パツシィ(Fate)

登録日:2018/05/03 (木) 00:23:49
更新日:2024/04/20 Sat 08:36:53
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※この項目にはLostbelt1『永久凍土帝国アナスタシア』の多大なネタバレ要素が含まれています。閲覧にはご注意下さい。



Fate/Grand Order』の登場人物。


異聞帯(ロストベルト)No.1「永久凍土帝国アナスタシア」の住人であるヤガ*1

この異聞帯が剪定されるきっかけとなったのは450年前(A.D.1570)。地球は突然の大寒波に襲われた。隕石の激突による氷河期の到来である。
地球全土は人間では耐えきれないほどの極寒の地と化し、ほとんどの国はたちまち滅びたが、もとより極寒の地であったロシアだけは多少長持ちした。
といっても人口の九割は失われ、ロシアも滅亡の危機に瀕していた。

しかし幸いというべきか不幸にもというべきか、この異聞帯には汎人類史の生態系とは異なる魔獣が存在していた。
時の支配者イヴァン雷帝は魔術師と共にこの状況を生き抜く術を模索し、人間と魔獣の融合による身体強化により、大寒波に耐えられる生命体となることを決断。
これにより誕生したのが「ヤガ」である。雷帝自身もヤガとなり、以降450年、雷帝の統治が続くこととなる。

だが、これは人間を別のものに変えるも同然であり、ヤガ達は肉体の強靭さの代わりに非常に燃費が悪くなった。
そのため大量の食糧を必要としたが、大寒波の影響でほとんどの動植物も絶滅してしまい、魔獣を狩って生きていかねばならなくなった。
現代ではどうにか魔獣にも通用する銃器を開発し、魔獣を狩りながら辛うじて生きていけるようになったが、
ヤガが誕生した当時はそんな装備はなく、その過酷な環境において弱者を養う余裕を失った彼らは、魔獣の力や肉体の変質に耐えられなかった者、次に病人を、老人を、弱き者を選別して切り捨て、その者達を食って生き延びた。
ちなみに立ち絵や戦闘シーンではヤガと言えど二足で直立している為わかりにくいが、走る時は武器を咥えて狼のように四足歩行となる。

しかし、代を重ねるごとにヤガ達の生命のサイクルは短くなっていき、精神も変容して文明の発展も望めなくなった世界は行き詰まりの人類史とされ、剪定を受けて「異聞帯」の一つとなったのだった。

パツシィはそんな世界で暮らすごく普通のヤガだったが、ロシア領に浮上したカルデアと最初に出会ったことで彼の運命は変わった。
ヤガは獣としての本能を取り入れたためか、強食(弱肉強食ではない。弱者は肉にすらならない)の考えが根付いており、基本的に弱者は自分が生きるために切り捨てるものという考えが染みついている。
しかし、そんな中でパツシィは人間臭く、弱り切った母親に肉を分け与えるなどしてヤガの中では異端とされていた。本人も今のロシアを「どん詰まり」と零しており、停滞していることに薄々気付いていた様子。

これは街の警備隊長だった父の影響でもあり、パツシィの父は「私たちは何かを間違い、世界に置き去りにされてしまった」と語っており、剪定の理は知らずとも、自分たちが選択を間違ったことには気付いていた。
父の教えと、その父が食料を陳情したことでオプリチニキに殺されたこと。
それが雷帝の統治への、ひいてはヤガとこの世界そのものに対する疑問をパツシィに生むことになった。

ロシア領に浮上し、調査の過程で魔獣の群れに突っ込んでしまった主人公たちを助け、伝説でしか聞いたことのなかった旧種(ヒト)の姿に仰天。
しかしなんやかんやでお人よしのパツシィは、魔獣の狩場の情報の代わりに主人公とマシュを匿うことになる。
が、そのせいでオプリチニキから叛逆軍を匿っているという嫌疑をかけられ、逃亡せざるを得なくなってしまった。
オプリチニキに殺されるくらいなら、と主人公と共に叛逆軍と合流し、引き続き土地勘のない主人公たちの案内役を引き受けることとなる。

そんな中、オプリチニキによって叛逆軍の食糧庫が焼かれてしまい、食糧難に陥った叛逆軍は近くの街から食料を奪わなければ立ち行かなくなってしまう。
その標的となったのはパツシィの故郷、ヤガ・スモレンスクだった。

