登録日:2018/03/12 Mon 10:14:00
更新日:2025/11/11 Tue 21:05:25
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分割カードって?
まずは以下のカード情報を見てほしい。
《Fire/火》 (1)(赤)
インスタント
1つか2つのクリーチャーとプレイヤーの組み合わせを対象とする。火は、それらに2点のダメージを望むように割り振って与える。
《Ice/氷》 (1)(青)
インスタント
パーマネント1つを対象とし、それをタップする。
カードを1枚引く。
《火》はマナレシオが悪いが柔軟性のある火力であり、《氷》はキャントリップ付きのタップカードである。
これだけだと大したことがないように見えるが、重要なのは
この二つが1枚のカードに収まっていること
である。
実際のカードを見てもらうとわかるが、「半分の大きさになった横向きのカード2枚分が1枚のカードに収まっている」。
そして、「実質1枚のカードで、2枚のカードのうち好きな方を扱える」柔軟性こそが分割カード最大の特徴である。
実際にこのカードをプレイする場合は、どちらを唱えるかを選んでからプレイする。
先ほどの《火+氷》の場合、《火》として唱えるか《氷》として唱えるかを選んでからプレイすることになる。
そして、一旦唱えた後スタック上では指定した側の情報のみを持つ。
《火》として唱えた場合は青ではないし、《氷》として唱えた場合は赤ではないわけだ。
これはスタック上にある場合のみで、手札や墓地などスタック以外の領域にある場合は、このカードは両方の特性を持ち合わせる。
《火+氷》のカード名は《火》でもあり《氷》でもあり、色は赤青、点数で見たマナコストは2+2=4点、となる。
誤解を恐れずに言うと「手札1枚の中に2枚のカードが印刷されている」というもの。だから《火+氷》のマナ総量は4マナだし、赤でも青でもある。
仮に片方がソーサリーで片方がインスタントの分割カードがあったなら、それはソーサリーでもインスタントでもあるので《タルモゴイフ》《猛烈に食うもの》などで参照できる。
ただしスタック上にある時だけは「唱えた側の性質だけを保持する」というルールになる。《火》側を唱えればその呪文は青ではないので、《神秘の論争》は3マナで唱えなければならない。
パーマネントになる分割カードは当初は登場していなかったが、ダスクモーンにて後述の「部屋」として初めて登場している。
それ以前にも、ジョークカードかつ非印刷物では「Nicol Bolas, Plains+Walker」というパーマネント+パーマネントのカードが登場していた。
関連システム
融合
ドラゴンの迷路で登場した能力。これは手札から唱える場合に限り両方のカード分のマナコストを支払えばまとめて両方を使える、というものである。
戦況やマナコストに合わせてのフレキシブルさがさらに増した形になるが、融合して唱える場合は非常に重くものすごく使いづらく、さらに太字の部分を結構忘れるせいで揉めやすい。
片方だけを使うのもいいのだが、融合モードで両方を一気に唱えるとシナジーがあるように作られている。シンプルながら強力であり、「コストの支払い方で3つの能力を使い分けられる」と言えば聞こえはいいのだが、あんまりにも重い。
かつてはよく踏み倒しギミックで用いられていたが、ルールが改められた(後述)ことも手伝ってほとんど使われなくなってしまった。
双呪じゃだめなんですか?
余波
アモンケットで登場した能力。これは、「この呪文は墓地からのみ唱えられる。その後、カードを追放する」という能力。フラッシュバックじゃだめなんですか?
