インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説(映画)

登録日:2016/02/16 Tue 14:37:40
更新日:2025/03/23 Sun 01:36:21
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■インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説


『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説(原:INDIANA JONES and the TEMPLE OF DOOM)』は84年に公開された米映画。
ルーカスフィルム製作。
パラマウント映画配給。
考古学者にしてトレジャーハンターのインディ・ジョーンズの活躍する冒険アクション第2彈。
前作のヒットを受けて製作された待望の続編(※時代設定は前作の1年前)で、ルーカスの構想では『帝国の逆襲』の様な暗くハードな作風にしたかったらしいのだが、
暗さの為に設定した邪教集団と相対するのが、子供を救う為に戦うインディ=ヒーローという構図であったためか、結果的に前作よりもアクション重視の単純明快で明るい印象の作品となった。
特に、クライマックスでの暗黒の迷宮を疾走する2台のトロッコによる追跡シーンは圧巻で、後に多くのオマージュを生んだ。

……その一方で、エンターテインメントに走り過ぎた結果、ブラックジョークとは云え、行き過ぎた「アメリカ人から見た偏見に満ちたインド」の描写には国内外から多くの批判が集まり、後にスピルバーグに「自分はあくまでも雇われ監督」「自分の撮った最も最低の映画」と言わしめるまでとなってしまった。

上記のように余りにも偏見に満ちた国辱的な内容故に、インド政府から撮影への協力は勿論、映画の公開までもが拒まれている。
この為、映画の撮影は仕方なく対岸のスリランカで行わなければならなくなった等、不名誉な逸話も残る。

【物語】

1935年。
中国で清王朝の初代皇帝ヌルハチ(奴児哈赤)の遺骨を見つけ出したインディは、上海の犯罪王ラオとの取引に挑んでいた。
互いに策謀を巡らせた丁々発止のやり取りの末に、大混乱に陥ったクラブを歌姫のウィリーを連れて逃げ出したインディは、相棒のショーティも加えた3人で上海を脱出。
……しかし、逃亡に使った飛行機がラオの会社の持ち物だった事から、インディらは眠っている間に空の上でパイロットに脱出されてしまい、挙げ句に燃料も抜かれた状態の飛行機に放置されてしまう。
パラシュートまで捨てられてしまっていたが、高山地帯であることをこれ幸いにと、インディの機転(博打)で飛行機からゴムボートで滑り落ちた3人は何とか生還。
そのまま川を降り、インドへとたどり着くのだった。
帰国の為に首都デリーを目指したい3人だったが、途中で導かれた小村で村のサンカラストーン(シバリンガ)が同地を治めるマハラジャに奪われた事と、子供達が拐われて帰ってこない事を訴えられる。
聞くと、マハラジャの住むパンコット宮殿で「邪悪」……100年前に亡びた筈の邪神カリを崇めるサギー教団が復活したと云うのだ。
シバのお告げの話はともかく、宝と子供達の話に興味を持ったインディはパンコット宮殿を目指すのだった。

【登場人物】


■インディアナ・ジョーンズ
演:ハリソン・フォード
著名な考古学者にして世界有数のトレジャーハンター。
今作では上海の犯罪王とのやり取り等、裏社会での悪名も垣間見える。
成り行きから邪教集団の本拠地へと入り込むが……。*1


■ウィルヘルミーナ・“ウィリー”・スコット
演:ケイト・キャプショー
ラオの経営する上海のクラブ「オビ=ワン」の歌姫。
インディとラオの取引でインディに人質に取られたのを切っ掛けとして、大乱闘から続く成り行きの中でインディに同行することに。
何かある度に絶叫している。*2

■ショート・ラウンド(ショーティ)
演:キー・ホイ・クァン
インディの財布をスろうとした所を捕まり、助手として拾われた戦災孤児。
子供ながら非常に有能で、靴に木材を括りつけて車の運転もこなす一方、インディ相手にイカサマを仕掛けるといった面も。*3

