ヴェノム(SPIDER-MAN)

登録日:2009/09/04 (金) 00:25:53
更新日:2021/05/02 Sun 01:26:26
所要時間:約 5 分で読めます




WE ARE VENOM.
画像出展: 『Absolute Carnage』(2019) Textless Codex Variant coverより
@MARVEL COMICS


【概要】

ヴェノムとはMARVEL COMICSにおいて登場するキャラクター。
長年スパイダーマン関連のヴィランとして活躍しておりブラックコスチューム時代のスパイディと良く似た容姿、不気味で独特な雰囲気から読者のハートを射止めた大人気のキャラである。ドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリンらと同じくスパイダーマンの宿敵たちの一人として長年活躍してきたが、段々とダークヒーローの側面が強調されていき、今では数多いヒーローたちの一員として悪と戦うようになっている。

また、ヴェノムという名はかつてスパイダーマンに取りついていたシンビオートが別の者と繋がって生まれた存在を指しており、今までにヴェノムと名乗ったことのある人物は複数いる。その中でもエディ、フラッシュ、ガーガンらは代表的なヴェノムとして扱われることが多い。シンビオートと宿主との関係性や容姿にもそれぞれの個性が強く出ているのが特徴。頭脳や策略でピーターを追い詰めるのではなく、ただただ強い復讐心と腕力だけで彼と同じ土俵に立てることができるのも人気の秘訣。

デザイン案は当時のメインアーティストであった「スポーン」で知られるトッド・マクファレーンによるもの。
元々黒いコスチュームのデザインはピーターのイメチェンが目的で「シークレット・ウォーズ」において初登場し、読者からの評判がよかったために比較的長い間使用されていた。しかしある日ついに編集部から元の赤青コスに戻すようにお達しが届く。せっかくの秀逸なデザインをこのまま捨てるわけにはいかない…とマクファレーンが思ったのかどうかは不明だが、デザインを残すためにその意匠と能力を引き継いだヴェノムというキャラクターが産み出された、という経緯がある。

【主なヴェノム】

◆エディ・ブロック

WE ARE VENOM!

■プロフィール

本名:エドワード・”エディ”・チャールズ・アラン・ブロック
身長:190cm
体重:104kg
初登場:Web of Spider-Man #18

■人物像

正義感が強く、敬虔なキリシタンの青年として努力していたが、精神的に危うい面も持ち合わせていた男性。ある時スパイダーマンによって自らのキャリアを台無しにされ、人生のどん底に落とされたことで彼を強く憎むようになる。

ヴェノムと化した後はシンビオートによる影響で凶暴性が増し、スパイダーマンを殺すために何年もヴィラン活動を続けていた。ヴィランとは言ってもスパイダーマンを殺すこと以外に興味は無く、やがて持ち前の正義感が動機となって「弱者の庇護」を目的としたちょっと過激なヒーロー活動すら行うことになっていく。それでも根っこはヴィランなので自らの復讐を邪魔するものはたとえ無関係の人間や他のヒーローであっても容赦しない。

歴代ヴェノムの中でも飛び抜けてシンビオートへの依存が強く、奪われたり見捨てられたりした際はかなり取り乱してシンビオートに執着する。スパイダーマンの1、2を争う宿敵であるにも関わらず、かなりの頻度で彼と共闘していたのも特徴。後年になって再びヴェノムと化したあとは、完全なヒーローとして活躍するようになる。

シンビオートから明確に「愛している」と言われた唯一の宿主でもある。シンビオートを”My other”(訳すならば「俺の片割れ」)と呼称するのも彼とクレタスのみ。ヴィラン生活が長かったためか、大卒の元記者とは思えないほど修羅場慣れしており、スーパーパワー抜きでも専用の装備や罠を使って他のシンビオートたちを相手取って圧倒することができる程の実力を持つ。FBIに加入していた時期も。

繋がったことのあるシンビオートはヴェノム、アンチヴェノム、トキシン、スリーパー、ティラノサウルス、マジック・ヴェノム、コーデックス混合体、マニア、グレンデルと恐らく人類で最多。

■経歴

裕福な家に生まれたが母親を早くに亡くし、父親からの愛情を受けられずに育つ。その後自らの責任で引き起こした交通事故で小さい子どもを死なせてしまい、一度は逮捕されることに。裁きを受けるはずが、本人の意思に反して父親の手によって無罪となってしまい、彼の心に大きなトラウマを残すこととなった。