従前の分割カードと違い、まず「余波」を持たない方を手札から使い、その後フラッシュバックのように「余波」を持つ側を墓地から使うようデザインされているので、どちらかというと後世の「出来事」に近い性質を持っている。
このことを意識して手札から使う側は通常の縦向きに、余波を持つ側は横向きに、という変則的なレイアウトになっている。
「墓地に置くときに横にしておけば分かりやすい」というマーカー的な効果を狙ったものだが、デザイン面のウケは非常に悪かった。
デジタル作品では普通の分割カードと同じレイアウトになっている。
融合と同じように、「手札から唱え、墓地から余波で唱える」という風に同じ1枚を連続で唱えるとある程度のシナジーがあるように作られている。
同一ターンに唱えるにはかなり重いが、こちらはターンをまたいでも墓地にさえ残っていれば余波で唱えられるのであまり問題はない。
部屋
ダスクモーンで登場した、「エンチャント版(パーマネント版)の分割カード」。シンプルな部屋の名前が2つ書いてあり、2つのエンチャントから片方を選んで唱えるまでは分割カードと同じ。
さらに戦場に出た後、コストを支払ってもう片方を唱えられる(正確には「部屋を開放する」という全く別の挙動をする)という、「余波」「当事者」に似た性質も持つ。
ただし「唱える」ないし「部屋を開放する」という動作を行わなければテキストが有効にならないという性質上、ルール的にコストの踏み倒しと激烈に相性が悪い。
つまり《不朽の理想》《アブエロの覚醒》などで踏み倒そうとしても、何らかの方法でコピーしても、それは単なるバニラエンチャントとなる。他のエンチャントと相性のいい既存のデッキのギミックを流用できないという致命的な弱点がある。
さらに開放されていない側のマナ・コスト等を持たないせいで、「軽いほうで出すだけで実際はマナ総量の重いパーマネント」として扱えず、《奇怪な具現》などの種にもしづらい。
総じて「強いと言えば強いが、使いづらさが目立つ」というよくある評価に落ち着いている。特にルール面がガチガチになっているため「工夫」が難しい。
良く言えば後述の悪用や分かりづらさを徹底的に潰したフェアなメカニズムで、悪く言えば愚直で工夫ができずにジョニー的にはあんまりワクワクしないメカニズム。
フレーバーは非常に明快で、「屋敷の中にある部屋」。半分のことを「ドア」と呼ぶなど専門用語こそ多いが、「ドアを開けなきゃテキストが有効にならない」というのはイメージ的には分かりやすい。
部屋を参照するカードとして《マリーナ・ヴェンドレル》があり、パイオニアや統率者戦を中心に活躍している。
クソ映画次元ホラー映画次元のダスクモーンなので全体的に不吉な感じが否めないが、フレーバー的には「女の子の私的な部屋」「ワインマニアの酒蔵」「会社の事務所」のような素朴な部屋も許されるという、開発的なSDGsに配慮した用語がチョイスされている。
実際《更衣室》とか《蒸気サウナ》みたいななんかアレな名前の部屋もあるし。
なお、テーブルトップでプレイする場合は開放状況を示すためにカウンターを用意しておくこと。
類似のシステムを持つカード
ルール的にはまったくの別物だが、似たようなシステムを持つカードも存在する。
ルール上も使い勝手も分割カードとは完全に別物だが、エルドレインの王権では開いた本のような枠でテキスト欄が分割された「当事者カード」が登場した。
簡単に言えば、インスタントやソーサリーとして使えるクリーチャーカードで、「当事者」であるクリーチャーとそのクリーチャーに関わる「出来事」が記載されており、出来事側で唱えると後にクリーチャーとして唱えることが出来る。
従来の分割カードとの最大の差は「片方しか使えないのではなく、1枚のカードで確実に2枚分の動きをしてくれる」という点。
システム的に非常に強く、そもそもカード自体がものすごく強く、さらにフレーバー的にもよくできているため非常に人気が高かった。
分割カードが元ネタであるデュエマのツインパクトをさらに逆輸入したという、自社製品の中で独自の進化を遂げていった1枚。
こんな項目でルール面を勉強する人はいないだろうが、なんで分割カードとまったくの別物なのにここに載ってるんだろう……?
