりゃ全部
なお、このため外国人から「イギリス人は味覚おかしいのか!?」と言われるが実はそんなことはなく、当のイギリス人が一番イギリス料理が不味いと思っていて、得意の自虐ジョークがよく炸裂しているじゃあ直せよ……
詳しくは項目参照。

また、イギリス人は紅茶好きというイメージがあるが、かつてはイスラーム文化の影響によりコーヒーが嗜まれており、また近年になってコーヒー派が復権しつつある。そのため先入観や偏見からのイメージ程嗜まれているわけではない。でも戦車に湯沸かし器が付いてはいる
余談だが日本で人気のロイヤルミルクティーは、名前に反してイギリス王室と全く関係なく、そもそもの名称が和製英語、つまり日本発祥のミルクティーである。
製法的にはむしろインドを中心に発達したミルクティー「チャイ」に近いものの、まあ偶然の一致で片付けてもいい程度。

なおメシマズの原因についてだが、「産業革命期に資本家たちが工場労働者に超ブラック労働を強いた結果、労働者の生活環境が劣悪になり、その労働者がそれまで保っていた食文化が破壊されたから」という説がある。



【兵器】

メシと同じくらいネタにされている、所謂「英国面」の代表
突拍子もない発明をする、デザインがおかしい、問題にぶち当たった時の解決法が変、等々。
やっぱりどうしても独自路線を行きたい国民性なのかは不明だが、堅実に設計するということを知らんのかという兵器が英国には目白押し。
兵器以外での諸々も含め、詳しくは項目参照。

一方で弩級戦艦や空母に(主力)戦車といった近代兵器開発史に於ける非常に重要な発明も少なくない。
変な兵器「しか」作っていない訳ではなく、単にその紆余曲折のくねり具合が凄まじいだけなのだ。



【その他】

  • 世界の都市ランキングにて
経済活動や研究開発力、観光資源、環境などを総合的に評価した世界の都市ランキングではロンドンが2020年に1位を獲得している。


  • ジブラルタル
海外領土の一つとして、イベリア半島最南端の岬ジブラルタルを今も領有している。
地中海から出るためにはスエズ運河かジブラルタル海峡を通らなくてはならないが、そのうちの一つを管理できる要衝のため、スペイン継承戦争で強奪した割譲させたっきり返還していない。
なお、第二次世界大戦期まではスエズ運河が通るエジプトもイギリスの植民地同然な国家だったため、イタリア海軍は地中海から出られず非常に苦戦した。


  • 国王について
イギリス国王は立場上、英連邦王国の首長ともなるように数多くの顔を持つ。
そのため正式な称号は神の恩寵によるグレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国およびその他のレルムと領土の(女)王、コモンウェルスの長、信仰の擁護者○○陛下という呪文と化す。
なおレルムは英連邦王国、領土は王室領など、コモンウェルスがイギリス連邦、信仰はイングランド国教会首長のこと。

先代の国王(女王)であるエリザベス2世陛下は、2022年9月に崩御されるまでイギリス国王として最長在位の記録を更新し続けていた。
これ以外にも先述のような数多くの顔によって、イギリス以外にも英連邦王国として15か国の女王でもある、数多くの国の貨幣に自身が描かれる、オリンピックの開会を6度も宣言する*19、一人で多国籍軍が作れそうなほどの軍隊の指揮官でもあらせられた*20、ファッションリーダーとしての顔も持つなど、逸話には事欠かないお方だった。


  • 『英国的に完璧な紅茶の淹れ方』
2020年7月4日にイギリス陸軍がアップロードした公式動画
『星条旗よ永遠なれ』をバックに、戦車から身を乗り出した(コッテコテのイギリス英語で話す)イギリス陸軍の軍人が『アメリカ、独立記念日おめでとう』と言って始まったこの動画なのだが……。……嫌な予感がしたあなたは正しい。
まず慇懃無礼丁寧な挨拶も程々に用意されたのは、ティーバッグ、ミルク、砂糖、スプーン。
そして エリザベス2世陛下の満面の笑顔が印刷された マグカップ*21と……。

「――それと湯沸かし器。マイクロ波ではありません」

英国紳士は紅茶を『水を張ったマグにティーバッグをぶち込んでレンチン』して作りなどしない。それは下賤なアメリカ人の淹れ方なのだから。
ではどう淹れるかといえば、まずはティーバッグをマグに入れる。

