ロボコップ(2014年)

登録日:2019/08/22 Thu 21:52:08
更新日:2019/08/24 Sat 11:39:47
所要時間:約 13 分で読めます




『ロボコップ』は、2014年に公開された米国のSF、アクション映画。
1987年に公開されて低予算ながら映画史に名を残した『ロボコップ』のリメイク、且つリブート作品。

監督はブラジル人監督のジョゼ・パジーリャ。


【概要】

現在でも秀逸な世界観設定と近未来的ビジュアルで根強い人気を誇る『ロボコップ』の再構築作……ではあるものの、評価については本作も賛否両論が入り交じり……特に非が多目の近年の続編企画、リメイクと同じ轍を踏む形となった。

本作なりに世界観設定は作り込まれ、ドラマも構築出来ているのだが、バーホーベン流のブラックユーモアを多分に含むことで独特の空気感を出せていた原作に対して真面目に作りすぎて窮屈な作品になってしまったことは否めず、映画その物は悪くないのにリメイク作としては余り認められない……といった意見が大半となった。
原作版の売りの一つであったグロ描写も殆ど無くなっているので、ヒーローの皮を被ったトラウマ映画といった要素は無くなっている。

また、本作も近年のハリウッドに見られる中国資本に支えられた中国推しの影響下にあるようで、監督のパジーリャは現在の世界のグローバル性を表現した、と説明しつつもロボコップがデトロイト製から中国製に変わったことには疑問の声も挙がった。

ストーリーも大幅に変えられた結果、後述の様に物語の主題であった筈のロボコップの自我の行方といった要素が消えてしまい、原作以上に『ロボコップ』というタイトルに疑問を感じざるを得ない内容となってしまっている。

この他、原作ではロボコップにイエス・キリストの姿を重ねてストーリーが展開されていたが、本作ではそうした要素も取り入れられていない。

撮影はカナダのトロント、バンクーバー、ハミルトン、そして映画の舞台でもある米国デトロイトで行われた。

当初は2013年8月の公開を予告されていながら実際には2014年8月の公開となる等、撮影に入ってからももトラブルがあったことが窺える。
作品の完成までに多くのトラブルが報告されたのは原作版とも共通しており、嫌な偶然である。


【物語】

※以下はネタバレ含む。

──2028年。
デトロイトに本拠地を構えるオムニコープは、米軍に供給した戦闘ロボット群により多大な利益を上げ、軍からの信頼も勝ち取っていたが、より大きな利益を得られる市場である米国本国ではヒューバート・ドレイファス上院議員の進める戦闘ロボット排斥法案=ドレイファス法を大多数の国民が支持する形となり普及が進まず逆風に晒されていた。

軍と協力してプロパガンダ番組を流し、中東地域に配備した戦闘ロボットの働きを見せる放送を行うも、米軍の駐留と戦闘ロボットによる非人道的な監視体制に不満を持つ住民による自分達を犠牲にした自爆テロを放映する羽目となってしまい失敗に終わる。

状況を打開したいオムニコープCEOのセラーズは、自社製品のアピールの為に完全な機械では無く、任務中に四肢の欠損の様な重大な怪我を負って引退を余儀なくされた傷痍警官をロボット技術により復活させるサイボーグ警官を送り出す計画を思いつき、知己のあるサイボーグ技術の権威デネット・ノートン博士を巻き込み被験者の選出に入るが、これといった候補者を見つけられない。

……その頃、デトロイト市警の優秀だが殆ど仲間と呼べる存在の居ない、一匹狼タイプのアレックス・マーフィー刑事は、警察からの武器の横流しも疑われる犯罪王バロンへの内偵の渦中で密告により正体が暴かれ、相棒のルイスに重傷を負わせたばかりか、自らも暗殺のターゲットとなり爆発により肉体の殆どを欠損する重傷を負ってしまう。