■モラ・ラム
演:アムリーシュ・プリー
今回の悪役。
邪神カリ(カーリー)を崇拝する邪悪な教団「サギー教」の司祭。*4
呪文を唱え、外から人間の心臓を抉り取ってしまえる魔術の使い手。
彼に心臓を抉り取られた者は、すぐには絶命せずに生き続ける。
犠牲者の肉体が焼かれると同時に、モラ・ラムの手の中の心臓も燃え上がるのは印象的な場面の一つである。
また、悪魔の血を飲ませることで人々を洗脳しており、幼いマハラジャのザリムを操ってパンコット宮殿を隠れ蓑にしていた他、インディにも人質を盾に洗脳を施した。
子供達を奴隷にし失なわれた二つのサンカラストーンを探させている。

■チャター・ラル
演:ロシャン・セス
若きマハラジャに仕える、パンコット宮殿の宰相。
海外留学でオックスフォードにも通っていた秀才でインディの事も知っていた。
正体は……。*5

■フィリップ・ブランバート
演:フィリップ・ストーン
イギリス軍の大尉でライフル部隊の隊長。
定期的に当地に視察に来ており、サジー教団の噂も知っていた。

■ラオ・チェ
演:ロイ・チャオ
上海の暗黒街を取り仕切る「犯罪王」で、インディと「ヌルハチ」を巡る取引をした。
取引場所のクラブ「オビ=ワン」のオーナーでもあるらしく、実業家としての顔も持つ模様。
インディにしてやられたと思いきや……。

■ウー・ハン
演:デヴィッド・ヴィップ
インディの友人(助手)。
ラオとの取引の際にインディに同行するが……。

■カオ・カン
演:リック・ヤング
ラオの息子。

■チェン
演:チュア・カー・ジョー
ラオの息子。

■シャーマン
演:D・R・ナーナヤッカーラ
インディ達が訪れた小村「メイアプール」の長老。
インディ達をシバの使いと呼び、サンカラストーンの奪還を依頼する。*6

■ザリム・シン
演:ラジ・シン
当地のマハラジャでパンコット宮殿の少年王。
本来は若いながら徳の高い支配者だが、モラ・ラムの洗脳により傀儡とされてしまっている。
何故か呪いの人形でインディを苦しめる。

■チーフ・ハンクマン
演:フィリップ・タン

■アール・ウェバー
演:ダン・エイクロイド

■宣教師
演:シド・ガニス、ジョージ・ルーカス、アンソニー・パウエル

■空港の旅行者
演:フランク・マーシャル、スティーヴン・スピルバーグ

※ルーカスとスピルバーグ等はカメオ出演。

【余談】


※本作のヒロインのウィリーと相棒のショートの名前の元ネタは、それぞれスピルバーグの愛犬と脚本家の愛犬。
インディと同じ命名理由である。

※本作が縁でスピルバーグとケイト・キャプショーは結婚した。
メイキングでも既に仲睦まじい二人の姿が見られる。

※虫などの悪趣味極まりないゲテ物料理は勿論、本来のインド料理とは関係無い。
悪趣味を意識してジョークとして演出したとはされているものの……。

※シバ(シヴァ)のリンガやタジーの名前等が登場するものの、本来のヒンドゥーとは解離した描写も多い。
メイキングではインド政府の検閲に対しての不満が述べられているが、仕方のない所であろう。

追記修正は悪魔の血に打ち勝ってからお願いします。

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  • 1984年
最終更新:2025年03月23日 01:36

*1 ハリソンは撮影に辺りウェイトトレーニングで前作より鍛え上げた肉体美を披露している。しかし、アクションシーンで相手を投げ飛ばす際に腰を痛め、ヘルニアにより撮影を中断させてしまった

*2 絶叫については演出の為とは云え、現場でもネタにされていたらしい。当初は前作のヒロインであるマリオンの出演も考えられたらしいが、結局は作品毎にヒロインを変える方向で決定された。

*3 中の人は当時12歳。通ってた学校に貼ってあった募集から応募した一般人だったが、演技テストで才能を認められた。

*4 勿論、本来のカーリー女神と暗殺集団「タギー」はここまで邪悪であったり、現実離れした集団では無い。

*5 ロシャン・セスとモラ・ラム役のアムリーシュ・プリーは『E.T』から肝心のアカデミー作品賞や監督賞の栄誉を奪った『ガンジー』の主要キャスト。

*6 スリランカの撮影では当然の様に英語が通じなかったが、スピルバーグの発した言葉を長老役の老人が後から真似するようになり、それを利用して台詞を言わせたらしい。