かぐや消し

登録日:2011/07/25 Mon 03:42:00
更新日:2024/07/06 Sat 07:49:48
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かぐや消しとは、放送禁止用語や自主規制などに使われる「ピー」という音(以下「ピー音」)を短くしたり意図的にズラす手法を指した造語。
本来ピー音とはテレビでの暴露放送や、隠したい語句全体を流さないように被せるようにして使うものだが、あえてそれらを隠す気がなかったりネタとして扱う場合に用いられる。特にエロゲやギャグ系統のアニメで広く用いられている。
このピー音をあえてズラすことで、もうほぼ聞こえてんじゃん…というようにピー音を実質意味ないものとして扱うのが、このかぐや消しである。
発足となったのは、アダルトゲームのピー音である。

【なぜピー音を入れなければいけないのか】

そもそもの話、アダルトゲームである以上、淫語などの放送禁止用語というものは避けようがない。
それならばピー音自体入れなくてもいいのではないかと考える者もいるだろう。
そこには審査機関であるコンピュータソフトウェア倫理機構(通称ソフ倫)が大きく関係している。

このソフ倫というの機関はどういうものかというと、主にPCソフトの審査や著作権の保護などを中心に行っている一般社団法人である。
PCが普及する以前はそもそもPCソフトに触れる機会もなかった時代とは異なり、今や18歳未満の青少年でも調べることや手に入れることも容易な時代となっている。
そもそも当初のアダルトゲームとは、いわゆるモザイク処理やピー音などの規定が存在しておらず、企業によってまちまちな対応を行っており、規制が入っていないものすらも多く存在していたようである。
大きな転機となったのは、京都府の中学生がアダルトゲームを万引きしたという事件(通称沙織事件)が起きたことによる。
このときアダルトゲーム全体に非難が向かい、さらには当のゲームを制作したフェアリーテール(現F&C)が摘発されることとなってしまった。

この事件がきっかけとなり、1992年より自主規制団体としてソフ倫が発足した。
ソフ倫の審査では主に作品の設定が18歳未満にならないようにすることやモザイクなどの規制を入れることなどを条項に挙げている。
例えばどうみても学生たちのアダルトゲームで「高校」と言わずに「学園」と表現しているのがまさにこれ。
いわゆるピー音をいれるのもこの規制の一つである。

アダルトゲームを購入したことがある人ならば、ソフ倫の名前や丸く中央に18と数字が書かれ周りに文字が書いてあるシールを見たことがあるだろう。まさにこのシールこそ、ソフ倫の審査を通過したゲームであることの証明である。

でも別にソフ倫を通さなければ、今でも規制をいれなくていいんじゃね?と思ったそこのあなた。
そうは問屋が卸さないのがこのソフ倫、なんと流通関連でも動いているという部分である。

そもそも規制が厳しいのであれば、自主規制団体でしかないソフ倫を通す必要がなくなってしまう。それでは発足の経緯から考えても二の舞になることは明らかである。
そのため、ソフ倫は販売店などの流通も収めることで、規制外のアダルトゲームを無くしていく努力を行ってきたのだ。
もちろんそのままでは制作する企業への負担にもなるため、海賊版などの撲滅などの著作権の保護も行っているのである。

つまり、ソフ倫の審査を通すということは厳しい規制を通すことになり制作も大変になる一方で、審査が通ればそこからの流通と作品の保護を担ってくれる部分も存在することで各企業のメリットにもなっている。
これによってアダルトゲーム業界の一定の基準と企業を盛り上げることにつながっているのだ。

【規制への抵抗】

上記の通り規制が厳しいこととなったが、プレイヤーからすればこのような規制などは知ったこっちゃないもの。
美少女たちが淫語を発する姿をみたいのは当たり前の想いである。

そんな中、エロゲーブランドの一つ「アトリエかぐや」が画期的なピー音を入れることとなる。
それは、そもそもピー音を短くしたり、「ん」などのピー音に似ている部分にピー音をかぶせる事で、ピー音があるのはわかるけどほぼ意味がないものにするという手法であった。

どういうことかというと
 おち○こ という言葉が作中に台詞として出るとする。
従来であれば、この言葉全体もしくは半分以上にピー音を被せることで、規制を通すように各企業は対応してきた。
そのためおち○この場合に、 「ピー」 か お「ピー」こ のように聞こえていたわけである。
しかしながら、実はこの規制にはどの程度ピー音を被せなければいけないという明確な規定が存在していなかった。

そこでアトリエかぐやはどうしたかというと
 おち「ピー」こ や おち「ピー」んこ 、もっとひどいと おちnピーnこ (「ん」の文字の真ん中あたりのみ被せる)ようなピー音を入れたのである。

規制としてはピー音が入っているため、ソフ倫の審査はクリア。一方ユーザーは女性声優の淫語をほぼ聞くことができるため、より喜ばしいこととなるのである。
抜きゲーブランドであるアトリエかぐやだからこその表現であり、これをもってアトリエかぐやは躍進していったといっても過言では無い。

これが好評となり、世の抜きゲーブランドはこぞって同じ手法を取り入れることとなる。アダルトゲーム業界に大きな風が吹いた瞬間なのだ。
この手法を最初に行ったアトリエかぐやの功績もあり、この手法を「かぐや消し」ということになったのだ。

【余談】

上記の通りこの規制自体は自主規制であり、ソフ倫での審査を通さなければこれらの規制は必要のないものとなる。
いわゆる同人作品はそもそも審査を通していないため、これらの規制はその作品によりけりである。
また、メディア倫理委員会(通称メディ倫)や、コンテンツ・ソフト共同組合(通称CSA)という審査機関も存在する。この両機関はソフ倫よりも規制が少しばかり緩いことでも知られる。
そのため、この2つの機関で審査をしているアダルトゲームブランドもあり、その場合はこの規制に全部当てはまるわけではない。
つまり、アトリエかぐやは最も審査が厳しい機関で、なるべくその審査を通しながら淫語を聞こえるように努力をし続けてきた抜きゲーブランドなのである。


追「ピー」記、修「ピー」正は「ピー」していない人が「ピー」します。

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最終更新:2024年07月06日 07:49