マーフィーを被験者に選んだオムニとデネットは、妻のクララの承諾を取り付けるとマーフィーをオムニの中国工場へと運びロボコップへと再生させる。
目覚めさせられたマーフィーは混乱から脱走するも強制システムダウンにより止められ、そこで現在の自らの真実=顔面と脳、肺胞と右手以外には生身の部分が残っていない現実を突きつけられ絶望し、殺してくれることを願うも、デネットに説得されて異なる姿になっても己の生存を願ったクララと息子のデイビッドの為に生きることを決意したマーフィーだったが、戦闘訓練にて人間の部分が残るロボコップではマシンとしての本来の能力を発揮できない現実を突きつけられ、ロボコップはマーフィーの意識ではなくマシンへと近付けられていく。

テストに合格したマーフィーはデトロイトに帰れることになるが、帰った先は市警に設置された基地……クララとデイビッドの許では無かった。

そして、公式のロボコップの御披露目の日……市警の犯罪データベースと直結されたことで、記録映像を眼前の情報と勘違いしたマーフィーは混乱を来たしてシステムエラーを引き起こすが、オムニの命令でドーパミンの供給を制限したデネットの処置により意識をシステムに呑まれたマーフィー=ロボコップは、会場に居合わせた殺人犯を緊急逮捕。
その活躍を伝えたメディアにより一躍ヒーローとなったロボコップは、その後も目覚ましい活躍を見せて世論は一躍ロボット容認の流れへと傾いていくのだった。

……しかし、そんな活躍の中で危険を睹して会いに来たクララとの出会いにより抑え込まれていた自我を目覚めさせたマーフィーは、自らの殺人未遂事件の現場の痕跡から実行犯がバロンの手の者であったことを知り犯罪組織のアジトを急襲、更にバロンに買収されていた裏切り者の警官を割り出して市警にて尋問するも、横流しの黒幕が本部長であることをも暴いたことで危険視されたマーフィーは緊急停止をされてしまう。

最早、制御不能となったロボコップをオムニとしても持て余し、マーフィーが倒れたことにするも、そこにキナ臭いものを感じたクララはメディアを通じてオムニが自分達とマーフィーを会わせようとしないことを訴える。

折しもドレイファス法撤廃を狙う投票の目前……セラーズは自らが話をするという目的でクララとデイビッドを招き入れた隙にマーフィーの抹殺を謀るが、一足先にデネットが覚醒させたことで脱出……オムニ本社を目指す。

オムニ社を守る戦闘ロボット群との戦いで窮地に追い込まれたマーフィーだったが、デネットの連絡を受けて駆け付けたルイスの頭脳プレーと援護もあり、遂に屋上へと到着する。

クララ達を人質にとってヘリで逃げようとしたセラーズだったが、追い付かれたことで強制プログラムを発動させて動けなくなったマーフィーを自らの手で抹殺しようとするも妻と子の声に人間としての誇りを燃やしたマーフィーは撃たれた瞬間に生身の右手で同時にセラーズを撃つ。

