登録日:2019/07/04 Thu 22:49:13
更新日:2024/07/25 Thu 09:18:10
所要時間:約 6 分で読めます
■概要
Venom Vol 4とは2018年より
マーベル・コミックスによって出版されたアメコミ。ライターはCosmic Ghost RiderやThanos Vol 2などを手掛けてきたドニー・ケイツ。
First Hostから数週間後のエディとシンビオートの物語である。今までのように人間とエイリアンの特別な関係を描くのみならず、クリンターや宇宙そのものの起源、エディの家族の問題にも踏み込んだ構成となっている。
外伝としてWeb of Venomというシリーズも同時に刊行されている。
また、2019年より始まる一大イベント、Absolute Carnageの実質的な序章でもある。
前半の物語は#1~6の"Rex"、#7~8の"Oversight"、#9~12の"The Abyss"に分かれており、それ以降の#13~15はWar of the Realmsのタイイン、#16はAbsolute Carnageのプレリュード、といった構成となっている。
一応、今まで長く続いてきたシリーズの仕切り直しとして刊行されてはいるが、物語を理解する上では過去の設定を知っておかないと厳しいところもあるので注意。ちなみに邦訳もされていない。
【Rex】
■物語
前回の事件から無事に
地球へと帰還を果たしたエディとシンビオート。しかし、しばらくしてエディはある悪夢を見るようになり、シンビオートも何かを感じ取っているのか、精神が不安定になっていく。
頭の中で叫び続けるシンビオートを落ち着かせるために薬を飲んでいくうちに、二人の関係も徐々に悪化。エディのヴェノムとしての活動もままならなくなり、突然身体の制御が効かなくなり、未知の言葉を叫びながら暴れ回ってしまうことすらあった。
そんなある時、エディはレックス・ストリックランドと名乗る男と出会い、かつて
ベトナム戦争を共に歩んだ戦友たちを救出する仕事を依頼される。
その兵士たちはなんと地球上で初めてのシンビオートとの結合被験者であったのだ。
■登場人物
●エディ・ブロック/ヴェノム
かつてはスパイダーマンの宿敵だった怪人ヴェノム。
自らの「片割れ」に起こった異常に苦悩しており、その真相を突き止めるべくレックスの仕事を引き受ける。その後シンビオートの神、「ヌル」と遭遇し、地球ひいては宇宙全体を救うための戦いに身を投じる。ちなみに、少し前まで勤めていた新聞社はシンビオートが原因でクビになった模様。
「一人になること」への恐れが印象的に描写されており、今までとは一味違ったシンビオートとの関係性が描かれている。
●ヴェノム・シンビオート
スパイダーマンへの復讐と憎悪に燃える漆黒のエイリアン…ではなく、エージェント・ヴェノムとして活動していた頃に色々あったことで、その残虐性や加虐的な部分は鳴りをひそめている。
ヌルの目覚めに反応して精神が不安定になっており、暴走を繰り返していたが、本人と接触した影響で新たな能力をたくさん身に付け、意識も元に戻ったことでこれまでにない強キャラ感を醸し出す。グレンデルとの激戦の最中にエディを守るために燃え尽き、最期の言葉として彼への愛を囁くが…。
●レックス・ストリックランド/ティラノサウルス
エディに接触してきた初老の男性。ベトナム戦争においてはS.H.I.E.L.D.による5人のシンビオート兵士計画の一人として戦っていたらしい。当時のシンビオートはもう持っていないらしいが…。ヴェノムとしての力量を見込んで、同じくシンビオートと結合しており、冷凍されて移送されている他の4人を救出する仕事を依頼する。
実はレックス本人ではなく、本当の彼が死んだときにシンビオートが「成り代わった」存在。グレンデル・シンビオート
の一部から産まれたため、失った欠片を取り戻すためにヌルに狙われる。最期はヴェノムを守るために自ら焼却炉に飛び込んだ。
●マイルズ・モラレス/スパイダーマン
ご存知別世界からのスパイダーマン。グレンデルが暴れまわっている際に街の人そっちのけでヴェノムに襲い掛かった。その後エディに諭され、共闘することとなる。その際にド派手なメガ・ヴェノム・ブラスト(エディ曰く、良い名前)をお披露目して、巨大なドラゴンの形を取っていたグレンデルを一撃で粉々にする程の威力を発揮した。
●ヌル
