宮沢静虎

登録日:2019/10/28 Mon 00:24:13
更新日:2025/03/13 Thu 23:33:07
所要時間:約 9 分で読めます





”死”を意識するようになって”生きている”ことを実感する。

人間は”死”があるから、今、この瞬間を精いっぱい生きようとするんだ。


宮沢静虎とは、タフ・シリーズに登場するキャラクター。
CV:船木誠勝(OVA版)

主人公熹一の父親かつ14代目灘神影流当主であり、第一部の高校鉄拳伝時代における最強の武術家として君臨した。
通称は親父(おとん)


【人物】

息子のキー坊、父である金時と3人で団地暮らしをしており、日々戦いに明け暮れるキー坊を仕事の傍ら陰ながら見守っている。
妻の喜恵とはキー坊が産まれた時に死に別れている。

「静かなる虎」「地上最強のモラリスト」と呼ばれ、マナーや倫理を尊び、命の尊さを説く非常に高潔な人物である。
口さがない者からは「偽善者」と称されるほど。
利他的な行為に関しては「自己満足」であり、その自覚がないと偽善であるという信念を持っている。

健康管理への拘りも強く、例えばアルコールは飲まない代わりにプロテインのミルク割を好んでおり、それを出してくれる行きつけのスナックがある。肝臓への負担という意味ではプロテインも大概スよね。
他にも「人間の歯は菜食の方に向いている」という持論から肉と野菜の摂取比率に常に気を配ったり、余程の事態でも無い限りは薬は飲まない等、常日頃あらゆる面から気を付けている。鬼龍からはそんな姿勢を「気持ちの悪い健康オタク」と馬鹿にされていたが龍継ぐでの差を考えると仕方ないんだ。
上述の女将とは馴染みだったが、特にフラグも立たず猿空間送りになった。
亡くなった熹恵を立てているのかもしれない。たとえ「メスブタを超えたメスブタ」でも

見た目のモデルは多分シュワちゃんと小沢隆。


普段は誰にでも敬語で礼儀正しく接するが、自分の身内相手や本気でブチ切れた時には関西弁や標準語のタメ口で話す。
所謂師匠キャラなのであまり積極的に試合はせず、息子の成長を後ろから促すことのほうが多い。
すぐ調子に乗って格上の格闘家に無謀な勝負を挑み続けるキー坊を厳しく突き放す言動を取ることもあるが、どんなときでも見捨てずに彼の助けになるなど愛情深い父親である。

ただし、キー坊への格闘技指導方針は恐ろしいほどのスパルタであり、ぶっちゃけ虐待を超えた虐待。
修行中にズタボロになったり三途の川を渡りかけるのも日常茶飯事である。

静虎自身は「才能のないものに英才教育をするのは虐待と同じ」「無理な鍛錬は百害あって一利なし」と論じており、
苛烈な特訓も裏返せばキー坊の才能を認め、期待を寄せている証のようだ。それにしたってやりすぎだが。
なお、おとん自身は夢として、武術家として完成した「熹一に殺される」ことを望んでいると語ったことも。

好きなものはウサギさん。タオルやパジャマなど、ウサギの刺繍が入ったものを好んで使っている。
「弁当は冷えているからこそ弁当」という独特の拘りを持っており、添加物などに気を付けた買い方をしている。
また極度の高所恐怖症であり、飛行機やビルの屋上にいると途端にへたばって動けなくなってしまう。

家族関係

作中に登場する格闘家『宮沢鬼龍』は双子(一卵性双生児)の兄であり、曰く「コインの表と裏、光と闇」の正反対の人間。
顔や体格は瓜二つだが、静虎は髪を立てて眼鏡をかけており、オール・バックで顔に一文字の傷がある鬼龍と受ける印象は大きく異なる。

元々は双子である鬼龍や長兄の尊鷹、(猿空間送りされた)姉や父・金時と共に山村で平和に暮らしていたが、尊鷹の死をきっかけに鬼龍と対立を深めていった。
そのため、道徳家でありながら鬼龍だけには殺人をも厭わないつもりでいる。

なお、幼少期の静虎は常に常に自信なさげで鬼龍や尊鷹の後ろでうろたえていることが多く、今のどっしりとした雰囲気は影も形も無い。

戦闘力

極めて高く、灘神影流をほぼ完璧に身に着けているほか、基本的な打撃関節技のレベル、加えて本人のメンタル・フィジカルも常人の範疇ではない。
単純な攻撃のみならず活法(治療などの技術)や防御・返し技にも精通し、作中の実力者達も静虎にだけは一目置くことが多い。
灘の得意技は数あるが、おそらく最も得意で印象深いと考えられる技は菩薩拳。
また、その脚は虎 腿(タイガー・フット)という、地を駆ける虎の如き力強さを誇る剛脚であり、その蹴りは一流の格闘家でさえ全く反応ができない。

