刃皇(火ノ丸相撲)

登録日:2019/02/05 Tue 11:10:00
更新日:2025/03/18 Tue 17:07:56
所要時間:約 3 分で読めます





結びで相撲を取る誉れ!
相手は全力士の頂点 大横綱刃皇!
これを「幸せ」とせず何が力士よ!!




刃皇(じんおう)とは、『火ノ丸相撲』の登場人物である。



【概要】

モンゴル人で、現在作中の角界における頂点に君臨する一人横綱。本名はダワーニャウィン・ツェウェグニャム。
額から左目にかけて傷があるが、その瞳がとにかく特徴的。
22歳の時に久世草介の父親である横綱大和国を破り、為す術ない敗北という取り組み内容から彼に引退を決意させた。その後44回もの優勝を果たし、歴代最強との呼び声も高い大横綱である。
本人は日本人力士の弱さを棚に上げて自分達外国人力士の粗探しに躍起になる今の相撲界を憂いており、「身体は元気だが、45度目の優勝を果たした暁には引退する」という勝ち逃げ予告宣言をかまし、角界に衝撃を与える。

所謂ラスボス格の人物であるが、圧倒的な実力や大物然とした威厳を発揮する一方で、作中で繰り出す「そんなの…相撲がかわいそうだよねぇ…!」を始めとした迷言・珍行動も数知れず、作中世界はおろか読者をも振り回すほどの凄まじく濃いキャラクター性を持つ。一時期火ノ丸より主人公やってるとか言われたり言われなかったり。



【人物像】

「人を謳歌し神となる」という信条を持ち、普段は堂々とした佇まいをしつつも、格下の力士に対して気さくに接し、レイナのような一般人の相談にも気軽に応じる好人物。
その一方で突如として機嫌を悪くし暴言を吐いたり、子供のように泣き出したりと、情緒不安定な一面を持つ。
素行はお世辞にも良いとは言えず、妻である由美は手を焼いている模様。
取組においても同様で、刃皇の精神状態によって戦法がガラリと変わり、相手をして「複数の力士を同時に相手にしている気分」と言わしめる。

本作において、力士たちは様々な「」といういわば己のスタイルを持つ(主人公の火ノ丸は鬼炎万丈の相、久世は 静謐の相等)。
刃皇はそれら相を「憤懣」「 静謐」「 憐憫」「恍惚」といった具合に複数有しており*1、刃皇のスタイルを徹底的に研究し、目当ての相を出させるという戦法をとった童子切安綱こと天王寺獅童を、二つの相を同時に出現させるという天王寺の予期せぬ方法で打ち破るという芸当を披露している。
前述した情緒不安定さもこれら複数の相を持つが故で、1人でうまる会議脳内会議を行ったり、相手を格相の人格が住まう自らの精神世界に誘い、「刃皇裁判」なるものに強制的に出廷させるという超能力を発揮すると言った無茶苦茶なことをやってのけた。初の顔見せの際にも、偶然かどうかは別として、四股を踏んだら雨が上がった某地上最強の生物みたいな事しやがって

しかしながら刃皇を絶対的な強者足らしめているのはそういった特殊能力じみた精神ではなく、徹底的なまでに高精細で行う「後の先」の取組。
その水準の高さを大景勝は「自分の意志で立っているようでその実立たされている」と語り、「長く横綱でいる故に尋常ではない勝負勘を持つ」とは大和国親方の談。
彼が言うにはフィジカル自体は国宝達と大差ないとのことで、中でも久世はスピードもパワーも刃皇より上。だが過去11回の取組で一度も勝利をもぎ取る事が出来ていない


多重人格者のような人物ではあるが、根っこにあるのは共通して「」である。
それは相撲だけではなく妻への愛も同様で、それらは別々のものではなく密接に関係しているものと考えている。そのため、目の前の相撲にのめりこみ、心配する周囲を顧みず独りよがりの取組をする火ノ丸を前述の裁判で叱りつけた。その後、吹っ切れた火ノ丸と久世の取組を見た後、「相撲への愛で満ちている」と称賛している。
引退をすると宣言したのも相撲への深い愛情故で、引退宣言時のネタっぷりとは裏腹に「嫌いになる前に辞めたい」という切実で悲しいもの。
ただし「愛」で相撲に取り組んでいるものの、獣のような凶暴性と自分本位な一面もあり、くすぶっていた他者に発破をかけたのも、その根底にあるのは「自分が退屈だったから」というものであったり*2、火ノ丸との取組で自分が満足した後、なおも食い下がる火ノ丸に対し邪険な態度を取るなどといった一幕を見せた。

周囲が不甲斐ないから引退すると宣言したものの負ける気自体は全くなく、別に「自身に打ち勝つ強者」が望みというわけではない。
実際天王寺に追い込まれ、勝利した後も機嫌が悪く、「強いやつと戦うのが好きなのであって、別に敗けたいわけではない」といった言葉を残している。要は面倒くさい人