当事者よりむしろ分割カードに近いカード。
とても単純に言えば「カード1枚に2枚分のカードが印刷してある」というもので、唱える際に「第1面か第2面か」を選んでそちらの面で唱え、スタックおよび戦場ではそちらの性質だけを持つ。しかしそれ以外の領域では第1面のみを参照される。
カード1枚を半分にしている分割カードと異なり、カード1枚分のテキストを入れることができる。文章欄を複雑にしたり、常在型能力や複雑な起動型能力を入れることができるのが特徴。
さらに分割カードはソーサリーまたはインスタントしか組み合わせられなかったが、こちらは理論上「バトル」以外のすべてのタイプをなんでも組み合わせることができるため、文章欄の自由度が非常に高い。
というわけで、2020年度のMTGのスタンダードはこの「モードを持つ両面カード」がたくさん印刷された年だった。これは人気になること間違いなし!
「ゼンディカーの夜明け」では、「第2面が土地になっているカード」「第1面、第2面ともに土地のカード(両面土地)」の2種類が登場し、非常に高い人気を博した。
前者はデュエマのカードみたいなもん。「ルール上第1面が土地ではないが、事実上は土地として扱える」というカードのおかげで【The Spy】のような特殊なデッキに抜群の安定感を持たせたり、「《意志の力》のコストにできる土地」という無法なものが登場したり、単純に手札事故を防いだり。
後者は「素朴な2色土地として使った場合のフェッチランド」に挙動が近く、アンタップインの2色土地だが出した後は片方の1色しか出せないという点が重くのしかかってくる難しい土地。現在ではパイオニアで使われている。
どちらも事故を防げるため、非常に好評だった。第2面が単純な土地という覚えやすさも特長だった。
「カルドハイム」では、「第1面が伝説のクリーチャー、第2面はなんらかのパーマネント」というカードが登場。フレーバーとしては「カルドハイムの神々と、それのゆかりの品物・人物」といった感じ。
たとえば《星界の神、アールンド》なら、第2面は《囁く鴉、ハーカ》という彼の使い魔のようなカラスである。《恐怖の神、ターグリッド》なら、第2面は《ターグリッドのランタン》という所持品。
これらはフレーバー的には関連付けられた品物ということでヴォーソスからの評価は高かったが、ヴォーソス方面に興味のない人にしてみれば「あまり関連付けられていない2枚のカードが印刷されているだけ」でしかなく、評価はだいぶ分かれることになった。
幸いなことにどれもレアリティが高いことや、あまり強いと言えるカードがなくてほんのりと「どういうデッキに入れればいいか」の方向性がにおってくるものだったので、批判の声はそれほど大きくはならなかった。
統率者戦では第1面が伝説という性質から「統率者に指定できるアーティファクト」「どちらの面で使うかを選べる統率者」のように使うことができ、《樹の神、エシカ》《冬の神、ヨーン》あたりは人気が高い。《恐怖の神、ターグリッド》に至ってはゲームチェンジャー認定までされている。
「ストリクスヘイヴン」では、「第1面も第2面も伝説のクリーチャーまたはプレインズウォーカー」に加え、「第1面がパーマネント、第2面はソーサリーやインスタント」というカードが登場。非常に自由な発想でカードを作ることができた。
しかし自由に作りすぎたことから第1面と第2面のテキストに関連性のあるカードがほとんどなく、非常に覚えづらいという弱点が噴出してしまう。カルドハイムの両面カードを許容した人々もこちらはもう無理だったという人がいたようで、開発部的には失敗だったと判断されている。
単純に「モードを持つ」という関係上、分割カードと同じく能力に対してコストが重く設定されがちであり、インフレ時代に逆行するような性質を持ったせいで多くの環境で活躍できなかったこともまた評価を下げてしまった。