大人になってからは優秀な記者となり、少しずつ名を上げていく。順調にキャリアを積んでいたある日、彼の扱った犯罪者シンイーターの正体に関する独占記事が大いに注目を浴びる。その矢先に、スパイダーマンが真犯人を捕らえてしまった事で彼は全ての信用を失ってしまった。人生のどん底に叩き落とされたエディはスパイダーマンを酷く憎むようになる。

そんな彼の憎悪に目をつけたシンビオートはとある教会で彼と結合。怪人ヴェノムと化したことでスパイダーマンの正体を知り、彼との戦いを始めることとなる。一時期はサンフランシスコでピーターとの関わりを断って自警活動を続けており、その中でシンビオートの食人衝動と折り合いをつけたり、ウルヴァリンやゴーストライダーなどの他ヒーローたちとの交流も重ねていた。

何年もヴィランとヒーロー活動の両立を続け、その最中にカーネイジの出産やライフ財団との対峙、クローン・シンビオートとの融合など、シンビオート関連での様々な経験を積んだ。しかしガンが悪化して戦える身体ではなくなってしまった後*1、彼はシンビオートをオークションに出す。

ガンによってもはや余命いくばくもなかったため、フィースト・センターで暮らすこととなるがある日Mr.ネガティブことマーティン・リーと接触したことでアンチヴェノムへと変身、新たにヒーローとして活動を始めた。その原因となったMr.ネガティブやパニッシャーとも戦ったりしたが、スパイダーアイランド事件で人々を救うためにその力を使い果たし、常人へと戻ることに。それからはシンビオート狩りを始めることとなったり、トキシン・シンビオートと強制的に結合することになったり、そのままトキシンとしてFBIと共にカーネイジと対峙したりと多方面で活躍。自らの人生をメチャクチャにしたシンビオートを憎むようになっていたが、本心ではヴェノムを求めていたようで、当時のヴェノムであったリー・プライスに目をつけて機会を狙ってシンビオートを奪い取る。

数年振りにヴェノムに舞い戻り、ヒーローとして生まれ変わることに。元の鞘に収まってからはアルケマックスと協力して下水道の恐竜と戦ったり、初代ヴェノムであるクリー人を追ったり、別世界でポイズンたちの侵略に立ち向かったり、シンビオートの創造主である暗黒の帝王と対峙することとなったりとかなり忙しい。特にシンビオートの神”ヌル”との対決は彼の人生においてかなり大きなイベントであり、後の人生にも影響を与えている。2018年、なんと息子がいることが発覚し、その存在を知ったことでシンビオートとの関係性も変化しつつある。


◆マック・ガーガン

KIIILLLLL!!!!

■プロフィール

本名:マクドナルド・”マック”・ガーガン
身長:188cm
体重:100kg(シンビオート込み)
初登場:ASM #19

■人物像

かつては一介の探偵だったが、JJJによって理不尽な理由で改造を施されて怪人スコーピオンへと変貌。人としての生活を諦め、スパイダーマンに執着するヴィランとして活動していることに。

冷酷で残虐な性格だが肝心の実力と頭脳は今一つといったところで、ショッカー程ではないがどこかパッとしない悪党として燻っていた。しかしある日突如シンビオートに取りつかれてヴェノムと化したことで豹変、他に類を見ないほど凶暴な化け物に成り果てる。シンビオートとの折り合いは非常に悪く、とある時点から制御が不可能になっていたようで、あのカーネイジにすら並ぶ程の破壊と殺戮を撒き散らす。味方からはハルクに例えられるほど。

ヴェノムとしての容姿も特徴的で、ちょっとした怪獣ほどのサイズまでに身体が肥大化、牙や爪がより強調され、よりモンスターらしい見た目となっている。薬を使ってシンビオートを制御している際はかつてのスパイダーマンを思わせる細身の体躯になり、実際にスパイダーマンを名乗っていた時期もある。

いつものサソリコスチュームとシンビオートを組み合わせて戦ったり、シンビオートを用いてサソリらしい尻尾を生成したりと、エディに比べて戦い方が少し変わっている。ピーターの正体を知っていたが、シンビオート共々ブランニューデイ後から記憶が消されてしまっている。