第二部『TOUGH』以降は長期の入院と加齢で衰えたことに加えて鬼龍や尊鷹、覚吾、成長した熹一、ガルシア28号トダーなど、
全盛期の静虎をも超える強者達が何人も登場し、作中最強格の武術家…というポジションは譲っている。
それでも世界有数の実力を持つ人知を超えた怪物であり、並の格闘家ではまるで歯が立たない。

使用技

  • 弾丸滑り
灘神影流を代表する防御技。攻撃の瞬間に体をひねり、体表面を滑らせあらゆる攻撃を滑らせる。技量次第ではあるが打撃から銃弾まであらゆる種類の攻撃に適用できる。

『守りの静虎』の異名を持つ彼は宮沢三兄弟の中で最もこの技に長けているとされ、あらゆる攻撃に対処可能。
第三部では円熟の域まで到達したのか音速を超えたライフル弾による狙撃をほぼノー・ダメージで受け流すことに成功している。

  • 弓矢返し
打たれた矢を瞬時に白刃取りし、投げ返す。

  • 波濤返し
敵に掌を当て、自身が受けた発勁などの衝撃を体内から逃がし打ち返すカウンター技。

  • 逆瀧
足場の水を蹴り上げ巨大な水柱を出現させ、その水柱に身を隠し攻撃する。おそらくは水場限定の技。

  • 夜叉燕
当主たるキー坊すら知らぬ構えから発せられる地獄の二段蹴り。迎撃能力に長けている。

  • 虎 腿 蹴(タイガー・シュート)
高空跳躍から放たれる虎腿(あるいは上位互換の玄腿)の持ち主しか放てない高速の滞空蹴り。
来るとわかっていても避けられないとされ、蹴りのインパクトの瞬間に至ってはテレビ・カメラのスロー映像にすら映らないほど。

  • 鷹 鎌 脚(おうれんきゃく)
キレのある蹴りで切り裂く技。本来は尊鷹の技だが、彼を慕う静虎も会得している。

  • 龍 腿 蹴(りゅうたいしゅう)
その名前からおそらく本来は龍腿の使い手のみが出せる蹴り。
オトン三兄弟全部の蹴りコンプリートしてるんスね。

  • (たすき) 固め
相手の足を使って腕を斜めにロックする固め技。

  • 暗命拳
寸止め攻撃の圧力により脳機能を一時的に低下、催眠状態(トランス)にして暗示や命令を受けやすい状態にする。
静虎は相手を自白させることに使用。

  • 幻魔拳
寸止め状態の打撃から圧力による錯覚と「幻魔」と呼ばれる現代科学では解明できない謎の気のエネルギーを送り込み、肉体が破壊されるビジョンを敵の精神に刷り込む技。
かなりエグい技にも思えるがその本質は「恐怖による暴力の抑止」であり、相手が暴力的手段や思考に入った場合肉体破壊のイメージによるフラッシュ・バックを引き起こし強制的に止めるのが目的。
また幻魔の副作用として動脈拡張からの神経の圧迫により群発頭痛にも似た頭痛の症状が発生することがある。

解除は気功による手当てを用いた「幻魔を抜く」と言う活法の行程を必要とする。
なお静虎はこれを完璧にマスターしているため脚による「幻魔脚」をも使用可能。

  • 幻魔拳其の二 飛炎地獄
幻魔拳の応用技。更に意識狭窄による暗示を加えることにより対象に炎を叩きつけられているかのような幻覚を見せる。
あくまで錯覚であるためボディ・スーツなどによる防御を無視して戦闘不能に追い込むことができる。

  • 破心掌
震脚からの渾身の掌打で相手の心臓を止める。拳ではなく掌をひねるように打ち込むことで螺旋の衝撃をより効率的に叩き込むことができる。
なお外傷よりも心臓を停止させることに重きを置いた技であるため、相手を余計に吹き飛ばしてしまうのは衝撃が無駄に抜けて散ってしまう未熟な技量の産物らしい。

  • 菩薩拳
灘神影流奥義。拳を合わせ薬指と小指を組んだ状態から相手の懐に潜り込み、胸元へ両拳を叩きこむ。
打たれた対象には座した菩薩型の痕が残る。
「死地に陥れて後生く」「菩薩は慈悲の心」捨て身の境地でしかできない技とされる。

  • 呪怨返し
灘神影流史上最凶最悪の技「呪怨」。
その使い手が現れてしまった時の為に編み出され、静虎の所有していた秘伝書の片割れに記されていたカウンター技。
呪怨の最後の一撃を弾丸滑りの要領で流し、相手の顔面に肘打ちを叩き込む。