一応《厄介な害獣、ブレックス》はデザインの分かりやすさからスタンダードでもそこそこの人気があり、《死に至る大釜》は「《大いなる創造者、カーン》でサーチできるソーサリー」という性質が評価されたので完全な失敗というわけではないのだが、
現在でも「《血流の学部長、ヴァレンティン》と《樹根の学部長、リセッテ》はストーリー上でも関係があるし短編もヴァレンティン教授が嫌味っぽいけど実にいい先生なんだ。読んでないならつながりが分かんなくて当然だが、だったら文句も言うなよ」とその関連性を主張するヴォーソスと、
「なるほどねぇ、一応一通り読んだんだけどストーリーには《炎投げのアリア》先生なんて出てこなかったんだよな。どこに出てくるか教えてくれよ」と否定的に見做す非ヴォーソスの間でレスバトルが起きる。だいたい相手の言い分を絶対に理解しようとしないので互いに頑なになって終わるやつ
なお統率者戦で両面教授サイクルを使うと結構楽しいので、ブラケット1~3あたりで示し合わせた上でぜひやってみてほしい。たぶんどちらの言い分も、そして開発部がなぜ失敗と断じたかも、ある程度納得できるはずだ。
というわけで第2面が土地のカード以外はあまり良い評価を得られなかったため、モダンホライゾン3でも「第2面が土地のカード」しか印刷されていない。
結局人間が遊ぶゲームである以上、複雑なテキストのカードを2つ使えてもそれを覚えきれない、使いこなせないという部分の弱点が出てしまった。そして分割カードの文章欄の小ささゆえの単純なテキストは、思わぬ形で再評価されたのであった。
今後はもう少し分かりやすいカードが出てきて、成功をおさめてくれるだろう。
ルール面における利用方法
ここまでなら単なる「1枚のカードで2枚分の働きをしてくれる」カードなのだが、特殊なレイアウトゆえに特殊なルールを持つことがあり、それを利用したデッキテクが存在する。
「分割カードのマナ総量は、両方を足したものである」というルールがある。
つまり《生存+存命》(1マナ+3マナ)の場合、「マナ総量が4だが1マナでも3マナでも唱えられる」というカードになる。
そのため相棒指定にあたって「マナ総量が3以上のカードのみしか入れられない」というルールを課す《巨智、ケルーガ》、同じく相棒指定にあたって偶数しか入れられないルールを課す《深海の破滅、ジャイルーダ》、マナ総量が4以上のカードの時に処理を繰り返す《悪魔王ベルゼンロック》などのデッキに入れることができる。
それどころか本来動けないはずのマナ圏で平然と呪文を唱えてくるという結構ズルい役割を果たすこともできるという非常に有用なギミック。
続唱デッキにおいては「ルール上のマナ総量が大きい=続唱を阻害しない」という点を利用し、分割カードをデッキ内に入れることもできる。
マナ総量そのものを参照するカードとの相性は良し悪し。《闇の腹心》のように自分にデメリットを課すものだと相性は悪いが、《猛火の群れ》のようなものとは相性がよい。
「4マナのカード(4マナで唱えるとは言っていない)」というカードの性質上、こういった「ルールの抜け穴を突いたマスターピース」的な役割を果たすこともしばしばある。
かつては「分割カードのマナ総量は、片方ともう片方のコストをそれぞれ持つ」というルールだった。上述の《生存+存命》なら「1マナであり3マナでもある」というものである。
そのため「《等時の王笏》に刻印された分割カードが両方とも2マナ以下なら状況に応じて両方を唱えられる」という小ネタが存在しており、《火+氷》(2マナ+2マナ。旧ルールだと2マナなので刻印できたが、現在では4マナなので刻印できない)はこのルールによってレガシーでも活躍した名カードである。
《攪乱する群れ》は融通が利かない呪文なので評価が低かったが、《強硬+突入》(2マナ+6マナ、融合持ち)をコストにすれば「2マナも6マナも打ち消せる」という柔軟性の高い呪文に早変わりする。