叛逆軍とオプリチニキの争いの場となったヤガ・スモレンスクでは虐殺が始まり、パツシィは母親の安否を確認に向かうが、パツシィが逃げ出してすぐに住民の手で殺されていたことが発覚する。
それに動揺したパツシィは撤退の指示を無視して母親の死が本当かどうかを確認に向かい、オプリチニキに捕らえられてしまった。

そして言峰の手で雷帝に引き合わされ、一発で心が折れた。恐らくスキル「非常大権」の影響を強く受けてしまったものと思われる。

これは駄目だ。絶対に目覚めさせてはならない。
そして、もし目覚めてしまったら、その時に叛逆軍が存在していて、それを知った雷帝が暴れだしたなら、本当に世界が終わると。

雷帝への恐怖に勝てなかったパツシィは叛逆軍の砦の場所までオプリチニキを案内してしまい、叛逆軍の壊滅を招いた。
そしてミノタウロスの迷宮に引き込まれた主人公たちと再会することとなり、巻き込んだ自分たちが悪いと責めようとしない主人公たちに「お前たちはなんなんだ」と疑問をぶつけ、カルデアが自分達とは異なる歴史、汎人類史の人間であることを知る。

パツシィは主人公たちから汎人類史がどんな世界かを聞くこととなり、自分が主人公たちに付いていったのはヤガとはあまりにも異なる心の在り方を興味深く思ったからだったことに気付く。
…そして、自分がそれに心地よさを感じていることにも。

再び主人公たちに同行することになったパツシィは、主人公になぜ笑えるのかを聞いた。
自分たちヤガよりも弱いのに、この世界でヤガは笑う余裕など一つもないのに、弱いお前が笑えるほどに、そちらの世界は幸福なのかと。

それに主人公は「笑ってくれた人がいた」と答え、
パツシィは主人公に対する激しい妬みを自覚し、
「この世界でお前が絶望するのを見届ける。そのためなら雷帝が目覚めようが構わない」と、最後まで主人公に付いて行くことを決める。

しかし主人公は目覚めた雷帝を見ても戦う意思を捨てなかった。
だが、雷帝に勝利した主人公は、自分たちが勝利すれば異聞帯は滅ぶという真実を知ることとなり、ヤガ達にも敵対され膝を屈しそうになる。

そして銃弾に襲われる主人公を、パツシィは庇った。
ヤガは死ぬことを恐れない。
自分が恐れるものがあるとすれば、笑って生きていける者が死ぬ時だ。
そう思ったパツシィの体は、ひとりでに動いていた。

致命傷を負ったパツシィは主人公の胸ぐらを掴み上げ、最後の言葉を残す。



「俺は、テメェを、絶対に許さない」
「俺に幸福な世界があることを教えてしまった失敗を、絶対に許さない」

「だから立て。立って戦え」

「お前が笑って生きられる世界が上等だと、生き残るべきだと傲岸に主張しろ」
「胸を張れ。胸を張って、弱っちろい世界のために戦え」
「……負けるな。こんな、強いだけの世界に負けるな」

「……そりゃ、きっと罪深いんだろう。無かった事になんてできないんだろう」

「でも、ダメだ。だって、おまえたちの世界の方がーーー」


ーーーーきっと、美しいんだ
だから、そちらが生き残るべきだ


ヤガは間違えた場所に迷い込んだ。
しかし、正しい世界があるなら、幸福に溢れた世界があるなら、この世界の間違いは、その世界の正しさを証明するものになる。
なら、この世界も、辛いだけのヤガの生も、無意味ではない筈だ。



「……なあ……何か言えよ、オイ」
「答えを……テメェの……答えを……聞かせてくれ……」


そして主人公の答えを聞いたパツシィは微笑み、



「……はは……泣いてやんの……べそかいて……」

「なんだ……思ったより……テメェを泣かせても……楽しく……ないな……」


パツシィのこの行動によって主人公は奮起し、自分たちの世界のため、クリプターと戦うことを決意することになる。



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最終更新:2024年04月20日 08:36

*1 人間と魔獣が合成された人狼型の種族。人喰いの妖婆「バーバ・ヤガー」から付けられたもの。