ダウト(トランプ)

登録日:2018/01/19 Fri 11:35:22
更新日:2025/03/11 Tue 18:49:10
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ダウト(doubt)とはトランプ遊びの一種。「I doubt you」で「私はあなたを疑っている」というような意味で「doubt」単体なら「疑う」「嘘」のような意味になる。
英語圏での「Bullshit」が日本に伝わったもので関西圏の一部では「ダウト」がなまって「座布団」という名前で呼ばれる。

ルール

実は大富豪/大貧民ほどではないがローカルルールが多い。ここではウィキペディアにも載っている最も基本的な遊び方を紹介する。

1.ジョーカーを抜いた52枚のトランプを均等に配り、プレイする順番を決める。

2.各プレイヤーは1(A)から順番にカードを「裏返しに」1枚ずつ場に出していく。

3.13(K)まで行ったら一周して再び1に戻る。これをひたすら繰り返す。最初に手札がなくなった人の勝ち。

基本的な流れは以上の通り。だが、ゲームが進むうちに必然的に手札が少なくなるため、指定された番号のカードが手元にない可能性も高くなる。
そうなった場合「嘘を吐く」ことがこのゲームでは認められており、これがダウトの醍醐味である。

4.各プレイヤーは他のプレイヤーがカードを捨てたタイミングで「ダウト」を宣言できる。
複数プレイヤーがダウトを宣言した場合、先に宣言したプレイヤーに権利がある。

5.ダウトが宣言されたら、今捨てられたカードを裏返し表向きにする。
そのカードが本当に順番通りのカードであった場合、場札は全て「ダウトを宣言したプレイヤー」のものになる。
そのカードが順番通りのカードでなかった場合、場札は全て「そのカードを捨てたプレイヤー」のものになる。
※なお、ダウトが宣言されたら必ずカードを表にすること。特に、嘘だったことだけを告げて表にせずに場札と一緒に引き取ることはルール違反である。何のカードを出して嘘をつこうとしたのかは当然知られるべき情報であるため。

前述のように「早く手札をなくすこと」がこのゲームでは求められるため、場札を押し付けられるのは大変厳しい。
そのため相手の嘘を見抜きダウトを上手くかけていくことがこのゲームでは求められる。

ダウトをかけられるのは「カードが捨てられたその直後」のみ。次のプレイヤーに手番が移ればもうダウトは宣言できないため、以前の嘘については完全に無罪となる。

ローカルルール

ババ抜きなどと異なりこのゲームでは「カードの総数が絶対に減らない」という特徴がある。
そのため、 終わらないゲーム としても有名であり、特に終盤になると正しい札を出せる確率そのものが減ってしまう。
ラス1を捨てるタイミングに至ってはダウトをかけない理由がないため、確実に宣言されると思っていい。つまりラス1で正解のカードを残せないとまず上がることは不可能。
必然的にローカルルールの類は「終わらせるため」のルールになることが多い。

  • ダウト宣言できる人の制限
    • 「次の手番の人だけが宣言できる」など。欧米の「チート」という類型ゲームに近い。

  • ジョーカーの投入
    • ワイルドカード扱いでどんなタイミングで出しても正しい順番となるカード。逆にこのカードにダウトをかければ自分の手札にジョーカーを持ってこれるという戦略もある。
    • ラス1にジョーカーを残すと簡単に勝ててしまうため、「ジョーカー上がり禁止」などの制約を付けることも多い。
    • 逆に、ジョーカーはどのタイミングで出しても嘘のカードという扱いになるルールもある。

  • 終了条件の緩和
    • 「手札が最初に3枚になった人の勝ち」など。これなら3枚の中に正しいカードを残せればいいのでだいぶ楽になる。

  • ペナルティの緩和
    • 「ダウト成功/失敗のペナルティを場札全てではなく、2枚などのように制限する」ルール。ゲームが進むごとにカードの総数が減るため終わりやすくなる。

  • 同じ数字の同時出し
    • 「これは3が2枚ですよ」などと宣言しながら同じ数字のカードを出せるルール。もちろん違う数字を混ぜ込んでもOK。

  • バレなければ何枚でも同時に出していい
    • 上のルールに近いが、こちらは 誰も指摘しなければ宣言なしでも何枚でもまとめて出せる というぶっ飛んだルール。 極端な話最初の手番に全ての手札を捨てて上がることも可能 。まぁ間違いなくバレるだろうが…

  • ダウトのコールを1回も成功させずに上がることの禁止
    • ダウトを成功させずに手札がなくなった場合は、出したカードに関わらず場札を全て引き取らなければならない。ダウトのリスクを負わない方が有利になることを防ぐルール。
    • さらに、3回以上など回数でさらに条件を設ける場合もある。
    • 成功の条件を廃し、「ダウトのコールを1回もせずに上がることの禁止」とすることもできるが、場札が1~2枚でほとんどリスクのない(半ば失敗前提の)ダウトが横行するためやめた方がよい。

