シュバルツ(ブギーポップ)

登録日:2020/10/08 (木曜日) 23:30:18
更新日:2025/04/02 Wed 20:08:02
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シュバルツとは、ブギーポップシリーズに登場する統和機構の合成人間。
(ただ初登場は「ビートのディシプリン」という別シリーズ)

他の合成人間が暗殺や戦闘を行った後にやってきて、敵残党の殲滅や証拠隠滅を行う任務達成100%のチーム「バーゲン・ワーゲン」のリーダー。
掃除屋とも呼ばれる役割の男。

外見は「影」とも揶揄される黒づくめの男。ただしジャケットの下のシャツだけは赤い。
無表情だが、あまり容姿その物に対する言及は無い。

性格は冷静沈着で寡黙と、軍人かあるいは殺し屋を思わせるもの。
容赦なく敵を殲滅する上に、任務の遂行に必要とあらば一般人をいくら巻き込むことをも辞さない。
また情に左右されない恐ろしさを見せる一方で、不測の事態には瞬時に迷わず撤退を選んだりと引き際もわきまえている。

そして自分とは反対に非合理的な信念や義、無関係の人を救うような行動原理で動く相手も決して軽んじず「そういう連中は侮れない」
とそれらで動く相手を皮肉も何もなく便宜上「正義」と仮称、定義し純粋な脅威として警戒するなど、
油断から程遠い思慮深さと精神力を持った恐ろしい存在。


  • 能力:「ラッチェ・バム」衝撃波を掌から砲撃として放つ。
合成人間としては最もメジャーなタイプの能力。
ただしシュバルツの場合、彼の確かな技術ノウハウによって、
通常のそれとは全く別種の能力へと昇華されている。
詳しくは下記のユニット説明にて。


  • 戦闘ユニット「バーゲン・ワーゲン」
シュバルツがリーダーとして率いる総勢5名のユニット。
それぞれシュバルツが編み出したラッチェ・バムの応用技術の一部を教えられているが、
どれほど死んでもシュバルツ一人さえ残っていれば同系統の合成人間に技術を教育する事により補充が可能と、リーダー以外は全員替えが利く存在。

メンバーになった面子は役割によってドイツ語の色を識別名称にする。
リーダーの(シュバルツ)を筆頭に&戦闘メンバーの (ローテ)(ブラウ) 、偵察メンバーの(ゲルペ)(グリュン)……うむ、何を連想したかは判るぞ。
服装は挿絵だとお揃いの黒ズボンにジャケットだが、シャツの色だけ違う。
それぞれ自分の担当した色と同じだと思われるが、シュバルツだけ赤色でローテがオレンジ色っぽくなっていて、そこだけズレ込んでいる。
やはりリーダーだから黒じゃなくて赤を着たかったのかな?

行動内容は斥候のゲルペグリュンの時点でかなり荒っぽく「怪しい物があったらその時点で破壊か殺戮」というもの。
疑わしきは殺してから後で確かめるというスタイル。怖ぇな。

バーゲン・ワーゲンの具体的な技としては蠅の羽を媒介に遠隔共鳴攻撃をしたり、
車のエンジンに染みこませた波動で特定条件の車を連鎖爆発させるといった技を使う。
……どちらも物理法則的に何もかもおかしい気がするが、合成人間における「波動」だの「超振動」は万能ワードなので気にしてはいけない。

無論全てのメンバーがシンプルな連携や単独での衝撃波砲撃も可能で、
シュバルツの指示の下に的確かつ強力無比な攻撃を可能とする。
さながら統率された軍隊の砲撃。





殲滅任務としてリセットから引き継ぐ形でチームを率いてで合成人間ピート・ビートを狩りに赴いたのだが、
その際ビートの方に「人間戦闘兵器」と呼ばれる天才トラッパーことジィドが居たのが運の尽き。
先行して行かせたゲルペグリュンは疑わしい場所を無差別殺人して標的ごと殺そうとするがものの見事にジィドのトラップにはまって返り討ちにあい死亡。
今度はローテブラウを率いて自らピート・ビート殲滅を行おうとするのだが……このローテブラウまでもが割と調子ぶっこいてた性格なのが命運を分けた。

彼らはビートとジィドを爆発炎上させた車でトンネル内に閉じ込め、遠距離砲撃を開始。
奴等は粉々になっただろう」「死体を確認できるかな? 破片が残っていればいいが
と砲撃後に明らかに隙を積み重ねる2名の発言を華麗にスルーしつつ、シュバルツは確認で注意深く砲撃から逃げ出したビートたちの痕跡を見つけ更なる追跡を指示する。

だがその連携で追いつめる途中でなんと「イナズマ」と呼ばれる、統和機構でも屈指に要注意人物とされる強敵にばったり遭遇。
(この際ローテブラウはシュバルツが印象の違和感から正体に気付くまでイナズマを居合わせた一般人と思い込んでいた)
3名ともイナズマとの戦闘で完全に翻弄される。