さらに「手札のマナ総量が2以下の呪文を踏み倒す」というテキストの《カーリ・ゼヴの巧技》で《強硬+突入》(2マナ+6マナ、融合持ち)を踏み倒すと、都合8マナの呪文をたやすく唱えることができる。
これらのギミックはすべて「ルールの穴を突いて遊ぶ電波デッキ」ではなく、環境の中に確かな存在感を放った立派なテクニックとみなされていた。
それぞれレガシーの「セプターチャント」「ランドスティル」、モダンの「青系コントロール」、モダン以下の「グリセルフューズ」「瓶詰め脳」といったデッキで立派に活躍した。
分割カードはこういった使い方をしないと重すぎるカードも多く、むしろ「(特に塩漬けと評されたドラゴンの迷路の)カスレアを化かす良質なテク」とすら思われていたのである。
しかし初心者には「ある時は1マナである時は3マナでもありある時は4マナでもあるカード」というのはルールがぐちゃぐちゃになっているようにしか見えないのでかなりウケが悪く、
手札からたやすく踏み倒せる巧技サイクルと、その後のアモンケットでの余波持ち分割カードの登場によってこのルールは改正され、多くのデッキが潰えてしまった。
ただしこの変更は実は悪いことばかりではなく、「本当は軽く唱えられるがルール上は重いカード」と相性のいいメカニズム、たとえば「続唱」などが阻害されにくくなるためデッキの構築に幅が広がった。
上述のケルーガやベルゼンロックはこの変更のおかげで柔軟性を得ているところがある。
また、トークン名のルールで揉めたのももっぱらこの分割カード。
昔のルールでは、たとえばクリーチャー・タイプがイリュージョンのトークンは「イリュージョン(Illusion)」という名前を持っていた。
そのためこのイリュージョン・トークンの名前を参照するカード(《撲滅》など)を使うと、ライブラリーの中の《空想+現実/Illusion+Reality》が該当して本来関係ないはずのカードが取り除かれるという奇妙なことが起きてしまう。
これまでは「めったに起こることではない単なる面白事例」「分割カードに限った事例ではない」として放置されていたのだが、イニストラード:真紅の契りでの血(Blood)トークンの登場で「《真髄の針》で《肉体+血流/Flesh+Blood》のうち血流を指定することで血トークンの起動型能力を封じる」というヘンテコテクが出てきてしまう。
宣言ルールや訳語の問題などにも絡んできて面倒な事態を起こす上に今後も同じような事態が起こりかねないため、トークン名にはその後に「・トークン」という名前を付けたものが正式名称となり、名称絡みの奇妙な相互作用も取り除かれた。
批判点
楽しいことだらけのように思えるカードだが反転・両面カードほどではないが実際には問題点も多く、プレイヤーが
ゲームを遊ぶ際の障壁になるような批判もいくつか存在する。
早い話がなぜか文字が突然90度ひっくり返ったカードがあるのがなんか気持ち悪いという意見。これ自体は反転カードの批判点でもあり、MTGに限らずこういった特殊な枠のカードには必ずついて回る批判である。ポケモンカードとかめっちゃ読みづらいのあるもんね
ぶっちゃけていうと分割カードは他のTCGなら「1枚のカードに2枚のモードをつける」で済ますようなものなのだが、これを「カード2枚を1枚の枠の中に印刷する」という異様なレイアウトにしたことで、その物珍しさから人気になったものである。
MTGプレイヤーにとっては非常に面白いレイアウトなのだが、実は非MTGプレイヤーからすると理念を説明されてもまず「なんでそんなわけわかんないことするの?」という点が理解できない。現物を見ても興奮より先にむずむずする人も多いようだ。
実は普通の考えだと
ペンデュラムモンスターのように縦向きのレイアウトを保持した方が見栄えもプレイ感もいいからで、この考えはこの奇妙なレイアウトを他のTCGがまったく模倣していないことからもうかがえる。