  • カードを押し付けられたプレイヤーが最初の数字を自由に変えられる
    • 通常数字は常に連番となっていくが、ダウトにより場札を引いてしまったプレイヤーが次のターンの数字を自由に宣言できるルール。
    • どちらかと言うとハイレベルなプレイヤー同士で必要となるルール。なぜかと言うと後述の攻略法を活用すると「最初の手札で勝てる人が決まってしまう」ことがあるため。順番をずらして相手の戦略を破綻させるのだ。

  • ダウトを成功させたプレイヤーが、場の数字を自由に変えられる
    • ダウト失敗の場合はダウトをコールされたプレイヤーが数字を変えられる。
    • 上記の類似ルールだが、こちらは数字を決める権利を「カードを押し付けたプレイヤー」に持たせることになる。ダウト成功に対する報酬という考え方。

  • ダウトを成功させたプレイヤーは、手札からカードを1枚選んで捨てることができる。捨てたカードはダウトをコールされたプレイヤーが引き取るカードに混ぜる。
    • 逆に、ダウトが失敗したら、ダウトをコールされたプレイヤーがカードを1枚捨てることができる。捨てたカードはダウトをコールしたプレイヤーが引き取るカードに混ぜる。
    • これもダウト成功に対する報酬という考え方。

  • ダウトと併せて相手に引かせたい枚数を1~13の間でコールする(例: 「ダウト3枚」)。
    • 13枚以内なら、場札より多い枚数をコールすることもできる。その場合、足りない分は、ダウト成功の場合はコールしたプレイヤーの手札から、ダウト失敗の場合はコールされた手札から補う。
    • これにより、自信がないプレイヤーでも積極的にダウトのコールができる。
    • 恐らくライアーゲームの影響と思われるが、「ダウト1億」のコールはできない。

  • 最終的な順位付けを、「ダウトの宣言を成功させた回数」で行う。
    • なお、手札をなくすことができたプレイヤーはボーナスとしてスコアを2倍にする。
    • よって、一度もダウトを成功させていない場合は、最後に手札をなくすことができても0ポイントになる。

戦略

適当にやっていると上記のように「終わらない」ゲームになるのだが、実際の所ちゃんとした戦略を組めば普通に勝てるゲームでもある。
各種トランプゲームの中でも運の要素は比較的少なく、心理戦と計算が物を言うハイレベルなゲームと言える。

  • 順番を整理し、「自分には何番が回って来るか?」を計算しておく
    • 基本戦略。これにより「必要なカード」「不要なカード」を最初に判断してより分けておこう。

  • 「序盤に嘘を吐いていらないカードを処理する」
    • 基本戦略。序盤は手札が豊富にあるため、なんとなく正直にカードを出したくなる心理が働くが、むしろこのタイミングでこそ不要なカードを処理してしまいたい。仮にダウトがかかっても被害は軽微だ。

  • 正しいカードをいかにも「大丈夫だよな…?」と不安げに出す。
    • 心理戦略。相手にダウトをかけてもらうことを期待する。露骨すぎると逆に警戒されるが、それを逆手に取ることも可能。

  • 自分が出したカードを覚えておき、誰にどのカードが渡ったか把握する
    • ここまで来るとかなり高度な戦いになるが、「自分がどのカードを出したか」「そのカードを誰が引き取ったか」覚えておくと必ず「嘘だろう」というタイミングを判断できる。

  • カードを引かされた場合、引かされたカードを「情報」と考える。
    • 受け取ったカードから逆算し、どのプレイヤーが何のカードを出したか把握できる。
    • 他、もし4枚同じ数字のカードがあればその数字を出そうとしているプレイヤーはジョーカーを持っていない限りは嘘確定なので、安全にダウトをかけることができる。

  • 特に、次の自分の番に嘘のカードしか出せないような手札の場合、番が回る前に積極的にダウトをコールしておく。
    • 極力場札の枚数を減らしておき、自分がダウトをコールされた場合のリスクを軽減するため。
    • 万が一自分がかけたダウトが失敗の場合も、引かされたカードの中に正しい数字のカードが含まれている可能性がある(大半は不要なカードだが)。

ルールはごく簡単なので子供向けゲームのように思われることもあるが、実は暗算力と演技力の双方が高くないとイマイチ面白くない大人向けゲームである。
「ダウトで安定して勝てる」という人は自慢してもいいだろう。


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最終更新:2025年03月11日 18:49