宇宙が誕生するより前に存在していた古の神。シンビオートの創造者であり、彼らの王。宇宙と星々、及びそれらを創造した神を嫌悪しており、世界に闇をもたらす為に自らの創造物を用いて太古より破壊を進めていた。しかしシンビオート達に反旗を翻され、何億という数のシンビオートによって構成された惑星=クリンター/ハイブ・マインドの中央に閉じ込められている。
それでもなお「器」と呼ばれるアバターのような物を生成してグレンデルを操り、自身の肉体を解放するために地球を襲う。
ライターが語ったところによると、アベンジャーズに完全勝利をおさめた世界のサノスでさえこいつには敵わないことが示唆されている(エディと闘った際はそもそも自らの肉体ではなかったためにかなり弱体化していた模様)。
●グレンデル・シンビオート
ヌルによって創造された第一のシンビオート、オール・ブラックの子孫。ヌルによって操られ、自らの一部であるレックスを取り込むために地球を襲う。冒頭では巨大なドラゴンの姿をとっており、軍の一斉掃射を食らってもピンピンしていた。しかしレックスを取り込んだヴェノムとの最終決戦に敗れ、焼却炉に閉じ込められて燃え尽きた。
●ジャック・オ・ランタン
本物のジャックではなく、本人曰く「装備を見つけただけ」のチンピラ。他のゴロツキと一緒に武器の取引をしていたところ、暴走したヴェノムに襲われて片目を爪で抉られた。
●セレスティアルズ
宇宙やら何やら色々創った全能の神様たち。ヌルの回想に登場。
自身らが世界にやってくる前から存在していたヌルに興味を示したようだが、その内一体がヌルのオールブラックによる一撃であっさりと殺害された(その際に切り落とされた頭は後にノウウェアとなる)。
【Oversight】
■物語
ヌルとの戦いに勝利をおさめ、世界を救うことに成功したエディ。全てが終わり、目が覚めると彼は見知らぬ研究施設に監禁されていた。メイカーを名乗る男の口から語られる衝撃の真実とは…。
■登場人物
●エディ・ブロック
先の激戦の影響で重傷を負い、しばらくの間昏睡状態にあった…と思いきや戦いの後にすぐ目覚めていたようで、何週間もプロジェクト・オーバーサイトの兵士たちから派手に暴れながら逃亡を続けていた模様。向かっていた場所は自らの実家で、父親に会いにいくのが目的だったらしい。
しかしなぜかそれらの記憶がシンビオートによって削除されており、片割れへの不信感を募らせていく。
●ヴェノム・シンビオート
エディと共に身体を燃やし尽くされ、死亡したと思われていたがなんとか生き延びていたことが判明。しかし、その後遺症として意識や知性が失われたいわゆる脳死状態に陥っていることがメイカーから語られた。宿主とのコミュニケーションも不可能になり、もはやただの番犬でしかない状況だったが、なぜかエディの記憶を操作しているようで、彼はヌルとの戦い直後やフラッシュ・トンプソンの死をまったく覚えていなかった。
ヴェノムに限らず、シンビオートたちは宿主と結合した際にその身体にコーデックスとよばれる自らの欠片を残す、という生態が明かされた。
●リード・リチャーズ/ザ・メイカー
マイルズと同じくアルティメット・ユニバース出身の元Mr.ファンタスティック。ある経緯によって狂気に呑まれ、現在は謎の研究組織、プロジェクト・オーバーサイトを率いている。ヌルとの決戦を終えたエディを拘束し、奪われたグレンデル・シンビオートのサンプルの居場所を問い詰める。
思いもよらぬ方法で警備を突破したエディの逃走を許してしまうが、その後次の研究対象を見定めているかのような描写があり、どうにも別次元で起こった様々な出来事を把握しているらしい(スパイダー・バースやキング・サノスなど)。
●カール・ブロック
エディの父親。色々あってエディに冷たくあたり、憎んでいる。
兵士に追われながら家を訪ねてきた息子を追い返した。
なぜかディランという名の少年と共に住んでいたようだが…
●"フラッシュ・トンプソン"
フラッシュの遺体に残されていたコーデックスがもつ彼の残留意識。メイカーが密かに回収しており、研究のために保管していた。建物からの逃走を図ったエディとシンビオートによって吸収されたことで一時的に身体のコントロールを握り、かつてのエージェント・ヴェノムの姿を取って二人をサポートした。その後すぐに燃え尽きて消滅した模様。
【Abyss】
■物語
サンフランシスコにたどり着いたエディ。かつてないほどの孤独を感じながらも、父親のカールと話をするために再び実家を訪ねるが、冷たく拒絶され、シンビオートが暴走してしまい父親を殺しかけてしまう。誰にも必要とされず、絶望に沈んでいたエディだったが、ある晩カールの息子と思われるディラン・ブロックが彼の前に現れ…
