フジテレビ

登録日:2014/04/04 Fri 20:32:06
更新日:2025/05/02 Fri 17:24:20
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◆概要

株式会社フジテレビジョン(以下フジテレビ)とは、
株式会社フジ・メディア・ホールディングス(持ち株会社)傘下にある、大手民間放送会社(テレビ放送)の一つであり、フジサンケイグループの中心企業である。
フジ・メディアHD/フジサンケイグループには、ラジオ局のニッポン放送と文化放送、大手レコードレーベルのポニーキャニオン、中堅出版会社の扶桑社、
大手新聞発行社の産経新聞社とサンケイスポーツ、夕刊フジがある。
全国に系列局があるが、青森・山梨・徳島・山口の各県にはない*1

1986年に制定された目玉マークのロゴでおなじみ。開局以来ロゴの変更はこの1回のみで、キー局の中では最も長く使用されている。ちなみにそれまで使っていた8マークのロゴは変更した後も番組で度々使われたり、お台場の本社の社員用入口(オフィスタワーエントランス)にもオブジェとして存在する。


◆データ

●コールサイン JOCX-DTV(アナログ放送時代はJOCX-TV)
●愛称 フジテレビ、フジ、CX
●本社所在地 東京都港区台場
●関連のある会社 阪急阪神東宝グループ、松竹、東映、東映アニメーション東京ヤクルトスワローズ
●関連会社 BSフジ、CSフジ
●リモコンでのチャンネル番号(リモコンキーID):8*2(BSフジは「181」)

東映、東宝、松竹との関係

元々、フジテレビは文化放送、ニッポン放送、産経新聞が作った会社であるが、創設された際は東映、松竹、大映が深く関わっていた。
松竹と大映は主に時代劇と現代劇の製作ノウハウをフジテレビとともに蓄積し、東映は初期は時代劇に関わることが多かったが、
日本教育テレビ(現在のテレビ朝日)の開局に尽力したため、ドラマと時代劇はテレ朝に、
アニメ部門である東映動画(後の東映アニメーション)製作のアニメをテレ朝と並行して製作すると言うことで落ち着いた。
フジテレビで東映製作のアニメが多いのはこのためであり、ドラゴンボールONE PIECEなどの名作がフジテレビで放送されたのにもこういった事情がある。
後に、大映の経営危機により角川と合併した後の角川大映とは距離を置き、系列局である関西テレビの開局に奔走した阪急東宝グループとの密接な関係が出来上がり、
現在ではフジテレビの現代劇は2時間ドラマの一部が大映テレビの他は東宝が深く関わっていることが多い。
阪急阪神東宝グループとなったあとは、阪神タイガース主催試合の放送が全国放送やBSに限って増加している。

局ビル

開局最初期(1959年)は千代田区有楽町のニッポン放送本社ビルに居候。1962年からは新宿区河田町に本社ビルを建て長らくそこにいたが、1997年3月10日朝から港区台場に新しく建てた本社「FCGビル」へと放送機能を移動。現在へと至っている。
現行社屋は2024年現在日本最大のテレビ局建物となっており、上層部のこち亀アニメでよく壊されたりデジアド1期でボール代わりにされた球体展望室「はちたま」がランドマークとして有名。


バラエティ

元々は上記の関係からアニメに強く、また『ポンキッキ』などの子ども番組や女性向け番組に強かったこともあって「母と子のフジテレビ」と呼ばれていたのだが、70年代の改革で制作体制や番組の路線変更を狙うも大失敗してしまう。
そこで、1980年代からは制作体制を元に戻してから「軽チャー路線」と呼ばれる番組作りにシフト。1981年の『オレたちひょうきん族』を皮切りとして、数多くの人気バラエティ番組を生み出し大成功を収めたことで知られる。「楽しくなければテレビじゃない」というフレーズもこの時代から出来たもの。
東西芸人を4~5組集めてコントやロケに挑戦させるというスタイルは、今なお同局のバラエティのフォーマットとして数多く制作されている。また、その際の進行役の補佐として女子アナにフォーカスが当たるようになった*3のもバラエティーの影響が強い。2000年代に入ってからは千野志麻アナウンサーの愛称『チノパン』に始まるパンシリーズが始まり、フジテレビの女子アナそのものの象徴的な呼び名として知られている。
また、深夜帯には若手のスタッフによる挑戦的な番組作りが行われており、『世にも奇妙な物語』や『トリビアの泉』など、後の時代まで名を残す番組も制作された。さらに、プロデューサーやAD、カメラマンのような番組制作を行うスタッフが度々カメラの前に映るようになっていて、いくつかの番組では名物スタッフが誕生することも少なくなかった。
フジテレビの躍進と共に知名度を上げた芸能人も多く、80年代には明石家さんまやタモリ、とんねるずなどのお笑い芸人の支持基盤を作り上げた他、90年代にはSMAPのブレイクに貢献。冠番組の『SMAP×SMAP!!』は、男性アイドルによるフジテレビお得意のコントなども交えたバラエティーとして人気を博し、番組最末期前まで裏番組にとっての大きな壁として立ちはだかっていた。