  • 幻 朧(げんろう)
最終奥義。あらゆる自然や天地に月輪に至るまで全ての力を吸収し、憎しみを超えた悟りの境地の状態へと入った静虎にのみ使える技。
灘の歴史においても幻の技であり、いまだかつて宮沢静虎以外に使えた者は誰ひとりとして居ない。静虎自身すら使える状態となったのは生涯ただ一度のみ。
相手の殺意そのものを反射し、戦わずして勝利する。
ただしあまりにヒトの精神を、領域を超え過ぎてしまっている為、その代償として待っているのは確実な廃人化であるという業深い技である。


【活躍】

男純情恋歌

プロト・タイプの読み切り版から登場している。
宮沢一家の食事シーンにて「いくら金を持っていても心の無いやつは畜生と同じ」という読み切り版のテーマとも言える教えをキー坊に説いた。
登場する場面はここだけだが、この頃からモラリストというキャラがあったことが窺える。

高校鉄拳伝タフ

上記の通りキー坊の師匠として度々彼を助けている。
キー坊が横隔膜をやられて飯が食べられない時は自らも断食して付き合うなど、献身的に息子の成長を見守った。

嘗て伝説のプロ・レスラー、アイアン木場の左目を抉っており、そのことから彼に執着されている。
これに関しては本人曰くアクシデントであり、喉を狙った際に木場がスウェーして躱したため目に入ってしまったと言い訳している。

後に『TOUGH』の回想で「実は木場はロシア人に左目をやられていた」と過去改変明かされたためおとんだけの責任ではないことになったと考えられる。
しかし、その回想の後に鬼龍から「偶然攻撃が目に入ってしまうことはあるだろうが、静虎はそこから更にグリュっと眼球を抉っている。明らかに故意」と指摘されているため、結局故意なのかどうかよく分からなくなった。
TOUGHにて相手の喉仏をつかんでひねるという技を披露したことから、木場に放ったのもこの技なのだろうと考えるマネモブもいる。

過去に木場と引き分けていたり左門にバックを取られチョークされたりと、やたらと格下相手に苦戦したり過大評価する癖が強い。
反面本気を出すと鬼龍以外は相手にもならず、木場ですら一目置く茨幻舟「あなたはクソだ」を一撃で粉砕するなどその気になるとやっぱり怖い。
武術家の血がたまに騒いでしまうのか、革了やゴードンなどに煽りを入れることもあるが、その後は礼儀正しく接する。

アイアン木場がガルシアに破壊された後には、「もう一度ガルシアと戦いたい」という願いのために灘神影流の活法と技術を施した。
ガルシア再戦でもセコンドとして付き添い、キー坊とともにその結末まで見届けた。

そろそろ(ステーキ)が喰いたいですね

生肉(レア)でね

アイアン木場の死後、TDKトーナメントの招待状をキー坊共々受け取っているがその場で破り捨て出場権を破棄した。
その後はリザーバーとして名前だけは登録されているが最後まで出場することは無かった。*1
鉄拳伝の実質ラス・ボスであるガルシアに対しても木場曰く「今戦えば静虎が勝つ」とまで言われた。ガルシアがより成長し、静虎が衰える一年後は無理ともいわれたが。

鬼龍登場後は灘の奥義「呪怨」を巡って「死合」を繰り広げ、最終的に秘伝書を賭けて鬼龍と対決。激戦の末破れ障害を負い廃人となった。

TOUGH

鬼龍との死闘から数年後、未だに心身は回復せず入院生活を送っていた。
キー坊の献身的な看護と密かに鬼龍が治療を施していたことで徐々に回復、意識と記憶を取り戻しファイターとして復帰した。
鬼龍へのリベンジの為に鈍り切った身体を鍛え直していたが、キー坊も出場する格闘技トーナメント「ハイパー・バトル」の先代チャンピオン「バトル・キング」が、嘗て死んだはずの尊鷹ではないかという疑問を持ち、それを確かめるために自身もトーナメントに参加を決める。
この際散々悪堕ちを仄めかされていたがその辺の伏線は特に掘り下げられず荼毘に付された。

そしてハイパー・バトル準決勝でキー坊と対決。父親としての甘さは完全に捨て去り、一人の格闘家として冷徹にキー坊との戦いに挑む。
奥義を尽くした死闘の末に灘究極の当身技にして幽玄の最終奥義でもある「幻突」によって敗北。
試合後は息子の成長を心から喜んだ。しかし同時にキー坊が静虎の本当の息子ではないと発覚、物語の比重はキー坊の本当の父親へとシフトしていく。
キー坊VSジェットの決勝戦の裏では、マフィアが麻薬を製造している証拠を探し回り、道中でバルカン・ボビーと交戦するなど人知れず奮闘していた。

