インド料理

登録日:2021/01/31 Sun 16:30:00
更新日:2025/06/22 Sun 14:23:39
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インド料理とは文字通りインドの料理である。インド本国の他、交易のあったドバイやかつて植民地にしていたイギリスなどでも食べられている。

+ menu

はじめに(インド料理とは何か)


カレーライスの元になったスパイスをふんだんに使ったスパイシーな料理が有名で実際に
カレーの国というイメージで語られることが多いが
実際は州によって地域差も激しく、野菜や魚介類中心で米食の南部と肉や乳製品中心で小麦食の北部では全く別の料理が存在すると言っても嘘ではない。
つまり州の数だけまたバリエーションもあると言っても過言ではないのだ。
これはインドが多民族国家なことやそれに関係して宗教も多様な為であり、
多数を占めるヒンドゥー教だけでなく、イスラム教やシク教、菜食主義のジャイナ教など様々な宗教や民族が入り乱れた環境故であり、
本来を食べることを禁忌としている傾向があるにも拘らず、イスラム教徒の多いカシミール地方では普通に牛肉を食べることもあるのだ。

ちなみに「日本人に合うか?」に関してだが美味しく食べられるかは別として、体質の面を考えれば答えは「微妙」である。

何故なら、人にもよるが日本人はインドでよく使われる各種スパイスやギーなどの油に不慣れなことが多いので「お腹を壊してしまう」人も少なからずいるから。
日本で食べられるインド料理はある程度は日本人の体質や味覚に合わせているのでお腹を壊す確率は低いが
それでも胃腸が弱い人や食べ慣れていない人は覚悟して食べたほうがいいかもしれない。

ヒンドゥー教の戒律の関係で食べる際は素手、それも右手だけを使うのがマナーだが
外国人もよく訪れる観光地などではフォークやナイフが備えられていることもあり、
無理して右手で食べなくてもいい場合もあると言えばある。



実は…(インド料理に関するトリビア)


日本におけるインド料理で当たり前のようにあるナンだが実はインド発祥ではなく
イランやアフガニスタン…即ち西アジア地域の食べ物である。
というのもナンを焼くときは巨大で特殊な形のタンドール窯を使うのだが
インドにはそれを備える家庭が非常に少ないので
食堂でもない限りは食べることはほとんどない。
実際はチャパティやロティというナンとは似て非なるものを食べるのが主流なようだ。

日本でも近年手頃な値段で食べられるインド料理のお店をよく見かけるようになっているが
実は経営している外国人にインド人はほとんどおらず、ネパール人やバングラデシュ人、
パキスタン人といったインドの近隣諸国の人間が多数を占めていることはあまり知られていない。
これはインド人のシェフはより給料のいいイギリスなど欧米に行ってしまうことが多い為であり、
インド人ではなくインドで修行を積んだ上記三国の人を呼ばざるを得ないというどうしようもない事情がある為。
そのためインドよりもその三国の影響が強く出ているような店も多く、特にネパール系の店を指して「インネパ(系)」と称する場合もある。
また、ネパール人経営の場合、単にネパール料理と看板に出しても客が入らないので
やはりインドで修行したネパール人シェフが日本でインド&ネパール料理のレストランとして店を開く…といったケースが多いそうだ。

主なインド料理

ここからはインド料理でもよく知られたものを述べていく。


スープ(カレー)料理


サンバール
主に南インドで食べられる料理でキマメという豆類と野菜を煮込んで作り、
米粉と豆の粉を混ぜた生地を蒸して作ったイドゥリーというパンと一緒に食べるもの。

サーグ
こちらは北インドで食べられる料理でホウレンソウなどの葉物系の野菜とスパイス、
そしてパニールというカッテージチーズを混ぜ合わせて作るもの。
羊肉が入るとサーグ・ゴーシュトというまた違う料理になる。

ダヒ
こちらも北インドの料理。
ヨーグルトや生クリームといった乳製品とスパイスを混ぜて作るもので
非常にクリーミーかつマイルドで他のスープ料理に比べてあまり辛くない傾向にある。
ベジタリアン用の野菜のみが入ったものと非ベジタリアンの肉類の入った二種類が存在する。

ダール
南北両方の地域で食べられる料理。
主にキマメやヒラマメと言った豆類とスパイスを煮込んで作るが
南インドと北インドでは食べ方が少し異なり、前者は米や野菜と共に食べ、
後者はチャパティやロティと食べる違いがある。
日本においてダールカレーやダルカレー、或いは単に豆カレーとしてメニューにあるのは恐らくこれ。


穀物料理


チャパティ
全粒粉と水を混ぜ合わせて作った生地を、鉄板でそのまま焼いて作るパンの一種。
本来インドの人々が家庭でスープと共に食べるのはこちら。
材料が異なるのでナンとは食感も異なる。

ビリヤニ
一言で言うなればインド版炊き込みご飯。名称はペルシア語で「調理前に炒める」で、イスラム圏から伝わった。
様々なスパイスと野菜や羊肉などの具材と細長い形状のインディカ米を炊いて作るもので
こちらもダヒのようにベジタリアン用と非ベジタリアン用の二種類が存在する。
日本においてもインド料理店のメニューによくあるので知っている人も多いかも。
贅沢なものでは鶏一羽丸ごと入れて炊くことも。