純粋なヴィランとしてかなりの長期間活動した唯一のヴェノムであり、読者からの好感度はあまり高くない。

■経歴

JJJによってピーターを監視するために探偵として雇われた男。しかし他ならぬJJJ本人によってスパイダーマンを倒すために身体改造を施され、サソリを模した怪人スコーピオンへと変貌した。それからは長らくスパイダーマンの宿敵たちの一人として活躍していた。ある日オズボーンが仲間を集めてスパイダーマンに総攻撃を仕掛けようとしていた矢先、アンジェロを捨てて新たな宿主を求めていたシンビオートに目をつけられて結合。

ヴェノムとしてスパイダーマンに襲いかかるが結局敗北し、刑務所にぶち込まれる。その後オズボーンに誘われてサンダーボルツに加入、徒党を組んで悪事を働いていた。そのまま持ち越す形で悪名高いダークアベンジャーズにも参加し、スパイダーマンを名乗り表向きはヒーローとして暗躍を続ける。しかし結局はシージにおいてMs.マーベルとスパイダーマンからボコボコにされ、あえなくお縄につくこととなった。シンビオートも政府の管理下に置かれることに。

それからもちょくちょくシンビオート絡みの事件に首を突っ込んだり巻き込まれたりするようになるが、洗脳されたりボコられたり脊髄を貫かれたりと、大抵ろくな目にあっていない。


◆フラッシュ・トンプソン

YOU WANT HIM?
YOU'RE GONNA HAVE TO GO THROUGH ME.

■プロフィール

本名:ユージーン・”フラッシュ”・トンプソン
身長:188cm(足を失くした後は124cm)
体重:83kg
初登場:Amazing Fantasy #15

■人物像

ピーターの同級生。
かつてはいじめっ子でピーターとの関係も最悪だったが後に和解、良い友人として接している。スパイダーマンの大ファンでもあり、彼に憧れて軍に入隊、紆余曲折を経てエージェント・ヴェノムとして活躍することに。

歴代ヴェノムの中でも一番と言っていいほど善良な精神の持ち主で、シンビオートの制御にも長けている。かつての戦闘が原因で両足を失っており、普段は車椅子を用いる。スパイダーマンを殺そうとしない唯一のヴェノム…と言いたいところだがフラッシュ自信の感情に影響されてシンビオートが暴走してしまう事が多々あり、ヒーローと呼ぶには少々危なっかしい人物。アルコール依存症にも悩んでおり、決して完璧超人というわけではない。

エディとは違ってシンビオートを自らの「相棒」だと思っているようで、シンビオートからもかなり好かれていた。戦闘方法は他と比べてかなり独特で、銃器を多用するスピード感溢れる戦い方がメイン。シンビオートを用いたデコイの生成や車の改造など、かなりトリッキーな戦法も特徴的。ピーターと共闘することも多いが、その正体を知ることになるのはかなり後になってからである。ヴェノムとしての容姿も大きく変化しており、シンビオートがボディアーマーのような形を取っており、目もスパイダーマンのように白く縁取りされているだけとなっている。ベティとの恋愛関係も彼を語る上では重要。


その秀逸なデザインやキャラクター性などによって高い人気を誇っており、読者からはエディと併せて「ヴェノムといえばこの人」という扱いを受けている。

■経歴

幼い頃から難しい家庭環境の中で育ってきたために少し歪んでしまったようで、ハイスクールではいじめっ子としてピーターらに嫌がらせを続けていた。やがてスパイダーマンに憧れて米軍に入隊。イラク戦争で両足を失ってしまい、一時はそのことに苦悩していたが友達の助けを借りて乗り越えた。

しばらくして軍から、シンビオートを用いてスーパーソルジャーを作る新たな超人兵士計画”プロジェクトリバース2.0"の被験者に選ばれ、国の管理下にあったシンビオートと結合することでエージェント・ヴェノムへと変身。軍の指揮下でテロリストやヴィランたちと戦うヒーローとなる。そこで新たなクライムマスターやジャックオランタンと戦ったりスパイダーアイランド事件の解決に一役買ったりと大活躍。