……この件とデネットの告発により世論は再びロボット排斥に傾きドレイファス法は継続の道を歩む。

……一方、今度は政府によるドレイファス法存続のシンボルに据えられるという皮肉な境遇となったものの、漸くマーフィーは人間として家族と向き合うことが出来たのだった。

しかし、強い米国の存続の為にロボットが必要だと訴える不穏な言葉で物語は終わる。


【登場キャラクター】


  • ロボコップ
オムニコープが、ドレイファス法により悪化したロボット兵器へのイメージを払拭すべく生み出したサイボーグ警官。
……微妙にズレてる気もするがロボット至上主義で商売しか考えてない連中の考え方なので。
劇中では開発直後の試験型と実戦投入を目前に回収された完成型があるが、ボディの色を除いては特に性能が変わったという話題は出てこない。
試験型は細かなデザインこそ違えど原作版の銀と黒のカラーリングを踏襲しているが完成型は黒いボディに変更されており、旧ドラマシリーズでのロボケーブルに似たカラーリングである。
尚、劇中にて原作版の姿も完成案の一つとして登場しており、セラーズも「いいね」と言っているが外装が収納されるトランスフォーム型だと知るや否や却下された。
原作版にもあったリアルタイムで犯罪監視網やデータベースと直結したことによる捜査能力の描写は大幅にパワーアップしており、過去のデータを元にCGをも利用して現場の完全再現が可能と注目すべき要素の一つとなっている。
一方、原作版との大きな違いとしてはロボコップが絶対的な存在では無くなったことがあり、旧作では最先端技術で作られたロボコップに比肩するか越える兵器や存在は殆ど存在せず、犯罪防止について圧倒的なパワーを発揮していたのに対し、リメイクではロボのボディを容易く破壊出来る程の重火器が普及していることからパワーよりもスピードを重視したキャラクターへと変更されていることである。
実際、新作ではロボコップは人間としての部分が仇となり同程度の機能のロボットよりも性能を発揮出来ないと言われる等、従来のロボコップにあった無敵感はかなり薄れている。*1
また、従来のファンにとって残念だったのは代名詞でもある専用火器オート9が登場しないことで、替わりに大口径の改良アサルトライフルと高圧電流を流すテーザー銃の二丁拳銃使いとなっている。
この他、移動手段としてパトカーではなく専用のバイクに乗っているのも特徴で、原作でもバイクに乗る場面はあったものの専用車両として登場したのは初となる。*2
ロボコップの新しいデザインについては、視聴者からも似ていると言われていた通りに、スタッフに現行の『ターミネーター』や『アイアンマン』に関わったデザイナーが参加している。


  • EM208
オムニコープの人型戦闘ロボット。
恐らくはロボコップを生み出す技術の直接のモデルとなったと思われる。

  • ED209
原作版でもお馴染みのエドくんがリメイク版では出来る子に!
ロボコップ同様にカラーリングが黒っぽくなり、デザインも洗練されている。
最早、非武装の人間を間違って射つようなことは無くなったが、これを利用してルイスは丸腰のままで飛び出してマーフィーの逃げる隙を作った。


【主要登場人物】


  • アレックス・マーフィー/ロボコップ
演:ジョエル・キナマン/吹替:中尾一貴
本作の主人公。
優秀だが一匹狼傾向があり、危険に飛び込むことも厭わない、買収も効かない……と、汚職に手を染めている警官達にとっても厄介な存在。
自分達が嵌められたことから内通者の存在に感付くも、それが仇となり暗殺のターゲットとなりオムニの求める被験者としてロボコップとして再生される。
ロボコップとしての活躍は前述を参照。
原作版との大きな違いはマーフィーとして一度も死んでいないことで、更にはロボコップへの改造も家族の承諾で行われて、しかも変わり果てた姿でも決して見捨てられていないことがある。
これは、原作版のマーフィーにとっての最大の悲劇であり、ロボコップという存在の歪さと、果たしてマーフィーは生き返ったのか?……といった人間としての証明の在り方をも考えさせる展開だったのに、リメイクではそれが失われてしまっていることに関しては原作のファンをガッカリさせた。
一方、見方を変えればマーフィーと家族の最後まで変わらない絆を描いたと云え、ハッピーエンドを好む層からは好意的に受け止められた。


  • デネット・ノートン
演:ゲイリー・オールドマン/吹替:安原義人
四肢を失った患者に機械の義肢を与え、その使い方の指導と心のケアを行っているサイボーグ学の権威。
セラーズとは知己の仲でロボコップ計画に参加するが、サイボーグもロボットとしか考えていないセラーズ以下のオムニ首脳陣に対し、マーフィーをあくまでも自分の患者とする立場を通して対立する。
……が、逆らえない理由があるのか、自棄になったからなのかセラーズ達に言われてロボコップに非人道的な処置を行うのはデネットなので、視聴者視点からすると白々さが付きまとう。
マーフィーを家族に会わせてやるべきだと主張し、抹殺されそうになったマーフィーを助ける。
事件の後はオムニの内情を暴露し、世論はドレイファス法の継続に傾くことになる。