イナズマが相手では不利と察して即時撤退を選んだシュバルツだが、直後にローテがジィドの兆発に乗ってまんまと分断させられる。
それを罠と知りつつも戦力を失うわけには行かないと援護しに行ったシュバルツだったが、甲斐も無くローテは地の利でジィドにやられ死亡。

続いてビートの能力による罠でブラウの能力が暴走、衝撃波の砲撃が自爆してしまいその巻き添えでシュバルツもやられると言う末路となった。
末期の言葉としてビートが知った謎の言葉「カーメン」という物に対する尋問に対し、
「お前はカーメンだったのか」と返しながら自分を斃した存在が「カーメン」だと知り狂笑。
そのままお前の行く先は地獄だとビートに謎めいた警告とも思える言葉を残し「なにもない」とリフレインしてシュバルツは死亡する。

+ ...
「虚無――しかし、我らの道も、夢も、そこにしか存在しない――」

フォルテッシモ曰くカーメンとは「元々人間だったのが改造されて生まれた合成人間」の隠語。
つまりその解釈とシュバルツの「カーメン」への認識が同じだった場合、
自分たちを倒した存在が1から造られた生粋の合成人間ではなく「改造上がり」なのだと察して傑作だと自嘲しながら死んだということ。
ただしビートが到達した真実は更に違い、端的な言語にはし難いが「一人一人が別に抱える(カルマ)」とでも言うべき概念。
こちらのカーメンの真実をシュバルツが知っていた場合、彼の狂笑と自嘲は「自分自身の業を把握できずやられた」
とも言える、生きる意味を見つけられず虚無に呑まれた自身の人生と末路自体に対しての言葉と思われる。
果たしてシュバルツが「カーメン」をどう捉えていたかは正確には謎だが、死ぬ直前の言葉ではビートの行く先を「無」「何もない闇」と表現している。


このように、ほぼ死因は「直属部下の判断ミスに引きずられて」というなんとも言えない代物。
シュバルツ自身は油断もなく、相手を的確に評価しているのだが肝心のチームメンバーが皆、
「任務達成率100%の選ばれたバーゲン・ワーゲンのメンバー」
なのだとシュバルツ直属であることに酔った、油断に満ちた姿勢なのが生死を分ける境目となった。
事実、他のメンバーが見抜けていなかった相手の手強さをシュバルツ当人は即座に見抜いたり、
ブラウが自爆した罠も即座に見抜き咄嗟に能力使用を静止しにかかっている。
もっとも当の部下たちが感情的になって罠にハマるわ能力を使うわなのはどうにもできなかったのだが。
瞬時に意志疎通できる符牒も使っているのに割と無駄となった。
チームのメンバーを替えが利く部品として冷徹に見ていたシュバルツだったが、
自分と同等以上の強敵が相手だとその「替えが利く部品」が足を引っ張ることになったのである。



後のシリーズで明らかになったのだが、彼の日頃やっているもう一つの役割は新入り合成人間の教官役。
強さや任務遂行能力だけでなく指導者としても有名な別の意味で割と重要ポジション。
チームを率いてユニットとして活動できたのもその能力を引き出す技術教育力ありきのものだったと思われる。
彼を欠いた後の統和機構の人材教育は果たしてどうなってしまうのだろうか……と言うか前線に送り込むには惜しい存在じゃないか?






  • 「戦車のような彼女たち」で判明した事実。

合成人間が持つ名称で「あるパターン」における命名をしているのは彼で、そのパターンとは『戦車や兵器関係』というもの。
統和機構内でも有名な命名癖らしく、
あいつのネーミングセンスに任せれば私たちの能力はこの戦車なんでしょうねと雨宮姉妹が会話の引きあいに出すなど相当なもの。
合成人間の査定をしていたかと思えば真顔でお前の能力はまるで○○のようだな、
と唐突に戦車の名前を出しながら解説するシュバルツ教官の様はほとんどミリタリー・マニアじみている。

教官や上司としての顔では淡々とした冷徹で残酷な評価を下す沈着冷静さは変わらないものの、どこかフランクな言動も多く、
欠陥が多く癖の強い能力の合成人間、古猟琥依に対して「生きたいか?」と、
死にたいのならここで殺してやるけどどうするといった旨の重たい質問をサラッと世間話のように言うなど、
かなりシュールと言えばシュールな言動を見せた。


「ブギーポップ・ウィズイン」でも判断に情は一切挟まないが苦笑や冗談めいた言い回しを軽く見せるシーンが出たりと、
かつての教え子の前ではそれなりにとっつきやすい部分もあるのが明らかに。
キャラ崩壊……とまでは行かないが死後に真面目系ミリタリーマニア教官とも言える変なキャラ立ちをしてしまった奇妙な合成人間である。



アニヲタWiki(仮)か。なるほど戦車で言えばお前は――

追記・修正はシュバルツ教官に戦車の名前を付けられた人がお願いします。

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最終更新:2025年04月02日 20:08