しかし色々な要因が重なった結果として軍から離反してしまい、未だに制御しきれていないシンビオートと一人で向き合っていかざるを得なくなる。その後苦労しながらもなんとか一人(とシンビオート)でヒーロー活動を続けていくことに。レッドハルクらと共にサークルオブフォーに参加したり、シークレットアベンジャーズに正式加入したりとなんだかんだで軌道に乗り始めていたところ、クライムマスターとの対峙や新たにトキシンと化したエディに目をつけられたりと苦労が重なる。

ドバートンでの大惨事から二度目となるカーネイジとの対決を済ませた後はフィラデルフィアに拠点を移して普段はハイスクールで体育教師として生計を建てていくことに。そこでアンディという女子高生とともにヒーローをやっていくようになる。しばらくしてあのデッドプールもいるサンダーボルツに入ったりスーペリアスパイダーマンと一悶着あったりした後、かのガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーに参加。

彼らと共に冒険を続けることでシンビオートという種の真実を知ることとなり、ハイブマインドに繋がったことでシンビオートの精神が浄化。完全で高潔なヒーローになり、エージェント・オブ・ザ・コスモスの一員として活動する。しかし、地球に帰還した後すぐに何者かによってシンビオートと分離させられ、エージェント・ヴェノムとしての活躍は終わりを迎えることとなる。

その後は色々あってエージェント・アンチヴェノムの力を手に入れ、少しの間ヒーロー活動をしていたが結局はレッドゴブリンことオズボーンに殺害された。


◆リー・プライス

NO, THE ONE IN CONTROL…
IS ME!

■プロフィール

本名:リー・プライス
初登場:Venom Vol.3 #1

■人物像

かつて軍人だった男性。
幼少期の経験や兵士だった頃のトラウマから歪んだ人格を持っており、ガーガンをも越えるほど冷酷で暴力的なサディスト。結合してその頭の中を覗いたシンビオートからはっきりと「壊れている」と告げられたほど。

ヒーローになることを望んでいたシンビオートの意思に反して悪の道に走り、我慢できずに分離しようとしたシンビオートをその精神力で無理矢理自らの身体に閉じ込め、殆ど虐待に近い扱いを続けていた。悪知恵も働くようで、警察やFBIの罠を察知したり犯罪者として賢く立ち回る。

デザインはかなり独特で、白いラインが強調された荒々しいスタイルが特徴的。せっかくヒーローの道を歩み始めたヴェノムというキャラクターをまたヴィランに逆戻りさせたことや、シンビオートへの酷い接し方、擁護のしようがない性格の悪さ、追い詰められた時の小物臭さなどが理由で読者からの印象は最低と言ってもいい。

■経歴

幼少の頃から虐待されていたようで、時期は不明だが自らの手で両親を殺したらしい。
その後軍に入隊し、指を2本失った上に大きなトラウマを抱えてしまったことで除隊。国に帰ってからは違法な仕事に手を染めるようになる。

ある時ブラックキャット率いるギャングが関わるブツの取引に出向き、そこで宿主を探していたシンビオートに遭遇。フラッシュのようにヒーローとして活躍することを期待して取りついたシンビオートを即座に服従させ、その場にいた者を皆殺しにする。

そのままシンビオートを抑え込み続けて犯罪者として少しずつ歩みを進めていくことになるが、最後はFBIやスパイダーマン、エディ・ブロックに追い詰められ、あえなくシンビオートを取り上げられてお縄についた。ちなみに、回収されたシンビオートはすぐさまエディによって奪われることに。

しばらくの後、一度はアンディのシンビオートを奪って暴れたこともあったが、多数のヒーローたちに食い止められて今度はラフトに送られる(シンビオートは保持)。そこでなんだか偉そうにふんぞり返っていたが、彼の持つシンビオートと脊髄を狙ってやってきたカーネイジに襲われ、あっけなく惨殺された。ざまあ

ヴェノム・シンビオート

「シークレット・ウォーズ」において使い物にならなくなったオリジナルコスチュームの代わりに、スパイダーマンによって回収された共生エイリアン。ヴェノムを語る上で外せない重要なキャラクター。たまに勘違いされるがシンビオートは意思を持つれっきとした生物であり、決してただのコスチュームなどではない。とはいっても詳しい生態は殆どが謎に包まれているのが現状。

