ミチル(地獄少女)

登録日:2017/08/28 Mon 17:43:53
更新日:2025/03/02 Sun 19:55:40
所要時間:約 6 分で読めます






いつまで続けるの?こんな事…

アニメ『地獄少女 宵伽』の登場人物。
フルネームは寒河江(さがえ)ミチル」


CV:和多田美咲

◆概要

地獄少女・閻魔あい達の前に突然現れた少女。
緑を基調とした服を着ており、あいほどではないが感情の起伏は乏しい。

普通の人間ではないらしく、いつの間にか現れては消えたり、走行中の車に並走して飛ぶ事ができる。
記憶を失っており、自分が何者かは覚えていない。

地獄流しについては否定的な発言をしており、あいも彼女については何か思う所があるようで…。

風鈴がお気に入り。


◆本編での行動


あい達の前に現れては意味深な発言をしていたミチル。一体彼女は何者なのかは気になる所だが、
いかんせん宵伽で起きた事件が「スマートフォンを利用した現代社会の闇」「相方の重すぎる愛」「ハゲ(輪入道)の恋物語と柴田つぐみの再登場」
極めつけに「誰も救われない家庭崩壊が招いた悲劇」という色んな意味で濃すぎる内容だった為、イマイチ印象は薄かった。

だが、実質の最終章、彼女がメインとなる 5・6話で…




以下、ネタバレ注意



とある交通事故で死んだ3人の子供、彼等の両親の憎悪は生き残った4人目の子供と車を運転していたその両親に向けられていた。
あまつさえその母親の1人が生き残った子供を地獄に流そうとしていた。

実は事故の原因は死んだ3人の子供達にあり、車内での彼等の行動も決して褒められる物ではなかった。
そんな様子を見て、ミチルはある記憶を取り戻す…


時は大正時代、ミチルの父親は努力の末に長屋に電気を引き、人々から感謝されていた。
それを誇りに思っていたミチルは、母親からも「人の為になることをすれば天国に行ける」と教えられ、笑顔を浮かべていた。

だが、彼らの活躍を快く思っていなかった大家一家は、逆恨みで彼らを陥れようと画策していた。
手始めに息子とその友人たちにミチルを山奥の池に誘い出し溺れさせようとするも、逆に事故で息子たちが溺死してしまう。
だがこれで子供の仇という大義名分を得た大家は、ミチル一家を弾圧する(息子達もある意味大家の被害者といえる)。
「女の子が1人で男の子3人を溺れさせられるわけがない」と訴えるも、大家に懐柔されたのか、住人達も恩を忘れてミチル達を非難する。
結局、ミチル達は住人達から白眼視される日々を送ることになった…。

だが大家はそれだけでは済まさず、ミチルを拉致して蔵の中に閉じ込めてしまう。
両親は探し回った末に風鈴の音を頼りにどうにかミチルを発見するも、大家達に蔵に火をつけられ、家族もろとも焼死してしまう。
かくしてミチルは幽霊となり、現世に留まり続けるのだった…。*1

そこまで思い出した所で母親が地獄流しを断念(恐らく、警察の調べで事故の原因が息子の方にあるとわかっていたからだと思われる)。
安堵するミチルであったが、直後にあいから彼女の過去の続きを告げられる。


実は死んだ直後、ミチルは怨みの念を爆発させ怨念の炎を放っており、
大家や協力していた住人、果ては無関係な町の住人まで焼き殺していたのだ(大家達に関しては自業自得だが)。*2

驚愕するミチルに、あいはさらに言葉を続ける。


あなたは許されざる罪を犯した。だからその罪を償わなくてはいけないの。




………地獄少女として




どうやらあいは、彼女を新たな地獄少女とする為に傍に置いていたようだ。
当然彼女は困惑するが、それと並行して新たな事件が起こる。

中華料理店を営む父を殺された女性。しかも犯人は身代わりを立てて今ものうのうと暮らしていた。
犯人の知り合いであった恋人から真相を聞き、地獄通信にアクセスする。
すると…









以下、最大級のネタバレ。未視聴の方は注意















「……決めたんだね」




女性の前に現れたのはあいではなくミチルだった。すると景色は夕暮れの電車が佇む線路に変わる。
彼女は自分の犯した罪を償う事を決め、二代目地獄少女となったのだった(『三鼎』終盤で御景ゆずきも一時期地獄少女になっていた為、厳密には三代目)*3


