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インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説(映画)

登録日:2016/02/16 Tue 14:37:40
更新日:2026/08/13 Thu 00:20:44
所要時間:約 7 分で読めます




『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説(原:INDIANA JONES and the TEMPLE OF DOOM)』は84年に公開された米映画。
ルーカスフィルム製作。パラマウント映画配給。


【概要】

考古学者にしてトレジャーハンターのインディ・ジョーンズの活躍する冒険アクション第2彈。
前作のヒットを受けて製作された待望の続編(※時代設定は前作の1年前)で、ルーカスの構想では『帝国の逆襲』の様な暗くハードな作風にしたかったらしいのだが、暗さの為に設定した邪教集団と相対するのが、子供を救う為に戦うインディ=ヒーローという構図であったためか、結果的に前作よりもアクション重視の単純明快で明るい印象の作品となった。
特に、クライマックスでの暗黒の迷宮を疾走する2台のトロッコによる追跡シーンは圧巻で、後に多くのオマージュを生んだ。

……その一方で、エンターテインメントに走り過ぎた結果、ブラックジョークとは云え、行き過ぎた「アメリカ人から見た偏見に満ちたインド」の描写には国内外から多くの批判が集まり、後にスピルバーグに「自分はあくまでも雇われ監督」「自分の撮った最も最低の映画」と言わしめるまでとなってしまった。
実際、後述するがあまりにも現実から乖離したカーリー神*1の描写や晩餐におけるゲテモノ料理のシーンなどは、現代でそのまま制作・上映したら間違いなく大炎上不可避。
あくまで「当時の」「エンタメ」であることはお忘れ無く。

上記のように余りにも偏見に満ちた国辱的な内容故に、インド政府から撮影への協力は勿論、映画の公開までもが拒まれている。
この為、映画の撮影は仕方なく対岸のスリランカで行わなければならなくなった等、不名誉な逸話も残る。

なお、本作は映画のレイティングにも影響をもたらし、PG-13指定(13歳未満の鑑賞は保護者の厳重な注意が必要)導入のきっかけとなった。
これは審査機構の下したR指定(17歳未満の鑑賞は保護者の同伴が必要)を回避するため、スピルバーグがやむなく妥協案としてアメリカ映画協会に提案したもの。


【物語】

1935年。
中国で清王朝の初代皇帝ヌルハチ(奴児哈赤)の遺骨を見つけ出したインディは、上海の犯罪王ラオとの取引に挑んでいた。
互いに策謀を巡らせた丁々発止のやり取りの末に、大混乱に陥ったクラブを歌姫のウィリーを連れて逃げ出したインディは、相棒のショーティも加えた3人で上海を脱出。
……しかし、逃亡に使った飛行機がラオの会社の持ち物だった事から、インディらは眠っている間に空の上でパイロットに脱出されてしまい、挙げ句に燃料も抜かれた状態の飛行機に放置されてしまう。
パラシュートまで捨てられてしまっていたが、高山地帯であることをこれ幸いにと、インディの機転(博打)で飛行機からゴムボートで滑り落ちた3人は何とか生還。
そのまま川を降り、インドへとたどり着くのだった。
帰国の為に首都デリーを目指したい3人だったが、途中で導かれた小村で村のサンカラストーン(シバリンガ)が同地を治めるマハラジャに奪われた事と、子供達が拐われて帰ってこない事を訴えられる。
聞くと、マハラジャの住むパンコット宮殿で「邪悪」……100年前に亡びた筈の邪神カリを崇めるサギー教団が復活したと云うのだ。
シバのお告げの話はともかく、宝と子供達の話に興味を持ったインディはパンコット宮殿を目指すのだった。


【登場人物】

  • インディアナ・ジョーンズ
演:ハリソン・フォード

著名な考古学者にして世界有数のトレジャーハンター。
今作では上海の犯罪王を相手に脅迫を交えた取引を持ちかけており、裏社会でも顔が利くことが伺える。
しかし子供好きな一面もあり、ショート・ラウンドとのやりとりは兄貴分のようでも、父のようでもある。