その正体は黒衣の帝王ヌルによって創られた"生ける深淵"。影が命を持ってそのまま動き出した生き物であり、世界を破滅させるために創造されたことが語られた。

ピーターが着ている間はパワーが増幅されたり着替える必要が無かったりと色々便利で重宝していたが、日ごとにピーターとの結合が強くなっていくことで彼の攻撃性を増していき、寝ている間に身体を乗っ取って勝手な行動を繰り返すようになっていく。それらの異変に気付いたピーターはF4の力を借り、音波の弱点をついてスーツを除去。相棒だとすら思っていた彼に捨てられたと感じたシンビオートはピーターへの強い憎悪を燃やしながら新たな宿主を探すことに…という経緯があるためピーターへの執着が非常に強く、同じく彼を憎んでいるエディやガーガンに取りついて、長年に渡り凶悪なヴィランとしてピーターの前に立ちはだかっていた。

性格は非常に残虐で、宿主以外の生き物はただの新鮮な肉だとしか思っていない。理性というものは持ち合わせておらず、本能のままに暴れまわることを好む。そのためエディなどのある程度良識のある宿主でないとその破壊衝動をまったく抑えることができず、とんでもない怪物になってしまうことになる。

しかしフラッシュと出会って彼の高潔な精神に触れることで少しずつヒーローとしての心を学んでいき、最後には遂にフラッシュと共に真のヒーローとして活躍することが可能となった。フラッシュと別れてからもヒーローとなることを望み、善行を積むことを目的としている。

しかし過去の悪行や自らの内に眠る凶暴性に苦悩することも多く、宿主と衝突を繰り返すことも。実際、追い詰められたり宿主の感情に引っ張られたり精神的に不安定になった状態では、かつての凶暴性が剥き出しになってしまう。犯罪と戦い続けるためにエディの深層心理を勝手に操ったり、自らを捨てさせないために彼の記憶や体内環境をいじったりと、人間とは根本的に価値観が違うがゆえの行動もしばしば。カーネイジやトキシンらと違って”親”にあたる個体は存在せず、シンビオートの創造神であるヌルによって直接創りだされたものと思われる。

ちなみに、実写映画のように宿主の頭の中で喋るようになったのはコミックの中でも比較的最近のことで、それまでは宿主によって「考えていることが何となく分かる、感情が伝わってくる」程度だった。

【パワー】

殆どの能力は基本的にシンビオートによるもの。
スパイダーマンに取りついたことがあるために彼の記憶と能力を全て(スパイダーセンスは除く)コピーしている上に、単純な腕力ではピーター本人を遥かに上回る。
また頑丈さもズバ抜けており、小銃程度での攻撃ならまったく意に介さない。宿主の胸に空いた大きな風穴も時間さえかければ完治させることができるほどの再生能力も。宿主とシンビオートの同調、シンビオート自身のもつ凶暴性の現れである鋭い爪や牙も強力な武器。擬態能力も所持しており、カモフラージュしてこっそりと襲いかかったり他者に完全に成り済ましたりすることすら可能である。

ちなみに、シンビオートは過去の宿主がもつ記憶を全て所持しており、場合によってはそれが大きなアドバンテージとなる(スパイダーマンの正体を知ったのはそれのおかげ)。多用はしないが、身体の一部分を変形させて様々な武器を生成することもある。シンビオートの一部を用いているためにシューター無しでウェブを射出し、スパイダーセンスを掻い潜ることもできるため、これにはさしものスパイダーマンも毎度かなり苦戦を強いられる。しかしいくつかの致命的な弱点を持ち、スパイディも対処法を心得ている為に戦略なども含めた総合的な実力では互角といったところ。

フラッシュと共にシンビオートの母星であるクリンターのハイブマインドと接続したことで、シンビオートが宿主抜きでも短時間ならヴェノムとして活動可能になったり、凶暴な性格が浄化されてより精神的に落ち着いたことで更に強化。その後エディと共にシンビオートの神ヌルが持つ独自のハイブマインドに繋がったことで真の能力が解放され、時間制限の無い宿主抜きでの活動、翼を用いた飛行、シンビオート同士でのテレパシーなどなどのパワーを得た。

