SCP-1917-JP

登録日:2020/04/11 Sat 16:30:00
更新日:2025/04/24 Thu 23:52:48
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夜明け前が一番暗い
そして私に朝は来ない


SCP‐1917‐JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトのひとつである。JPのコードが示す通り、日本支部生まれである。オブジェクトクラスは「Keter」。

概要

コイツが何かと言うと、世界全域に不定期で出現する10代女性の姿を取った人型実体である。
Keterと言うだけあって収容は事実上不可能であるが、どうか安心してほしい。多少の時間は掛かるものの、こいつは簡単に無力化することが出来るのだ。

というか殺害が特別収容プロトコルに含まれている。

特別収容プロトコル

  • 財団の世界監視システムでSCP-1917-JPの出現を監視
  • 出現が確認された場合は近隣の都市部の閉鎖と住民の避難誘導を実施
  • SCP-1917-JP-A対象者の同定、確保及びEクラス職員としての臨時雇用
  • SCP-1917-JP-A対象者によるSCP-1917-JPの殺害と事後処理
である。言わずもがな財団のモットーは異常存在の保護であり破壊ではない。だがコイツは放っておいたらAK-クラス:世界終焉シナリオ、つまり人間の知覚・思考プロセスの崩壊を引き起こすオブジェクトなのだ。
故にこのオブジェクトは殺されなくてはならない。ただし、財団の手によってではない。

SCP-1917-JPの元になった人物と親密な関係であった人物によって、である。

詳しく見ていこう。出現したSCP-1917-JPの容姿は、出現した場所付近で24時間以内に死亡した女性の少女期と一致する。またSCP-1917-JPは出現と同時に何らかの踊りを行う事が確認されている。そしてSCP-1917-JPが踊りを継続した場合、周囲の生物や人物は夜明けを知覚する事が出来なくなるのである。ただし影響を受けた対象は夜明けが知覚出来ない事に対して混乱を持つことは無く、むしろ肯定的ですらある。

一見何てことない異常性に見えるが、実はこの影響は指数的に拡大する事が確認されている。つまり放置しておけば最終的に全世界が夜明けを知覚する事が出来なくなるのだ・・・社会システムの崩壊を招きかねない立派なK-クラスシナリオである。

ところがこのSCP-1917-JP、財団が保有するあらゆる処置や攻撃に対して一切の干渉を受け付けない。しかし唯一SCP-1917-JPの行動に干渉できる人物がいる。それがSCP-1917-JP-Aの対象となった人物である。

SCP-1917-JP-Aについて

SCP-1917-JP-AはSCP-1917-JPの容姿の元になった人物、その関係者に発生する現象である(以下、対象者)。この現象が発生すると、その対象者のもとに1丁の自動拳銃が出現する。同時にSCP-1917-JPの正確な現在位置とその殺害の必要性を対象者は知覚する。そこに目を付けた財団は対象者を一時的に雇用し、監視下に置くことでSCP-1917-JPの殺害に確実を期すのである。

なお、対象者はSCP-1917-JPと親密な関係、例えば家族や恋人である傾向がある。そのため対象者はSCP-1917-JPの殺害に強い抵抗感を示す場合が多く、なんと25時間も殺害をためらったケースもある。

以下はSCP-1917-JPと対象者の会話である。

会話ログ1917-JP-01

会話者
SCP-1917-JP(容貌は██氏に酷似)
SCP-1917-JP-A対象者(██氏の父親)

<再生開始>
財団司令部: では██さん、会話を行ってください
対象者: 分かっています。…██(SCP-1917-JPオリジナルの本名)、何故踊っているんだ
SCP-1917-JP: 夜の次には朝が来るから、ずっと、朝が来るまでなら踊っていられるの
対象者: 疲れないのか
SCP-1917-JP: 疲れない。いつまでだって踊り続けられる、そうあってほしいでしょ? だから、朝が来るまでは

このまま朝を迎えたいと言うSCP-1917-JP。だが、彼女が踊りを止めない限り朝は来ないのだ。

対象者: [1分ほどの沈黙] そうか。でも、駄目なんだ。朝は来なくちゃいけないんだ、██。みんな、朝は来てほしくないけれども
SCP-1917-JP: そう、分かった。ずっと踊っていたいけど、朝なんて来てほしくないけど。それが駄目なら止めてほしい。ずっと夜の中にいるのが嫌なんだったら
対象者: 嫌なわけがあるか、ずっとお前の踊りを見ていたい、生まれてからずっとベッドに眠っていたお前の踊りを見ていたい。こんなに美しく育つはずだったお前と一緒に踊りたい。でも駄目だ、駄目なんだ

出来る事ならこのまま躍らせてあげたい。だが財団は冷酷だった。

財団司令部: ██さん、既に彼女はあなたの娘さんではありません
対象者: 分かっています。分かっているんです、死ぬほどに。だから、でも、だからこそ
SCP-1917-JP: [1分ほどの沈黙] 分かってる。楽しかった?
対象者: ああ、楽しかった、嬉しかったよ、だからとても苦しかった。そしてきっと、もっと、ずっと悲しいんだ
SCP-1917-JP: 泣かないで。私は悲しくないし苦しくないから。だから、夜明けまで踊っているの

対象者         ごめんよ、お前を

SCP-1917-JP:      救えなかった


[約10秒後、対象者によりSCP-1917-JPが射殺される]
‎・・・こんな残酷な話があるだろうか?


補遺

SCP-1917-JPは殺害されると同質量の生理食塩水に置換される。同時に影響を受けていた人物は夜明けの知覚が出来るようになり、また影響下の記憶を急速に忘れていく。

だがSCP-1917-JPを殺害した対象者は殺害の記憶を忘れることは無い。またその後の調査で、対象者は夜明けを知覚出来なくなっていたことが判明する。当然、財団は記憶処理などの手を尽くしたものの回復は出来なかった。幸か不幸か、対象者はこの現象を異常だと思っているものの何故かその状態を許容している。

そこにあるのは絶望か、悲しみか、あるいは・・・。




たとえ地獄を見ようとも、私はあなたに銃を向ける。



SCP-1917-JP

が明けるまで踊らせて、それがダメなら貫いて


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最終更新:2025年04月24日 23:52