登録日:2017/06/03 Sat 01:46:50
更新日:2024/05/13 Mon 07:17:07
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どういうオブジェクトなのか
SCP-1300-JPは、カスピ海北東に存在するシガスタン共和国にある、シガスタン聖堂遺跡で起こっている異常現象である。
この聖堂内には、オオハナレイヨウの死体が毎日たくさん降ってくるのである。
死体が出てくるときは聖堂内の空間に黒い穴が開き、そこから出てくる。
問題なのは死体を処理する時で、焼却あるいは粉砕などの手段で処理すると、周囲の人間に断末魔や悲鳴のような幻聴を起こさせるのだ。
同時により多くの死体を処理するほど、幻聴の範囲や強度はより高度なものになっていく。
第一次死体処理時は、範囲が際限なく広がったせいで一般住民が巻き込まれたり、処分の担当者が無期限休養に追い込まれたりした。
これによって出現するオオハナレイヨウには、
- 生後1〜2歳の牝、死後まもない
- 乱暴に心臓がむしり取られている
- 円で構成されたシンボルが刻まれている
といった共通点が存在する。
財団がSCP-1300-JPを発見したのは、大量に現れた死体が聖堂の壁を破壊したため。
財団はシガスタン共和国政府と協力し、遺跡保護という名目でこのオブジェクトを収容、管理(死体を1匹ずつ処分)している。
………以上!
そう、この記事、数ある日本支部の報告書の中でも
最高レベルに短い
のである。
SCP財団の日本支部サイトでは管理者や有志によって日々たゆまぬ機能向上が目指されており、そのおかげで検索機能が充実している。
「複数タグ検索」のページを見つけたら、タグ「scp-jp」を入力して、「文字数の短い記事」順にして検索してみていただきたい。
このSCP-1300-JPが上から3番目に来ているのが見つかるだろう。(2017/06/03時点)
…で、この報告書は何を言いたいんだ?
ざっと目を通した段階だと、このオブジェクトがいったい何を表しているのかさっぱり分からない可能性が高い。
ヒントは、報告書からちょっと外れたところに存在する。
まず、報告書のタグにある
「犀賀派」
。
次に、報告書の右にデンと張ってある野生のオオハナレイヨウの写真。「学名:Saiga tatarica」。
そう、このオブジェクト、日本支部の中でも極めて謎の多い
要注意団体、「犀賀派」絡みの案件なのである。
この団体のトップに位置する犀賀六巳は、数々の並行世界を股にかける「救世主」で、常により多くの世界を救うことを考えて世界を飛び回っている。
だが、必要であれば一部の世界を切り捨てることも厭わないため、財団からは危険視されている。
そして、犀賀六巳の元には色々な世界から彼の思想に共感した信者が集まっている。この信者をひっくるめた全体が、「犀賀派」なのである。
この情報を踏まえてもう一度記事の冒頭を読んでみよう。
ある程度世界の国々の知識があるならば、「シガスタン共和国って何やねん!?」となるに違いない。
実はこの報告書が書かれたのは、基底次元(すなわち、我々が暮らしている世界)とはちょっと違う、並行次元の地球にある財団でのことなのだ。
その並行次元にはシガスタン共和国というのが存在するのである。
では、例のオオハナレイヨウは何なのか。
死体に刻まれている円で構成されたシンボルというのがポイントであり、このシンボルは「犀賀派」を象徴するマークなのである。
どういうマークかは「"犀賀派"に関する一次調査報告」(すなわち、犀賀派のハブページである)を参照されたし。
わざわざこんなマークをつけるということは、この現象は「犀賀派」の信者の仕業だということになる。
おそらく、どこかの並行次元にいる犀賀派の信者たちが、何らかの理由で犀賀六巳に対して生贄を捧げようと考えた。
その際に折角だからということで
サイガ(=オオハナレイヨウ)
を使ったのだろう。
そして生贄は世界を繋ぐ穴に投げ込まれ、なぜか問題の次元のシガスタンに現れてしまった、というカラクリである。
生贄を使う次元が多ければ多いほど、シガスタンに落ちてくる生贄も増加する。
シガスタン側からすればいい迷惑である。犀賀派信者はこういうことがあるから厄介なのだ。
余談
「シガスタン共和国」の由来は、おそらく「
滋賀県」。
滋賀県には犀賀派がらみのオブジェクトが多く、
SCP-1233-JP「特別退避プロトコル"ノア"」、SCP-622-JP「枯れ庭」などが発見されている。
