ウルヴァリン:オールドマン・ローガン(MARVEL COMIC)

登録日:2020/03/19 Thu 23:27:10
更新日:2024/04/30 Tue 20:38:33
所要時間:約 12 分で読めます




ウルヴァリン:オールドマン・ローガンとは2008年にMARVEL COMICSから出版された作品である。


概要

Xメンの代表キャラであるウルヴァリンを主人公とした西部劇がモチーフのバイオレンス・アクション作品。
原作は『シビル・ウォー』、『キック・アス』を手がけたマーク・ミラーで、作画は同じく『シビル・ウォー』を担当したスティーブ・マクニーブン。
世界観は原作の正史世界(アース-616)とは違い、ヒーロー達がスーパーヴィランの軍勢に敗れたことによって、MAD MAXのように荒廃してしまった並行世界(アース-807128)が舞台であるエルスワールドものとなっている。
物語の主人公であるウルヴァリンを初めとしたヒーローやヴィランが荒廃した世界によって変わり果てた姿となって登場するのも本作の見所。
2017年に公開された映画『LOGAN/ローガン』の原案になっている。


ストーリー

ヒーロー達がスーパーヴィランに倒され姿を消した未来。ヒーローがいなくなったアメリカは瞬く間にスーパーヴィランの手で支配され、荒廃してまった。
そんな時代、カリフォルニアの寒村に、妻と二人の子供に囲まれ慎ましく暮らす一人の男がいた。
名はローガン。過去は捨てたと語る男の生活は、ある旧友の訪問をきっかけに急変する……。


登場人物

<<主要人物>>

・ローガン
カリフォルニア州のとある村で妻モーリーンと2人の子供に囲まれて暮らしている超回復能力「ヒーリングファイター」をもったミュータントの農夫。
かつてはヒーロー「ウルヴァリン」として活躍し、同じミュータントの仲間である「Xメン」と共にヴィランと戦ってきたが、過去に起きた「ある事件」によって「ウルヴァリン」としての自分を捨て、戦うことを止めるようになった。
カリフォルニアを牛耳るハルク・ギャングたちから家賃の支払いを迫られ、来月までに倍の額を払わなければ家族を皆殺しにすると脅される。絶体絶命のピンチに晒されるも、家に訪れた同じ元ヒーローのホークアイから東海岸まである荷物を届ける仕事を持ちかけられる。
ローガンは何とか大金を手に入れ、家族を守るために車のナビゲーターとしてホークアイの旅に同行することとなる。

・ホークアイ
本名・クリント・バートン
アベンジャーズのメンバーだった弓矢の名手。現在は盲目によって視力を失っているが、腕は衰えておらず足音などの音で相手の位置を当てて命中させている。
金銭的に窮地で後がないローガンにある荷物を東に届ける仕事の協力を持ちかける。
元嫁のトーニャと共にスパイダーマンの愛車であるスパイダーモービル*1でアメリカ大陸を横断する。
前日譚にあたる『OLD MAN HAWKEYE』では、アベンジャーズを裏切り、マグニートやアブソービングマンと共に壊滅させたかつての仲間達*2への復讐劇が描かれている。

・モーリーン
ローガンの妻。夫であるローガンのヒーローだった頃の過去を知りながら、妻として家族を支えている。大金を得るために旅に出るローガンを見送り、子供達と共に無事に帰ってくることを信じて待つのだが・・・。

・スコッティ、ジェイド
ローガンとモーリーンの間に生まれた息子と娘。母と共に旅に出る父親を見送り、帰ってくるまで待ち続けるが…


<<ヴィラン>>

この世界のヴィランはヒーローを壊滅させており、アメリカをアボビネーション、キングピン、Dr.ドゥーム、レッドスカルや4人の大物ヴィランのそれぞれの領地に分割し、支配している。
しかし、宿敵だったヒーローがいなくなったことで堕落しているか、他のヴィランに下克上されるようになっている。

・ハルク・ギャング
怒りで緑の巨人に変身するヒーローハルクと彼の従姉妹であるシー・ハルクの間に生まれた孫達によるギャング。
生まれながらにしてハルクの緑色の肌と強靱な肉体と怪力を受け継いでおり、さらには食人も行っている。アボビネーションが支配していたカリフォルニア州を縄張りにしており、自分たちの土地に住んでいる人々に家賃を要求し、払えなかったローガンをリンチにしている。

・ハルク/ブルース・バナー
ハルク・ギャングの頭目であり、彼らの生みの親でもある。アベンジャーズの元ヒーロー。
放射能の影響で気が狂ったと云われており、子孫に自分の能力を受け継がせるためにシー・ハルクを交配相手に選んでいる。
自身の宿敵であるアボビネーションを殺害し、彼の領土だったカリフォルニア州などの西海岸一帯の新たな領主となる。
しかし、スーパーヴィランの領主に飽きたため、ハルク・ギャングたちにあることをさせる。

・キングピン
西部をハルクと二分する暗黒街のボス。元はXメンの宿敵・マグニートーが支配していた土地を殺して奪ったことで成り上がった。
キングピンの名を冠しているが、正確にはウィルソン・フィスク本人ではなく彼の名を受け継いだ別人。
自分に逆らう人間を処刑する残忍な支配者だが、一方で娯楽を提供することを怠らず、民衆からは親近感をもたれている。

