登録日:2015/11/14 Sat 02:48:54
更新日:2024/09/05 Thu 22:49:48
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バタリアン リターンズとは、1993年に公開されたホラー映画。
原題は「RETURN OF THE LIVING DEAD 3」
【概要】
大人気ゾンビホラーの「
バタリアン」シリーズの第三作にして最高傑作である。
ストーリーはコミカル路線だった前作の1,2から一転、ゾンビと化した恋人との異形の愛とそれに伴う惨劇を“奇妙なリアリティ”の欠如を物ともしないほどシリアスに描いたラブロマンスに仕上がっており、どこか悲壮感の漂う内容になっている。
監督は「
死霊のしたたり」シリーズのブライアン・ユズナ。
セクシーな悲劇の女ゾンビと化していくヒロインのジュリーを演じるのは、「
スポーン」のミンディ・クラーク。
自らの肉体を傷つけ感じる苦痛によって人間性を保とうとするその姿は痛々しくも美しい。
VHS&DVDジャケットの表紙を飾るジュリーのフェティッシュなジャンク・ボディ・ピアッシングをはじめ、グロテスクなバタリアン達の特殊メイクは、「
スピーシーズ 種の起源」等の名手スティーヴ・ジョンソン。
【あらすじ】
軍事施設で働く父を持つ主人公カートは恋人のジュリーと共に軍事施設に忍び込み、そこで父の指揮の下で行なわれていた禁断の実験を目撃してしまう。
それは、特殊ガス“トライオキシン”で死者を蘇らせて最強の兵士を作り出すという恐るべきものであった。
その晩、カートはバイク事故を起こし、同乗していたジュリーは即死。
恋人を失う事への恐怖と絶望に打ちのめされたカートは、最愛のジュリーの死体を軍事施設に運び込むと、彼女をトライオキシンで蘇らせてしまう。
だがそれは、更なる惨劇の幕開けだった……。
【用語】
軍事兵器である特殊なガス。
元々は大麻撃滅作戦のために開発されたが、死者を蘇らせてゾンビに変える副作用がある。
シリーズにおけるゾンビの名称。もっとも、作中で呼称されたことはない。
トライオキシンによって蘇生した人間の死体であり、普段はドラム缶のような緑色の樽に封印されている。
前作とは違い、ジュリーを除くほとんどの個体は言葉を喋らず、ステレオタイプのゾンビのごとく知能がない存在となっている。
当初の予定では「樽から出したゾンビを戦場で暴れさせて用が済んだら専用の麻酔銃で眠らせて再び樽に入れる」という非人道的なコンセプトであった。
軍部で大いに期待されたのだが、肝心の麻酔の効果が不完全だったのに加え、他のゾンビ映画と同様にゾンビに噛みつかれた犠牲者がゾンビ化するという致命的な欠陥が作中の実験で明らかとなってしまい、計画が難航の一途を辿ると思われたが…
【登場人物】
- カート・レイノルズ(演:J・トレバー・エドモンド)
本作の主人公。ある意味本作の元凶。
裕福な家庭であるが、仕事を優先させてばかりいる父親と確執がある。
序盤で一方的に引っ越しの準備を命じられたのを機にとうとう父親に反発して、親子喧嘩の末に恋人のジュリーと共に独立を宣言して家出した。
バイクに乗って自由を満喫していたところ、運転ミスで事故を起こした挙句、同乗していたジュリーを死なせてしまう。
悲しみに暮れるあまり、トライオキシンで彼女を蘇生しようと試みるが、この行動が本作における悲劇的な結末へと繋がってしまう…。
ぶっちゃけ「やる事なす事裏目に出る」を地で行く残念なイケメン。
カートの恋人である本作のヒロイン。
赤毛が特徴のパンクな美女でゾンビ化する前は事あるごとにカートを何度もキスしたり、彼の家でベッドインしたりと、
ラブラブなリア充ぶりを披露していた。お前ら末永く爆発しろ
逃避行の最中にバイク事故で一度命を落としたが、カートの手によって蘇生された。
他のバタリアンと違って自我を保っているものの、体温が無く心臓が止まっている他、「人を喰らいたい」という空腹感に襲われて、身も心も怪物と化してしまう。
蘇生後は生前のバカップルぶりが鳴りを潜め、人間でなくなった疎外感や理性を失う不安に苛まれ、行く先々で衝動的に人間を襲いかかる有様。
その後、
痛みによってかろうじて食欲を抑えることが出来ると気付き、途中から自傷行為を繰り返していた。
だが、それが次第にエスカレートしていき、最終的にはボディピアスのようにガラスや金属片を全身に突き刺し、