当初はパンコット宮殿行きを渋っていたが、宮殿から逃げ出してきた子供が持ち帰った古い教典の一部を見たことで考古学者としての探究心に火がつき、邪教集団の本拠地へと乗り込んでゆく。
しかし、そこで虐げられる子供を見捨てることができず、向こう見ずな行いに出た結果……。

演じたハリソンは撮影に辺りウェイトトレーニングで前作より鍛え上げた肉体美を披露している。しかし、アクションシーンで相手を投げ飛ばす際に腰を痛め、ヘルニアにより撮影を中断させてしまった。


  • ウィルヘルミーナ・“ウィリー”・スコット
演:ケイト・キャプショー
ラオの経営する上海のクラブ「オビ=ワン」の歌姫。
インディとラオの取引でインディに人質に取られたのを切っ掛けとして、大乱闘から続く成り行きの中でインディに同行することに。
何かある度に絶叫している、いわゆるスクリーミング・ヒロイン。絶叫については演出の為とは云え、現場でもネタにされていたらしい。
当初は前作のヒロインであるマリオンの出演も考えられたらしいが、結局は作品毎にヒロインを変える方向で決定された。

ミズーリの貧しい農場の生まれで、小説版ではわりと暗い過去持ち。
当初はインディとの仲は最悪そのものだったが、幾たびも危機を共に乗り越えるうちにロマンスが芽生え……。
ま、緊急時に結ばれたカップルは長続きしないという後年の格言の通り、翌年にはさっさと元カノとヨリを戻しちゃうんですけどね。



  • ショート・“ショーティ”・ラウンド
演:キー・ホイ・クァン
NYヤンキースのキャップがトレードマークの中国人少年。
インディの財布をスろうとした所を捕まり、助手として拾われた戦災孤児*2
子供ながら非常に有能で、(足が届かないので)靴に木材を括りつけての運転もこなす一方、インディ相手にイカサマを仕掛けるといった面も。
中の人は当時12歳。通ってた学校に貼ってあった募集から応募した一般人だったが、演技テストで才能を認められた。『グーニーズ』に出るのは1年後である。

ちなみに吹き替え版の演者が海賊王だったりサイヤ人だったり、中の人がやたら豪華なキャラその1。

  • モラ・ラム
演:アムリーシュ・プリー
今回の悪役。
邪神カリ(カーリー)を崇拝する邪悪な教団「サギー教」の司祭にして暗殺集団「タギー」のボス。*3
呪文を唱え、外から人間の心臓を抉り取ってしまえる魔術の使い手。彼に心臓を抉り取られた者は、不思議なことにすぐには絶命せずに生き続ける。
犠牲者の肉体が焼かれると同時に、モラ・ラムの手の中の心臓も燃え上がるのは印象的な場面の一つである。
また、悪魔の血を飲ませることで人々を洗脳しており、幼いマハラジャのザリムを操ってパンコット宮殿を隠れ蓑にしていた他、インディにも人質を盾に洗脳を施した。
子供達を奴隷にし失なわれた二つのサンカラストーンを探させている。

小説版ではインディとの戦いの果てに正気に返ったことが地の文にて示唆されており、さんざん暴虐の限りを尽くした彼さえもがサギー教の被害者であったことが仄めかされている。

  • チャター・ラル
演:ロシャン・セス
若きマハラジャに仕える、パンコット宮殿の宰相。
海外留学でオックスフォードにも通っていた秀才でインディの事も知っていた。
紳士然とした男だが、その正体は……。

ちなみにロシャン・セスとモラ・ラム役のアムリーシュ・プリーは『E.T』から肝心のアカデミー作品賞や監督賞の栄誉を奪った『ガンジー』の主要キャスト。
さらに『ガンジー』の監督リチャード・アッテンボローは、後に『ジュラシック・パーク』にてジョン・ハモンドを演じている。

  • フィリップ・ブランバート
演:フィリップ・ストーン
イギリス軍の大尉でライフル部隊の隊長。
定期的に当地に視察に来ており、サギー教団の噂に神経を尖らせていた。
体良く追い払われただけかと思いきや、最後の最後に美味しいところを持っていく。