【弱点】

ヴェノムはシンビオート全体に共通する弱点を有している。
一つ目は炎などによる極端な高温。
大抵の生きとし生ける者は炎を嫌うものだが、特にシンビオートにとってはかなり致命的な弱点であるらしく、それを本能的に理解している彼らは少し火に近づくだけで過剰に嫌がる。触手の先がライターの火に触れただけで悲鳴を上げるほど。直接当たらなくても炎に近づくだけで大きく弱体化してしまう。もろに炎を食らった場合は身体全体が火に包まれて暫くの間は行動不能になる。

もう一つは金属をぶつけ合わせた音、スピーカーのノイズ、専用の音波銃などから発せられる高周波。
それらに当てられた場合はシンビオートが苦しんで自身のコントロールを失い、バラバラに砕け散るために宿主と離れてしまう。とはいってもそこまで酷くやられてしまうことはあまりなく、大抵の場合は少し苦しんで足止めを食らう程度に留まる。日常生活にかなりの支障をきたしていそうなのが辛い所である。
弱点をつかれれば行動不能になるとは言っても時間が立てば元通りになるため、一筋縄ではいかないのが厄介なところ。

また、弱点というほどでもないがヴェノム・シンビオートはピーターを理想的な宿主と捉えており、彼と合体(アッー)したいという強い願望があるためにそれを利用されて罠に誘い込まれた事もある。結局、ピーターへの執着は無くなったようで、むしろ現在はエディとフラッシュの間で迷うかのような描写が多い。


【その他のヴェノム】

●アン・ウェイング
エディの元妻。
シン・イーターが原因の事件に巻き込まれたことで色々あってシンビオートと結合、シーヴェノムとして短期間ながら何度か活動していたことがある。結局はそのときの経験が影響で精神に異常をきたしたようで、自殺してしまう。後に、身に覚えがないにも関わらずエディの子供を身籠っていたらしく(恐らくシンビオートが原因)、亡くなる直前にエディの父親であるカールにその赤ん坊を預けていたことが後になって判明した。

●アンジェロ・フォルトナート
エディが売りに出したシンビオートを買い取った金持ちのボンボン。
犯罪界の大物の息子として育ち、父親に認めてもらうためにヴェノムとしてスパイダーマンを襲撃。無関係の人々を何人も殺しながら彼を追い詰めるが結局は敗走することに。その腰抜け具合に愛想を尽かしたシンビオートによって見捨てられ、落下死する。
数年後にカーネイジによって墓から遺体が掘り起こされ、脊髄を引き抜かれてゴミのように捨てられた。

●ウェイド・ウィルソン/デッドプール
狂気に染まった不死身の傭兵。
近年、実はピーターよりも前に少しの間だけシンビオートを纏っていた、という事実が発覚した(その際にシンビオートの精神に悪影響をもたらしてしまった模様)。その後ピーターによって捨てられたシンビオートと偶然再会し、短期間だけヴェノムとして大暴れ。ブラックキャットやパワーパックとイチャイチャした後は教会にシンビオートを逃がしてその場を去った。エディが教会に現れてシンビオートと出会う直前の出来事である。

●テル・カー
とあるクリー人の兵士。
ヴェノム・シンビオートと繋がった初めての宿主でもある。何年も前にシンビオートをスクラルとの戦争に利用していたらしい。善人らしく振る舞っているが本性は真っ黒で、ある日エディからシンビオートを奪い去った後は無理矢理服従させて宇宙へ逃亡。しぶとくエディの前に立ちはだかるが結局はスリーパー・シンビオートに脳と身体を乗っ取られ、半死半生の状態で乗り物として扱われることに。その後しばらくして再び地球に現れた際、その身体はスリーパーの中で完全に朽ち果てていた。

●キャロル・ダンバース/Ms.マーベル
絶大なエネルギーを操る女戦士。
シージにおいてスパイダーマンと共にヴェノムと戦うこととなり、その腕力に物を言わせてガーガンをシンビオートから無理矢理ひっぺがす、という荒業で勝利…したかと思いきやシンビオートによる不意打ちを受け、身体を乗っ取られてしまう。数ページの間だけ大暴れしたが、結局はスパイダーマンによる手助けによって解放されることとなる。アンとは異なり、ヴェノムとしての姿はなぜか男性的なスタイル。