一方で、フジテレビという会社を救ったバラエティー番組での成功の代償は決して軽いものでは無かった。
それ以前から弱かった報道班の地位が決定的に弱体化してしまい、他局と比較して十分な報道体制が作れなかったこと。面白さを第一とするスタッフ達によって過酷な撮影環境が作り上げられた結果、タレント達に対する扱いがぞんざいになり、精神状態に負荷をかけてしまったこと。視聴者の興味を引こうとして番組でのやらせ演出が横行したり、収集したデータや映像の改竄が行われてしまったこと。アナウンサーのアイドル化が進み、外見の整った人物やタレント力がある人物がブレイクしていく一方で、本来求められるべきアナウンス力や常識的な知識が疎かになっていったこと。
コンプライアンス意識が強くなっていく時代の流れの中で、これらが徐々に明るみに出ていくにつれてフジテレビの人気にも陰りが出てくるようになる。
そして、自らが掲げた「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチコピーもまた、社員たちの年齢層が高くなるにつれてじわじわとフジテレビの首を絞め始めるようになった。
従来の「楽しい」が次第に番組で通用しなくなり始めた中で、何とかしようと人気番組を打ち切ってベテランスタッフによる番組作りが行われるも苦戦。回ってくるはずだった若手スタッフの活躍機会が減らされ、何とかして時代に合わせようと他局の番組の内容に追随するのがやっと……という状況に陥り、一時期は日テレ以上の人気を誇りながら2010年代後半からはテレ東にすら脅かされる立場に立たされてしまった。

総じて、このバラエティーでの成功は会社を成長させた大きな成功ではあったものの、その路線をアップデートしなかったために2000年代に入ってからはフジテレビ全体の体質にまで歪みを起こした、と考えられている。

ドラマ

フジテレビのドラマはいわゆる「月9」の枠を有しており、トレンディドラマ全盛期には視聴率20%越えのドラマを連発。主題歌も軒並みミリオンセラーを達成した。この時代の代表作としては『東京ラブストーリー』や『ロングバケーション』など。月9枠は特に木村拓哉が主演の作品が多く、視聴者からも高い人気を有している。
また、主婦層をメインターゲットとしたドラマ、いわゆる「昼ドラ」枠を有していたことでも知られている。こちらは1960年とかなり早くからスタートしており、2016年まで続いていた。
他にも今なおロケ地が北海道の観光名所にもなっている『北の国から』や、昼間にやたら再放送されがちな『古畑任三郎』、劇場版も公開されて大ヒットした『踊る大捜査線』なども人気が高い。アニヲタ的には『電車男』の実写化を行ったり、『のだめカンタービレ』を初めとした漫画原作のドラマ化も有名か。
しかし、2000年台後半に入ってからは月9枠の人気が徐々に低迷。そもそも恋愛系のドラマがウケにくくなったことに加え、ドラマでのライバルと言えるTBSが2010年代中盤以降ヒット作を叩き出してきたこともあり、遂に方針を転換。2020年代には脱恋愛路線に出た結果人気が回復し始め、現在はかなりマルチなジャンルのドラマ作りがなされている。

ヤクルトとの関係

国鉄スワローズの経営がままならなくなった影響で、1965年にサンケイグループが共同で球団を取得し「サンケイスワローズ」と改称する。
後に、スワローズの後援会副会長が手塚治虫氏であったため、鉄腕アトムの商標権貸借契約を虫プロダクションと締結し、「サンケイアトムズ」と改称する。
その後、産経新聞社の発行部数の伸び悩みから産経新聞社保有分の球団株式をヤクルトに売却、
さらにフジサンケイグループの財務体質を強化するため、フジテレビとニッポン放送が保有していたアトムズ株式の2/3以上をヤクルトに売却し、
1970年に「ヤクルトアトムズ」に改称する。
その後、虫プロ倒産の煽りを受けて、球団と虫プロの間の貸借契約が自動失効したため「ヤクルトスワローズ」にする。
現在も、ヤクルト球団株式のうち20%をフジサンケイグループが保有しているため、CS放送でヤクルトの主催試合を独占的に放映できるのはその為である。また、フジテレビ系列の番組「プロ野球ニュース」では元ヤクルトOBが解説を務めることも多い。

1978年、ヤクルトがリーグ優勝を決めた際、神宮球場が明治神宮野球大会のため日本シリーズ期間中使用不能となり、
急遽開かれたプロ野球オーナー会議にてヤクルト主催試合分を後楽園球場に振替えることで合意した。
当時、後楽園球場で行なわれるプロ野球中継は日本テレビに優先権が与えられていたため、日テレとフジが協議をした結果、
第二戦のみ日本テレビが放送し、第一戦、第六戦、第七戦はフジテレビに放映権を有償で貸し出すことで合意した。
国鉄時代は本拠地は後楽園であったため、日テレで放映していたが、神宮に移ってからはフジとテレ朝が放映権を保有していたため、
この日本シリーズ第二戦以降、日テレでヤクルトの主催試合を放映したことはない。