【関連人物】

潮火ノ丸(鬼丸 国綱)
何かと世話を焼いている相手。
彼に自分の考える「愛」について熱弁したり、「どんな神=横綱になるのか?」との問いを投げかけるなど、火ノ丸の相撲に影響を与えている。
彼が勝ちに拘るあまり修羅の相・無道へと堕ちた時も最初は咎める様子はなかったが、その結果自分すらも顧みなくなったとレイナに涙ながらに語られたことで闇を払おうと一念発起。
取組中に火ノ丸を刃皇裁判にかけ、「何のために相撲を取っているのか」と彼に考えさせる切っ掛けを作った(ちなみに判決は「情状酌量の余地あり 執行猶予3年」)。
この後、吹っ切れた火ノ丸の取組を観戦して、前述したように賞賛したり、獲物を見つけたような凶暴な笑みを浮かべていたり、なぜ自分との取組時に吹っ切れた後に見せるパフォーマンスを発揮しなかったのかと残念がったりしていた。


天王寺獅童(童子切 安綱)
今後の大相撲界を引っ張っていく存在として、一目置いている相手。
彼を自分の朝陽川部屋に勧誘したことがある(天王寺が「同部屋では本場所で戦えない」と断ったが)。
単純な実力だけではなく、ファンへの対応に見られる強いプロ意識など、その人柄込みで彼を高く評価している。そのため、「何故もっと早く現れてくれなかったのか」と憤る結果になった。
巡業で対決した際は、徹底的に自分を研究し尽くした天王寺に追い詰められるが、「憤懣」と「静謐」の同時発動によって彼を「二つ同時とは聞いてへんで…」と驚愕させ、彼を下した。


加納彰平(大包平)
同じ朝陽川部屋に所属する力士。
理性的な彼には世話になっているようで、「ついつい甘えてしまう」と漏らす場面があった。
しかし稽古中は無慈悲なまでに彼を叩きのめし、「ぶっ殺してやる」とまで言わせるほど追い詰めたり、「いつまでもから揚げ屋ではいけない」「一度くらい投げて見せろ」と発破をかけるなど、彼が殻を破ることを期待している。
そんな日々の言動に加納も敬意と対抗心を煽られ、また稽古中は敵愾心を隠そうともしない加納の存在に刃皇も刺激を受けるなど、周囲からはその在り方を不思議がられながらも良き師弟関係を形成している。


駿海(駿海登喜雄)
火ノ丸の師であるが、同時に刃皇とも彼が相撲留学した時から付き合いがある。
当時の駿海の部屋の外国人枠はすでに埋まっていたため朝陽川部屋へと入ったが、会う度に「お前は大相撲で成功する」と励まされ、また何かと気にかけてくれたと語っている。
また大相撲全体を考える在り様にも一目置いている様子。
駿海もまた刃皇のことを「一人で大相撲を盛り上げた偉大な横綱」と高く評価している。
刃皇にとっても紛れもない恩人であり、彼が倒れた時には「うぇ~…」と泣きじゃくっていた。


金鎧山 隼人(トゥルボルド・セルジブデ)
刃皇と同じくモンゴル出身の巽部屋所属の力士。
第1部のラスボス 久世草介ですら0勝11敗の刃皇に1勝とはいえ、土をつけたことがある大関在位6年のベテランである。
相撲の実力だけでなく、本場所や巡業の合間を縫っての慰問活動やモンゴルへの慈善活動でも知られており、刃皇が落としたモンゴル出身力士の印象を払拭しようと、常に自分を律している。
しかし、刃皇や生粋の勝負師の千比路にはその保守的な性質を見抜かれており、特に刃皇には実力は認められているだけに内心惜しまれていた。
既婚者であり、幼馴染の妻と5歳の息子を持ち、9月場所5日目鬼丸戦中に二人目の子供が産まれて二児の父となる。


【名言・迷言集】


●「横綱は「神様」だからね」

●「お前らは俺のいなくなった土俵で 歴代二位争いでもしてればいいよ! バーカ!!」

●「そんなの...相撲がかわいそうだよねぇ...!」

●「おい 誰に殺気向けてんだてめぇ」

●「断る! そこに愛はあるのかね」

●「本当に相撲を愛しているのなら相撲で幸せになれぃ!!」

●「でもね 強い奴と戦って…負けたい訳じゃねぇんだよ俺ぁ…」

●「女の子を泣かす様な悪い男は 懲らしめてやらないとねえ…!!」

●「プロなら相撲で周りの人間を 笑顔にしてみせろ!!」

●「やはり私は 指導者としての才能もあるんだなぁ…」

●「......金関は良い夫で良い父なのだろうねえ...ただ...家庭を背負う覚悟はあれど「大相撲」を背負う覚悟はないんだよなぁ 家庭を持つのはいい...がそれを「力」に変えられんからお前は横綱になれんのだ まぁ今更なる気もないのだろうがな...」

●「経験 歴史 格 それらの埋め難い差によって...だ」

●「フッ...俺の愛を疑うのかい?」

●「大和国はそんな事しねぇ~~~...!! 親父の様に潔く散れぇえ!!」

●「くそっ...楽しい...ー」

●「今夜は寝かさないぞ!鬼関♥️」


追記・修正は愛の戦士になってからお願いします。


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最終更新:2025年03月18日 17:07

*1 まだ相として出てはいないが、これら以外にも「揚々」「暢気」が確認できる

*2 ただし角界を本気で憂いているが故の行動であるのもまた事実である