ヘルレイザーを彷彿させるような文字通り痛々しい外見へと変貌してしまう。
下水道のポンプ室を家代わりにしている黒人のホームレス。ある意味本作一番の被害者。
近くの川でカートとジュリーに出会い、直後に二人を追ってきた不良四人組が現れた際にはカート達をポンプ室に匿った。
その後、お互いの夢や目標を語り合い、お礼を言ったカートに謝肉祭コインを渡した。
次は誰かを助けてやれ そして助けた奴にそれを渡せ
コインが循環する時――
誰かが良いことをしてるってわけだ
……と、本作で唯一の良心と言える人物であったのだが、皮肉にもカートとジュリーに関わってしまったばかりに散々な目に遭わされるハメに…
カートの父親。生物兵器を開発する軍施設の指揮官。
妻に先立たれており、その悲しみや喪失感を埋めるために現在の仕事に就いていた。
高圧的で家庭を顧みない部分があったらしく、妻の死も相まって息子との関係が冷え切っている。
それでも息子のためにバイクやドラムを買い与える等、
金銭や物でカートが不自由しないようにと自分なりに親としての責務を果たそうとはしている。
一応、自分ではしっかりしているつもりであったらしいが、
仕事にかまけてばかりで引越しの多い生活もあってカートの人格形成をひねくれさせてしまった。
序盤で行なった実験の失敗で配転を命じられ、帰宅した後にカートにその事を伝えたが、13回目の引っ越しでようやく出来た仲間や恋人と別れたくないカートと口論となり、彼の家出を決意させてしまう。
カートをゾンビにさせまいと最後の最後まで奔走するが…。
本省から派遣された女性軍人。
ジョンと同じくトライオキシンの研究を行なっているが、彼女の場合は蘇生した死者に金属の外骨格を装着して制御可能なゾンビ兵士を作るというものであった。
不良四人組の一人。
コンビニでたまたま出会ったカート達にケンカをふっかけ、更にはレジの金を強奪する等、典型的な
DQNと言えるゴロツキ。
強盗した際には止めようとした店主をはずみで発砲してやむなく逃走、そして仲間の1人を襲ったジュリーに仕返しをしようとカート達をしつこく付け狙った。
当初はカートを脅してジュリーを呼び出せようとしたが、直後に現れた彼女のボディ・ピアス姿に
何故か欲情してポンプ室に連れ込んだ。
…のだが、ほどなく断末魔の悲鳴と共に返り討ちに遭って死亡。
脊髄をぶっこ抜かれながら外に引きずり出された挙句、
首が伸びたような状態でゾンビ化してしまう。
不良四人組の一人。
中盤でサントスがジュリーに殺された際には銃で応戦するも、ゾンビである彼女には全く効かず一方的にメッタ打ちにされた上、トドメと言わんばかりに唇を噛み千切られた挙句にゾンビ化してしまう。
不良四人組の一人。
コンビニを逃走する際に近くにいたジュリーに噛みつかれてしまった。
その後、噛みつかれた傷口がどんどん化膿して体調が悪化してしまい、サントスとフェリーぺがジュリーに殺された時には完全にゾンビ化してマリシアに襲いかかった。
不良四人組の一人。
四人組の紅一点であるアジア系の女性。
コンビニでジュリーに襲われた負傷で衰弱していくモゴを心配していたが、最期はゾンビ化したモゴに襲われて自身もゾンビになってしまった。
トライオキシンの開発者である上官。
もっとも、研究に関してはジョンに任せっきりであり、実験が失敗した際には頭ごなしに失敗の原因と責任の所在をジョンに追及する体たらくであった。
サントス達の強盗に遭遇して重傷を負い、カート達に車で病院に連れていくよう頼んだ。
店に停めてあった車をカートに運転させる形で移動していたが、カート達を追ってきた警察に運悪く銃で脳天を撃たれて即死。
そして、車内にいたジュリーに脳みそを喰われてゾンビ化してしまい、自分を撃った警官達に襲いかかったところ、その後に現れたジョン達に麻酔銃で捕獲された。
【余談】
2012年に幕張で開催された「HALLOWEEN PARTY」にて、VAMPSのヴォーカリストである
HYDE氏がジュリーのコスプレを披露していた。
特殊メイクには2時間ぐらいかかったとの事。
追記・修正は愛する者をトライオキシンで蘇らせてからお願いします。
- 登場人物の大半がだいたい主人公のせいでひどい目に遭ってるのがワロタw -- 名無しさん (2016-10-10 15:13:11)
- 実はバタリアンというより普通のゾンビなんだよね。 -- 名無しさん (2018-05-26 01:14:40)
最終更新:2024年09月05日 22:49