ハイパー・バトル終了後は尊鷹とキー坊の対決を鬼龍や金時と共に観戦し、皆でキー坊を支えていくことを誓った。

直後の幽玄神影流との戦いでは、キー坊の真の父親である日下部覚吾と対峙することになる。
さすがのおとんも作中最強キャラクターである覚吾相手には歯が立たず、乾坤一擲の菩薩券を放つも当たった感触がまるでない。
それでも不屈の闘志で戦い続けたが最後は幻突でノック・アウトされた。
それ以降は戦闘は無く、最終的にはキー坊VS覚吾戦を鬼龍と共に解説しながら見守った。

おまけマンガではキー坊の新車「Bb煌」を乗り逃げしたりとモラリストのモの字も無い行動を取っている。

OTON—おとん—

上述したように武術家としての日々を描くおとん主人公の外伝。
2巻までで続きが止まっているが連作短編形式なので問題はない。

幼女を慰めたり、銀行員の淫売お姉ちゃんといい感じになったけどフラれたり、銃を持った暴漢と対峙して至近距離から放たれた銃弾をつかみ取ったり、バラエティに富んだ姿が見られる。

また、『傷だらけの仁清』の永井仁清や『あばれブン屋』の殺し屋・山田一郎などともクロス・オーバー対決している。*2

龍を継ぐ男

前作からおよそ10年程度経過しており、髪の毛に白髪が混じり皺も更に増えた。
実力は全盛期ほどの強さではないが、未だ健在で、雇われ傭兵団相手に無双して蹴散らした。

鬼龍の息子であるウンスタ…もとい龍星の希望で彼に灘神影流を伝授することになり、嘗てのキー坊にしたように指導していく。
10年前に死んだ鬼龍とは3年前に会ったきり連絡が途絶えており、キー坊とも長年会っていない様子。
このことからキー坊の真神影流道場の経営をまともに把握しておらず、息子を全然支えていなかったことが発覚した。
潜伏している尊鷹に龍星とアニマルを預けたことから、彼のほうとは未だに定期的に交流がある模様。

久しぶりに再会したキー坊が悪に落ちたNEO宮沢熹一になっていたことに愕然とし正そうとするも、もはやその実力差はとうに逆転しており敗れることに。
しかし、後に鬼龍の偽装死とガルシア救出のための演技だったと判明し和解した。*3

ガルシア奪還後は行方不明になった龍星を取り戻すためにキー坊、尊鷹と共に鬼龍のアジトに潜入するも待ち伏せされ、悪堕ちした龍星と戦う事となる。
が、遥か格下のハズの彼にまさかの敗北。読者は数週間に渡っておとんが一方的にボコボコにされる老人虐待を見せられた。

コレについては流石に静虎自身が甘さを捨てられず全力を出しきれなかったのが原因とされている。
米軍施設で治療を受けた後は熹一、トダーと共にガルシアと龍星の戦いを見守ることになる。


【余談】

OVA版の中の人はプロレスラー・格闘家の似非リアル路線格闘漫画界隈ではバランスのいい山本選手のモデルとして知られる船木誠勝。
本業と並行して俳優としても活動していたためか、その演技は本職の声優と遜色ないレベルで、声質は小山力也に似ている。
バキ・シリーズのOVAに出演した平直行*4とはえらい違いである。

灘神影流14代当主であるが、それ以外の職業についているかは不明。
外伝作品の『OTON—おとん—』においては、武道家で時おり身辺警護などの仕事もしているとされており、実際に銀行の臨時職員となって暴力団との交渉役を務めたり、IT企業のオーナーのボディガードを務めている。





冥殿がいたからWiki籠りは強くなった…

冥殿に感謝し、尊敬の念をこめて 追記・修正するんです!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 高校鉄拳伝タフ
  • タフシリーズ
  • おとん
  • 静かなる虎
  • 格闘家
  • 武道家
  • 灘神影流
  • DV
  • 虐待
  • メガネ
  • シュワちゃん
  • 噛ませ
  • 親父
  • モラリスト
  • 船木誠勝
  • OTON
  • 主人公の親
  • 地上最強のモラリスト
  • スピンオフ主役
  • タフ
  • 父親
  • 武人
  • TOUGH龍を継ぐ男
  • TOUGH
  • 三男
  • 末弟
  • ウサギ
  • 灘神影流まぬけトリオ
  • 男純情恋歌
  • ハイパー・バトル
  • 宮沢一族
  • 宮沢静虎
  • 哲学的
  • 指圧
  • 奥手
  • 高潔
最終更新:2025年03月13日 23:33

*1 もし出場していたら間違いなくおとんが優勝してしまっている。

*2 両者ともパラレルであろうが。

*3 ただしこの際おとんに対して言った数々の暴言は割とキー坊の本音なんじゃないかとも言われている。

*4 第一話のバキvs末堂厚のレフェリー役。刃牙のモデルでもある。