――港にではありません *22

そしてそのマグに 戦車備え付けの湯沸かし器から 熱湯を注ぎ、1分ほどそっとしておく。
そうしたらティーバッグをそっと取り除き、ミルクと砂糖を加えてかき混ぜる*23
これで出来上がり、とずっと控えていたもう1人の軍人とマグを鳴らした瞬間、BGMは『ルール・ブリタニア*24』へ早変わり。

独立記念日おめでとう。そして 神よ女王を守り給え (Happy Independence Day. and God Save the Queen)

楽しく紅茶を飲む2人を少し引いて戦車ごと映しながら、動画は終わった。

その完璧なブリカス仕草ブリティッシュムーブは当然の如く、アップロード早々SNSのトレンドを席巻した。が、それはまた別の話……。






追記・修正はアフタヌーンティーの後で。

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最終更新:2024年08月01日 21:08

*1 厳密にはそのポルトガル語形のInglez(イングレス)やオランダ語形のEngelsch(エンゲルシュ)。

*2 曲名や歌詞中の語句は国王が男性であれば『King』、『His(Him)』、女性であれば『Queen』、『Her』となり、国歌としては異例の形態を取る。

*3 所謂イギリス英語。アメリカ英語やそれがベースの英語が主流であるのはアメリカ以外だとフィリピンやリベリア、日本(戦前まではイギリス英語が中心だったが)、次いでカナダ(綴りは英米のちゃんぽん)程度で、他はイギリス英語がベース。

*4 ローマ神話の結婚の女神ユノー(ギリシャ神話のヘラ)に由来するという説もある。

*5 イギリス最大の行政区分で、要はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという区分またはその各区域。

*6 先住民族が使っていたケルト語で「沼地の砦」の意。宇宙世紀ガンダムのコロニー「ロンデニオン」もこれが由来。

*7 正確にはフランス語名の『(大)ブルターニュ』を経由しており、こちらはフランス北西部の地域圏として残っている。

*8 なお、描かれている「赤い竜」はサクソン人の象徴である「白い竜」に対してブリトン人の象徴で、現地の伝承に登場する他、あの『アーサー王伝説』では白い竜共々「ペンドラゴン」の称号の由来となっている由緒ある存在。

*9 大体は広義のプロテスタントに当たる聖公会系。

*10 武装闘争路線を維持・継続している自称IRA達への総称。

*11 先進国の中でも世界規模の影響力や軍事力、経済力を有する国。現在だとG7や国際連合安全保障理事会常任理事国と類義。

*12 エリザベス2世の子とその先は家名は「ウィンザー」のまま、姓だけを父方のものと合わせた「マウントバッテン=ウィンザー」としている。

*13 逆にアメリカは当初から入っていない。これはそもそものイギリス連邦がアメリカの拡大に対抗する一手であったため。

*14 このうちフィジー以外は英連邦王国の構成国でもある。

*15 まあ、宿命のライバルのフランスも該当するのだが。

*16 実際、同じく植民地帝国となったフランスの植民地だった国々の多くは独立後、西側諸国に与するフランスと距離を置くため東側諸国へ接近していた。

*17 主要因として官僚組織の肥大化によるヨコの連携不足や現場の独断専行といった各種政治的力学が挙がっている。

*18 議会政治発祥の国であるため。

*19 開会宣言は国家元首が行うため。実際にはカナダとオーストラリアでの開催時は自身の代理である総督が行った。

*20 イギリスは当然のこと、カナダやオーストラリア軍の最高司令官も、名目上は自身や総督が務めている。

*21 このプリントを見せつけるためだけにティーカップを使わなかったと推測される。英国面大爆発。

*22 言うまでもないだろうが「ボストン茶会事件」の事。よりにもよってその事件を起こしたアメリカの独立記念日のお祝いでこんな皮肉を言うのだから、英国陸軍も大したものである。

*23 紅茶をティーポットなどで作ってからカップに注ぐならミルクを先にカップへ注いでおくのもあり。……どっちから注ぐかは今も続くちょっとした宗教戦争である。

*24 イギリスの愛国歌。内容は簡潔に言うと「ブリタニア(イギリスを擬人化した女神)が世界を支配するだろう」というもので、当然初演時から人気を博した