アニメ

サザエさんを制作するエイケンやちびまる子ちゃんを製作する日本アニメーションとは、開局以来の付き合いである。
一時期東映アニメーションに移管する話があったが、東映側が他局番組も多数抱えていた影響で、丁重に断ったと言う。
こちら葛飾区亀有公園前派出所』等週刊少年ジャンプ作品については上記したが、他にも日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』を放送したのもこの局。それから『世界名作劇場』などアニメ番組を幅広く放送していた。

深夜アニメ

現在はアニメ枠としてノイタミナが存在するが、かつてはかなり横暴な編成がなされ、
1回に3話など放送されたり、途中で打ち切りになったり、野球中継延長に伴って放送が潰れることがあった。
詳しくは2000年代初頭フジテレビ深夜アニメ問題にて
近年では『鬼滅の刃』の放映権を購入し、新作は異例となる23時台での全国放送も実施。

映画

ドラマを放送してから、映画にする商法が多数あり(逆もある)、映画が連続シリーズになったりする。
踊る大捜査線、アンフェア、海猿、ガリレオなど。

近年のフジテレビ

2010年代以降はバラエティー番組の質の低迷や長寿番組の相次ぐ終了、度重なる不祥事などの様々な理由から迷走・低迷期を迎えている。
ただし、視聴率調査の変更*4を受けた改編が功を奏し、2020年個人視聴率で日テレに次ぐ2位に返り咲くことに成功している点には留意したい。


その他

マスコットは2000年に誕生した青い色でサングラスを頭に掛けた犬「小犬のラフちゃん」(ラフくん)。設定としては「バラエティ番組『笑う犬』シリーズのマスコット犬の子供」とされている。

全盛期には自局番組のタイアップ曲から多数ヒット曲も出しており、オリコンに記録されたダブルミリオン(レコード・CD)達成曲に限っても
  • およげ!たいやきくん(『ひらけポンキッキ』挿入歌)
  • 世界に一つだけの花(ドラマ『僕の生きる道』主題歌)
  • 君がいるだけで(ドラマ『素顔のままで』主題歌)
  • SAY YES(ドラマ『101回目のプロポーズ』(主題歌)
  • Tomorrow never knows(ドラマ『若者のすべて』主題歌)
  • ラブ・ストーリーは突然に(ドラマ『東京ラブストーリー』主題歌)
  • YAH YAH YAH(ドラマ『振り返れば奴がいる』主題歌)
  • 名もなき詩(ドラマ『ピュア』主題歌)
  • CAN YOU CELEBRATE?(ドラマ『バージンロード』主題歌)
  • WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント(『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』テーマソング)
  • Automatic(『笑う犬の生活』エンディングテーマ)
  • TRUE LOVE(ドラマ『あすなろ白書』主題歌)
  • 愛は勝つ(『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』挿入歌)
と計13曲輩出。日本レコード大賞では1990年~1992年のみ存在した「ポップス・ロック部門の大賞」を3年連続*5受賞という快挙も達成していた。

1997年3月に東京都港区のお台場のFCGビルへ移転した際、それに合わせて『ザッツお台場エンターテイメント!』という開局38年間の歴史を振り返る特番を放映したが、そのオチが
CGの花火が誤爆して球体展望室「はちたま」が燃え落ち、ロボットに変形したFCGビルにパイルダーオン
というもの。スタジオの出演者曰く、映像に合わせて 展望室の方から人が走ってきた という手の込んだドッキリだったとか。
一番のツッコミどころは、こんな映像を作った後にメガギラスに展望室を叩き落とされるのにはNGを出したことであろう。自社作品以外に壊されるのは嫌だったのだろうか


追記・修正はフジサンケイグループの台所事情を理解できる人にお願いします

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最終更新:2025年05月02日 17:24

*1 青森と山梨はフジ系として開局する予定だったが、諸事情により直前でTBS系列に変更された。その関係で青森と甲府にはフジテレビの支局がある

*2 FNSネットワークの他所属テレビ局も、富山テレビ放送・東海テレビ放送(1ch)・サガテレビ(3ch)・テレビ宮崎(3ch、但し他2つのキー局とのクロスネット)を除いて8をリモコンキーIDに登録している。

*3 これ以前の男女雇用機会均等法制定前には、女子アナの定年が25歳というとんでもない冷遇を受けていた。

*4 配信や録画などの各種媒体普及に伴い、テレビの視聴数ではなく13~49歳の「コア視聴層」を重視する方針に変更。

*5 『おどるポンポコリン』・『愛は勝つ』・『君がいるだけで』