SCP-070-JP

登録日:2020/04/30 Thu 19:13:07
更新日:2025/05/18 Sun 20:44:21
所要時間:約 18 分で読めます




「…なんだ」
「何かいる…何か二階にいる…」
「あまりよく見えなかったけど、犬みたいだ…」

「動いた!」
「ああ!早い!あいつ犬じゃねえ!犬なんかじゃねえ!」
「おい、開けてくれ!来る!早く開けてくれ![削除済]!!開けろ!」


ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン


SCP-070-JPはシェアード・ワールド『SCP Foundation』の日本支部に登場するオブジェクトのひとつである。
項目名は『わんわんらんどと犬ではないなにか』。
オブジェクトクラスはSafe。

概要

SCP-070-JPは、████県████市内に建てられているとある集合住宅の██████室にあるメンテナンスハッチである。本来であればここに入ると床下へとつながっている。しかし、SCP-070-JPを通ると廃墟のような空間(SCP-070-JP-1)へと出る。この廃墟は木造建築のように見えるが、家具やガラス窓を含めて一切の物品は破壊を受け付けない。

特別収容プロトコルは以下の通り。
  • SCP-070-JPは常に鍵を閉めておくこと。
  • 隣の部屋には財団職員を入居させ、常に誰も入らないように見張っておくこと。
  • SCP-070-JPの中に入るときはレベル3以上の職員の許可をとること。入ったら必ず3分以内に退出すること。複数人で入る場合はレベル4以上の職員3人の許可が必要。
  • 制限時間を超えた調査をする場合は必ずDクラス職員を使用すること。
以上。中に入りさえしなければ異常性は発揮されないため、シンプルなものとなっている。
しかし、中に入ってしまったが最後、身の毛もよだつような体験をすることとなる。

探査記録

例によって、Dクラス職員を使った2度の探査記録がある。
1度目の探査記録がこちら。

探査ログ:070-JP-BB-1
対象:SCP-070-JP-1
探査者:D-32414
「よーし、中に入った…どこだろうな、ここは」

「見えるものを説明しろ、だったな…えーと、まず俺が出てきたのは店みたいなところだ。カウンターの裏側の、小さな扉から出てきた」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「店の中には棚と、檻がいくつか並んでる。棚はだいたい割れてるし、檻も蓋が開いてるな」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 寒さになんか 負けないぞ
「正面にはドアがあって、右手の方に窓がある。窓に近づく」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「窓の外は…結構な田舎だな。店の隣には草ぼうぼうの庭と畑があって、道路が見える。片側一車線だ。あと…看板かな?店の敷地にポールが建ってる」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ お腹が減っても 負けないぞ
「えーと、かなり錆と汚れが付いていて読みにくいが…『わんわんらんど』って書いてあるな。全部平仮名だ。あとは、空が晴れてるぐらいしか見えない」

どうやらSCP-070-JP-1内は店舗になっているらしい。檻がたくさんあって、店名が『わんわんらんど』ということは、元はペットショップだったのだろうか?

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「あ、センセイ。今気が付いたが、俺が出てきたカウンターの横の方に階段があった。どうやら二階があるらしい」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 靭帯切れても 頑張るぞ
「階段は、埃が積もってるけどそこまで古くはなさそうだ」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「うん、行ける行ける。上の階に上がってみる」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 水の中でも 元気だぞ
「もうすぐ踊り場だ。やっぱり意外と頑丈な階段だ」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「…なんだ」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 両手はいらない 犬だもの
「何かいる…何か二階にいる…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「あまりよく見えなかったけど、犬みたいだ…」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 一日縄張り 監視中

D-32414が犬のような生物を発見。この時、複数の男女が歌うような謎の声が聴こえてきたとのこと。普通であれば野良犬か何かが廃墟に棲みついているのかと思われる所だが……

「分かった、もう一度見てみる…じっとしてる…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「動いた!」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 寂しくないぞ みんないる
「ああ!早い!あいつ犬じゃねえ!犬なんかじゃねえ!」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「おい、開けてくれ!来る!早く開けてくれ![削除済]!!開けろ!」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ お腹が減っても 負けないぞ

どうやら犬ではなかったらしい。よほど恐ろしいモノなのか、入ってきた扉に縋り付いて必死に開けるよう要求する。しかし、外で待機していた財団職員がSCP-070-JPを開けようとしてもびくともしなかった。…どうやら一度遭遇したら逃げられないようだ。

「あああ!いる!開けてくれ!後ろに!開けて!」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
(27秒間沈黙)
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