分割カードを元ネタにしたデュエマのツインパクトは縦向きだし、MTGでも分割カードの亜種扱いされる当事者カードはしっかり縦になっている。
慣れないうちは「カードや首を傾けて読むせいで手札がばれる」「手癖に合わせてカードを逆さまに入れてしまい、それを見とがめられてしてジャッジを呼ばれる」などのトラブルとも縁が深い。
さらに余波を持つ分割カードは、1枚のカードの中に
上下方向と
左右方向に文章が書かれているせいで「生理的に受け付けない」と厳しい批判をする人も多かった。
感情的な意見じゃないか、と思うかもしれないが当時は本当にそういう意見が多く見られたし、そもそもカードゲームは単なる娯楽用のオモチャ、つまり感情を快くするための遊びである。
このデザインの賛否両論、特に否側の非常に厳しい評価はWotC社も認めている。
余波に関しては開発の一人も「このメカニズムのプレイされ方は気に入られていたが、見た目は嫌われていた。」と述懐している。
非パーマネントに限定される上に度重なる再録のせいで名前のネタが尽きてきており、さらに翻訳者、特に非ラテン語圏の翻訳者を泣かせるカードが多い。
ゲームシステムに問題のある翻訳なら、ローウィンの《狡知》《敵愾》は元々「狡猾」「敵意」という名前だったのだが、分割カードの片割れと同じ名前になってしまうことから訳語が変更されている。
システムではなくプレイ面や言語面で問題があるものもある。
《武装+物騒》は音を合わせた名訳ではあるが、
どちらのことを指しているのかが分かりづらいという欠陥も抱えてしまっている。
《徙家+忘妻》は、元となった言葉を似た四字熟語で返すというほとんど独自訳に近いことをして一部から批判された。独自訳がそもそも批判の対象になりやすく、さらに
Oblivionに妻を忘れるなんて意味はない。仮に「これまでの分割カードの半分を入れ替えたもの」なんて出てきたらどうするんだ?と
杞憂未来を憂う人もいる。
つまり
どう翻訳しても何かしらの問題や苦情は避けられないという、本当に翻訳者泣かせのカードなのである。しかもこれ、どうも
日本語版特有の問題というわけではないようなのだ。
新規勢や復帰勢が非常につまづきやすいカードで、ルールが何度も変わっている。この変更後のルール自体はとっつきやすいという点には留意してほしい。
しかし古いデッキの中には「当時の分割カードのルールだからこそ成り立つデッキ・ギミック」というのは意外と多く(セプター型ランドスティル、グリセルフューズなど)、旧ルールに依存するデッキはルール変更とともに組むことすらできなくなる。
こういったルール変更は時に環境に大きなウェイトを占めてファンも多かったデッキを完全に消滅させるなど、メタゲームを塗り替えることすらある。アモンケット発売に伴うマナ総量に関するルール変更は下環境を激変させ、議論を生じさせた。
相棒全盛期にケルーガ・オボシュあたりでトラブルになったのも主に分割カードの取り扱いであり、今でもルールは若干とっつきにくいところはある。
宣言に関するルールも何度か変わっているせいで《翻弄する魔道士》などで宣言するときにジャッジを呼ばれることもしばしばある。現在のルールは「宣言時は片方側だけを宣言する」というもの。
こういったルール変更が割と頻繁に起きているのだが、変更前の知識が載っているサイトも多いので勘違いが後を絶たない。
つまりこのカード、一見分かりやすそうな理念に対して実際は相当問題だらけで、単純に「人気のメカニズム!」と言うのは憚られるところがある。これでもだいぶマシになった方なのだ。
ただしこういった難点を考慮したうえでなお「モードを持つ2つの呪文の柔軟性」に対する人気は非常に高く、そのため何度も再録されている。
ルール変更だってぶっちゃけ「ルールが煩雑すぎて納得いかないのをやっと直した」「ルールの抜け穴を突いているような不当なデッキが咎められただけである」と言われれば反論はできない。