「山童」


「はい、ミチルさん」


あいからミチルの所に移った四藁の一人・山童が藁人形に変化し、それを女性に渡す。

「あなたが本当に恨みを晴らしたいと思うならその赤い糸を解けばいい」

「糸を解けば私と正式に契約を交わしたことになる」

「そして恨みの相手は速やかに地獄に流されるわ」

「ただし恨みを晴らしたらあなた自身にも代償を支払ってもらう」

「人を呪わば穴二つ。契約を交わしたらあなたの魂も地獄に落ちる、死んだ後の話よ」

「極楽浄土へは行けずあなたの魂は痛みと苦しみを味わいながら永遠に彷徨うことになる」

「後はあなたが決める事…」

「でも聞くまでもないよね」

「やっと終わる。ありがとう地獄少女…」

そう言って女性はすぐに糸を解いた。


すると犯人はかつて女性の父にした暴行をそのまま返される。

そしてトドメとばかりにどこぞの悪魔超人が使いそうなトゲ付き岡持ちで殴られそうになる悩んでた割にはノリノリなお仕置きパートである。

そして緑の着物を着たミチルが現れ…、


天に背きし哀れな影よ…


人の痛みに瞼を閉ざし


過ち犯せし咎の魂……


いっぺん、死んでみる?


あいとは異なる決め台詞で相手を地獄流しするのであった。
(この際にミチルは祈る仕草をしていたり、背景に十字架を思わせる光を発していたりと、「天国」を彷彿とさせる要素が多い)


そして地獄行きの船を漕ぐミチルとそれを見守るあい。

「『ありがとう』…そう言われた。自分が地獄へ落ちるのに」

「あの人は天国へ行けないのね」

「天国…?」

「そうか…、あいにはわからないね」

そんな会話をしながら、船は進む。



この怨み、地獄へ流します…

…三途の川に、風鈴の音が鳴り響いた。


その後、事故で生き残った例の少年から苦しむ両親を見かねて自分を流して欲しいと頼まれる。
だがミチルはそれはできないと告げ、かつて母親から教えて貰った言葉と共にこう諭す。


あなたのお父さんとお母さんは、あなたを支えるために頑張っているの。

もし今あなたがいなくなったら、どうなると思う?今よりずっと辛い想いをするのよ。

笑えるようになりなさい。

今は無理かもしれないけど、いつか、お父さんとお母さんのために…。

笑顔は、人を幸せにするのよ。


そして最後に「天国で会いましょう」と告げ、少年の前から姿を消すのだった。


どうやら彼女は、あいとは違うやり方で、地獄少女をやっていくようだ。

ただし、あいは『三鼎』で永遠の地獄少女となることを強いられた為、これからは2人体制でやっていくものと思われる。
(アクセスした時、どちらが現れるかはランダムなのかどうかは不明)

そんな状況に、三藁は複雑な気持ちとなり、きくりは山童がいなくなったので不機嫌になった。

そしてあいが風に揺れる風鈴を見つめながら呟く場面で、『宵伽』の物語は一応の完結を迎える…。


「…いい音」


◆余談

  • あい、ゆずき、そしてミチルと3人の地獄少女に共通する事は「不特定多数の人間から言われのない非難や暴行を受け、無念の死を遂げた」という事である。
    また「少女」ではないものの、『二籠』で紅林拓真(と彼に関わった少女・飯合蛍)も同じような状況に陥ったが、無事生還している。

  • ゆずきが新たな地獄少女になることに内心は反対するような態度を取っていたあいだったが、ミチルが地獄少女になることは肯定している。
    これは一人も人を殺める事なく死んでいったゆずきとは対照的に、
    ミチルの場合、かつてのあい同様に村一つ焼き払って多くの人を死なせたため、死後地獄行きは逃れられないからである。*4
    故に彼女の地獄行きを阻止するため、あいもゆずきとは違って彼女を積極的に地獄少女にせざるを得なかった。

  • エイプリルフール企画で『天国少女』ネタがあったが、5・6話で「天国」というキーワードが多く見られたので、ある意味伏線だったとも言える。


追記・修正は風の音を聞いてからお願いします。

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最終更新:2025年03月02日 19:55

*1 つぐみがミチルの存在を認識できたのもそのためだと思われる

*2 この辺に関しては、かつて自分を生贄にした村人を皆殺しにしたあいと共通する

*3 漫画版『R』の藤堂まりやを入れるとすれば四代目

*4 この時のミチルは暴徒に家族もろとも焼き殺されるという極限状態だったため、村を焼き払った際には映画『キャリー』のような超能力が暴走してしまっている。