■登場人物
●エディ・ブロック
片割れとの繋がりを失い、一人ぼっちでさまよっていたが、ディランとの出会いを機に少しずつ絆を深めていく。
ヌルとの戦いを通してPTSDを患っており、幻覚を見るようになっている。更に身体にも異常が出ているようで時折咳き込んで吐血すらしている。
その後、原因はシンビオートであったことが発覚し、自らの記憶や身体を滅茶苦茶にされたことで不信感は決定的なものとなる。シンビオートと脳内で対話していく内に、ディランが自分にとって何者なのかを知る。
●ヴェノム・シンビオート
脳死は少し前に回復していたようだが、それからもしばらくその状態を装っていた。エディとの繋がりが断たれないようにエディの記憶を改変、フラッシュの死などの辛い記憶を消去し、ガンによって死去した妹と叔父という架空の人物を彼の脳内に作り出す。また実際に体内環境をいじってガンの症状を模倣した。それに気付いたエディから拒絶されたが、エディとディランの未来のためにある決断を下すこととなる。
●ディラン・ブロック
カールに日常的に虐待を受けており、ある晩エディのもとに逃げ込む。実はアンとエディの間に産まれた子供だが、本人はそれを知らずエディは腹違いの兄だと認識している。父親譲りで強い正義感を持っており、ヴェノムのファンでもある。エディが倒れた後に、カールによって連れ戻されるがそこにヴェノムが現れ…
●カール・ブロック
ディランの父親だと思われていたが、実は何年も前にアンから彼を預かっただけで、カール自身はディランの祖父にあたる。まともな子育ては出来ていないようだが。エディの人格形成に多大な悪影響を与えており、彼にある大きな
トラウマ植え付けた張本人。
ディランを連れて帰る途中でヴェノムに襲撃され…
●リード・リチャーズ/ザ・メイカー
ガンによって倒れたエディを運び込んで検査し、シンビオートを分離させようとするが、突如飛び出したシンビオートによってあえなくぶちのめされた。
【War of the Realms】
■物語
ダーク・エルフたちによる侵略が始まったころ、エディとディランは安全を求めて共に逃避行を続けていた。しかし持ち前の正義感により危機に陥ったエディはある魔女と取引し、新たなパワーを手にすることとなる。
■登場人物
●エディ・ブロック/マジック・ヴェノム
息子と共に暮らすこととなり、ディランを守るために魔女と契約して、願った物を具現化する魔法の道具ドリームストーンを手にしたことでマジック・ヴェノムに変身。魔女との契約を破って自由の身となり、辺りにいる化け物共を一掃する。戦闘は今までとはうって変わって
ファンタジーの面が強調されており、一味違ったかっこよさがある。
余談だが、この頃のヴェノム・シンビオートは黒幕のマレキスによって操られて無理矢理結合させられていた。
●ディラン・ブロック
エディの実の息子。
父親と共にかつてレックスが住んでいた倉庫に潜むこととなり、安全が確保されるまでそこで匿われた。
エディとの生活は決して楽ではないだろうが、彼との間には確かな絆が生まれ始めている。
●ウォー・ウィッチ
エディにドリームストーンを与え、代わりに隷属を求めたがあっさり拒否され、ストーンだけ借りパクされて腕を食いちぎられた。
その後、埋め合わせのためにある人物の前に現れ、ヴェノムに対抗するためにストーンを与えた。
●ジャック・オ・ランタン
1話でヴェノムに片目を奪われたエセヴィラン。
魔女によってストーンを与えられ、魔法を操る新たなジャックに変身した。ヴェノムに復讐するために街で大暴れして、彼を追い詰めるが、同じくストーンを用いたエディの奇策に破れる。スーツが非常にかっこいい。
追記・修正 IS COMING.
THERE IS NO RIGHT. NO WRONG.
THERE IS ONLY LIFE AND DEATH.
THE UNIVERSE IS BLACK AND RED.
●クレタス・キャサディ/カーネイジ
Venomized事件によって大気圏外を漂っていたが、シンビオートを用いて地球への帰還を果たし、その後死亡。しかしその身体はヌルを信仰するカルト教団によって回収され、奪ったグレンデル・シンビオートを注入することで蘇生させられる。それによってヌルと接触し、その目的を代わりに果たすため、シンビオートを完成させるために地球上にあるすべてのコーデックス、シンビオートと結合したことのあるすべての人物をターゲットに定める。
追記・修正 IS ALREADY HERE.
最終更新:2024年07月25日 09:18