  • レイモンド・セラーズ
演:マイケル・キートン/吹替:牛山茂
オムニコープの代表で、愛称は“レイ”
人当たりが良さそうに見えて実態は酷薄な企業家であり、ロボット兵器への悪印象を払拭して米国市場を開拓する為にサイボーグ警官=ロボコップ計画を考えつく。
当初は期待の新製品であるマーフィーに対しても期待を寄せていると発破をかけ愛想の良さを見せていたものの、完全に自我を取り戻してコントロール不能になった後はあっさりと抹殺を指示した。
原作のオムニ社は暗黒メガコーポの呼び名も相応しいコングロマリットだったが、リメイク版ではロボット事業のみでのしあがった新興企業といった趣が強く、会社の方針もセラーズのトップダウンで決定付けられ、秘書(リズ・クライン/演:ジェニファー・イーリー)とアドバイザー(トム・ポープ/演:ジェイ・バルチェル)以外は側近も居ない等、大きくイメージを変えている。
本当はピーター・ウェラーにやらせたかったんじゃないかとも思うこの役を演じた中の人は、未だに原作と同年代のスーパーヒーロー映画の主役だったことで有名。


  • リック・マトックス
演:ジャッキー・アール・ヘイリー/吹替:竹田雅士
オムニに雇われているロボットの戦闘教官で、ロボコップ=マーフィーの調整も行うが戦闘ロボット以下のマーフィーを見下し「ブリキ野郎」と蔑む。
戦闘中はマーフィーの意識が制御されることでロボットと同等となったロボコップに最終試験を突破され、マーフィーにそれまでの恨みを込めたテーザー銃を食らうことになる。
後半からオムニの制御を外れたマーフィーの監視役として呼ばれて抹殺も請け負う等、マーフィーには本気で恨みもあった模様。
清々しいまでの外道っぷりだったが……。


  • パトリック・ノヴァク
演:サミュエル・L・ジャクソン/吹替:玄田哲章
オムニと軍も協力している超タカ派番組の司会者で、愛称は“パット”
番組では、オムニの推進する戦闘ロボット産業がアメリカを未来永劫の強国とするとのプロパガンダを推し進めている。威勢の良さに反して上手くいっていないのが皮肉である。


  • クララ・マーフィー
演:アビー・コーニッシュ/吹替:たなか久美
マーフィーの妻。
リメイク版では夫の惨劇を目の当たりにしていながらも、どんな姿であってもマーフィーが帰ってくるのを望みロボコップ計画の被験者となることを彼女が決断する展開となっている。*3
ドーパミン抑制により人間性が押さえ込まれたマーフィーの意識を覚醒させる等、リメイク版では彼女がヒロインの役割を果たす。


  • デイビッド・マーフィー
演:ジョン・ポール・ラッタン/吹替:志摩淳
マーフィー夫妻の一人息子。
母親同様に姿は変わっても父を待ち続ける。


  • ジャック・ルイス
演:マイケル・K・ウィリアムズ/吹替:板取政明
マーフィーの相棒。
何故か性別が変更になった。
まあ、バイオレンスな世界観その物がテーマだった原作に対して、リメイク版では家族愛が主題なので理解は出来るアレンジである、。
途中までは余り目立たないが、終盤ではルイスが居なければマーフィーは詰んでいたという程の活躍を見せる。


  • カレン・ディーン
演:マリアンヌ・ジャン=パフティスト/吹替:小宮和枝
デトロイト市警本部長。
一匹狼的なマーフィーにも理解を示しているようにも見えたが、実は彼女こそが汚職の大元であった。
吹替の小宮和枝は原作シリーズではヒロインのアン・ルイスの吹替として親しまれていた。


  • ヒューバート・ドレイファス
演:ザック・グルニエ/吹替:浦山迅
上院議員。
人の生死をロボットに任せたくないという声を挙げたことで多くの支持を受け、反ロボット兵器法案=ドレイファス法を推進している。
純粋に人道的見地から反ロボットの世論を進めているのか、それとも、何かしらの裏があるのかは本作では不明。
ロボコップ事件を経てセラーズも死んだ後は大統領が味方になったこともあり、世論はドレイファス法の支持に回ったことがエピローグで語られている。


【余談】


  • 現在、本シリーズの製作権を持つMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)は新しいロボコップのリメイクを進めており、リメイク版の続編ではなく1987年の第一作からの別の続編となり、ロボコップも昔ながらのデザインで登場予定とのこと。
    2014年版が更に微妙になりそうな決定だが、当初は監督になると伝えられていたニール・ブロムカンプ(『第9地区』『チャッピー』)が、MGMに現在の仕事が終わるのを待って貰えないことを理由に降板を表明する等、早速トラブルが伝えられている。






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