日本支部2周年GoIコンテストの際に初版が作成された合作Taleである「犀賀とSaigaの往復書簡」では、犀賀六巳が他の次元にいる「Saiga」たちに向けて連絡を取ろうとしている。
SCP-1300-JP投稿後にこのTaleにも追記がなされ、シガスタン共和国にいる「Saiga」である、Sarah I Galbraithなる人物が犀賀に返信している。
彼女によると、シガスタン共和国がある世界では国も人も殺し合いをし続けているという。
それを見ていて、彼女は全てを救うことは不可能であり、犠牲は必要である、例えそれが世界であろうと、という結論を出したようだ。
世界が違っても、考えていることは似通うものなのだろうか。
追記・修正はシガスタンの地で塩漬けにされる湖を守りながらお願いします。
- 往復書簡のTaleは加筆OKだそうなので、みんなもオリジナルのSaigaを投稿しよう!(グルグル目) -- 名無しさん (2017-06-03 01:59:30)
- ↑そんなお手軽に手が出せる次元のものじゃないやんけ(グルグル目) -- 名無しさん (2017-06-03 03:20:42)
- ↑大丈夫さ!きっとそのうち親切な博士がなんとかしてくれるよ!一緒に文通を楽しもうね! -- 名無しさん (2017-06-03 04:29:17)
- ↑てめえは帰れ。本題:ここまで短いのにちゃんとscp記事として成り立たせることができる作者さんすげぇ、2521?あれはべつもnアイエエエエ!触手⁉触手ナンデ! -- 名無しさん (2017-06-03 05:50:29)
- 本家wikiで「なんぞこれー」って思ってた記事の解釈を次々としていく……記事作った人には「ミスター・ざいだん」の称号をあげたい -- 名無しさん (2017-06-03 09:50:04)
- 動物の方のサイガは絶滅危惧種ⅠAな上に病気の蔓延で大打撃を受けてるのであんまり生け贄で無駄にせんといてくれ…あっちの世界だといっぱいいるのかもしれないけど -- 名無しさん (2017-06-03 10:43:13)
- ↑貴重だからこそ生贄として価値がある……のかも。そして投入元はひとつではないのかも -- 名無しさん (2017-06-03 14:32:18)
- 犀賀派のやらかした事例ってこれと233-jp、1201-jpくらい?尤も1201-jpは犀賀派抜きにしてもアレな内容の記事だけど -- 名無しさん (2017-06-04 17:49:51)
- Saiga tatarica …犀賀・祟りか…まさかな。 -- 名無しさん (2017-06-04 18:31:25)
- でも崇拝元の名前を冠した動物を生け贄にするって矛盾してない? -- 名無しさん (2017-06-06 18:37:29)
- そうでもないと思う。インドでは牛が生贄に捧げれれるが、それは牛が神聖とみなされるからだ。神聖だからこそ生贄にふさわしいとも言えるだろう。 -- 名無しさん (2017-06-21 00:52:34)
- ↑2 アステカのトシュカトルの祭のように生贄を神の化身に準えて1年間贅沢させてから殺すという儀式があるように、対象をわざわざ聖なるものや神の所有物にしてから捧げる例が世界中に掃いて捨てるほどあるよ -- 名無しさん (2017-09-07 20:39:46)
- ↑ 神を食べて天に返すとかはアイヌでもあるね -- 名無しさん (2018-03-19 16:41:25)
- アイヌは最高神であるヒグマの子供を大切に育ててから「天に送る」んだよね。ヒンナヒンナ -- 名無しさん (2018-07-25 17:10:07)
- ↑アイヌはどっちかっつーと動物を「(見えない)神様が俺らに毛皮と肉背負ってやってきたのでありがたく頂こうぜ」って事らしいけどね。まあ宗教的に意義があれば何を生贄にしたって不思議じゃない -- 名無しさん (2019-08-12 23:15:44)
- 千葉!・滋賀!・犀賀! -- 名無しさん (2019-08-31 20:23:10)
- なんでこれが日本支部管轄なんだ… -- 名無しさん (2020-01-06 21:53:39)
- ↑3 カルキスト「ほほう?」 -- 名無しさん (2022-08-09 22:03:20)
- 事前にいろいろな設定知ってなきゃ何もわからないSCPだなあ これに限った話ではないけど -- 名無しさん (2023-03-29 09:57:20)
最終更新:2024年05月13日 07:17