ダークシティ(映画)

登録日:2010/10/20(水) 18:33:50
更新日:2019/09/22 Sun 08:33:23
所要時間:約 5 分で読めます




─最初に闇があり─
─時の始まりと共に異邦人が現れた─



●ダークシティ

『ダークシティ(Dark City)』98年のアメリカ映画。
原作、脚本、監督はアレックス・プロヤス。

闇に閉ざされた太陽の昇らぬ「街(ダークシティ)」を舞台にしたサスペンス映画。

映画・バットマン(89年)のゴッサムシティを思わせる様な“街”を舞台にミステリー、サスペンス、更にはSFと、あらゆる面で手を抜かれていない完成度の高い物語が展開する、映画ファンでも“知る人ぞ知る”隠れた名作である。

その物語の完成度故に見た人間からの評価は非常に高い。

【物語】

ある夜“彼”はホテルの浴槽の中で目覚めた……。
自分は何者で、どうしてここに居るのか…とにかく、外に出ようとしている“彼”に浮かぶのは青空と白い砂浜のイメージのみ…。
突如掛かって来た電話の相手が言う。
「そこから逃げろ」……と。

そして“彼”は見る。
自分の部屋に倒れている女の死体と、血塗れのナイフ……。

「自分は殺人者なのか?」……恐怖と混乱を抱えたまま外に飛び出した“彼”の名はジョン・マードック……。

……そして、彼を追う謎の黒づくめのコートの集団……。

妻・エマや、連続娼婦殺しの犯人として彼を追うバムステッド警部をも巻き込み、謎の究明はやがて“街”の根幹へと至るが……。



【登場人物】

  • ジョン・マードック
主人公。
名前も記憶も定かでは無い状態で目覚める。
自分が誰かを知る為に僅かな記憶を頼りに街を彷徨う内に、この〝街〟の夜が明けない事に気付く。
状況から「連続娼婦殺し」の犯人と思われるが……。
探索の中で不思議な「力」に目覚める。


  • エマ・マードック
ジョンの妻でクラブ歌手。
不倫により、夫・ジョンが出て行ってしまった事を後悔している。

  • バムステッド警部
〝連続娼婦殺し〟を追うベテラン刑事。
ジョンに犯罪者の匂いを感じない事を訝しがりながらも彼を追う。

  • ハッスルベック
バムステッドの部下の警官。
靴紐が良く解けているらしい。
「警部…?靴紐が」

  • フロント係
マードックの宿泊していたホテルのフロント。
「模範囚でも特例は無しだ」

  • ワレンスキ
バムステッドの友人のベテラン刑事。
“ある事件”を追う中で「真実」に触れ、現在では狂人扱いされている。
ジョンに最初に“街の秘密”を伝えるメッセンジャー。
しかし、運命から逃れる方法を見つけ、物語から“退場”する。

  • カールおじさん
“火事”で両親を失ったジョンの親代わり。
足が不自由で車イスを使っている。
“故郷”シェル・ビーチの場所が解らない……。


  • シュレーバー博士
ジョンの主治医を名乗る精神科医。
物語の狂言回し。
“街”の秘密に深く関わっている。

「恋多き男の記憶」
「不幸な幼年時代を一滴」
「10代の反抗も少々」
「最後に家族の不幸な死」
…。



※以下、ネタバレ。

































【異邦人】(stranger)

……宇宙からやって来た謎の存在。
意思の力により、原子に働きかけ、自由に物質を構成する「力(チューン)」を持つ。
神の如き力を持つ彼らだが、心を持たない為に滅亡の危機に瀕しており、その危機から逃れるべく“街”を創り、人間を集め、その心を知る為に毎夜、実験を繰り返している。


深夜0時の鐘を合図に時を止め、街を作り変えると共にシュレーバー博士による記憶の入れ替え“役割”を与えた人間がどう動くのかを研究している。

“街”の地下には巨大な装置があり、その装置により全員の「力」を結集させ増幅……街を自由に作り変えている。


  • Mr.ブック
「異邦人」の指導者。
全員の“力”を一体化させ、増幅器を支配する力を持つ。

  • Mr.ハンド
ジョンを追う内に彼自身に興味を持つ。
彼を追う為にジョンの記憶を自らに移植する等「異邦人」の中でも行動が特に個性的である。

  • Mr.クイック
ジョンの追跡者。
ジョンにより殺され、その際に醜い本体を晒す。

  • Mr.スリープ
子供の姿の「異邦人」。
ナイフをちらつかせた青白い顔のお子様(ガキ)が笑顔で迫って来るのはかなり怖い。
……なぜ噛み付く。



※「異邦人」は皆、青白い顔をし、コートを着用しているが、これは人間の死体を弱点である光と水を避ける為の“殻”として利用している為である。

その本体は巨大な寄生虫ともとれる姿をしており、彼らが光を嫌う事が“街”の夜が明けない理由になっている。

性別は無く、元々は種族全体で意識を共有していたと思われるが“個体”として過ごす内にそれぞれに自我が目覚め、Mr.ハンドに至ってはジョンと一体化する事でエマへの執着までもが芽生えている。

……つまりは、彼らの望んだ“心”は既に彼らに存在していると言えるのだが……。



【余談】

ジョンの故郷〝シェル・ビーチ〟が劇中に於けるキーワードとして登場する。
…誰もが知っているが、その行き先だけは誰も知らない場所…しかし、ラストでは…。

ゴッサムシティを思わせるゴシック調の〝街〟はセットとミニチュア、実写、CGを組み合わせて創られた。

物語に登場して来る人物が、後に別の役で登場して来るのも見所の一つ。
人の記憶の不確かさは創作の世界では良くテーマになるが、この映画ではそれが上手く表現されている。

シュレーバー博士を演じているのは、まだブレイク前のキーファー・サザーランド。
24時間も戦わなければ、吹き替えが小山力也では無い。
(本作では大塚芳忠)




追記、修正したのか?
終わったら……眠れ……。

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