パラオ共和国

登録日:2015/06/05 (金) 01:27:21
更新日:2023/08/22 Tue 14:51:50
所要時間:約 3 分で読めます





パラオ共和国とは、日本から南に約3000kmに位置する太平洋上の島々からなる国である。基本的にパラオと略される。漢字表記は帛琉。

●基本データ

首 都:マルキョク(2006年より)
国 歌:我等がパラオ
人口:約20,000人
公用語(○は一部地域のみ):パラオ語・英語・○日本語・○ソンソロール語・○トビ語
現トップ: 第10代大統領スランゲル・ウィップス・Jr
通貨:アメリカ合衆国ドル
国土面積:458km2(194位)


【概要】

200以上の島々からなる国。もっとも実際に人が住んでいるのは僅か9島であるとのこと。
ちなみにその内の一つに、アントニオ猪木氏が名誉オーナーを務めるイノキアイランドがある。

16の行政区域に分かれており、各州の自治は州政府によって執り行われている。
一方で伝統的な酋長制度も現存しており、うまい具合に共存している。

日本以上に高温多湿な土地で、年間平均気温は27℃で湿度は82%。生物なんかすぐ腐る。
また紫外線の強さは日本の7倍とされており、現地に向かうならば日焼け止めが必須である。

アメリカと自由連合協定を締結している。アメリカがパラオの防衛・安全保障を受け持っており、協定維持費として15年間で5億ドルの資金援助を行っている。
主産業は漁業・農業・観光業で、歳入の殆どはアメリカからの無償援助である。

世界遺産である「ロックアイランド群と南ラグーン」を始めとして自然が豊か。
特に世界でも一二を争うほど有名なダイビングスポットで、ダイバー達からは聖地と言われている。


【歴史】

第一次世界大戦まではドイツの植民地であったが、日本軍がドイツ軍を降伏させ占領。
その後の講和会議で日本の委任統治領となる。

第二次世界大戦ではパラオ最大の都市であるコロールは海軍の作戦拠点となる。
そのため連合国軍の攻撃対象となり、ペリリュー島の戦い・アンガウルの戦いが行われた激戦地となった。
特にペリリュー島の戦いは日米両軍とも甚大な被害を受け、西側の海岸は米軍の血で染まったことからオレンジ・ビーチと呼ばれるようになった。

大戦後はアメリカの信託統治を受けることになる。1981年に自治政府としてパラオ共和国が誕生。憲法も発布される。
そして冷戦終結後の1994年に独立。同年に国連にも加盟する。


【日本との関係】

日本とパラオは極めて強い繋がりがある。
日本の委任統治領となった後は、ドイツが行わなかった学校・病院の設置や道路などのインフラ整備を行い、パラオを近代的な町並みへと変化させた。

日本語の教育も行われるようになり、そのため当時教育を受けていた住民の方は今でも問題なく日本語を話すことができる。
また一部日本語がパラオ語として組み込まれており、「センプウキ」や「クマデ」、「アリガトウ」、「コクバン」、「ベントー」などの言葉が使われている。
ただ少々不自然に伝わってしまった日本語もあるようで、以下はその一例
  • アジダイジョウブ→美味しい
  • ツカレナオース→お酒を飲む
  • チチバンド→ブラジャー
  • サッポロイチバン→インスタントラーメン
  • アタマグルグル→混乱している
まあ意味は合っているのだけれど。こういうのはどの言語にもよくある話なのだ。

魚の生食文化も日本が由来。家の中は土足厳禁というのも日本統治時代の名残で、当時流行っていた相撲は、流石にしている人は居ないが見るのは大好きなようで、日本の大相撲が人気のテレビ番組であるらしい。

また、コロール島には南洋神社という神社があり、往時と比べて規模は小さいものの、戦前の外地にあった神社のうち唯一、祭神もそのままに復興された神社である。


両国の繋がりを表すエピソードとして、「日本・パラオ友好の橋」が挙げられる。
1977年に韓国の企業「SOCIO」が建設した、コロール島とバベルダオブ島を結ぶ橋、通称KBブリッジが1996年に崩落。死者2名負傷者4名以上の惨事となった。
これによりバベルダオブからコロールへ送られていたライフラインが橋の崩落によって断絶され、国家非常事態宣言が発令される事態となった。
これを1997年に日本の無償援助で鹿島建設が再建し、2002年に二代目KBブリッジが完成。以後「日本・パラオ友好の橋」とも名付けられ、両国の友好の象徴となっている。
なお、このSOCIOは入札時に鹿島の半額という破格にも程がある低価格で落札しており、この時点で初代の命運は確定していたと言える。
更にSOCIOは1994年に韓国で崩落事故を起こした聖水大橋の建造にも関与していた(施工は別の会社)。
また、初代の唯一の痕跡である記念碑も韓国の国名が削り取られた上に落書きまでされた挙句放置されており、パラオにおいて韓国がどう思われているかがうかがい知れる。

他にもペリリュー島の戦いにて玉砕した10,000人を越える英霊を合祀するために再建したペリリュー神社や、
日本の日の丸をリスペクトして作った*1国旗など、パラオは世界でも1,2を争う親日国として知られている。

また、アンガウル州ではパラオ語、英語と並び日本語が公用語に制定されている(ただし、公式な使用例はない)

人気テレビ番組『笑点』では座布団10枚の景品でロケを行ったこともある。
パラオに「第二若竹」と言う不吉な名前の演芸場を作り、小遊三師匠が落語を披露した。
先述の通りパラオは日本語のわかる人が多いため、割とうけていた。
なお、第二若竹はその後跡形もなく撤去されており、経営破綻した演芸場「若竹」と同じ運命を辿った。

最近では、2015年4月8日から9日にかけて天皇皇后両陛下が国際親善と戦没者慰霊のため訪問された際には、それこそ国を挙げての歓迎ムードとなり、道路の整備までも行われた。
当日は道路脇に幾つもの日の丸が掲揚され、9日は供花のためペリリュー島を訪問された際は、ペリリュー島の職場・学校が休みになり全島民で両陛下を出迎えた。
更にはこの4月9日を「天皇皇后両陛下ご訪問の日」として州の祝日にすることが決定した。


豊かな自然に親日的な人々、そして決して忘れてはならない戦争の傷痕に眠っている英霊たち。我々日本人が訪れるべき要素が盛り沢山のパラオ共和国。長期休暇の旅行先に選んでみてはどうだろうか?




追記・修正はパラオに行ったことがある人がよろしくお願いします。


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最終更新:2023年08月22日 14:51

*1 という説があるが、国旗の専門家である吹浦忠正氏が作成者に聞いたところ公式に否定されている。ただし、ミノル・ウエキ元駐日大使はフジテレビのインタビューで日本の国旗説を肯定している。