●マレキス
雷神ソーの宿敵。
ダークエルフたちを伴って地球に侵攻した際、ヒーローとして立ちはだかったヴェノム・シンビオートを奪い取り、魔法を用いて自らに服従させた後に結合。原始のシンビオートである神殺しの剣”オールブラック”を模倣した禍々しい姿へと変化して雷神たちとの戦闘に挑む。しかし結局は炎の弱点を突かれてボコボコにされ、シンビオートとも分離してしまった。今までのヴェノムが殆どしてこなかった「シンビオートの一部を他者に感染させて手駒にする」という戦法を多用したのも特徴。
余談だが上述のオールブラックはソーと非常に密接な関係を持っている。

●ブルース・バナー/ハルク
不死身の怪物をその身に宿す科学者。
シンビオートがカーネイジに対抗する力を得るためにわざわざエディから分離してまで選んだ宿主。その時の彼は”緑の扉”の影響で文字通りの不死身になっており、場合によってはかのワールドブレイカーに匹敵するほどのデタラメな強さを持つ。シンビオートによって更に強化され、同じくかつてないほど強大な力を持っているカーネイジと互角の戦いを繰り広げた。しかし単純な腕力勝負では勝てないと踏んだクレタスによって触手を用いた脳への精神攻撃を受け、さしものハルクも嫌がって引っ込んでしまったために敗北。シンビオートも奪われた。

他にもシンビオートと繋がってヴェノムになった人物は多数いる。

【子孫】

カーネイジが産んだ個体は省略。基本的に全員がヴェノムの能力を受け継いでいる。

カーネイジ
エディが投獄され、シンビオートを用いてすぐに脱獄した際に出産した個体。
同じ房にいた連続殺人鬼クレタス・キャサディと産まれると同時に結合し、長らく行動を共にしていくうちに彼に勝るとも劣らない凶暴性を持つようになった。宿主との結合はかなり強く、ほぼ完全に融合していると言ってもいい。固有の能力は持たないが、素の実力が非常に高いのが特徴。ヴェノムとの因縁はかなり深い。カーネイジ自身も何度か出産したことがあるが、どの子もあまり長生きしない傾向にある。

●ライオット
●ファージ
●ラッシャー
●アゴニー
ライフ財団によってエディが捕らえられた際に人工的に作られたシンビオートたち。
皆がそれぞれ固有の能力を持つが、宿主たちの経験が足りないためか暴走気味。実はそれぞれの名前がつけられたのはかなり最近になってからのこと。軍による管理下にあった時期があり、宿主と共にある種のスーパーソルジャーとして扱われていた。4匹が融合してハイブリッドになることも。

●スクリーム
上述の4匹と同時に造られた個体。
他よりもかなり早い時期から完全に制御を失ってしまい暴走。しばらくの間ヴィラン活動を続けていたがエディによって殺されてしまう…が数年の後に蘇生される。髪の毛を模した触手を自在に操ることができる。他と比べると精神的に不安定な部分が目立つ。

●マニア/”ヴェノム”
研究所で作られたヴェノムのクローン。
収容を破って大暴れしたが結局はヴェノムによって吸収されることとなる。その後、物語の続きが描かれることもなくフェードアウトしてしまうが、後にマニアに名を変えて復活。エージェント・ヴェノムの相棒になる。

●スリーパー
ヴェノムにとって初めての「望んで出産した子」。
「知らない間に産んでいた」でもなく「無理矢理産まされた」でもないために親との関係は良好。研究所でヴェノムによってヒーローになれるよう大事に育てられたが、世話をしていた研究員の人格に問題があったために少し傲慢で短気な性格になってしまう。薬品やガス、燃料などのどんな化学物質でも生成できる能力を持ち、宇宙を自在に駆け巡ったり他者の思考や精神を操作することさえ可能。宿主に依存しない心の強さも持ちあわせる。

●ディラン・ブロック
エディとアン、そしてヴェノム・シンビオートの3人の間で産まれた男の子。
見かけはごく普通の子供だが、他のシンビオートを自らの意思で操ることができ、手をかざすだけでどんなシンビオートも粉々にできる。他にもなんらかの能力を持っている可能性が高い。極度のストレスに晒されると眼球が真っ黒に染まり、本能的に力が発揮される。産まれつきパワーを持っているがミュータントというわけではなく、人間とシンビオートのハーフのような存在。