マサラドーラ
南インドで食べられる料理。
米と豆を混ぜた物を焼いて、中に具を包んだもの。

バアティ
ボール状のパン。

キチュリ
米とムング豆のお粥。


肉料理


タンドリーチキン
インド北部のパンジャブ地方で食べられる料理でヨーグルトをベースにトウガラシや胡椒、
ウコンやニンニクを混ぜた液に漬けて寝かせた鶏肉を焼いたもの。
骨なしだと後者のチキンティッカという料理になる。

チキンティッカ
こちらもインド北部のパンジャブ地方で食べられる料理。
作り方は全く同じで違うのは骨付き肉かそうでないか。
どちらも近年では祭りでインド料理の屋台が出ることがあるので
知っている人や食べたことがある人もいるかもしれない。

サモサ
インドで広く食べられている料理。
小麦粉と水と食塩を混ぜて作ったクレープのような薄い生地に、肉やジャガイモなどの各種野菜を混ぜた具を揚げたもの。
見た目的には三角になった揚げ春巻きといったところか。
ただ食感はどちらかというとコロッケに似ているのでインド版コロッケと言った方がいいかも。
元々はインドではなくイランやアフガニスタンと言った西アジアにルーツがある料理とされており、
インドだけでなくインド系の移民の多い東アフリカでも国民食として食べられている他、
似た料理としてネパールのモモやコティが存在する。

シークカバブー
スパイスなどで味付けした羊のひき肉をに巻き付けて焼いた料理。


野菜料理


パゴダ
かき揚げのような揚げ物。具は野菜の他に米も使われる。

ビンディマサラ
ビンディ(オクラ)と赤玉ねぎの炒め物。

チャツネ
野菜やマンゴーレーズンなどの果物の漬け物。食べた人の感想によるとらっきょうの甘酢漬けのような咊らしい。

アチャール
玉ねぎなどを使った浅漬け。

ライタ
ヨーグルトで野菜を和えたサラダ。

アル・チャート
スパイスを効かせたポテトサラダ。アルとはジャガイモの意味。

コサンバリ
キュウリなどの生野菜と豆類を使ったサラダ。

アルーゴビ
ジャガイモとカリフラワーの炒め物。


飲み物


ラッシー
名犬の名前…ではなく、ヨーグルトと牛乳を混ぜ合わせて作る乳酸菌飲料
カルピスに見た目がちょっとだけ似てるが味は全然違う。
まろやかな味なので辛い物が苦手な人はこの飲み物と一緒に食べると食べやすいかも。
その歴史は古く、紀元前1000年頃にはすでに飲まれていた。
+ 作り方やバリエーションなど
  • 作り方
ダヒーと呼ばれるヨーグルトにクリーム・ミルク・水・砂糖・ハチミツ等を加え、ミキサー等を使って水と脂肪分が分離するまで泡立てて作る。
使用するダヒーの量は作りたいラッシーの1/3から1/2程度。
また、ダヒーが無ければ普通のヨーグルトでも代用できる。
伝統的な作り方では、壺の中に材料を入れ木の棒でかき混ぜる。

  • バリエーション
素朴な味わいのプレーンもいいし、バナナマンゴー、レモン汁、マスカット等の果物を混ぜるとフルーティで美味。またローズウォーターや、シナモンやクミン、カルダモンといったスパイスを入れる事もある。
中には大麻を磨り潰して混ぜたバーング・ラッシーなんてのもあるが当然違法
一部では堂々と売られていることもあるが、間違っても買わないように。捕まっても知らないよ。

  • 日本で飲むには…
日本のインドカレー屋にも大抵置いてあり、スパイシーなインドカレーのお供として最適。
甘くさっぱりとした風味がスパイスの辛さを和らげてくれる。
また大手カレーチェーン店のココイチにも店舗によるがマンゴーミルクラッシー(200円)がある為、カレーと一緒に注文してみてはいかがだろうか。

余談だが
インド人店員が売りの某有名インドカレーチェーン店では高確率でおまけにラッシーをくれる。
(追記者は6回お店に行って初来店含め5回サービスして頂いた。)インド人GJ


チャイ
北インドで主に飲まれる紅茶の一種。
牛乳と砂糖を大量に混ぜるので非常に甘い。


デザート

トルコ料理などにも共通する暑い国のスイーツの特徴だが、日持ちさせるために胸焼けを起こすほどに甘く作られている物が散見される。

ラスグラ(ラショゴッラ、ラスグッラとも)
チェナーというカッテージチーズの一種を小麦粉と練り合わせてできた生地を丸めてローズ水をベースにした甘いシロップで煮たもの。
ローズ水の匂いと余りに甘すぎる甘さで有名で一説には世界一甘いスイーツとも言われるほどなので好き嫌いはかなり分かれる。
これを揚げると…

グラブジャムン
上記の方法でできた生地を丸めた後に揚げたもの。
揚げる点を除けば大まかな作り方はラスグッラと同じだがこちらも世界一甘いスイーツと
言われるほど甘く、カルダモンの匂いがキツイので好き嫌いはかなり分かれる。
ちなみにどちらも通販サイトのamazonで缶に大量に入ったものが購入可能だったりする。

シュリカンド
ヨーグルトにナッツやカルダモン、ドライフルーツを混ぜたもの。

パラムポリ
バナナ天ぷら



追記・修正はインド料理を右に。

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最終更新:2025年06月22日 14:23