  • ラオ・チェ
演:ロイ・チャオ
上海の暗黒街を取り仕切る「犯罪王」で、インディと「ヌルハチ」を巡る取引をした。
取引場所のクラブ「オビ=ワン」のオーナーでもあるらしく、実業家としての顔も持つ模様。
インディにしてやられたと思いきや……。

日本語吹き替え版が「はじけろ!筋肉!飛び散れ!汗!」だったり早撃ち0コンマ3秒のガンマンだったり、中の人がやたら豪華なキャラその2。


  • ウー・ハン
演:デヴィッド・ヴィップ
インディの友人(助手)。
ラオとの取引の際にインディに同行するが……。

  • カオ・カン
演:リック・ヤング
ラオの息子。

  • チェン
演:チュア・カー・ジョー
ラオの息子。

  • シャーマン
演:D・R・ナーナヤッカーラ
インディ達が訪れた小村「メイアプール」の長老。
インディ達をシバの使いと呼び、サンカラストーンの奪還を依頼する。*4

  • ザリム・シン
演:ラジ・シン
当地のマハラジャでパンコット宮殿の少年王。
本来は若いながら徳の高い支配者だが、モラ・ラムの洗脳により傀儡とされてしまっている。
インドが舞台なのにどこかブードゥーっぽい呪いの人形でインディを苦しめる。 

  • チーフ・ガード
演:パット・ローチ
サギー教の団員のひとりで、髭面の巨漢といういかにも荒くれ者という風貌をしている。
採石場を取り仕切っており、一般の団員よりは格上の模様。
村から攫ってきた子どもにも容赦なく手をあげる冷酷な性格の持ち主だが、元々の性格なのか洗脳によるものなのかは不明。
演じるパット・ローチは前作でもナチスの大男を演じており、本作でもインディとの激しい殴り合いを好演している。

  • サギー教団員
モラ・ラム配下の雑兵達。
黒と赤を基調とした服を着ており、見た目は結構かっこいい。
本作のやられ役だが戦闘力は中々高く、中には高速走行するトロッコに乗りながら線路のレバーポイントを銃で撃ち抜く程の手練れも。
モラ・ラムの命令に従順だが、当のモラ・ラムからは使い捨て同然に扱われており、やや不憫。

  • チーフ・ハンクマン
演:フィリップ・タン
スタントコーディネーター。

  • アール・ウェバー
演:ダン・エイクロイド
空港でインディたちを案内した職員。
わかりづらいが、『ゴーストバスターズ』シリーズのレイ・スタンツ役の人。

  • 宣教師
演:シド・ガニス、ジョージ・ルーカス、アンソニー・パウエル
プロデューサー、原案者、衣裳デザイナー。

  • 空港の旅行者
演:フランク・マーシャル、スティーヴン・スピルバーグ
プロデューサー、監督本人。

※ルーカスやスピルバーグ等はカメオ出演。


【余談】

  • 本作のヒロインのウィリーと相棒のショートの名前の元ネタは、それぞれスピルバーグの愛犬と脚本家の愛犬。インディと同じ命名理由である。

  • 本作が縁でスピルバーグとケイト・キャプショーは結婚した。メイキングでも既に仲睦まじい二人の姿が見られる。

  • 虫などの悪趣味極まりないゲテ物料理は勿論、本来のインド料理とは関係無い。悪趣味を意識してジョークとして演出したとはされているものの……。

  • シバ(シヴァ)のリンガやタジーの名前等が登場するものの、本来のヒンドゥーとは解離した描写も多い。メイキングではインド政府の検閲に対しての不満が述べられているが、仕方のない所であろう。



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最終更新:2026年08月13日 00:20

*1 映画ではシヴァ神と敵対する邪神のように描かれているが、そもそも原典のカーリー神はおどろおどろしい戦いの女神ではあるが、同時にシヴァの妻である。

*2 インディは1935年の日本軍の爆撃が原因と語っているが、これは考証ミス。日中戦争が勃発したのは1937年である。

*3 繰り返しになるが、本来のカーリー女神と暗殺集団「タギー」はここまで邪悪であったり、現実離れした集団では無い。

*4 スリランカの撮影では当然の様に英語が通じなかったが、スピルバーグの発した言葉を長老役の老人が後から真似するようになり、それを利用して台詞を言わせたらしい。