【余談】

「VENOM THE MADNESS」というスピンオフ作品ではサンフランシスコに引越しし、サンフランシスコの守護神となったエディ版ヴェノムがヒーロー活動をしている時に「リビング・ヴァイアラス」という未知の病原体(ウイルス)に感染し、ヴェノム・ザ・マッドネスという怪物になって暴れるというエピソードが展開された。



ヴェノムの体から『意志を持つヴェノムの顔』が沢山出て来たり、腕が増えたりとかなりグロテスクなデザインとなっている。
また、リビング・ヴァイアラスの影響でエディの性格が凶暴になっている。

最後はリビング・ヴァイアラスは自然消滅し、エディは再びサンフランシスコのヒーローに復帰する。
因みにそのヴェノム・ザ・マッドネスというのがこれ↓

どこぞの悪魔超人とかZ戦士とか言わないように
実際、この形態のヴェノムはあのジャガーノートにすら匹敵する腕力を発揮してみせた

映画『スパイダーマン3』で活躍したヴェノムのスピンオフ映画が始動。
……だったが途絶えてしまったためお流れに。
エージェント・ヴェノムが所属するガーディアン・オブ・ギャラクシーや(また)新たにスパイダーマンが始まるなど舞台(だけ)は整っていた模様。

アニメ作品や映画など正史ではない世界ではエディが悪いだけの人物だったり、シンビオート単体だったりと単純なヴィランとして登場することが多く、例としては
日本の「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」では第35話「黒いスパイダーマン」・第36話「寄生体ヴェノムの弱点」にて登場。
ただし寄生体シンビオートがヴェノムを名乗っており、スパイディに寄生しNYで暴れさせるが、エディ本人は登場せず。
その代わり、ハルクに寄生してMVCシリーズでおなじみの体型で他のアベンジャーズと闘うというシチュエーションを見せてくれた。

アニメのアルティメット・スパイダーマンでも単純な生物兵器といったところだったがフラッシュと完全に適合しエージェント・ヴェノムが誕生。
こちらのエージェント・ヴェノムはフラッシュがまだ学生であり新人ヒーローであることや各アーマーや武装が最初に対峙したヴィランのビートルのものをコピーしたものになっているのが特徴である。

そして2018年11月3日、ついにヴェノムが映画化!!
監督に「ゾンビランド」のルーベン・フライシャー、エディ・ブロック/ヴェノム役に「マッドマックス 怒りのデスロード」のマックス役や「ダークナイト ライジング」のベイン役などのトム・ハーディを迎え、『凶悪』を喰らう残虐で『最悪』なダークヒーローものとして描かれている。
直接的なグロシーンはないとはいえ、人を捕食するシーンがあるためかPG-13(日本ではPG-12指定)レーティングが敷かれている。
アメコミ映画では『ワンダーウーマン』サム・ライミ版『スパイダーマン』(第1作)を抜いて8億2,250万ドルという興行収入を獲得している。
本作でのヴェノムは自らの意志を持つばかりか、原作とは違い流暢に宿主のエディと話しまくり、寄生虫呼ばわりされるとキレる等、非常に人間臭く設定されているのが特徴。
映画でのシンビオートには最初から人喰いの習性があるがエディに善人は食うなと言われて我慢する等、理性が働く上に宿主であるエディの恋路を応援する始末で、憎っくきスパイディの存在が無いとはいえ、最初から悪寄りとは言えないキャラクターをしていた。
また、映画版では犯罪者ではなく落ちこぼれであり、同じく落ちぶれたエディに共感した末に自己犠牲的な精神まで見せた。
尚、お互いにクズだとエディに語っているものの、エディとの相性が良すぎて本来の力よりも能力が増しているようで、自分達のリーダーであるライオットとも激闘を繰り広げられるまでになる等、「俺たち」にとって最良の共生関係を結んでいる模様……しかし。

日本の漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に登場する八ツ目無名異はヴェノムがモチーフとなっている。





「俺たちの為に追記、修正してくれるのか?」

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最終更新:2021年05月02日 01:26

*1 元々はガンを患っていたわけではなく、エディと離れないためにシンビオートがガンの症状を模倣していただけだったが、後に本当にガンを発症してしまう