D-32414は通信機のバッテリーが切れるまで4時間ほど『ワンワンワン』と吠え続けた後、ロスト。この探査により、SCP-070-JP内には犬に似た何らかの実体(SCP-070-JP-2)がいることが判明した。

また、持たせていた追跡装置により、D-32414が████県████市郊外にある犬専門大型ペットショップ跡地へと転移していたことも分かった。このペットショップを調査したところ、経営者だった男性がSCP-070-JPの存在する部屋に住んでいたようだ。しかし、この男性はペットショップが倒産した後に[編集済]となっており、SCP-070-JPとの関連性は低いと考えられている。

2度目の探査記録がこちら。今回は、位置を特定したペットショップ跡地に予め武装した職員4名を配置した上で行った。

探査ログ:070-JP-BB-2
対象:SCP-070-JP-1
探査者:D-42671
「中に入った…映ってる?」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「はい、カウンターの内側に出てきました。中は…ペットショップだったのかな?左の壁に棚が並んでいる」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 泥棒猫は どこにいる?
「窓?あるけど…了解、近づいてみます」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「はーい、外の景色です…かなりの田舎だなあ…鍵は…錆びてるのか、動きません」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ わんわんらんどは 僕の家
「ん?あれは看板かな…『わんわんらんど』…これで、映ってるかな?」

ここまでは前回の調査とほぼ同じである。ちなみに配置されていた武装職員はD-42671を確認できなかった。このことからSCP-070-JP-1は実在するペットショップ跡地とは別物の異空間と考えられる。

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ん?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ イヌじゃないぞ 僕たちは
「今、音がしたような…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「あ、二階あるんだ。上に上がってみる?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ ご飯はいらない イヌだもの
「え?一階の調査がすんでから?まあ、いいけど…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「じゃあ、次は檻を映しまーす。どれも全部空で、蓋も開いてます」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 元気じゃなくても 元気だぞ
「ん、少しだけ犬の臭いが残ってる気がします」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ここの棚はペットフードを並べてたんでしょうね…そして玄関のドアは…鍵がかかってるのかな、開かない…ん?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 僕たち一緒だ ここにいる
「…え?」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「なにあれ?え?」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ どれだけ吠えても 飽きないぞ

ここで歌声とともにSCP-070-JP-2が出現。音声を解析したところ、歌声の中に前回の調査を担当したD-32414の声が加わっていることが判明した。オブジェクトに取り込まれてしまったのか?
また、カメラ映像が手を振る犬のアニメーションへと切り替わってしまった。どうやらSCP-070-JP-2を映すことはできないらしい。

「ちょっと、やめて。え?」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ドア開かない!ねえ、開けてよ!ここ開けてって!」
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 君は元気か? 不健康
「やだやだやだやだやだ!」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「窓、窓から…」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
[27秒沈黙]
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
「ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン」
ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

以後、D-42671も通信機の電源が落ちるまで『ワンワンワン』と繰り返したのち、ロスト。同じくオブジェクトに取り込まれてしまったのだろうか…。

まとめ

以上の調査結果から上記の特別収容プロトコルが制定された。中で「犬ではないなにか」に遭遇すると二度と出られないという恐ろしさはあるものの、「入らなければ何も起きないこと」「異空間への入り口がどこかへ移動したりしないこと」を考えてオブジェクトクラスはSafeとなったようだ。

探査記録はこの2回のみ。もっと多くの調査を行っている可能性もあるが、確定で人員を一人失う上、下手するとヒトを取り込み続けることで進化する可能性もあるので調査を停止しているのかもしれない。実際にそういう例もあるし。「犬ではないなにか」が何なのかは結局分からずじまいだが、必要がない以上は興味関心のためにコストをかけないのが財団スタイルなのだ。



追記・修正は犬ではないなにかと戯れながらお願いします。






ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
僕らは イヌだぞ 元気だぞ

……実はこれの元ページには反転文字による隠し文章が存在する。Ctrl+Aで全選択するか、探査ログ全文をドラッグしてみよう。すると、以下のような文章になる。(赤字部分が隠し文章)

……これが真の探査ログ全文である。
明らかにSCP-070-JP-2こと「犬ではないなにか」が語り掛けてきている。ところどころ不穏な単語が混じっているが、これらの要素からSCP-070-JP-2の正体をある程度考察することができる。


ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 寂しくないぞ みんないる

ワンワンワン ワンワンワン ワンワンワワワン ワンワンワン
僕らは イヌだぞ 元気だぞ 僕たち一緒だ ここにいる

追記・修正は命の尊さを噛みしめながらお願いします。


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最終更新:2025年05月18日 20:44