・Dr.ドゥーム
大陸の南部と中西部を支配しているファンタスティック・フォーの宿敵。
劇中でチラッと登場するが、彼がドゥーム本人なのかは不明。
ちなみにドゥームは、正史世界でも小国ラトベリアの国王である。

・レッド・スカル
東海岸一帯を支配しているキャプテン・アメリカの宿敵にして秘密結社ヒドラの総統。
本編の50年前に崩壊したホワイトハウスで瀕死のキャプテン・アメリカ*3にトドメをさし、現在では彼のコスチュームを身に纏い自らを「大統領」と名乗る。
部下を使って、死んだヒーローたちのコスチュームや武器、アイテムなどを集め、記念品室に飾っている。

・モーロイド
何百万年もの間地底に潜伏していた地底人類。ホークアイ曰く「地球の免疫システム」
かなりの数になっているが、地底での暮らしに順応したおかげで、目が退化し強い光に弱い。
ヴィランの台頭による人口減少によって、地上に出現してきており、アメリカ以外にもヨーロッパやアジアにものさばっているとのこと。
1964年の『ファンタスティック・フォー』v1#22に初登場した。

・ゴーストライダーズ
地獄のヒーロー・ゴーストライダーの名をバイカー集団。
何らかの経緯でゴーストライダーのバイク「ヘル・サイクル」を手に入れたらしいが、常人のままであるため、ただバイクのタイヤ燃やしただけかもしれない。
廃墟と化したサンフランシスコでローガン達を襲い、無抵抗を貫くローガンを痛めつけるが、ホークアイによって返り討ちにされる。

・シンビオート
スパイダーマンの宿敵ヴェノムを生み出した宇宙の寄生生物。
サベッジ・ランドから舶来されたティラノサウルスに取り憑き、ローガン達に襲いかかったが、エマ・フロストの指示で救出に来たブラックボルトによって撃退される。

・ミステリオ
幻覚を武器とするスパイダーマンの宿敵の一人。
ローガンの回想にしか出てこないが、幻覚によるイリュージョンでXメンを壊滅させ、ウルヴァリンを再起不能にさせた。


<<その他>>

・アシュレイ・バートン
ホークアイの娘であり、ピーター・パーカー/スパイダーマンを祖父に持つ。
通称「スパイダービッチ
スパイダーガールに似た衣装をしており、友達とヒーローチームを結成しキングピン打倒を狙ったが、逆に捕らわれてしまう。
処刑を待つ身になってしまったが、自分を助けに来たローガンとホークアイに救出され、キングピンを殺害する。
しかし、彼女の目的は民衆の解放ではなくキングピンの王国を奪い取ることであり、新しいボスとしてホークアイを見せしめにしようとするも、ローガンの機転によって逃げられてしまう。
後に、さまざまな並行世界のスパイダーマンたちが集うクロスオーバー作品『スパイダーバース』にも登場する。

・ウルトロン8
アベンジャーズの宿敵・ウルトロンのバリエーション。
オリジナルが悪の人工知能であるウルトロンとは思えないほどに、非常に温和で善良な性格の持ち主。
ヒーロー復活を望む宗教が盛んな街「ハンマーフォールズ」でトーニャと暮らしており、ホークアイの娘・アシュレイの親代わり。
キングピンに捕まったアシュレイの救出に向かうローガンに幸運のお守りとしてXメンのキーホルダーを与える。

・トーニャ
スパイダーマンの娘であり、ホークアイの元嫁。
ハンマーフォールズでウルトロン8と共にガレージを営んでおり、二人で娘のアシュレイを育てて
きた。
キングピンを狙ったアシュレイが囚われてしまったことを偶然ハンマーフォールズにやってきたホークアイに知らせる。

・ドワイト
DR.ドゥームの領土にある橋「ドワイトの関所」で待ち構えている少年。
どういう経緯で手に入れたのか不明だが、ハンク・ピム/アントマンが持っていたヘルメットを装着している。
80セントの通行料を渡せば素直に通してくれるが、払わない人間には蟻を操ることができるヘルメットを使って、無数の蟻の大群を襲わせる。

・エマ・フロスト
強力なテレパシー能力をもったミュータントの女性。
同胞のミュータント達を守るためにDr.ドゥームの妃になっており、かつてのインヒューマンズの王・ブラックボルトを用心棒にもつ。
シンビオートに襲われたローガン、ホークアイを救うも、元ヒーローであるホークアイからはヴィランに寝返った裏切り者として非難された。
ホークアイが届けようとしている荷物の中身を知っている。

・ブラックボルト
口から山をも超音波を放つことができる能力者。
超人種族インヒューマンズのかつての指導者であり、今ではエマ・フロストの用心棒になっている。
囁くような低い声でも高い威力を誇る超音波は今でも健在で、「静まれ」の小声1つで恐竜に取り憑いたシンビオートを一瞬で吹き飛ばした。






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最終更新:2024年04月30日 20:38

*1 エマ・フロスト曰くアイアンマンの宿敵マンダリンからカード賭博でイカサマを使って手にいれた代物らしい

*2 その仲間とは、元犯罪者のヒーローで構成されたヒーローチーム「サンダーボルツ」。リーダーはヒドラの幹部・バロン・ジモ。

*3 この世界のキャップはスティーブ・ロジャースではなくバッキー