そしてMTGには「テキストが短いカードは強い」という不文律があるが、分割カードはレイアウトの都合上文章を短くせざるを得ないので「分割の片割れなのに妙に強いカード」がたまに登場する。
そしてデザイン的な観点で言えばぶっちゃけ適当な呪文を2枚組み合わせればよく、柔軟性を理由にコストを重くできるので環境を壊すほどではない。
上述の問題点は裏を返すと、このカードが好きでたまらなくなった時にMTGという沼から抜け出せなくなるということでもある。
現在では主にラヴニカの顔という扱いのようで、再録されたエキスパンションのうち3つがラヴニカであることからもそれがうかがえる。
ルール的には結構優遇されているカードであり、まだまだルールの抜け穴も多い。環境に分割カードがある時代は色さえ合えばほとんどのデッキに分割カードが入る。
今やカードゲームも個性化の時代だが、MTGというゲームを「両面カード」「プレインズウォーカー」「英雄譚」とともに外見面やシステム面で大きく個性化している、そんなシステムである。
こぼれ話
大元の発想はアングルードで登場した《B.F.M.》がカード2枚分の巨大クリーチャーだったので、ではその逆の「カード半分」というのはどうか、というところだった。
元々アングルード2用の構想だったのが、アングルード2がぽしゃったことで通常エキスパンションで日の目を見た形である。
開発部でも評価が割れていた、というかインベイジョンの開発当初は支持者の方が少ないメカニズムだったらしく、
公式記事「Making Magic」ではその頃のマローの苦労が度々取り上げられる。
そのたびに、インベイジョンのリード・デベロッパーだったヘンリー・スターンが「反対した人物」として逐一名指しされる
カード名は類義語や対義語の組み合わせ、あるいはA and Bで一つの熟語になるなど、色々工夫が凝らされている……が、「カード名のネタがねぇ!」というのが開発部の分割カードに対する悩みだそうな。
なにしろこんなレイアウトなので、インベイジョンの時はこのカードを見てエラーカードだと思ったり、
はさみで半分に切っちゃった人もいるとか。
Postscript / 追記 (青)
ソーサリー
記事1体を対象とし、記述を1つ選択する。
対象の記事は他の記述に加えてその記述を持つ。(この効果は永続する)
カードを1枚引く。
Fix / 修正 (2)(青)
インスタント
記事1つを対象とし、それに書かれた誤字1種をすべて別の単語1種類に置き換える。
または、脱字1種をすべて別の単語1種類に置き換える。(この効果は永続する)
カードを1枚引く。
- 最後の追記のお願いの部分が、カード化されても自然 -- 名無しさん (2018-03-12 10:23:39)
- 最近デュエルマスターズにも似たカードが出る -- 名無しさん (2018-03-13 11:33:26)
- アモンケットのはちょっとブサイクすぎる -- 名無しさん (2018-03-13 12:21:24)
- 初見時のインパクトはかなりの物 -- 名無しさん (2018-03-14 00:13:33)
- 弟分のデュエル・マスターズで、クリーチャー+呪文(MTGで言うソーサリー。クリーチャーの必殺技扱い)の分割カード「ツインパクト」が登場。中割りが斜めに走る事で見栄えが良くなり、テキストが犠牲になった。 -- 名無しさん (2019-09-24 17:45:20)
- 果たして「部屋」はどうなるだろうね……? -- 名無しさん (2024-09-25 11:21:40)
- モードを持つ両面カードの評価が細かく書かれてるけど、これは分割カードと機能的に似ているだけで全くの別物なので当事者カードと同じくここでは軽く触れるだけでいいのでは。両面カードの項目は別にあるわけだし。 -- 名無しさん (2025-11-11 21:05:25)
最終更新:2025年11月11日 21:05